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2017年04月27日

[J.A.リー『恋愛の6類型論』とそれぞれの恋愛タイプの特徴]

J.A.リー『恋愛の6類型論』とそれぞれの恋愛タイプの特徴

J.A.リー(1973)やヘンドリック&ヘンドリック(1986)などに依拠する『恋愛の6類型論』では、恋愛の類型(タイプ)を『エロス(情熱的な愛)・ルーダス(遊びの愛)・ストロゲー(兄弟愛・友愛)・プラグマ(実利的な愛)・マニア(熱狂的な愛)・アガペー(無償・献身の愛)』の6つに分類している。

エロス(情熱的な愛)……恋愛を人生のすべてととらえるようなロマンティックな恋愛、相手の外見に一目惚れしたり性的魅力に惹き込まれる恋愛。

ルーダス(遊びの愛)……恋愛を楽しいゲームのようにとらえるような遊びの恋愛、相手に執着せず深い付き合いをしない、軽い複数の相手との恋愛。

ストロゲー(兄弟愛・友愛)……激しい感情ではなく穏やかな友情に近い恋愛、相手との信頼・友好を深めていき気づいたら恋愛になっているような関係。

プラグマ(実利的な愛)……恋愛を目的ではなくメリットを求める手段として考える、社会的経済的な実利の要因によって恋愛相手を選択する。

マニア(熱狂的な愛)……嫉妬・執着・悲哀の激しい感情を持ち、独占欲の強い熱狂的な恋愛。

アガペー(無償・献身の愛)……見返りを求めず自己犠牲も厭わない無償の献身的な恋愛、普遍的な愛情。

6つの恋愛類型の測定尺度を用いた大学生を対象にした統計的研究では、女性に実利・結婚のプラグマの傾向が強い結果が出ている。楽しみ・遊びのルーダスについては日本では女性のほうが強いが、米国では男性のほうが強くなっていて文化差が想定される部分もある。

1990年代には現代の若者の恋愛では、独占欲や嫉妬・執着といった要素が前面に出やすいマニアが強い傾向があるとされていたが、2000年代以降には恋人がいない若者の比率が増えて『若者の恋愛離れ・恋愛格差』が指摘されることも増えている。

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[恋愛心理の“Love(愛情)”と“Like(好意)”の違い:他者に対する好悪感情の質]

恋愛心理の“Love(愛情)”と“Like(好意)”の違い:他者に対する好悪感情の質

一般的な恋愛関係・恋愛心理でも『ラブ(love)とライク(like)は違う』と言われることはあるが、その場合には『ラブ(love)のほうがライク(like)よりも愛情が深くて、相手のために生きる重みがある』といった意味合いが込められている。

恋愛心理学では、ライク(like)は『ただ好きなだけの好意』とされ、ラブ(love)は『異性に対するロマンティックな愛情』とされることが多い。こういったラブとライクを区別する定義を行って心理測定尺度の『love-liking尺度』を作成したのは、心理学者のZ.ルビン(Z.Rubin)である。

『love尺度』は付き合っている恋人のほうが友人よりも高い点数となるように調整され、『liking尺度』は付き合っている恋人と友人との間であまり点数の差がない(あるいは友人のほうが少し高くなりやすい)ように調整されている。

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[恋愛に対する態度(一般的な認識)の心理テスト:恋愛至上主義・結婚・理想]

恋愛に対する態度(一般的な認識)の心理テスト:恋愛至上主義・結婚・理想

恋愛・愛情をどのようなものと捉えて評価するかは、特定の他者に対する好悪感情(好きか嫌いか)とは異なるものである。恋愛・愛情をどのようなものと捉えて評価するかは、『恋愛の一般的な認識・意味づけ』と相関している。恋愛に対する態度は、恋愛をロマンティックな陶酔・熱中するものと見なすか、結婚・経済生活につながる実際的・実利的なものと見なすかによって大きく変わってくる。

B.ムンロとG.R.アダムス(B.Munro&G.R.Adamas,1978)にはロマンティックラブに関連する心理測定尺度の研究があり、『ロマンティックな理想』『ロマンティックなパワー』『結婚ー合理的な愛』の3因子の尺度を上げている。シュプレッカーとメッツ(S.Sprecher&S.Metts,1989)はロマンティックラブと恋愛のパワーに焦点を当てて、『恋愛の障害を越える力強さ』『真の恋愛は一つで一度きり』『理想の恋愛の相手や関係』『恋愛の一目惚れ』の4因子の尺度を上げている。

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2016年06月04日

[クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と主観主義(学者の解釈図式)の克服:2]

クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と主観主義(学者の解釈図式)の克服:2

文化人類学では社会共同体の『儀礼・イデオロギー』も研究対象にするが、儀礼やイデオロギーを研究する場合の問題として『主体と客体の混同』がある。

例えば、ある未開民族の儀礼・イデオロギーを観察して分析・解釈していくプロセスでは、どうしても『文化人類学者の主観的な解釈図式』がそこに介在することになり、『完全な客観主義・客体記述』は原理的に不可能なのではないかという見方も強くあるのである。

クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と未開社会の秩序・規則の解明:1

文化人類学の儀礼やイデオロギーの客体記述の困難さ(研究者・観察者の主観的な解釈図式の関与)というのは、哲学的な『他者理解の不完全性・不可能性』とも絡んでくるテーマであるが、この問題を解決するヒントは『研究者の外部からの解釈』『当事者の自発的な自己解釈』とのズレを認識してきちんと区別して事象の内容を双方向的に整理することだろう。

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[クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と未開社会の秩序・規則の解明:1]

クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と未開社会の秩序・規則の解明:1

人類学・文化人類学の分野では、クロード・レヴィ=ストロース(Claude Levi-Strauss,1908-2009)の著書『親族の基本構造(1949年)』『悲しき熱帯(1955年)』『野生の思考(1962年)』に代表される未開民族のフィールドワークがよく知られている。

クロード・レヴィ=ストロースの思想・研究手法は『フェルディナン・ド・ソシュールやヤコブソンの構造言語学』『エミール・デュルケームやマルセル・モースの社会学・人類学の分析手法』の影響を受けている。それ以外にも、博物学・マルクス主義(社会変革思想)・前衛的な芸術理論(キュビズムやシュール・レアリスム)など多方面の分野の知識に刺激を与えられたという。

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2014年11月16日

[プレスコット・レッキー(Prescott Lecky)]

プレスコット・レッキー(Prescott Lecky)

アメリカの精神科医・心理学者のプレスコット・レッキー(Prescott Lecky,1900-1941)は、現象の本質をエポケーによって洞察する現象学的アプローチを用いて、自己イメージ(自己評価)をコントロールする『自己理論』を開発した。ジョン・F・ケネディの侍医でもあったプレスコット・レッキーは、自己イメージ(セルフイメージ)をコントロールすることによってモチベーションを高めたり問題解決を促進したりしようとした。

P.レッキーは、共感的な理解や人間性の無条件な尊重を前提にする“ヒューマニスティック心理学”にも多くの影響を与えており、レッキーの自己理論の心理学は『ありのままの自己の肯定・受容』のために何をすれば良いのかの心理学的な方法論を提示しているのである。

P.レッキーは人格(パーソナリティー)を『観念の組織』として定義しており、パーソナリティーの組織内部で相互に矛盾する認識(自己理解)があると、人間は葛藤して苦しんだり物事を解決する能力が低下してしまうと考えていた。人格(パーソナリティー)は、組織的な観念の構成要素が『矛盾のない一貫した価値のシステム』になった時に、最も穏やかで安定した心理状態を作り出したり、高いモチベーションを発揮したりできるのである。

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