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2012年07月05日

睡眠障害(sleep disorder)の症状・原因・治療:3

睡眠障害(sleep disorder)の症状・原因・治療:3

この項目は、[前回の記事]の続きの内容になっています。 レム睡眠(REM睡眠)の“REM”“Rapid Eye Movement(高速眼球運動)”の略であり、レム睡眠中は脳が活発に働いていてまぶたを閉じていてもその中で眼球がキョロキョロと動いて運動しているのである。レム睡眠は『脳の活動性‐筋肉の弛緩性』という特徴があるので、身体(筋肉)を休養させて脳を活動させている睡眠という風に言われることもある。レム睡眠時には『夢』を見やすく、脳内で日中にインプットされた情報の整理が行われていると考えられている。

ノンレム睡眠のほうは、レム睡眠ではない高速眼球運動が見られない睡眠であり、『脳の非活動性(休息)−筋肉の活動性』という特徴が見られる。ノンレム睡眠は脳を休息させて、筋肉が動いているといった睡眠である。平均的な睡眠は、“90分サイクル”でレム睡眠とノンレム睡眠を“4〜5回”ほど繰り返している。睡眠障害は前述したように身体疾患や精神疾患に伴って発症することが多いが、睡眠障害の原因として想定されるものには以下のようなものがある。

1.環境的要因……眠ろうとする時の環境の『騒音のうるささ・寒暖の気温・照明の明るさなど』によって睡眠が妨げられている。

2.心理的要因……心理的な悩みや人間関係の問題、職場・学校・家庭のストレスなどがあり、それに意識が集中して囚われることで眠れなくなる。

3.生理学的要因……生体ホルモン分泌のバランスが崩れたり時差ボケで時間感覚が狂ったり、交代制のシフト勤務で昼夜が逆転したりなどによって、生理学的に興奮して眠れなくなっている。

4.精神疾患の要因……うつ病や統合失調症、全般性不安障害、社交不安障害(対人恐怖症)などの精神疾患による不安感・抑うつ感・緊張感・焦燥感・イライラの症状で眠れなくなってしまう。

5.身体疾患(器質的障害)の要因……睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、アトピー性皮膚炎などの身体疾患の苦痛・不快な症状によって眠れなくなってしまう。

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睡眠障害(sleep disorder)の症状・原因・治療:2

睡眠障害(sleep disorder)の症状・原因・治療:2

この項目は、[前回の記事]の続きの内容になっています。 日本人の“約20〜30%”が何らかの睡眠に関する悩みや問題を抱えているとされているが、厚生労働省の試算では睡眠不足と眠気による『作業効率の低下・事故』が年間3兆3千億円もの経済的損失につながっているという。理想的な睡眠の状態というのは『夜にグッスリと眠ることができて、朝にスッキリと目覚めることができる』という状態に集約される。より具体的には、『疲れて眠ろうとすれば無理なくある程度の時間で眠ることができる状態』である。

寝つきが良くて熟睡することができ、途中で目が覚めずに朝までグッスリと気持ちよく眠れるということである。平均的な睡眠時間の長さは“6〜8時間程度”とされているが、それはあくまで平均であって人によっては4〜5時間程度の睡眠で平気という人もいれば、3時間以下の短い睡眠時間でも大丈夫という特殊な“ショートスリーパー”もいる。

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睡眠障害(sleep disorder)の症状・原因・治療:1

睡眠障害(sleep disorder)の症状・原因・治療:1

“睡眠障害(sleep disorder)”は最も発症リスクの高い精神症状の一つであり、うつ病(気分障害)や統合失調症、全般性不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、ストレス反応などさまざまな精神疾患に付随して現れる症状でもある。精神疾患だけではなく、皮膚疾患の痒みや身体の外傷・化膿の痛み、むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)の不快感などによって睡眠障害が誘発されてしまう事もある。睡眠障害はかつては『眠れない・寝付けない』という主訴から“不眠症(insomnia)”と呼ばれていたが、現在では精神医学の症状概念としては不眠症のほうは余り用いられていない。

睡眠障害(sleep disorder)とは『入眠・熟眠・睡眠・覚醒』に何らかの障害や異常がある状態であり、特に精神医学領域では外傷・脳損傷・感染(炎症)などの『器質的原因』がないのに快適に眠れない状態を指して睡眠障害と呼ぶことが多い。睡眠障害とは単純に眠れないだけの状態を指すのではなく、脳・身体の器質的原因がないのに『眠りたくても眠れないという状態』のことを指している。

何か特定可能な原因があって眠れないとか自分が徹夜しようと思って眠らないとかいうのは、睡眠障害の定義には当てはまらず、睡眠障害というのは『眠りたくても眠れないという主観的な苦痛・不快・体調の悪さ』の要因が大きく関係しているのである。

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2008年11月22日

[スピアマンの順位相関(rank order correlation)]

スピアマンの順位相関(rank order correlation)

『数値としてのデータ(観測値)』ではなく『順位のデータ(1位,2位……)』を元にした変数間(サンプル間)の相関関係のことを『順位相関(rank order correlation)』という。順位相関の程度を示す指標を『順位相関係数』というが、順位相関係数(ρ・読みはロー)はイギリスの心理学者チャールズ・スピアマン(1863-1945)によってその概念と計算法が提起されたものである。

統計学において一般的に『相関係数(correlation coefficient)』と呼ばれているのは『ピアソンの積率相関係数』であるが、ピアソンの相関係数はパラメトリック法によって求められる。パラメトリック法というのは、サンプルの正規分布のモデルを前提にしているという意味であり、ピアソンの相関係数(r)は「-1」から「1」の間の実数値をとる。相関係数が「1」に近いときは2つの確率変数には『正の相関(片方が増加すれば他方も増加する)』があるということになるが、「-1」に近ければ『負の相関(片方が増加すれば他方は減少する)』があるということになり、「0」に近いということは相関関係が乏しいということを意味する。

ラベル:統計学
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2008年11月11日

[「産業革命・情報革命が生み出した変化」と「社会生活・ワークスタイルの急速なスピード化」:2]

「産業革命・情報革命が生み出した変化」と「社会生活・ワークスタイルの急速なスピード化」:2

「前回の記事」では、『移動手段・交通機関のスピード化』を中心にして書いてきたが、社会生活のスピード化に比類なき影響を与えた技術革新(イノベーション)として『マスメディア・マスコミュニケーションの発達』『インターネット・情報技術(IT)の普及』を忘れることはできない。

機関車・鉄道・自動車・飛行機・ロケットといった物理的な交通手段の発達は『移動・仕事のスピード化』を促したが、テレビ・ラジオをはじめとするマスメディアの発達は『受動的・一方向的な情報伝達のスピード化』を可能にし、世界中で次々に起こる出来事や経済指標(株価・為替)をニュース速報として即座に知ることが可能になった。

1995年以降から現在に至るまで、パソコン・携帯電話(スマートフォン)・PDAを利用してアクセスする『インターネット・電子メール』が急速に人々の間で普及している。IT(情報技術)とインターネットが生み出す情報革命によって、『双方向の通信とコミュニケーション・情報知識の検索と公開・電子商取引や証券市場(株式など)の取引』は急速に高速化しており、ビジネスパーソンは休む暇もなく必要な情報の取捨選択をして、日々の仕事を効率的にこなすようになっている。

その高速な情報伝達を光ファイバーやADSLといった常時接続の高速回線が支えるようになっている。ウェブ(WWW)とリアルの環境が相互に作用する現代社会に流れる時間はますます高速化し、社会生活のスピード感は上がり続けているが、人々はあまりにスピード化した現代のライフスタイルに精神的ストレスを感じ、時間的ゆとりの少なさを嘆くようにもなっている。

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[「産業革命・情報革命が生み出した変化」と「社会生活・ワークスタイルの急速なスピード化」:1]

「産業革命・情報革命が生み出した変化」と「社会生活・ワークスタイルの急速なスピード化」:1

18世紀のイギリスで起こった産業革命は、産業社会の経済力と生産力を飛躍的に増大させただけでなく、人間社会に二つの根本的な変化を生み出した。重化学工業・工場労働・金融資本・学校教育の発達による『大量生産−大量消費−大量廃棄の資本主義経済』『社会生活の急速なスピード化』である。

精神分析学のS.フロイトと理論的に対立したことで知られるフランスの心理学者ピエール・ジャネは、『時間の観念』は社会的な行為と慣習によって生まれると主張した。『時間の観念』と同じく『スピードの感覚』も社会的な環境・技術・ライフスタイルの影響を受けているが、産業革命によって移動手段と生産過程(作業工程)が高速化することによって一日の時間は短く感じられるようになり、社会全体のスピード感が格段に速くなることになった。

人間社会に流れる時間感覚とスピード実感は『交通機関の速度・人々の労働形態・通信連絡手段の速度』に比例しており、産業革命でスティーブンソンが『馬・馬車』に代わる『蒸気機関車』を発明したことで、産業社会を流れる時間は速くなった。

鉄道・蒸気機関車という公共交通機関がそれまでの人間社会のライフスタイルと労働形態を一変させ、短時間で大量の人・モノを輸送することが可能になった結果、私たちの『一日の時間』は心理的に圧縮され『生活のスピード感』が増加していった。20世紀アメリカの自動車産業の隆盛が生んだ『モータリゼーション(自動車社会の推進)』によって、『自動車(マイカー)』が普及し始めると、更に私たちの日常生活のスピード感が加速していったのである。

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[ヨシフ・スターリンのスターリニズムとソビエト連邦:2]

ヨシフ・スターリンのスターリニズムとソビエト連邦:2

『スターリンのスターリニズムとソビエト連邦:1』の続きになります。人民の支持を集めていたレニングラードの政治局員セルゲイ・キーロフをはじめフジノヴィエフ、カーメネフ、ラデック、ブハーリン、ピャタコフといったロシア革命初期からのソ連共産党幹部も、スターリンの実施した『見せしめ裁判(公開裁判)』によって不当な自白を迫られて粛清されてしまう。ソ連共産党の書記長ヨシフ・スターリンの思想と実践に基づく『スターリニズム』の名称は、反スターリン派のトロツキーとトロツキズム(ボリシェビキ・プロレタリアートの世界同時革命思想)の支持者が規定したものである。

スターリンはトロツキスト(トロツキーの思想の支持者)をソ連崩壊を計画する『反革命分子』として次々に粛清したが、1934年〜1938年にかけてはソ連全域において反スターリン派を弾圧・虐殺・収監する『大粛清』が断行されスターリン独裁体制が強化された。大粛清は『人民の相互監視と密告・秘密警察による統制』によって進められ推計で約700万人の犠牲者が出たとされる。ソ連のスターリンが反革命分子を大量に処罰した『大粛清』は、中国の毛沢東が行った『大躍進・文化大革命』やカンボジアのポル=ポトが行った『原始共産制の弾圧政策』と並んで、マルクス主義・共産主義に基づく独裁政治体制の悲劇と見なされている。

『共産主義思想(マルキシズム)』は、資本家の搾取を否定する『プロレタリアート独裁(階級闘争に勝利した労働者階級の独裁)』『支配者階級/富裕階層のいない人民の自由・平等』を理論的前提においている。しかし、ソ連・中国・カンボジア・北朝鮮などをはじめとする実際の共産主義国家(社会主義国家)では、共産党の一党独裁や政治指導者(総書記・書記長)の個人崇拝、官僚指導体制の強化(官僚機構の汚職・腐敗)という弊害が際立っていたのである。

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[ヨシフ・スターリンのスターリニズムとソビエト連邦:1]

ヨシフ・スターリンのスターリニズムとソビエト連邦:1

ヨシフ・スターリン(1879-1953)は1991年に解体したソビエト連邦(ソ連)の独裁者であり、共産主義イデオロギーによる体制強化と計画経済による産業振興を成し遂げた人物である。スターリンの本名はヨシフ・ヴィサリオノヴィチ・ジュガシヴィリであるが、1913年から終生の筆名となる『スターリン(鋼鉄の人)』を名乗り始めることになる。

スターリンは旧ソ連の発展・拡張の礎石を確立したソ連共産党を代表する専制的な独裁者であるが、その一方で、ソ連共産党や自身の思想・方針・政策に反対する勢力や知識人を徹底的に弾圧・粛清して統制した恐怖政治の実現者でもあった。スターリンの強権的・統制的な政治手法は『ナショナリズム(民族主義)による全体主義』と並ぶ『コミュニズム(共産主義)による全体主義』であり、右翼も左翼も極端なイデオロギーを実際の政治体制に適用すると『国民の精神的自由・経済的自由』を抑圧する危険なファシズムに接近する。

ナショナリズムは国民に『民族国家(伝統文化・国家主義)への忠誠・奉仕』を求めて国民の自由を規制することがあるが、コミュニズムは人民に『共産主義(マルキシズム・共産党指導者層)への忠誠・奉仕』を求めて国民の自由を統制するリスクが極めて高い。民族主義の右翼・共産主義の左翼という紋切り型の分類は、現代社会では通用しなくなってきているが、これらは『個人の権利・利害』以外の『集団的イデオロギー・所属集団への忠誠心』を優先しようとする思想として権威主義的な類似性(自己の生命や行動を帰属集団の基本原理に捧げさせる類似性)を持っている。

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2008年07月21日

[スーパービジョン(supervision)とスーパーバイザー(supervisor)]

スーパービジョン(supervision)とスーパーバイザー(supervisor)

スーパービジョン(supervision)とは、心理臨床家(カウンセラー・セラピスト)の能力・資質・経験を高めるために実施される実践的な教育訓練方法(研修機会)のことである。スーパービジョンは通常面談方式で行われるので、『カウンセラーが定期的に受けるカウンセリング』といった理解がされることもあるが、正確には『カウンセラーが定期的に受ける面接方式の教育訓練』のことを意味する。カウンセラー(分析家)が自己理解や性格分析のために受けるカウンセリングは、『スーパービジョン(supervision)』ではなく精神分析療法における『教育分析(educational analysis)』のカテゴリーに該当する。

スーパービジョンでは、客観的なカウンセリングのプロセスやクライエントに対する態度・発言についての指導・助言が行われ、精神分析療法の教育分析のように『カウンセラーの心理的問題・内面的葛藤・転移の現象』が直接的に取り扱われることは少ない。スーパービジョンは心理臨床家の資質・実力の向上を目的とする『定期的な教育訓練』のことであり、客観的なアセスメントスキルの習熟や治療的面接(カウンセリング技法)の熟練に重点が置かれているので、教育分析のように『カウンセラー自身の主観的心理』がテーマになることは殆どない。

スーパービジョンの実施形態や指導内容は『カウンセラーの経験・能力・技術』によって変わってくるが、一般的に行われているスーパービジョンでは、カウンセラーが請け負っているケース(事例・症例)の問題点や改善点についてアサーティブに話し合う形式が多く、スーパービジョンには実践的な事例研究としての要素が含まれている。

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[カール・ロジャーズの来談者中心療法におけるストランズ(strands)]

カール・ロジャーズの来談者中心療法におけるストランズ(strands)

支持的・共感的な特徴を持つカウンセリング技法の創始者であるカール・ロジャーズ(C.R.Rogers, 1902-1987)は、自己理論(実現傾向)や有機体理論を元にして来談者中心療法(クライエント中心療法)の体系を整えていった。カール・ロジャーズは、人間は本性的(生来的)に『成長・健康・回復・適応』といったポジティブな方向に向かう実現傾向を持っていると考え、カウンセリングの目的はこの実現傾向を促進して自己成長を達成することにあるとした。潜在的な可能性を発揮する『自己成長』がカウンセリング体験で実現できれば、他者に依存しない『自律的な問題解決』を行えるようになる。

学校・職場・家庭における不適応問題を抱えているクライエントの場合には、実現傾向を促進することで『主体的な環境適応』を進めていくことになるが、来談者中心療法の効果を十分に発揮するためには『自己一致(self-congruence)』が重要になってくる。

自己一致(self-congruence)とは、自分はこのような人間であるという『自己概念(self-concept)』と実際の自分はこのような経験をしているという『有機体的経験(実際の体験)』とが一致することである。自分で自分の有機的経験を受容していく『自己一致』が達成できれば、自己概念に対する違和感や抵抗感が無くなって日常生活や対人関係を意欲的に楽しめるようになる。

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[交流分析のストローク(stroke)とカウンセラーの『3つのP』]

交流分析のストローク(stroke)とカウンセラーの『3つのP』

エリック・バーン(1910-1970)が創始した交流分析『精神分析の簡易版』と呼ばれることもあるが、交流分析では個人間のコミュニケーションと相互作用の分析によって対人関係の改善を図ろうとする。『P(親)・A(大人)・C(子ども)の自我状態』を用いたコミュニケーション(相互作用)の分析のことをエゴグラムと呼び、交流分析ではエゴグラムの作成と分析によってクライエントの人格構造(性格特徴)やコミュニケーション形態の理解を深めていく。相手に言語的・非言語的メッセージを送る場合に、P・A・Cのどの自我状態が優勢(劣勢)であるのかによって、相手の心理や行動に与える影響の大きさが変わってくるので、P・A・Cの自我状態をTPOや相手の心理状態に合わせて使い分けることが大切である。

交流分析では他者と情緒的な交流をする時に、他者との間で『ストローク(stroke)』のやり取りをすると考えるが、ストロークとは『相手の存在を認知する感情的刺激』のことである。相手がそこにいることを認める存在認知の感情的刺激のことをストロークといい、人間はストロークによって自己の存在意義や相手との関係性、社会的な位置づけを自己認識することができる。ストロークは人間の生存維持に不可欠なものであって、乳幼児期に母親(養親)のポジティブなストロークが欠如すると、感情鈍磨や活動性(刺激反応性)の低下、言語発達の遅れなどホスピタリズムの問題が起こってくることがある。

ストロークには『言語的ストローク(言葉・会話)・非言語的ストローク(表情・態度)・身体的ストローク(身体接触・愛撫)』の種別があり、相手の存在を肯定する『ポジティブなストローク』と相手の存在を否定する『ネガティブなストローク』とがある。乳児期の発達課題である『基本的信頼感』と幼児期の発達課題である『自律性・積極性』は、無条件のポジティブなストロークを与えられることによって達成することができる。

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2008年07月17日

[交流分析のミニ脚本(miniscript)とストッパー(stopper)]

交流分析のミニ脚本(miniscript)とストッパー(stopper)

『交流分析の人生脚本』の続きになるが、心理学者のテイビー・ケーラー(Taibi Kahler)ヘッジス・ケーパー(Hedges Caper)は、長期的スパンの『人生脚本』に対して短期的スパンの『ミニ脚本(mini script)』の概念を提起した。ミニ脚本とは人生脚本の下位概念であり、『極めて短い時間に起こる行動パターン(行動の特徴的な傾向)』のことである。言い換えれば、『マクロな人生脚本』は『ミクロなミニ脚本』の積み重ねによって実現されるのであり、人生脚本の計画的なあらすじ・物語はミニ脚本の行動によって強化されていると考えることができる。

ミニ脚本には『ドライバー(driver)・ストッパー(stopper)・ブレーマー(blamer)・ディスペア(dispair)』という4つの基本概念(拮抗禁止令)があり、ミニ脚本の短期的なあらすじは必ず高い目標水準の達成を要求する『ドライバー(駆り立てるもの)』からスタートする。ドライバーが発する拮抗禁止令(命令)には、『完全であれ・急げ・もっと努力せよ・他人を喜ばせろ・もっと強くなれ』の5つがあり、小さなミスや些細な失敗も許さないドライバーの完全主義欲求によって人間は精神的に追い込まれやすくなる。ドライバーの高度な要求に何とか応えられている間は、『I'm OK』の自己肯定感や仕事の充実感を得ることができるが、ドライバーの要求に自分の能力や努力が追いつかなくなると挫折感や気分の落ち込み(抑うつ感)を感じやすくなってしまう。

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[ゲシュタルト心理学の『図と地(figure and ground)』]

ゲシュタルト心理学の『図と地(figure and ground)』

ゲシュタルト心理学では『部分的要素』に還元できない『全体性(形態)』を重視するが、私たちが情景・状況の全体を知覚する時には『図と地(figure and ground)』の分離が生まれる。全体的な情景・場面の中には、知覚(認識)の焦点が合わされる『図(figure)』と知覚の焦点から外れて背景になる『地(ground)』とがあり、通常は『図の違い・図と地の境界線』によって事物や状況の差異を知覚しているのである。そこにどんな『図(事物)』があるのかを明確に知覚するためには、『図』と『背景(地)』の境界線を無意識的に知覚する必要があり、現実的な状況では『地(境界線)』のない『図』というのは存在しない。

『図と地』の境界線が極端に曖昧になると、『多義図形(図地反転図形)の知覚』『錯視(さくし)』などの現象が現れてくることになるが、『図と地』の概念を多義図形(図地反転図形)を用いて最も典型的に表現したのが『ルビンの壷』である。ルビンの壷は、どこに焦点づけするのかによって『壷』の図にも見えるし、『向かい合っている二人の横顔』のようにも見えるという図地反転図形である。中学校や高校の美術の教科書にも『図地反転図形』は多く紹介されているが、『ルビンの壷』以外にも『少女と老婆』『ウサギとカモ』などが有名な図地反転図形として掲載されることが多い。いずれにしても、図と地の見方が二つ以上存在すれば、多義的な図地反転図形を描いて知覚機能を欺くことができる。図と地の境界線が曖昧だったり配色や形態を工夫したりすると『錯視(視覚の誤認)』が起こってくることもある。

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2008年07月09日

[交流分析概念のスタンプ(stamp)]

交流分析概念のスタンプ(stamp)

交流分析(TA:Transactional Analysis)では、抑圧した感情・欲求によって特定の行動が引き起こされる行動化を『スタンプ(stamp)』という概念で説明する。スーパーマーケットやドラッグストアでスタンプカードが貰えることがある。このスタンプカードに支払金額に応じたスタンプを押してもらうと、『商品の割引』『景品との交換(くじ引きのプレゼント)』といった特典を受けることができる。交流分析の理論と技法を開発したエリック・バーン(1910-1970)は、人間の精神構造(内面心理)の中にもスタンプカードのようなものがあり、そこにスタンプとしての感情や気分を貯め込んでいくと何かの行動・発言が起こると考えた。

私たちは、日常生活の中で他者とコミュニケーションをしたり社会的な職業活動(仕事)をしたりしているが、そういった他者との係わり合いを通して色々な感情や欲求が発生してくる。他人から肯定されたり共感されたりすれば『喜びの感情・幸福感・連帯感』が起こり、他人から否定されたり攻撃されたりすれば『怒りの感情・不満感・劣等感』などが起こってくるだろう。自分の大切な相手と別れたり喧嘩したりすることがあれば、『悲哀の感情・不安感・絶望感』を感じるようになるかもしれない。こういった他者とのコミュニケーションや相互作用によって生じてくる『感情的な刺激・相手の存在の承認(認知)』のことを、交流分析用語で『ストローク(stroke)』と呼ぶ。

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[スティグマ(stigma)の神聖性と俗悪性]

スティグマ(stigma)の神聖性と俗悪性

スティグマ(stigma)『烙印(らくいん)』と訳されるが、社会的にマイナスの属性の兆候や押し付けのことである。スティグマの由来はギリシア語にあるとされるが、キリスト教的な聖痕の奇跡の現れとして解釈されることもある。キリスト教の創始者イエス・キリストがゴルゴタの丘で磔刑となった時についた手掌部の傷のことをスティグマと呼び、この場合には『聖痕(せいこん)』と訳される。聖痕(スティグマ)は敬虔な信仰心や宗教上の偉大な功績を持つ聖人の手に現れることもあり、聖痕としてのスティグマは『神聖性・奇跡性』としてプラスの属性を帯びていることが少なくない。

スティグマは『神聖性(ポジティブなイメージ)』『俗悪性(ネガティブなイメージ)』の双方を併せ持つ両義的な概念であり、古代社会では奴隷や犯罪者の証(刻印)として押された『烙印』のことも意味した。一般的に、スティグマ(烙印)とは社会的マイノリティに押し付けられる『マイナスイメージの烙印・ネガティブな偏見』であり、スティグマの否定的な属性を押し付けられた個人・集団は、謂われ無き不等な差別を受ける危険性がある。スティグマは一般人と被差別者を区別する指標としての役割を果たし、『身体上の障害・遺伝的な奇形・伝染性の疾患(感染症)・精神的な問題・人格上の欠点・民族的な対立・宗教的な怨恨・人種差別・職業差別(無職者やホームレスへの偏見)』などさまざまな問題の原因を生み出している。

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2008年07月06日

[問題・病気・障害のスクリーニング(screening)]

問題・病気・障害のスクリーニング(screening)

スクリーニング(screening)とは、『複数の対象群』の中から特定の条件や特徴を備えた対象をできるだけ的確に選出することである。スクリーニングの原義は生物学における『微生物の選別・遺伝子情報(ゲノム)の探索・タンパク質の選別』などにあるが、最近では医療分野や心理臨床分野(心理アセスメント分野)の疾患・障害の選別でもよく用いられる概念である。

スクリーニング(screening)は簡単に言えば『ふるい分けとしての選別』のことであり、フィルタリング(filtering)に近い概念であるが、スクリーニングには『特定の条件・特徴・基準に近い対象』を選び出すという意味が強く含意されている。それに対して、フィルタリングには『必要なものと不要なものの分離・おおざっぱな不純物の排除』という意味が強く含意されているが、フィルタリングという用語は、生物学・医療・心理臨床の分野でスクリーニングの意味で用いられることはない。

心理臨床分野の心理アセスメントでは、『正常−異常・健康−疾患・適応−不適応』を大まかに選り分けるためにスクリーニングが行われるが、その選別基準は統計学的な根拠に基づくもので社会的価値観に準拠したものである。

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[スキンシップ療法(body-touch therapy)と乳幼児の精神発達]

スキンシップ療法(body-touch therapy)と乳幼児の精神発達

スキンシップ(skinship)という言葉は日本の造語であり、英語ではボディタッチ(body-touch)と言う。スキンシップは『肌と肌の接触を伴うふれあい』のことであり、一般的には母親と子ども(乳幼児)の親密なふれあいのことを指している。

スキンシップとは人肌の温もりや他者(母親)の優しさを感じられるような触れ合いのことであり、乳幼児の愛着形成や心身発達の促進に大きな影響を与えると考えられている。ジョン・ボウルビィが提起したアタッチメント理論(愛着理論)では、乳児は母親(養育者)と情緒的な強い結びつきである『愛着(attachment)』を形成して不安感や孤独感を和らげるとされる。

発達早期の母子関係における『スキンシップ』は、不安感の軽減や愛情のこもった世話の獲得に役立つ『愛着(アタッチメント)』の形成につながっていくが、健全な愛着の形成によって乳幼児は『他者への基本的信頼感・安心感』を獲得していくのである。スキンシップを何歳まですべきなのかについては定説はないが、小学校に入学する頃から段階的に親とのスキンシップの頻度は減っていき、小学校高学年から中学生くらいの年代になると『同年代の異性』へと関心が逸れていくので親とのスキンシップは殆ど見られなくなる。かつて言われていた母親への甘えや依存心が強くなるという『スキンシップの弊害』については余り意識する必要はなく、児童期くらいまでの子どもが不安感・恐怖感・孤独感を感じているような状態(子どもがスキンシップを嫌がらないという前提)であれば積極的にスキンシップを取って良い。

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[B.F.スキナーのスキナー箱(Skinner box)]

B.F.スキナーのスキナー箱(Skinner box)

徹底的行動主義(急進的行動主義)を標榜したバラス・フレデリック・スキナー(Burrhus Frederick Skinner, 1904-1990)が、オペラント条件づけ(道具的条件づけ)の行動原理を実証するために用いた実験装置が『スキナー箱(Skinner box)』である。オペラント条件づけ(道具的条件づけ)は『飴と鞭の論理』によって、人間の行動生起の頻度を調節できるとする行動原理である。『報酬(正の強化子)』を与えれば行動の頻度が増加し、『罰(負の強化子)』を与えれば行動の頻度が減少するが、このオペラント条件づけはネズミや犬のような動物から人間まで通用する行動原則とされている。

スキナー箱とは、動物(ネズミ)の探索行動・摂食行動を観察するために作られた箱であり、周囲は透明のスクリーンになっていて外部からスキナー箱の中の動物の動きを観察することができる。B.F.スキナーは、スキナー箱の中に『餌(正の強化子)』を入れてネズミの探索行動(試行錯誤)を観察したのだが、スキナー箱には餌を取るための仕掛け(レバー式の餌入れ)が施されていた。

レバーを何回押せば餌を食べることが出来るのかの『独立変数(環境条件)』を変更することで、ネズミの行動形成の頻度や学習の成立について実証的な理解を得ることが出来た。ネズミは生存に不可欠な『餌』を摂取するという外部的動機づけ(報酬)があれば、ある程度高度な学習を成し遂げることができ、レバーを複数回押して餌を手に入れることが出来るのである。

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2008年06月28日

[髄膜炎(Meningitis)]

髄膜炎(Meningitis)

髄膜とは、中枢神経(脳・脊髄)を保護している膜の総称であり、脳は外側から『硬膜・クモ膜・軟膜』という三層の髄膜によって包まれている。硬膜は脳の外部を取り巻く最も強靭な膜であり、硬膜にある『静脈洞』の構造は脳脊髄液の循環機能に関与している。クモ膜は硬膜の内側にある多数の血管が通っている膜であり、『クモ膜下腔』という空間構造を持つ。脳脊髄液の分泌吸収に関わるクモ膜の血管が破れると『クモ膜下出血』を発症して、出血が脳の神経細胞を損傷すると各種の神経障害や言語障害が起こることもある。

軟膜は脳器官に接している柔らかい髄膜であり、髄膜炎という場合には急性の軟膜の炎症のことを指示することが多い。髄膜炎(Meningitis)とは、硬膜・クモ膜・軟膜の炎症の総称であるが、狭義の髄膜炎は脳に最も近くてやわらかい組織構造を持つ軟膜の炎症のことを指す。髄膜炎とは髄膜に細菌・ウイルス・がん性細胞が感染した炎症のことであり、他の年代と比べると乳幼児の発症率が高くなっている。髄膜炎は脳膜炎や脳脊髄膜炎という呼び方が為されることもある。

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