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2016年08月12日

[ソ連はなぜ崩壊したのか?2:計画経済の失敗と飢え・自由の抑圧と密告社会]

ソ連はなぜ崩壊したのか?2:計画経済の失敗と飢え・自由の抑圧と密告社会

ソ連崩壊の決定的な要因は、アメリカに対抗するための終わりなき軍拡による財政赤字の累積と計画経済の需給計算の失敗(軍事に予算が取られ思っていたよりも食料が十分に生産できなくなったこと)によって、国民の生活の基盤にある『食料の配給体制』が機能不全に陥ったことである。

ソ連はなぜ崩壊したのか?1:マルクス主義の唯物論と人権抑圧の収容所国家

国民の食料の需要に対して計画経済の集団農場で生産される食料の供給が圧倒的に不足したことであり、ソ連末期には配給所で一日行列に並んで待ってもパン一つ、じゃがいも一個のような配給しか受けられなくなり、その必然の結果として、飢えと貧困による国民の反体制感情は極めて強くなっていった。配給所の行列の長さ、そこで配給される食糧の乏しさというのが、旧ソ連の管理的な計画経済体制の失敗の現れであり、マルクス主義を盾にして『無謬(間違うことなどない)』とされていたエリート官僚の計画経済運営の大きな間違いの具現化でもあった。

共産主義・社会主義はマルクス主義の唯物論(史的唯物論)の影響を受けいているため、人民を理想の共産主義社会を実現するために共産党のエリート官僚の指令・命令にただ従って働くだけの『モノ・事物(システムを構成する要素)』と見なしやすく、『人間の思想信条・表現・内面の自由』が不当に否定されてしまうのである。

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[ソ連はなぜ崩壊したのか?1:マルクス主義の唯物論と人権抑圧の収容所国家]

ソ連はなぜ崩壊したのか?1:マルクス主義の唯物論と人権抑圧の収容所国家

共産党やエリート官僚が『思想的に無謬』であるという前提が置かれたことで、共産党やエリート官僚の指令に逆らう者は『国家反逆罪の犯罪者』『判断能力のない精神障害者』『西側(敵国)のスパイ』とされてしまうことになり、監獄・精神病院(閉鎖病棟)・労働収容所などに閉じ込められる『人権抑圧の収容所国家の構造』ができてしまった。

マルクス主義の最大の欠陥は、国家の構成要素である国民(民衆)までも『唯物論の対象』にしてしまってその欲望や内面を無視したことであり、共産党独裁の圧政や使役によって『人間的自由の空間の否定』をしたことであろう。

『私的所有権の否定』『生産手段・産業の国有化』によって、人間さえも自己所有権を否定された国家所有の唯物論的な対象にされてしまう。人間も労働力やその再生産の単位として『共産党独裁体制の支配と管理』に直接的に晒されることとなり、最低限度の生活保障以外の人間的な自由・権利・表現の多くを剥奪されてしまったのである。

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2016年08月11日

[ソ連・東欧の共産党の政治経済体制はなぜ崩壊したのか?:ソ連型の計画経済とエリート官僚の過ち]

ソ連・東欧の共産党の政治経済体制はなぜ崩壊したのか?:ソ連型の計画経済とエリート官僚の過ち

1989年から始まったソ連崩壊へとつながっていく東欧からの政治変革は、『民衆の帰趨(きすう)』が共産主義・社会主義の独裁体制を許さなくなったことの現れであり、個人の自由の抑圧だけではなく衣食住の枯渇(最低限の食料にさえ事欠く配給)も引き起こした共産主義体制を民衆が拒絶したということである。

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共産主義・社会主義の計画経済体制を理想とした『マルクス主義』という政治思想のアクチュアルな課題は、『人民を自由かつ平等にすると謳った共産主義体制への民衆の同意・参加』であったが、ソ連崩壊はこのアクチュアルな課題の達成が現実的に殆ど不可能であることを示したのだった。

共産主義を目指すソ連の官僚(テクノクラート)は、資本主義の市場原理とは異なる『計画経済・管理経済』の指令型経済運営を行おうとしたが、これは社会全体で必要な物資の総量を官僚が事前に計算して、必要なだけの分量の生産をノルマを割り当てて計画的に行っていくというものであった。

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2015年07月17日

[双極性感情障害(Bipolar affective disorder)における躁病エピソードと軽躁病エピソードの特徴と違い]

双極性感情障害(Bipolar affective disorder)における躁病エピソードと軽躁病エピソードの特徴と違い

ICD-10の双極性感情障害(Bipolar affective disorder)の精神症状のエピソードの説明では、双極性障害における『躁病エピソード・軽躁病エピソード・うつ病エピソード』はそれぞれ以下のように定義されている。DSM-Wでは、躁病エピソードは『双極T型障害』に見られ、軽躁病エピソードは『双極U型障害』に見られるとされている。

躁病エピソード(manic episode)

“躁病(manic disorder)”は、異常に気分が高ぶって活動力が増加するという症状であり、実際の人間関係や仕事・学業などの社会活動に大きな支障が生じるレベル(深刻度)のものをいい、通常の日常生活を通した社会適応が殆ど不可能になる。躁病エピソードと診断するためには、そういった気分の高揚と活動性の亢進による日常生活の障害が最低でも“一週間以上”にわたって続いていなければならない。

躁病エピソードの典型的な症状や特徴には以下のようなものがある。

1.自尊心の肥大に基づく『誇大妄想的な観念・過度に楽観的な将来予測』が見られる。

2.状況に相応しくない気分・感情・意欲の異常なまでの高揚(ハイテンション)と活動力の増大

3.愉快・陽気な気分と落ち着かない焦燥感・イライラ(短気さ)

4.次々と思考やアイデアが湧き出してきて止まらない観念奔逸

5.一つの目標や物事に集中できなくなる注意転導性(注意があちこちに移り変わって散漫になる)

6.まくし立てるようにずっと話し続けたい衝動を抑えられない多弁・演説・会話の異常な増加

7.目が冴えて眠りにつけない睡眠障害・睡眠欲求の消失

8.判断力や危機意識の欠如による浪費・ギャンブル・危険行為の傾向

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[双極性障害のICD-10とDSM-W-TRにおける診断基準(病名・エピソードの分類とコード)]

双極性障害のICD-10とDSM-W-TRにおける診断基準(病名・エピソードの分類とコード)

一口に双極性障害とはいっても、WHO(世界保健機関)のICD-10やAPA(アメリカ精神医学会)のDSM-W-TRでは、感情障害(気分障害)として様々な病型・病名に分類されている。“ICD-10”のコード番号を用いた網羅的な診断基準では、『双極性感情障害(ICDでは双極性障害ではなく双極性感情障害の名称を採用)』を以下のような病型・病名に分類して、その重症度を『軽症・中等症・重症』に分けている。

双極性障害(躁鬱病)の病前性格と環境要因・ストレス要因

ICD-10における双極性感情障害(Bipolar Affective Disorder)の分類

F31.0  双極性感情障害+現在進行の軽躁病エピソード(Bipolar affective disorder, current episode hypomanic)

F31.1  双極性感情障害+現在、精神病症状を伴わない躁病エピソード(Bipolar affective disorder, current episode manic without psychotic symptoms)

F31.2  双極性感情障害+現在、精神病症状を伴う躁病エピソード(Bipolar affective disorder, current episode manic with psychotic symptoms)

F31.3  双極性感情障害+現在、軽症あるいは中等症うつ病エピソード(Bipolar affective disorder, current episode mild or moderate depression)

F31.4  双極性感情障害+現在、精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード(Bipolar affective disorder, current episode severe depression without psychotic symptoms)

F31.5  双極性感情障害+現在、精神病症状を伴う重症うつ病エピソード(Bipolar affective disorder, current episode severe depression with psychotic symptoms)

F31.6  双極性感情障害+現在、混合性エピソード(Bipolar affective disorder, current episode mixed)

F31.7  双極性感情障害+現在、寛解状態にあるもの(Bipolar affective disorder, currently in remission)

F31.8  その他の双極性感情障害(Other Bipolar affective disorders)

F31.9  双極性感情障害+特定不能なもの(Bipolar affective disorder, unspecified)

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[双極性障害(躁鬱病)の病前性格と環境要因・ストレス要因]

双極性障害(躁鬱病)の病前性格と環境要因・ストレス要因

双極性障害もうつ病と同じく『病前性格』として、エルンスト・クレッチマーの“体型性格理論の循環気質”、フーベルトゥス・テレンバッハの“メランコリー親和型性格”、下田光造の“執着性格”、ツァーセンらの“マニー型性格”などが想定されているが、近年の生物学的精神医学の統計研究では『うつ病・双極性障害の発症と病前性格との間には有意な相関関係は認められない』という研究結果もでてきている。

双極性障害(躁鬱病)の遺伝要因の疫学・双生児研究

クレッチマーの循環気質の特徴は、肥満体型で陽気で親しみやすくて社交的であるが時に気分の波によって落ち込むというものである。テレンバッハのメランコリー親和型性格や下田光造の執着性格に共通する性格傾向としては、『几帳面・生真面目・他者配慮の強さ・秩序志向性・完全主義傾向・義務感や責任感の強さ・熱心さや凝り性』などを上げることができる。

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[双極性障害(躁鬱病)の遺伝要因の疫学・双生児研究]

双極性障害(躁鬱病)の遺伝要因の疫学・双生児研究

感情障害・気分障害である双極性障害(躁鬱病)は、『躁病相』『うつ病相』を交互あるいは周期的に繰り返す精神病水準の精神疾患である。躁病相とうつ病相の間の『中間期』には、躁病とうつ病のどちらの精神症状も見られない正常な状態になることもある。

双極性障害の疫学的研究では、双極性障害の初発年齢は20代が最も多いとされ、年齢が高まるにつれて発病率は低下する傾向が見られる。重症度の高い激しい躁病相を伴う『双極性障害T型(双極T型障害)』の生涯有病率は“約0.5%”であるが、程度の軽い軽躁状態を伴う『双極性障害U型(双極U型障害)』までを含めると、その生涯有病率は“約1.0〜5.0%”くらいまで高まると推算されている。

古典的精神医学で躁鬱病と呼ばれていた双極性障害の原因は、大きく『遺伝要因(家系的要因)』『環境要因(心理的要因)』とに分けられる。双極性障害の人と血縁関係のある者は、有意に双極性障害の発症リスクが上がるというのが『遺伝要因』であるが、この相関関係は特に『双極性障害の双生児研究』によって確認されている。

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2015年07月06日

[双極性障害(躁鬱病)の回復期・躁転期における自殺リスク:情報収集のポイントと危機介入]

双極性障害(躁鬱病)の回復期・躁転期における自殺リスク:情報収集のポイントと危機介入

双極性障害(躁鬱病)の重症例では『うつ病相における自殺率』よりも『躁病相における自殺率あるいはうつ病相からの回復期における自殺率』のほうが高いことが、各種の統計的・疫学的な調査から分かっている。

それは、症状の重たいうつ病相では、『精神運動抑制』によって意欲・気力・行動力が大幅に低下してしまい寝たきりに近いような状態になりやすいからで、死にたいという自殺願望はあっても、それを実際の行動に移すだけの行動力や気力を高めることが出来ないからだと考えられている。

自殺行動の危険因子としての“自殺未遂・自傷行為のエピソード(既往歴)”

そのため、気力や意欲が僅かながらも回復傾向を示し始めた『回復期』に、衝動的かつ突発的に自殺行動を取ってしまうリスクが高まってしまう。あるいは、落ち込んだうつ状態からハイテンションな躁状態に転換する『躁転期』に、精神的な苦痛やつらさが限界に達している状況を解消するための自殺が試みられやすくなってしまうのである。

希死念慮の見られる重症度の高いうつ病患者の精神医学的診療では、少し元気になってきて行動力や気力が回復してきたなと感じられる時期にこそ、自殺リスクに対する十分な注意と警戒、患者の主訴・会話内容に対する『共感的・徹底的な傾聴の姿勢』が必要になってくるところがあるのである。

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2014年02月21日

[レオポルド・ソンディ(Leopold Szondi)]

レオポルド・ソンディ(Leopold Szondi)

ハンガリー出身の心理学者レオポルド・ソンディ(Leopold Szondi,1893-1986)は、運命分析学という深層心理学の学派を創設したり、『ソンディ・テスト』という人物写真を利用した投影法の心理テストを開発したことで知られる。日本語での名前表記は、レオポルド・ソンディ以外にも、英語読みで『リポート・ソンディ』という風に表記されることも多い。

“1組8名”の人物の顔写真を6回見て、その中から最も好きな顔2つと嫌いな顔2つを選んでいくという投影法の原理を生かした独創的な『ソンディ・テスト』は、ウェブ上(リンク先参照)でも簡易な方法で体験して見ることができる。

ソンディ・テストで使用される合計48枚の人物の顔写真は、『緊張型の統合失調症・妄想型の統合失調症・気分障害(うつ病)・躁病(双極性障害)・てんかん・ヒステリー・同性愛・サディズム(マゾヒズム)』という8つのタイプの精神疾患の患者の顔写真を選んだものとされている。ハンガリーに生まれたユダヤ人のレオポルド・ソンディは、ハンガリーにも進駐してきたナチスドイツの迫害を逃れるため、1944年にスイスへと移住している。

L.ソンディの運命分析学は現代ではオカルトじみた理論体系を持っているが、ソンディは子孫が祖先から先祖代々継承している意識(衝動)のことを『衝動感情(衝動意識)』と呼び、『人間の運命とは選択である』といった。人間は祖先から受け継いだ衝動感情(衝動意識)をベースにして、『結婚選択・職業選択・疾患の選択・死亡形式の選択』という4つの人生の分野で重大な選択をしていくというのがソンディの理論である。

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[フレデリック・ソーン(Frederick C. Thorne)]

フレデリック・ソーン(Frederick C. Thorne)

ニューヨーク出身のアメリカの心理学者フレデリック・ソーン(Frederick C. Thorne,1909-1978)は、コロンビア大学でPh.D.(学術博士号)を取得しコーネル大学でM.D.(医学博士号)の学位を取得した後に、バーモント大学で教授を務めた。カウンセリング心理学の講義を担当したバーモント大学在任中に、カール・ロジャーズ(ロジャーズ学派)の消極的な傾聴ばかりを重要視する『クライエント中心療法(非指示的カウンセリング)』を批判したことで知られる。

ペンシルバニア大学は認知療法のアーロン・ベックやデビッド・D・バーンズを輩出しているように、心理療法やカウンセリングの理論的・臨床的な研究が盛んに行われている大学として知られる。フレデリック・ソーンは、このペンシルバニア大学のW.U.スナイダー(W.U.Snyder)との間で、指示的カウンセリングと非指示的カウンセリング(折衷的カウンセリング)のどちらのほうが有効で効果的かを巡って論争を展開したりしたこともあった。

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2014年02月20日

[E.L.ソーンダイク(Edward Lee Thorndike)]

E.L.ソーンダイク(Edward Lee Thorndike)

アメリカの心理学者E.L.ソーンダイク(Edward Lee Thorndike, 1874-1949)は、主に猫を使った動物実験によって『試行錯誤(trial and error)』の学習行動を検証した。試行錯誤は動物や人間の典型的な学習行動の一つであり、『新しい問題状況(課題提示・刺激状況)』に直面した時には、まず本能・習慣・直感に従ったランダムで適当な行動を繰り返して行い、何度も失敗しながら『偶然的な成功体験』を得ることで、新たな適応的行動を学び取ること(次第にこの適応的行動の定着を図ること)ができる。

猫を『問題箱(出入り口の扉を開けるための仕掛けが設けられている箱)』の中にいれる動物実験では、お腹の空いた猫ははじめ箱から脱出するために無意味なランダムな行動を繰り返し行うが、扉を開けるための方法を偶然発見することができれば、次第に短時間で箱から上手く脱出できるようになることを発見した。こういった何度もでたらめで適当な行動(無意味にも見える失敗)を繰り返しながら、偶然に『正しい適応行動・効果的な行動』に辿り着くことを試行錯誤学習と呼んでいる。

E.L.ソーンダイクが猫の動物実験による試行錯誤学習を発見する以前には、人間や動物の学習は、頭の中で欲求・意図・目的・計画が初めに組み立てられてから、その後で実際の行動に移されていくという『観念連合』が前提にされていた。しかし実際の人間や動物の行動を見ていると、頭の中で目的を設定して計画するような『観念連合』よりも先に、本能や衝動、直感に基づいてまず適当にやってみるという『試行錯誤』が行われることが多いことが分かった。

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2009年05月28日

[ソーン・スナイダー論争(Thorne-Snyder controversy)とカウンセリング技法の効果]

ソーン・スナイダー論争(Thorne-Snyder controversy)とカウンセリング技法の効果

ソーン・スナイダー論争(Thorne-Snyder controversy)というのは、『指示的技法のカウンセリング(心理療法)』『非指示的技法+折衷主義のカウンセリング(心理療法)』の有効性と貢献性を巡る論争である。『指示的技法(指示的カウンセリング)』というのは、クライアントの悩みや問題に対して『具体的な指示・提案・アドバイス・論駁』をすることで心理的問題を解決しようとする技法である。積極的な態度で『認知・行動の適応的な変容』を促進する認知療法(認知行動療法)や論理療法が、指示的技法に分類される代表的な心理療法であり、最近の心理療法やカウンセリングでは指示的技法のほうが優勢となっている。

非指示的技法(non-directive method)の代表的な技法は、共感的な理解や無条件の受容(尊重)をベースにしたカール・ロジャーズの『クライエント中心療法』である。カール・ロジャーズやアブラハム・マズローなど心理学の第三勢力と呼ばれた『ヒューマニスティック心理学(人間性心理学)』に関連するカウンセリング技法の多くは、非指示的技法(非指示的カウンセリング)に分類されている。

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2009年05月25日

[ソーシャル・スキル・トレーニング(social skills training:SST)]

ソーシャル・スキル・トレーニング(social skills training:SST)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の精神科教授であるロバート・リバーマン(Robert Paul Liberman, 1937-)が開発した基本的なコミュニケーションスキルの訓練法が『SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)』である。ソーシャル・スキル・トレーニング(social skills training)は『社会生活技能訓練(社会技能訓練)』と訳されるように、人間関係や社会生活に円滑に適応していくための具体的なトレーニングのマニュアルのようなものである。

SSTの主要な対象になるのは『統合失調症・広汎性発達障害(アスペルガー症候群・自閉症)・社会不安障害(対人恐怖症)・学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)』などコミュニケーション技術に問題を抱える精神障害・発達障害のある人である。

しかし、健常者であっても『他者との関わり合い・相互的なコミュニケーション・基本的な社会生活』に何らかの困難や苦手意識を持っている場合には、SSTを実践することで問題が解決することがある。一般的な小中学校の学校教育でも、円滑なクラス運営や友人関係の構築、いじめ問題の予防・解決などを目的にしてSSTが実施されることもあるし、対人緊張が強くて上手く会話ができなかったり自己主張や自己開示が苦手で人間関係が上手く作れないという人にも有効である。

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)は、認知行動療法・コーチング・アサーティブトレーニングの技法とも関係を持っており、最近ではスティーブ・ド・シェイザーやインスー・キム・バーグのソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)にもSSTの実践的な考え方の一部が取り込まれている。

SSTのトレーニング方法には、現在持っている対人スキルを段階的に引き上げていく『ボトムアップ(bottom up)』、コミュニケーション技術が高い指導者の手本を見てそれを真似して学習する『モデリング(modeling)』、実際のコミュニケーション場面を想定して役割演技・模擬練習をやっていく『ロールプレイ(role play)』などがある。

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[組織心理学(organizational psychology)における組織開発(OD)]

組織心理学(organizational psychology)における組織開発(OD)

社会心理学・産業心理学の隣接領域である組織心理学(organizational psychology)は、効率的で健康的な組織運営を目的とする応用心理学である。企業・官庁(役所)・学校など特定の存在意義(活動の目的性)や社会的役割を持つ集団組織を研究対象として、『組織に属する集団と個人の心的過程及び行動の生成変化』を研究する分野である。組織内部では『集団力学・指揮命令系統・階層秩序(職位階層)・上下関係』などの影響が生まれるが、これらの影響・作用によって『個人・集団の行動選択や心理状態』にどのような変化が起こってくるのかを分析する。

生産的・健康的な組織運営を目指す『組織心理学』の主要テーマとしては、『集団の士気(活力)・リーダーシップの分類と効果・動機づけ(モチベーション)の向上・組織開発・職場のメンタルヘルス』などがあり、“組織・下位集団・個人”の適切なバランス関係の確立が課題となっている。企業・官庁など集団組織に所属する成員メンバーの心理的安定を実現して、各グループの士気や生産意欲を高めることによって、効率的で生産的な組織運営が可能となるが、その組織活動の基盤には成員メンバーの『メンタルヘルス(心の健康)の充実』『過重労働・精神的ストレス(職場の人間関係の不仲)の緩和』がなければならない。

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[監督範囲適正化の原則と組織階層短縮化の原則:企業の人事と労務管理]

監督範囲適正化の原則と組織階層短縮化の原則:企業の人事と労務管理

企業経営や組織運営には『管理機構(役職・地位)に基づく階層秩序(上下関係)』が必然的に要請されることになる。リーダー(社長・行政の長)を頂点とする組織階層の上層は『意志決定・指示命令・人事管理』を担当して、組織階層の下層は『企画営業など実務・会計経理など事務・情報処理や力仕事など作業』を行うというのが一般的な形態である。

企業組織の管理階層には、『社長・専務・常務・部長・次長・課長・係長・班長』など様々な管理職があり、各企業の組織図や産業分野の種類によってもその肩書きは異なるが、管理機構の業務の効率性と正確性を高めるためには『組織階層短縮化の原則』に従ったほうが良いとされる。管理機構の主要な役割は『下位の役職者への意志疎通・指示命令』と『職場の人間関係の調整・部下の心身の健康管理』があるが、前者の目的を達成するためには、管理階層の役職の数を減らして『指示命令系統』をシンプルな分かりやすいものにしたほうが良い。

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[J.L.モレノのソシオメトリック・テスト(sociometric test)とソシオグループ(sociogroup)]

J.L.モレノのソシオメトリック・テスト(sociometric test)とソシオグループ(sociogroup)

『ソシオメトリー(sociometry)』というのは、社会的な人間関係を数量的に測定する研究法のことであるが、ソシオメトリーを実現するための具体的な心理検査(質問紙法)のことをソシオメトリック・テスト(sociometric test)と呼ぶことがある。集団精神療法(グループ・セラピー)の一種である心理劇(サイコドラマ)を開発したヤコブ・レヴィ・モレノ(Jacob Levy Moreno, 1889-1974)は、ソシオメトリーの理論と技術の提唱者としても知られる。

ルーマニア出身のオーストリアの精神科医・精神分析家であるJ.L.モレノは、集団無意識(普遍的無意識)を前提とする分析心理学を創始したC.G.ユングの弟子としても知られる。モレノの心理劇(psychodrama)は精神分析理論をグループセラピー(集団療法)に応用した画期的な技法であり、『役割分担が為されたロールプレイング』『特定の役割を規定しないその場のアイデア・気分に基づく即興劇の形式』で実施される。

サイコドラマ(心理劇)の実施目的は、『心理的な苦悩・抑圧された情緒的葛藤』を臨場感溢れる演劇のロールプレイングの中で再現することであり、『本来の自分の感情と欲求』をリアリティのある演技を通して生き生きと表現することである。サイコドラマの効果として代表的なものは、それまで抑圧していた激しい感情を浄化する『カタルシス』とリアルな役割関係と主張場面の再現を通した『自発性とコミュニケーションスキル(社会的適応力)の向上』である。

個人の心理的問題を対象とする『サイコドラマ(心理劇)』に対して、集団内部の人間関係の改善や異文化コミュニケーションの促進、イデオロギー対立の解消などを目的にした『ソシオドラマ(社会劇)』と呼ばれるグループセラピーもある。ソシオドラマ(sociodrama)では『文化的・社会的・政治的なテーマ(問題状況)』が話題として取り上げられ、個人の意志や努力だけでは解決困難な『集団社会的な差別・偏見,システマティックなストレス状況・欲求の抑圧』などをどのようにして解決していけば良いかが演劇方式の討論・対話の中で語り合われることになる。

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2009年05月13日

[ソシオグラム(sociogram)とソシオメトリー(sociometry)]

ソシオグラム(sociogram)とソシオメトリー(sociometry)

人間関係のネットワークや種類・濃度を図表化したものを『ソシオグラム(sociogram)』というが、ソシオグラムには『社会的(形式的)な地位・役割・立場を図表化したもの』『個人的(内面心理的)な関係・感情・信頼感を図表化したもの』とがある。外見的・形式的に誰もが観察できる地位(役職)や立場を元にしたソシオグラムは『組織図・役職図』などのかたちで作成することができるが、内面的な感情や個人的な関係の密度(好き嫌いの強さ)などを元にしたソシオグラムを作成するには、ソシオメトリーや心理検査などの専門的技法を活用する必要がある。

ソシオグラムでは『個人』は丸や点で表現され、『個人を示す丸』と『個人を示す丸』を矢印や直線(実線・点線)で結びつけることで関係性が表現されることになるが、マニュアル的な画一のルールのようなものは存在しない。個人と個人を点線や実線で結んでいくソシオグラムでは複雑な人間関係や大勢の人間関係を整理して表現することが難しいので、最近では数学のグラフ理論やマトリックス図(Excelの表のような行・列のある図)によってソシオグラムが描かれるようになっている。

マトリックス図では『行』と『列』を用いて、『個人の属性・特徴・関係』などを表現することができるので、重要項目の一覧性と絞り込みがしやすくなるのである。マトリックス図は、事象Aと事象Bの2項目を扱う二元表の『L型マトリックス図』が一般的に用いられるが、3項目を同時に扱える『T型マトリックス図・Y型マトリックス図・C型マトリックス図』というものや4項目を同時に扱う複雑な構造を持つ『X型マトリックス図』もある。ソシオグラムでマトリックス図を用いる場合には、『膨大な人数のデータを処理しやすい』や『記号方向グラフに転換することが可能』といったメリットがある。

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[H.ウェルナーの相貌的知覚(physiognomic perception)と認知機能の発達段階]

H.ウェルナーの相貌的知覚(physiognomic perception)と認知機能の発達段階

人間の知覚(perception)は『感覚的・自己中心的な知覚』から『理性的・客観的な知覚』へと発達していくが、“2〜4歳頃までの幼児”は自己と他者(外界)との区別が曖昧であり、『自己の内的な表象・感情』を外界に投影して知覚するという特徴を持つ。その為、乳幼児の知覚は『生命・精神(感情)を持たない無機的な事物』にも生命や精神(感情)の存在を投影的に見出すことがある。こういった自己の感情や欲求を外界に投影して、無機物に『生命・表情・感情・精神』を見出すような知覚のことを『相貌的知覚(physiognomic perception)』と呼ぶ。

相貌的知覚の分かりやすい事例としては、子どもが拾ってきた石に顔を描いて擬人化したり、人形や無機的な事物に生命・気持ちを投影的(感情移入的)に見出して『人形の○○ちゃんが痛がっている・庭のお花が淋しがっている』と話したりすることがある。無機的な事物に顔や心を見出す相貌的知覚は、原始的宗教感情である[アニミズム(精霊崇拝)の誕生]とも関係しているが、森羅万象の事物に生命や精神、聖性を見出す感受性は大人になってもある程度は残っていることがある。

相貌的知覚は心理学者のH.ウェルナー(H.Werner)が提起した概念であるが、自我が弱く自他未分離な発達早期には『生きていないもの・無機的な事象・身近にある慣れ親しんだもの』に主観的で感情的な投影(感情移入)を起こしやすいのである。自然崇拝の繊細な感受性を生み出すアニミズムは、資本主義で運営される現代の物質文明社会ではかなり弱まってきているが、最近は『エコロジー思想・地球環境保護・省エネ省資源』の影響などによってアニミズム的な自然と共生する価値観が見直されてきている側面もある。

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[層別抽出法(stratified sampling)と統計調査]

層別抽出法(stratified sampling)と統計調査

統計学的な社会調査には、母集団に属する全ての人(標本)を調査する『全数調査』と母集団の中から全体の代表性の高い人を抽出(サンプリング)して調査する『標本調査(サンプリング調査)』とがある。テレビの視聴率や国勢調査などでも『全数調査』は行われていないが、全数調査は『経済的コスト・時間的コスト・人的コスト』が非常に大きくなるという欠点があり、母集団が大きくなると殆ど実施されることはない。標本調査は一般的に、研究者の主観的・作為的なサンプルの選別が関与しない『無作為抽出法(random sampling)』によって行われることが望ましいとされる。

標本調査(サンプリング調査)で、サンプルを抽出する方法には研究者の主観を介在させない『無作為抽出法』以外にも、研究者の主観によって『偏りの小さそうなサンプル』を選んでいく『有意抽出法』とがあるが、無作為抽出法のほうが統計調査の信頼性と客観性が高くなる。

母集団からサンプルをランダムに抽出する無作為抽出法は『確率標本抽出法』と呼ばれ、『確率論による代表性』『大数の法則』によって保証されているので統計調査の精度が高くなるのである。一方、研究者の主観・恣意によって『偏りの小さそうな代表的サンプル』を抽出していく有意抽出法は『非確率標本抽出法』と呼ばれる。

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[躁病(mania)と双極性障害,気分安定薬のリーマス(炭酸リチウム)]

躁病(mania)と双極性障害,気分安定薬のリーマス(炭酸リチウム)

気分障害である双極性障害(躁鬱病)には、強い抑うつ感・気分の落ち込みを主体とする『うつ病相』と過度の高揚感・爽快感を主体とする『躁病相』とが見られる。『気分の落ち込み・抑うつ感・意欲減退・希死念慮・集中力(思考力)の低下』の症状に代表されるうつ病相(うつ病エピソード)だけが見られる気分障害を『単極性障害(うつ病)』という。

双極性障害(躁鬱病)では『うつ状態』『躁状態』とが周期的に出現するが、うつ病エピソードと顕著な躁病エピソードとを交互に繰り返す気分障害を『双極性T型障害』といい、うつ病エピソードと気分の興奮の程度が軽い軽躁状態とを交互に繰り返す気分障害を『双極性U型障害』という。双極性障害で最も注意すべきリスクは『躁転時(うつ状態から躁状態に切り替わる時)の自殺企図』であり、希死念慮・自殺願望を持っている患者の場合には、活動性が低下するうつ状態の時よりも活動性(行動力)が回復する躁状態の時のほうが自殺するリスクが高くなるのである。

強度の希死念慮が見られる双極性障害では、『気分が良くなってきた・行動力が回復してきた・何かが出来そうな自信がでてきた・早く活動したくてたまらない』という躁転が起こった時にこそ冷静な対処や行動の抑制が必要であり、発作的・反射的に自殺企図をしてしまわないような行動の管理体制を敷いておいたほうが良い。単極性障害では気分が落ち込んで意欲・興味が大幅に低下する『うつ病エピソード』だけが見られるが、『躁病エピソード』だけがくり返し見られる精神疾患のことをそのまま『躁病(mania)』と呼ぶ。

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