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2017年06月02日

[C.R.スナイダー(C.R.Snyder)とH.L.フロムキン(H.L.Fromkin)の『独自性欲求・ユニークネス欲求』:宮下の『ユニークさ尺度(1991)』における独自性欲求の4分類]

C.R.スナイダー(C.R.Snyder)とH.L.フロムキン(H.L.Fromkin)の『独自性欲求・ユニークネス欲求』:宮下の『ユニークさ尺度(1991)』における独自性欲求の4分類

自分が他者とは異なるユニークな存在でありたいという二次的欲求として『独自性欲求・ユニークネス欲求』があるが、自分が他者とは異なる独自の存在であるという認識は自己アイデンティティーの基礎を構成しており、自分にとって肯定的に解釈できる他者との差異は『自尊心・自己評価』を高めてくれる作用がある。

心理学者のC.R.スナイダー(C.R.Snyder)H.L.フロムキン(H.L.Fromkin)は、それまでネガティブに評価されてきた『集団内の標準的特徴からの逸脱(ズレ)』をユニークな独自性としてポジティブに評価し、5つの因子から構成される『独自性欲求・ユニークネス欲求の心理測定尺度』を開発した。

『競争的達成動機』と『自己充実的達成動機』の達成欲求の心理テスト:社会・関係と個人内部の動機づけの欲求

C.R.スナイダーとH.L.フロムキンが肯定的な独自性と関係するとした5つの因子は『独立心・反同調性・改革性・達成・自尊心』である。

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2016年01月08日

[スクールカウンセラー(SC)とは何か?4:スクールカウンセラーの任務と心理化・精神医療化の問題]

スクールカウンセラー(SC)とは何か?4:スクールカウンセラーの任務と心理化・精神医療化の問題

スクールカウンセラーは子供(児童生徒)が直面している心理的・社会的・対人的(集団的)な問題の解決を促進するために、『生徒本人・保護者・先生・関係者』と関わりながら仕事をすることになるが、その仕事には高度な対人コミュニケーションのスキルと臨床心理学をはじめとする心理学全般の高度な専門性が求められることになる。

スクールカウンセラー(SC)とは何か?3:スクールカウンセリングの研究委託事業といじめ問題

スクールカウンセラーには精神医療分野で働いている臨床心理士と同様に、心理アセスメント(心理査定)の実施と解釈に関する専門的な知識・技能・経験が必要になるが、その心理アセスメントはいわゆる『心理テスト(心理検査)』に限定されるものではない。児童生徒の問題と関係している人との『診断的・治療的な心理面接』を繰り返すことによって得られる情報・知識を総合的に解釈し、『問題状況・精神状態の見立て』ができる能力のことなのである。

クライエントの子供(児童生徒)の問題解決と心理的成長を促進していくことがスクールカウンセラーの第一の職務であり役割であるが、『児童生徒(本人)・他の生徒・保護者・先生・地域社会』と連携したり協力したりしながら問題解決及び心理的成長を進めていくことになる。

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[スクールカウンセラー(SC)とは何か?3:スクールカウンセリングの研究委託事業といじめ問題]

スクールカウンセラー(SC)とは何か?3:スクールカウンセリングの研究委託事業といじめ問題

平成7年に、スクールカウンセリングの研究委託事業が開始された時に重視されたポイントは以下のような事項であった。

スクールカウンセラー(SC)とは何か?2:スクールカウンセラーの資格と公認心理師の新設

1.いじめ・不登校・校内暴力など、児童生徒の問題行動の解決に貢献するために臨床心理系の専門家を活用する。

2.財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定する「臨床心理士」など児童生徒の臨床心理に関する高度な専門的知識・経験を有する者を、スクールカウンセラー(SC)とする。

3.(当時の)スクールカウンセラー事業の予算規模は1億円である。

4.各都道府県ごとに、小・中・高のいずれか一校を指定し、都道府県、市町村教育委員会に委託する。

5.原則として研究事業期間は2年間である。

6.勤務形態は非常勤で、週2回、1回4時間程度の勤務とする。各校にスクールカウンセラー1名を配置することを原則とする。

スクールカウンセリングの研究委託事業では特に『いじめ問題』が重視され、国立教育会館に『いじめ問題対策情報センター』が設置されて、以下のような活動が実施された。いじめ問題対策情報センターはいじめの発生数の減少が確認されたとして平成12年で閉鎖されているが、実際には『学校側の隠蔽体質・統計に上がってこないいじめの問題』があったと見られており、平成20年以降はいじめの発生報告件数は児童虐待と同様に増加傾向(隠蔽されにくい傾向)が出てきている。

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[スクールカウンセラー(SC)とは何か?2:スクールカウンセラーの資格と公認心理師の新設]

スクールカウンセラー(SC)とは何か?2:スクールカウンセラーの資格と公認心理師の新設

スクールカウンセラーになるために絶対に必要な業務独占資格というものはないが、現状では臨床心理学系の指定大学院修士課程が受験資格となっている『臨床心理士』の資格を保有するスクールカウンセラーが多くなっている。2015年に新設された国家資格の『公認心理師』は臨床心理師の専門分野・活動領域と重複するため、公認心理師の取得者にもスクールカウンセラーとして配置される人が出て来るだろう。

スクールカウンセラー(SC)とは何か?1:スクールカウンセリング事業の歴史と学校心理士

従来の臨床心理師と新設された公認心理師との違いは、『民間資格』である臨床心理師に対して公認心理師が『国家資格』であるということであるが、4年制の大卒で取得できる公認心理師に対して、臨床心理師のほうは資格取得までに臨床心理士指定大学院修了の約7年間が必要であるため、公認心理師のほうが資格取得の難易度が高いというわけではない。

国家資格の公認心理師は『名称独占資格』であり、民間資格において『心理士』の名称は使えるが『心理師』の名称は使うことはできない。

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[スクールカウンセラー(SC)とは何か?1:スクールカウンセリング事業の歴史と学校心理士]

スクールカウンセラー(SC)とは何か?1:スクールカウンセリング事業の歴史と学校心理士

日本における『スクールカウンセラー制度』の歴史は、平成6年(1994年)に旧文部省(現文部科学省)が学校教育で起こっていた『いじめ・不登校・自殺』などの問題に対応するために、スクールカウンセリングを研究委託事業として予算請求(概算要求)したことから始まった。

スクールカウンセリングの予算に基づいて平成7年(1995年)から、公立中学校をはじめとする全国の公立学校へのスクールカウンセラー配置が始まり、現在では公立の小学校・高等学校にもスクールカウンセラーが派遣されていることが多い。現在のスクールカウンセリング事業の予算は、国と地方自治体(都道府県)がそれぞれ半分ずつ負担することになっており、スクールカウンセラーの募集要項・必要資格は各自治体によって異なっている。

平成7年当初、『日本心理臨床学会(当時・河合隼雄理事長)・日本臨床心理士資格認定協会(当時・木田宏会頭,大塚義孝専務理事)・日本臨床心理士会(当時・河合隼雄会長,乾吉佑副会長)』の三団体が合同して、日本心理臨床学会の村山正治常任理事が代表を務めるワーキンググループが結成された。

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2015年10月06日

[D.スターンの“自己感の発達理論”と“4つの自己感”]

D.スターンの“自己感の発達理論”と“4つの自己感”

D.スターンが自己感の発達理論において、その存在を合理的・客観的に推測している『4つの自己感』というのは、以下のようなものである。

D.スターンの乳幼児研究と自己感の発達理論

1.新生自己感(the sense of an emergent self)……0歳〜2ヶ月までの乳児の自己感であり、中核自己感の形成途上にある段階である。『視覚・聴覚・触覚』で外界の物事や出来事をおぼろげに知覚しているが、それらの異なる知覚の間の関連性・統合性がまだ形成されておらず、視覚で捉えたものと聴覚で捉えたものが同じであるか否かの区別もできない。

2.中核自己感(the sense of a core self)……中核自己感は生後2〜6ヶ月で形成されてくる自己感であり、『自己の単一性+自意識の一貫性』があって自分と他者(外界)を区別する境界線を持った身体単位(個人単位)としての自己感である。幻想的一体感の状態にあって、はっきり区別できなかった自分と母親が『異なる意識・身体・情動・目的・歴史性を持つ別々の個体』であることに気づく段階でもある。

乳児は『分離‐個体化』の発達プロセスを経験することで、自分と母親が別個の存在であることを知るが、それと同時に自分が他者と共に経験したり感じたりできるという共生感についても学んでいくことになる。中核自己感では、マーガレット・マーラーが想定したような『分離‐個体化のプロセス(自分と他者の明確な境界線の確立)』だけではなく、『自己と他者の共感性・共同性』についても感じ取ることのできる感受性が備わっているのである。

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[D.スターンの乳幼児研究と自己感の発達理論]

D.スターンの乳幼児研究と自己感の発達理論

アメリカ生まれでスイスに渡った精神科医ダニエル・スターン(Daniel Stern, 1934-2012)は、乳幼児の精神発達や発達早期の母子関係の精神分析的研究で多くの功績を残した人物である。

発達早期の母親と乳幼児が、お互いの行動の背後にある感情・気分を読み取るという『情動調律(affect attunement)』について指摘し、母親と乳幼児が時間経過によって変化する『生気情動(vitality affect)』を交換しているとした。

現代の乳幼児研究では、言葉をまだ話せない乳児にも『感覚・知覚・認知(人の区別)』などの優れた能力と主観的体験が備わっていることが明らかとなり、それらはスイスの心理学者ジャン・ピアジェ(Jean Piaget, 1896-1980)の思考発達理論(認知発達理論)が想定していた『段階的な認知能力の発達』という前提を覆すものでもあった。

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2014年04月21日

[スティーブ・ド・シェイザー(Steve de Shazer)と解決志向アプローチ]

スティーブ・ド・シェイザー(Steve de Shazer)と解決志向アプローチ

心理療法家のスティーブ・ド・シェイザー(Steve de Shazer,1940)は、妻のインスー・キム・バーグ(I.K.Berg)と共に『解決志向アプローチ(解決構築型カウンセリング)』と呼ばれる短期療法(ブリーフセラピー)のカウンセリング技法を研究している人物である。アメリカのミルウォーキーにあるBFTC(Brief Family Therapy Center)を拠点としていることから、家族療法の学派においてはミルウォーキー派BFTCアプローチと呼ばれている。

解決志向アプローチ(解決構築型カウンセリング)というのは、問題の原因を分析するのではなく、どうすればその問題を解決できるのかということにフォーカス(焦点)を当てるカウンセリング技法のことであり、スティーブ・ド・シェイザーとインスー・キム・バーグの解決構築型カウンセリングは『ソリューション・フォーカスト・アプローチ(Solution Focused Approach)』と名付けられていて、これが邦訳されたものが解決志向アプローチである。

シェイザーらは家族療法において家族メンバーの問題を引き起こしている『悪循環』の連鎖を直接的に断ち切るのではなく、『悪循環の構造における例外の発見』『長所・利点への焦点づけ』を行うことで、家族問題の解決方法を能動的に構築することが有効だと考えた。

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2014年01月15日

[ドナルド・スニッグ(Donald Snygg)とA.W.コームズ(Arthur W.Combs)]

ドナルド・スニッグ(Donald Snygg)とA.W.コームズ(Arthur W.Combs)

アメリカの心理学者であるA.W.コームズ(Arthur W.Combs, 1912-1999)は、心理学の研究分野を『開放系心理学(open system psychologies)』『閉鎖系心理学(close system psychologies)』に分類して、自由度が高くて科学的な研究方法(数値・統計の根拠)のみに拘束されない開放系心理学の研究に関与した。

A.W.コームズは『探索的・発見的な研究法』の嚆矢と言える心理学者である。コームズの開放系心理学の『数値化による測定・統計的な検証』を好まない人間観は、カール・ロジャーズの来談者中心療法やジークムント・フロイトの精神分析療法、V.E.フランクルのロゴ・セラピー(実存療法)などとも、『人間的な成長・自己洞察の深化・生きる意味の発見』といった自然科学の研究方法と馴染みにくい要素の部分で関係性がある。

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[チャールズ・スピアマン(Charles Edward Spearman)]

チャールズ・スピアマン(Charles Edward Spearman)

イギリスの心理学者のチャールズ・スピアマン(Charles Edward Spearman,1863-1945)は、近代的な実験心理学の創設者であるヴィルヘルム・ヴント(Wilhelm Max Wundt, 1832-1920)の弟子にあたる人物で、心理学だけではなく哲学にも幅広い造詣を持っていた。またC.E.スピアマンは、心理学者としての顔だけではなく、軍人や技師としての経験豊かなキャリアも積んでいた異色の心理学者でもあった。

1897年からライプチヒ大学の心理学部で学び始め、世界で初めての心理学実験室を1879年に開設したW.ヴントに弟子入りして教えを受けるようになるが、スピアマンが学位取得した論文は『空間知覚に関する研究』であった。1907年からロンドン大学の心理学部で教鞭を取り、英国心理学会会長を務めたり、英国王室学士院の会員に選出されたりという名誉も獲得した。

スピアマンは実験心理学のW.ヴントと統計学・実験教育心理学の祖のフランシス・ゴールトンから薫陶を受けて、心理学の『知能研究』の分野に相関係数の概念を持ち込んだ。C.E.スピアマンは知能研究において『知能の構造論』を構想していたが、数理的な解析を施した『知能の二因子説(two-factor theory of intelligence)』を初めて提唱したという学術的な功績がある。知能の分野に『因子』という概念を初めて持ち込んだのもスピアマンである。

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2013年10月22日

[鈴木大拙(すずき・だいせつ):2]

鈴木大拙(すずき・だいせつ):2

洋の東西を超える仏教・禅の思想の普遍的な理念や実践法として、大拙は『霊性の自覚』『即非の論理(絶対無の境地)』を上げているが、禅を通した“悟り”は正に目に見えない普遍的原理・世界的真理である『霊性の自覚』として解釈し直された。

『臨済の基本思想』では臨済宗の何者にも執着することがないありのままの生を生きる“一無位真人”こそが霊性の自覚者であるとし、『浄土系思想論』では此岸に対する彼岸としての“極楽浄土(浄土信仰)”もまた霊性の自覚(絶対無の境地)という視点からその意味を捉え直すことができるとした。

1897年に釈宗演からの推薦を受けて渡米し、東洋思想を研究していたポール・ケーラスが経営する出版社オープン・コート社で、東洋思想に関係する書籍を出版しながら、『大乗起信論』『大乗仏教概論』といった仏教思想・禅宗の本を英文で書き残した。

1909年にアメリカから帰国した大拙は、円覚寺の正伝庵に住居を構えて、学習院大学で英語の講義を受け持ったが、この時に教え子の柳宗悦や松方三郎らと出会っている。1911年には、神智学を紹介してくれたベアトリス・レインを妻にしたが、ベアトリスは大拙よりもずっと早く1927年に亡くなってしまうことになる。1921年には、仏教研究のメッカとして知られる京都の大谷大学の教授となり、そこで『イースタン・ブッディスト(Eastern Buddhist)』という英語雑誌を発行している。

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[鈴木大拙(すずき・だいせつ):1]

鈴木大拙(すずき・だいせつ):1

鈴木大拙(すずきだいせつ,1870-1966)は日本の仏教学者・禅者で、禅宗や大乗仏教に関する多くの著作を英語で書き記し、西洋世界に禅(Zen)の理論・実践や仏教の世界観・理念を分かりやすく伝えたことで知られる。実際にアメリカに渡って、仏教・禅に興味を持っているアメリカ人を直接指導したこともある。

本名は鈴木貞太郎(ていたろう)といい、『大拙』という居士号は臨済宗の学師である釈宗演(しゃくそうえん)に与えられたものである。大拙の号は『大巧は拙なるに似たり(非常に巧いということは非常に拙いことと同じである)』という言葉に由来している。

石川県金沢市本多町で旧金沢藩の藩医の家柄に四男として生まれた鈴木貞太郎は、 第四高等中学校を退学してから英語教師をしていたが、東京に上京することを決めて、東京専門学校で更に語学力を磨いた。その後、東京帝国大学で学んでいる内に、仏教・禅の師匠筋に当たる鎌倉円覚寺の今北洪川(いまがわこうせん)と釈宗演と知り合って薫陶を受けることになる。“Zen”という禅宗のローマ字表記を初めて世界に広めたのも、鈴木大拙の学師に当たることになる釈宗演であった。

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ラベル:仏教 禅宗 人物
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2013年04月21日

[ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)4:スーパーの職業選択に関する価値観の分類]

ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)4:スーパーの職業選択に関する価値観の分類

ドナルド・E・スーパーのキャリア発達論では、個人は自分にとって重要な『価値観』を実現するために、つらくても自分の仕事をしてライフロールの役割を果たすと述べたが、個人が重要性・必要性を感じる価値観として以下の14種類の価値観が想定されていた。

自分の価値観を適切に把握し、その価値観の重要性のバランスを仕事に反映させていくことが、『確立期における職業選択の成功−失敗』を大きく左右することにもなる。自分の『価値観』を満たしてその実現を促進してくれるような職業・仕事・人間関係に出会えるか否かが、長期的に継続可能なキャリアを築けるかどうかに深く関わってくる。

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[ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)3:スーパーのキャリア発達の原則と8つのライフロール]

ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)3:スーパーのキャリア発達の原則と8つのライフロール

D.E.スーパーはキャリア発達や職業選択プロセスの基本原則として以下の3点を上げて、『労働者・市民(政治主体)・学習者・家庭人・余暇人』の5つの役割分担のパーソナリティ区分を提示した。

1.個人は多様な可能性を持っていて、自分の能力・適性・意欲に合った様々な職業を選択することができる。

2.職業的発達(キャリア発達)は、知能発達・情緒的発達・社会的発達と同様の個人の発達プロセスの一側面であり、段階的発達の一般的な法則に従っている。

3.キャリア発達プロセスは、職業活動を通して自己概念を実現させようとするものであり、漸進的・継続的・非可逆的なプロセスを示す。

D.E.スーパーはキャリア(career)『人生の各時期に果たすライフロール(役割)の組み合わせ』として定義し、職業選択(職業継続)と関係するキャリア発達とは、一生を通じて自分のライフロールの中で行う自己選択と意思決定の繰り返しであると仮定した。スーパーはこのライフロールの役割の組み合わせを図示(グラフ化)した概念を『虹』に例えて、『キャリアレインボー(career rainbow)』と呼んだ。代表的なライフロールには次の8種類があり、人はこれらの役割を職場、家庭、地域、学校などの必要性や関係性に応じて使い分けている。

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[ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)2:スーパーのライフステージ理論]

ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)2:スーパーのライフステージ理論

D.E.スーパーのキャリア発達理論では、キャリアを『長さ』『幅』で捉えており、キャリアの長さを説明する『ライフステージ(職業的な発達段階・発達課題)』とキャリアの幅を説明する『ライフロール(人生における役割)』の理論を考案した。

ドナルド・E・スーパーは、個人の職業選択プロセスを一般的な精神発達過程の一側面だと捉え、職業生活(キャリア生活)に関わるライフステージを『成長・探索・確立・維持・下降』の5段階に分類し、それぞれの発達段階に対応する『職業的な発達課題』があるとした。

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[ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)1:スーパーのキャリアと職業指導の定義]

ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)1:スーパーのキャリアと職業指導の定義

コロンビア大学の経営学者・キャリア研究者のドナルド・E・スーパー(Donald E.Super,1910-1994)は、エリ・ギンズバーグの職業選択理論やハヴィガーストの生涯発達理論の影響を受けて、独自の実践的価値のある『キャリア発達理論』を考案した。

ドナルド・E・スーパーのキャリア発達理論は、職業選択(キャリア構築)における『職業的な発達段階・発達課題』を明確に定義したものであり、キャリアカウンセリング(キャリアガイダンス)や進路相談(職業相談)、能力開発の分野に非常に大きな影響を与えた。

D.E.スーパーは個人のキャリア(career)を、『人々が生涯にわたって追求し、社会的に占めている地位・業務・職務の系列』であると定義して、キャリアを一時期の職業活動だけに限定しない人生の生き方や人間関係、社会的役割にまで拡張した。

キャリアカウンセリング(career counseling)も、学生・社会人の職業選択や進路選択のための相談業務として短絡的に理解されてしまうことが多いが、キャリアカウンセリングは本来的には『人生全体における自己理解の深化と適応能力の向上+職業や人間関係、社会参加を含む総合的な自己実現』を援助していくものであり、職業選択・進路相談の分野だけに限定されるものではない。

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2013年03月19日

[スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):4]

スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):4

教職員がスクールカウンセラーを兼務すると、『何でも気軽に相談できる心理専門家(相談内容がそれ以外の分野の評価基準にならない人物)』として機能することが難しく、倫理的な大原則として既存の教職員とスクールカウンセラーは異なる人物でなければならない。

そのため、文部科学省の任用規程でも、既存の教職員とスクールカウンセラーは異なる人物であること、スクールカウンセラーは学生・生徒の成績評価や内申書に一切関わらないことが、スクールカウンセラーの職業倫理規定として定められている。SCの職業倫理である『第三者性・外部性(独立性)』は、生徒・学生・保護者などの利用者からも、“教師とは異なる成績評価と関係しない第三者の専門家に気楽に相談しやすい”として評価されている。

スクールカウンセラーをはじめとする心理カウンセラー(心理臨床家)の職業倫理として、クライエントとカウンセリング以外の利害関係を一切持たないという『二重関係(多重関係)の回避』は重要なものである。『第三者性・外部性』ということもできる二重関係(多重関係)の回避によって、『カウンセリングの中立性・自由度(何でも話すことができるラポールのある関係性)』が保障されるのである。

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[スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):3]

スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):3

スクールカウンセラーの法的身分は、地方自治体・教育委員会から任用された『特別職』であるが、長期雇用(安定雇用)を前提とした常勤職ではないため、スクールカウンセラーの経済生活が安定しづらく(所得水準が教育歴の長い専門職としては低くなりがちで)、教員・生徒・保護者との人間関係が問題解決(心理的支援活動)の中途で断絶しやすくなるという問題も指摘される。

中学校を中心にしてスクールカウンセラーの配置される学校・地域は増えているが、非常勤任用であるスクールカウンセラー勤務形態は、『週1回・月2〜3回(週4〜12時間程度)』の合計が約90%を占めている。時給単価は約4000〜5000円と高いものの勤務時間総数が短いために、月給は10万円台に留まるSCが大半であり、複数の学校勤務や独立開業、執筆・講演などを兼業しないと生活が成り立ちにくい現状がある。

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[スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):2]

スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):2

教育機関やそこに通学する学生・生徒が関係した心理的な問題・災害に対して、『緊急支援チーム(CRT)』を構成することがあるが、その構成メンバーである精神科医や臨床心理士、精神保健福祉士、ケースワーカー、保健師、社会福祉士なども、広義のスクールカウンセラーとしての役割を果たしている。2011年3月11日の東日本大震災の被災地にも、緊急支援チーム(CRT)が派遣されて被災者の心理的苦悩や耐え難い悲しみ、強烈な先行きの不安のケアの任務に当たった。

今後は、大規模な災害や破壊的なテロリズム、人命が毀損される凶悪犯罪などに対しても、心理的なケアや対人関係的なヘルプが必要とされる場面は増えると推測される。学校関連領域においても『いじめ・不登校・校内暴力・学級崩壊(授業困難)・ひきこもり・精神疾患・自殺問題(自殺企図)・児童虐待(家庭問題)・進路の不安(就職の悩み)』などの問題で、ますますスクールカウンセリングの果たすべき役割・効果に期待が集まっている。

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[スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):1]

スクールカウンセリング(school counseling)・スクールカウンセラー(school counselor):1

学校(教育機関)において、生徒・学生の各種の心理的な悩みや人間関係のトラブル、学校の不適応問題の相談に対応するのが、スクールカウンセラー(school counselor)によるスクールカウンセリング(school counseling)である。スクールカウンセラーあるいはスクールカウンセリングの略称として『SC』が用いられている。

1995年に旧文部省主導でスクールカウンセリング事業が開始される前には、養護教諭・担任教諭・カウンセラーが健康相談・人生相談を兼ねて心理相談も実施する『保健カウンセリング(health counseling)』が行われていたが、近年は『第三者性・中立性(外部性)』を担保すべきとする職業倫理もあって、保健カウンセリングという用語が使われる機会も減っている。

スクールカウンセリング(学校カウンセリング)が対象としている学生・生徒の典型的な心理相談(悩み相談)としては、『授業(学業)にまつわる悩み・友人関係にまつわる悩み・いじめに関する悩み・不登校(学校不適応)に関する悩み・親子関係にまつわる悩み(虐待の早期発見)・先生との関係にまつわる悩み・進路や将来に対する不安・精神疾患に関する悩み(精神疾患の早期発見や精神医療との連携)』などがあり、基本的には生徒が相談したいと思っている事柄を何でも相談することができる。

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