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2015年01月24日

[精神医学の治療関係論と『固着‐退行』『転移』の自我防衛機制の働き]

精神医学の治療関係論と『固着‐退行』『転移』の自我防衛機制の働き

精神医療の対人関係論における治療関係というものも、『原始的・退行的・情緒的な要素を持つ非言語的コミュニケーション』が起こりやすい関係であり、精神分析の用語でいう『転移(transference)・逆転移(counter-transference)』に対する専門的な対応が求められる場面があるのである。

精神医学の治療関係論・対人関係論の視点2:M.マーラーやM.クラインの早期発達論との相関

精神医学の治療関係論・対人関係論の視点3:乳幼児期のコミュニケーション形態の影響

精神医療や心理療法(カウンセリング)の治療関係は、『客観的・外部的(社会的)な人間関係』に留まるものではなく、『主観的・内面的(心理的)な人間関係やその認知・感情の作用』をも広範に含んだものになりやすい。

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[精神医学の治療関係論・対人関係論の視点3:乳幼児期のコミュニケーション形態の影響]

精神医学の治療関係論・対人関係論の視点3:乳幼児期のコミュニケーション形態の影響

乳幼児期のコミュニケーションは『幻想的な無意識+原始的な本能+非言語的コミュニケーション(泣き叫びや動作・表情・目線)』によって動機づけられているが、早期発達理論が示す精神発達の段階は『言語的・意識的・合理的なコミュニケーションに対する準備段階』として機能しているのである。

精神医学の治療関係論・対人関係論の視点2:M.マーラーやM.クラインの早期発達論との相関

乳幼児期の子供は、『言語・論理』よりも『表情・目線・泣き叫び・ジェスチュア・スキンシップ』などの情緒的な非言語的コミュニケーションをメインにして自分の要求や意思を親に伝えようとする。

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[精神医学の治療関係論・対人関係論の視点2:M.マーラーやM.クラインの早期発達論との相関]

精神医学の治療関係論・対人関係論の視点2:M.マーラーやM.クラインの早期発達論との相関

精神医学の治療関係論は、S.フロイトの精神分析の理論的影響を受けているため、『発達早期の親子関係(愛着形成の母子関係)』を重視することが多い。

精神医学の治療関係論・対人関係論の視点:1

精神分析の諸学派の理論には、マーガレット・マーラーの『分離‐個体化理論』やメラニー・クラインの『妄想‐分裂態勢→抑うつ態勢の早期発達論』など、女性分析家が自らの臨床経験を踏まえて考案した乳幼児期の精神発達理論がある。

マーガレット・マーラーは『母子分離不安・幼児の外界探索行動(母親から離れる能力)』を軸にして、発達早期の母子関係が『精神的な安全基地』として機能することで、人間の性格構造における『基本的信頼感・自律性(自分で自分を支える心的能力)』が培われると考えた。

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2015年01月22日

[精神医学の治療関係論・対人関係論の視点:1]

精神医学の治療関係論・対人関係論の視点:1

精神医学(精神医療)における臨床行為は、精神科医・医療関係者と患者との『人間関係』を抜きにして考えることはできない。患者の精神疾患・精神障害の回復や改善を目的とした医療関係者との役割分担的・共感的な人間関係のことを『治療関係』という概念で表現することがあるが、治療関係の歴史的な起源はS.フロイトの精神分析における『分析医‐クライエントの人間関係』にある。

治療関係の基盤にある社会的・法律的な役割分担の関係のことを特に『医療関係』と呼ぶことがあるが、この医療関係は医療訴訟・医療制度改革・医療経済問題などにおけるキータームとして使用されることが多い。精神医療において『治療関係』という場合には、以下の3つの関係性が包括されている。

1.医療関係者(医療スタッフ・コメディカルスタッフ)と患者との関係

2.医療関係者(医療スタッフ・コメディカルスタッフ)同士の関係

3.医療関係者・患者との治療関係に更に加わる家族・関係者との関係

精神分析における『(無意識を)分析する者』『(無意識を)分析される者』との心理的・共感的な関係性が治療関係の原点にはある。治療関係の理論的・臨床的な基礎や視点としては『対人関係論』というものがある。

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2015年01月08日

[精神科医と臨床心理士(臨床心理学者)の職業領域の区分と相互的な連携]

精神科医と臨床心理士(臨床心理学者)の職業領域の区分と相互的な連携

精神科医療は臨床心理士・臨床心理学者の担う職業領域の一つであり、臨床心理士は医師以外の医療関係者である“コ・メディカルスタッフ”の一員として扱われることが多い。精神科医と臨床心理士の役割分担は各病院(各クリニック)ごとに様々な形態があるが、最も典型的な役割分担のスタイルとして『A-Tスプリット(Administrative Doctor-Therapist Split)』と呼ばれるものがある。

J.S.コーチンの精神保健的介入モデル:収容管理的な臨床と心理治療的な臨床

A-Tスプリットの役割分担とは、精神科医が薬物療法と病棟の指示・管理を担当して、臨床心理士が心理療法と心理テスト(心理アセスメント)を担当するというものである。現在の精神科医療では、役割分担の協働と専門性の相互尊重に基づく『リエゾン精神医学』が主流になりつつあるが、精神科医と臨床心理士も相互に役割分担しながら患者のために協力することが求められている。

更に、お互いの専門的な職業領域や職業的な自己アイデンティティの確立によって、精神科医と臨床心理士の間には適度な境界線(お互いがそれぞれの専門的な能力を発揮して責任を負うべき領域の境界線)が引かれていたほうが良いという考え方もある。

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2014年02月21日

[シャーロット・セルバー(Charlotte Selver)]

シャーロット・セルバー(Charlotte Selver)

シャーロット・セルバー(Charlotte Selver,1901-2003)は、日本では『センサリー・アウェアネス(sensory awareness)』の提唱者として知られるが、自分自身も心身を健康に保つためのセンサリー・アウェアネスを生かしたボディワークを積極的に実践し、100歳以上の長寿をまっとうしている。

センサリー・アウェアネスというのは自分の行動や身体感覚に対するリアリティを伴った感覚的な気づき(自己洞察)のことを意味している。センサリー・アウェアネスは、今ここにある自分がどのような身体感覚を感じているか、どのような振る舞いをして存在しているのかに意識を向けることで、『現在の体験』と『現在の意識・感覚』を生き生きと一致させようとすることである。

シャーロット・セルバーのセンサリー・アウェアネスには、スピリチュアルな要素とボディワーク的な要素の両面があるとされるが、日本に初めてこの感覚的な気づきや洞察の体験の重要性を紹介したのは心理学者の伊東博であり、『ニューカウンセリング』の新しい身体的技法(体験型のボディワーク)の一つとして説明された。

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2013年11月25日

[精神分析・カウンセリングとヤビス(yavis)]

精神分析・カウンセリングとヤビス(yavis)

クライアントが過去の自分にとって重要な人物(家族など)に向けていた強い感情を、カウンセラーに向け変えることを『転移(transference)』という。カウンセラーがクライアント(依頼者)に対して抱く感情のことを『逆転移(counter-transference)』というが、逆転移とも関係したカウンセラーのクライアントに対する選好(好き嫌い)のことを『ヤビス(yavis)』という概念で表現することがある。

カウンセリングを受ける対象となる人には、精神障害者(精神疾患者)や生活困窮者だけではなく、一般的な悩みや疑問を聴いて欲しいという健常者(特別に深刻な苦悩があるとは限らない人)も含まれるが、『ヤビス』は概ねこの健常者に当てはまることの多いクライアントの選好である。

ヤビス(yavis)はカウンセラーが逆転移感情や個人の人間性の選好によって、クライアントにしたいと思うことが多い人の特徴の頭文字を並べたものであり、精神分析家のW.ショフィールド(W.Schofield)によって1960年代に指摘された。“yavis”の頭文字はそれぞれ以下のような特徴や傾向を意味しているが、W.ショフィールドが指摘したyavisは『精神分析家の私利私欲・俗物主義』の無意識が意識化されたものだとして批判されたりもした。

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2012年05月22日

摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療6:摂食障害に対する認知行動療法

摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療6:摂食障害に対する認知行動療法

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 摂食障害で悩んだり苦しんでいる患者は、家族の中では母親だけにその苦悩・不満をぶつけてしまう事も多いのだが、それは患者の持っている『愛情飢餓(愛情欲求)・自己評価の低下・見捨てられ不安・依存的なメンタリティ』の現れである。これは摂食障害の人に特徴的に見られる『発達過程の障害(退行や依存性)・親からの愛情や保護が不足しているという感覚』に関係したものでもある。

しかし、母親が一人だけでその不満を受け止めてあげることは難しく、父親やその他の家族の理解・協力による『負担の分かち合い』も必要になってくる。家族の中でのコミュニケーションが阻害されており、家族成員それぞれの不満・孤立・無理解が強まっているというような『家族間の葛藤・軋轢』といった問題がある場合には、家族が相互理解を深めながら協力してその問題の解決に取り組まなければならない。

摂食障害の原因は『心理的原因(太っている事を馬鹿にされたトラウマ・幼少期からの愛情不足・女性的成熟の拒絶など)・社会的原因(マスメディアによる痩身賛美・ダイエット特集など)』を始めとしてさまざまである。幼少期の家族関係・母子関係が関係していることもあれば関係していないこともあるが、家族療法では誰か一人を『悪者』として責めるのではなく、家族がそれぞれのメンバーに対してお互いに『肯定的な良い影響(精神的にサポートできるような影響)』を与えられることを目指して、コミュニケーションの取り方を調整していくことで摂食障害の症状が改善されることがあるのである。家族療法の最も大切なポイントは、母親だけではなく家族の全員が『摂食障害になった患者に愛情・関心を持って理解しようとすること』であり、『ただ甘やかすだけではない愛情表現やサポートする意志を示して上げること』である。

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摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療5:精神疾患に対する家族療法

摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療5:精神疾患に対する家族療法

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 摂食障害(中枢性摂食異常症)の心理療法やカウンセリングでは、『家族療法・対人関係療法』『認知療法・認知行動療法』を組み合わせて実施するのが標準的療法になってきているが、拒食・過食の症状が重くて栄養状態が悪化している時には、これらの心理療法に『栄養リハビリテーション』と呼ばれる食事療法が並行して実施されることになる。

入院治療では抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬(睡眠導入剤)を用いた『薬物療法』も重視されることがあるが、栄養リハビリテーションの理念に基づいた『(最低限の分量を食べて過食を予防する)食事管理』というのが摂食障害には効果的とされている。

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摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療4:精神疾患の入院治療の分類

摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療4:精神疾患の入院治療の分類

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 『電解質異常』というのは、摂食障害のパージング(purging)の自己誘発性嘔吐・下剤乱用によって、体内に必要なカリウムやナトリウムといった必須の電解質が大きく失われてしまった状態であり、筋肉のけいれんや意識レベルの低下、身体衰弱、動悸・不整脈の症状が起こり、重度の場合は心不全を起こして死亡するリスクもある。

摂食障害の患者の診療を行なってくれる病院の診療科には、『精神科・精神神経科・心療内科・神経科・内科』などがあるが、摂食障害の経過を見守って治療する臨床経験を多く積んだ専門医がまだまだ少ないという問題も指摘される。医師の管理・指導・治療方針に基づく入院治療を実施するような場合には、設備や人員の都合があり『精神科(精神神経科)での入院』が多くなる。

精神科でも心療内科でも、精神疾患を持つ患者の入院治療は原則として本人の同意と希望に基づく『任意入院』でなければならないが、症状が極端に重症で自傷(死亡)や他害の恐れが強い場合には、二名以上の精神保健指定医の資格を持つ精神科医の鑑定(入院が必要である旨の鑑定)によって強制的な『措置入院』がなされることもある。本人や家族の同意がなくても強制的に入院させられる措置入院には、人権保護上の問題が生じる恐れがあるので、二名以上の専門医の慎重な鑑定及び医療スタッフ(医師とは異なる職員)の立ち会いが必要であるという事が法律(精神保健福祉法29条)で定められている。

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摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療3:摂食障害の薬物療法の効果

摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療3:摂食障害の薬物療法の効果

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 摂食障害の治療は、病状が軽度であり生命の危険がなければ、通常は『薬物療法を含む通院治療』『心理療法(精神療法)・カウンセリング』によって行われる。しかし、神経性無食欲症(拒食症)の症状が激しくて、体重が平均体重よりも15〜25%以上も大きく減って衰弱していたり(通常、拒食行為があり平均体重より15%以上の減少で拒食症と診断される)、『低血糖・意識障害・歩行困難・重症うつ病(希死念慮あり)・危険なレベルの自傷行為・電解質異常』といった医学的に入院が必要と判断される場合には、通院治療ではなく『入院治療』が選択されることになる。

しかし基本的には、患者と家族の意向が最大限に尊重されなければならず、15%以上の体重低下が見られても、患者本人が普通に生活できるくらいに元気であり、治療に対しても前向き(きちんと定期的に通院する意志がある)であれば、通院治療のほうが選択されることが多い。

摂食障害に対する薬物療法は、第三世代の抗うつ薬であるSSRIのフルオキセチン(日本では未承認)、フルボキサミン(商品名ルボックス・デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)の投与が行われることがある。それ以外にも、不安定になっている情緒を安定させたり睡眠障害の症状を改善したりするために、マイナートランキライザーの抗不安薬や睡眠薬が処方されることもある。

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摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療2:拒食症・過食症の下位分類

摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療2:拒食症・過食症の下位分類

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 “自己誘発性の過食嘔吐・下剤(利尿剤)乱用・過度な運動”といった自分を傷つけてしまう『浄化行動(パージング, purging)』にも、過食をしてしまった自分の間違い(罪)を何らかの形で罰するという心理的な意味があるとされている。摂食障害の患者は、痩せれば気分が高揚する“躁状態”になり太れば気分が抑うつ的になる“うつ状態”という双極性の気分障害をオーバーラップすることが多い。抑うつ感や罪悪感は『食行動・体重の増減』と相関しており、朝方に気分が落ち込んで夕方から気分が改善してくるといったうつ病に見られるような『日内変動』の周期性が見られることもある。

それ以外にも強迫性障害、物質嗜癖(アルコールなど依存症)、リストカットなど自傷癖のある境界性パーソナリティ障害、慢性的な不安や自信欠如を伴う全般性不安障害、他人とふれあったりコミュニケーションすることに強い緊張・不安を感じる社交性不安障害を併発することが多くなっている。摂食障害患者のうちの約6割以上に、リストカット・OD(過量服薬)などの自傷行為、アルコールや薬物の乱用・依存症、嗜癖としての爪噛み・抜け毛の行為が見られるとされており、『摂食障害・自傷行為・薬物依存など嗜癖問題』は相互に密接な関係性があるのではないかと考えられている。

摂食障害における『社会的適応性・社会参加状態』は、拒食症のエピソードがある時には高まって調子が良くなるのだが、過食症のエピソードが始まると社会適応(自己評価も)が低下して『不登校・出社拒否・ひきこもり・ニート状態』などの不適応問題が顕在化しやすくなってしまう。摂食障害では体重の増減や外見の変化によって、自分に対する自信(物事に対する意欲)が大きく変動することになり、病的に痩せているとしても痩せれば痩せるほどに、より『理想的な自分のボディイメージ』に近づいているという錯誤をしてしまうのである。

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摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療1:摂食障害と気分障害の重複

摂食障害(eating disorder)の病態とカウンセリング・治療1:摂食障害と気分障害の重複

摂食障害(中枢性摂食異常症)の症状や心理的社会的な原因については、前回までの記事で説明してきたが、摂食障害は気分障害(双極性障害)の気分のアップダウンと連動することも多い。摂食障害で『神経性無食欲症(アノレクシア・ネルヴォーザ)』の病相にある時は、痩せ過ぎているくらいの自分の身体(ボディ・イメージ)に納得して、自己評価が高まり気分がハイ(高揚状態)になって過活動になることが多いのである。

拒食症(神経性無食欲症)の病相では周囲で見ている人は、こんなに痩せていて健康状態は大丈夫なのだろうかと危ぶむ事が多いのだが、本人の主観的感覚としては気分・意欲が上向いていたり、物事に対して前向きな行動力が湧いている事も多い。行動力の過剰である“過活動”は更に痩せようとして発生することもあり、気分が高揚・興奮していつも以上に饒舌になる『躁病的な状態』が起こりやすくなる。拒食症では『病識がないことが多い』というのが一つの特徴であり、平均体重を25%以上下回っていてガリガリに痩せていたり女性で月経が停まっていたりしても、本人の感覚としては『元気である・自信がある・やる気がでる=自分は病気なんかではない』といった主訴になりやすいのである。

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2012年05月12日

摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:4

摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:4

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 摂食障害には現代のマスメディアやモデル・芸能業界、ファッション業界が発信している『痩せている女性ほど美しいというメッセージ』が影響している事も確かであり、客観的なBMI(Body Mass Index)で見て明らかに太ってはいない若い女性でも、『まだ痩せなければならない・今の自分はちょっと太りすぎている』と感じていることが多いのである。

摂食障害は恋愛・結婚における別離(離婚)のショック、仕事・職業における挫折(失業)の傷つき、社会生活になかなか適応できない絶望感(自信喪失)など『特定のライフイベントでの挫折・失敗・傷つき』が引き金となって発症することがあるが、この場合には『拒食による自己制御(自己管理)』『過食によるストレス解消(食の快楽)』によって不安定な情緒を支えようとしているのである。

摂食障害における『拒食(食事制限)』とは、禁欲的な自己制御によって自己評価を高め、社会や他人に認められたい(愛されたい)とする行動であり、それに対して『過食(気晴らし食い)』とは自分にとって耐えがたい強いストレスや不安感、孤独感を紛らわして慰めるための行動である。

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摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:3

摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:3

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 クラスターBの人格障害である境界性パーソナリティ障害(BPD)は、『慢性的な気分・感情・行動の不安定さ』を前提としながら、自己評価(自尊感情)が低下して人間関係がスムーズに行かなくなり、その孤独感や空虚感に耐えられずに自傷行為・依存症といった不適応行動に走ってしまう障害であるが、問題が発生する基本的な心理メカニズム(自己評価・自信の低下とその補償としての症状)が摂食障害と類似している。

摂食障害も境界性パーソナリティ障害と同様に、『他者からもっと認められたいし愛されたいという満たされない孤独でつらい心理』があり、他者から承認されるためにどうすれば良いか分からないというパニックや衝動が生じて、健康を崩すような極端な拒食・過食をしてしまいやすくなるのである。

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摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:2

摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:2

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 摂食障害は『嚥下障害』の機能的な摂食困難・不能との区別をつけるために、現在では『中枢性摂食異常症』と呼ばれることもあるが、過度に体重が減少する重症例になると生命の危険が生じることもあり、厚生労働省が『特定疾患(難病)』に指定している。

摂食障害は経済が発達した先進国に済む10代半ば〜20代前半の思春期の女性に好発する精神疾患であるが、近年は30代以降の中年層にも発症する事例が増えており、男性患者も全体の5〜10%を占めるようになっている。日本での有病率は約2〜3%と推測されているが、摂食障害の症状があっても心療内科・精神科を受診する人は少なく、実際には更に多くの患者がいるものと考えられている。

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摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:1

摂食障害(eating disorder)の症状・原因・治療:1

摂食障害(eating disorder)とは食行動の異常に関係する精神疾患であり、極端に食事量を減らしたり食べなくなったりする『神経性無食欲症(拒食症)』と食欲を制御できなくなって大量に食物を食べ過ぎてしまう『神経性大食症(過食症)』の病相に分けられる。神経性無食欲症(拒食症)は『アノレクシア・ネルヴォーザ(anorexia nervosa:AN)』と呼ばれることがあり、神経性大食症(過食症)は『ブリミア・ネルヴォーザ(Bulimia nervosa:BN)』と呼ばれることがある。

拒食症と過食症は、見た目には正反対の食行動の異常であるものの、両者の症状形成メカニズムやその心理状態には共通する部分が多く、拒食症(アノレクシア・ネルヴォーザ)と過食症(ブリミア・ネルヴォーザ)のエピソードは定期的に交互に繰り返されることが多い。拒食症から過食症に移行する症例は約60〜70%に上り、どちらか一方だけのエピソード(病相)が見られることは少ないことから、両者は『痩せ願望・肥満恐怖・自己統御欲求』が共通した同一疾患の異なる現れ方であると見られている。

普段は食事を拒否したりほとんど食べていないのに、ある日突然、それまで我慢していた食欲を抑制できなくなって大量の食べ物を詰め込むようにして食べてしまうことがある。精神的ストレスや衝動性亢進による過食行動をしてしまうと、罪悪感や自己嫌悪を感じて浄化行動(パージング)としての『嘔吐・下剤乱用・利尿剤乱用・薬物摂取』を自分を傷つけるような形でしてしまう。

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2009年10月21日

[精神分析家の分析態度:フロイト的態度とフェレンツィ的態度]

精神分析家の分析態度:フロイト的態度とフェレンツィ的態度

S.フロイトは精神分析家の『基本的な分析態度』として、『自由連想と夢分析・禁欲原則・分析者の中立性(クライアントの鏡)』を上げている。

自由連想と夢分析……分析家が治療法として選択すべき中心的な技法。心に思い浮かぶこと(記憶・イメージ)は何でも遠慮せずに話すという『自由連想』、顕在夢の内容について分析しながら潜在夢のメッセージ(=無意識的願望)を明らかにしていく『夢分析』を技法として用いていく。

禁欲原則……精神分析のプロセスで、クライアントの無意識的願望を容易に満たしてはならないという原則で、クライアントの自我の強化(現実適応性の向上)や無意識の言語化に役立つと考えられている。

分析者の中立性……分析家の価値観や善悪の判断(倫理観)をクライアントに押し付けてはならないという原則であり、分析家は常に『クライアントの鏡』として機能するように中立的な態度・発言を持って精神分析に臨まなければならない。

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2009年04月13日

[J.ヘイリーの戦略派家族療法(strategic family therapy)]

J.ヘイリーの戦略派家族療法(strategic family therapy)

MRIで研究された家族療法にはさまざまな学派の技法があるが、『戦略派(strategic group)』に分類されるジェイ・ヘイリー(Jay Haley)『家族成員の内面的洞察・人格的成長』よりも『現在の問題の解決・症状の緩和』に力点を置いて家族カウンセリングを行ったことで知られる。MRI(Mental Research Institute)は家族療法の中心的な研究機関であったが、J.ヘイリーやJ.H.ウィークランド、D.D.ジャクソンらがMRIの創設に関わっていて、『家族間のネガティブな相互作用・問題状況を維持する家族システム』を改善するための家族療法(家族システム論)の研究が行われていた。

カリフォルニア州パロアルトにあるMRI(Mental Research Institute)の理論的基礎は、文化人類学者グレゴリー・ベイトソン(G.Bateson, 1904-1980)が提示した『二重拘束理論(ダブルバインド理論, double bind theory)』と催眠療法の大家として知られるミルトン・エリクソン『短期療法(ブリーフ・セラピー)』にある。ベイトソンの二重拘束理論(ダブルバインド理論)とは、相互に矛盾(対立)する二つのメッセージを同時に受け取ることによって、強烈な精神的緊張・不安を伴う『葛藤』が発生するという理論であり、戦略派の家族セラピストであるJ.ヘイリーはこの『葛藤』を効果的に家族療法に用いた。

ミルトン・エリクソンはカウンセリングのセッションで『言語的暗示』『非言語的暗示(イメージや音による暗示)』を的確に用いて、クライアントの行動・発言をアンカリングする天才的な催眠療法家であったが、M.エリクソンの催眠療法の技術や短期療法(ブリーフ・セラピー)の面接構造も家族療法の戦略派に大きな影響を与えている。戦略派の家族療法の最大の目的は、『現在の症状を取り除くこと・現在の問題を解決すること』であり、家族ひとりひとりの価値観の変容や人格(性格)の成長といったことには深入りしない傾向がある。

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[シャーロッテ・セルバーのセンサリー・アウェアネス(感覚的な気づき)]

シャーロッテ・セルバーのセンサリー・アウェアネス(感覚的な気づき)

カウンセリング技法はその作用機序に注目して分類すると『支持技法・洞察技法・作業技法(表現技法)・認知行動的技法』に大きく分類することができる。カール・ロジャーズのクライエント中心療法(来談者中心療法)に基づく一般的なカウンセリングは、クライアントの不安定な心理や傷ついた感情を共感的に支えて行く『支持技法』の原理に基づいている。『洞察技法』というのは力動的心理学である精神分析に代表される技法であり、自由連想や夢分析などによって自分の内面にある『今まで気づかなかった感情・感覚』に気づかせようとする技法である。

『作業技法(表現技法)』というのは、クライアントの無意識的な葛藤やトラウマなどを『自分の作品・制作活動』に投影させてカタルシス(感情浄化)の効果を得ようとする技法で、遊戯療法(箱庭療法)や音楽療法などの技法が知られている。『認知行動的技法』というのは、非適応的(悲観的)な認知・行動を変容させる認知療法や認知行動療法のことであり、最近ではエビデンス・ベースドな心理療法(統計的根拠のある心理療法)として大きな人気を集めている。

体感的・感覚的なボディ・ワークを中心とするセッションを実施したシャーロッテ・セルバー(C.Selver, 1901-2003)は、『センサリー・アウェアネス(sensory awareness)』という概念を提唱したが、センサリー・アウェアネスというボディ・ワークの概念を初めて使用したのはドイツのエルザ・ギンドラー(1885〜1961)である。センサリー・アウェアネスは『体験的・感覚的な自分に対する気づき(洞察)』を作用機序とする洞察技法の実践法であり、『言語的なコミュニケーション』よりも『身体的な感覚に対する気づき』のほうがクライアントの症状改善(問題解決)に役立つという前提を持っている。

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