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2009年08月19日

[ダブル・ロール(マルチ・ロール)とポジティブ・スピルオーバー:家庭生活と多重役割との関係]

ダブル・ロール(マルチ・ロール)とポジティブ・スピルオーバー:家庭生活と多重役割との関係

心理学者のカーチマイヤー(Kirchmeyer)は多重役割とポジティブ・スピルオーバーの研究を行っているが、『ポジティブ・スピルオーバー(positive spillover)』というのは、“心理的・経済的なリソース”が多重役割の作用によって加速するという現象のことである。複数の役割を引き受けることによって、自己肯定感(自己評価)が向上して自己アイデンティティが安定したり、毎日の生活(仕事・育児)の充実感や生きがいが高まったりするという心理的な好循環が『ポジティブ・スピルオーバー』の加速感である。

夫や妻・親・会社員などの多重役割を引き受ける家庭生活において、『ポジティブ・スピルオーバー(positive spillover)』が起こると、自分の存在意義を実感する自己アイデンティティが安定して、心理的充実感(生き甲斐)や生活満足度が高まってくる。反対に多重役割を引き受ける家庭生活や夫婦関係で、『ネガティブ・スピルオーバー(negative spillover)』という心理現象が引き起こされることもあり、その時には自己アイデンティティが拡散して虚無感(無意味感)や疲労感(倦怠感)を感じやすくなってしまう。

多重役割(multiple role)を引き受ける生活・仕事では、時間的余裕が失われて身体的疲労や精神的ストレスが溜まりやすくなるので、心理的報酬やポジティブな自己評価が得られなければ『ネガティブ・スピルオーバー』が起こりやすくなってくる。

精神的な悪循環を形成する“ネガティブ・スピルオーバー”を、精神的な好循環を形成する“ポジティブ・スピルオーバー”に転換していくためには、『家族や育児に対する肯定的認知』を獲得すること、『夫婦がお互いに助け合う生活状況』を作り上げていくことが大切である。

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[ダブル・ロール(マルチ・ロール)とカウンセリング:支持的技法と指示的技法におけるカウンセラーの役割]

ダブル・ロール(マルチ・ロール)とカウンセリング:支持的技法と指示的技法におけるカウンセラーの役割

二つの役割を引き受けて行動・認知することを『ダブル・ロール(二重役割)』というが、ダブル・ロール(double role)はカウンセリングや家庭生活の場面で頻繁に起こってくる。

来談者中心療法のような支持的カウンセリングでは、カウンセラー(心理臨床家)はクライアントの苦悩や考えを共感的に理解してフォローしていく『受容的・支持的な役割』を果たさなければならない。しかし、行動療法・矯正カウンセリングのような指示的カウンセリングでは、カウンセラーはクライアントの非適応的な認知や反社会的な問題行動を修正していく『指示的・指導的な役割』を果たさなければならない。

クライアントの抱えている問題の性質や症状の水準、生活の状況によって、カウンセラーに期待される役割や態度は変化してくるが、一般的にはカウンセラーは『受容性・寛容性(優しさ)』『指示性・厳格性(厳しさ)』というダブル・ロールを前提にして心理療法・カウンセリングの実践を行うことになる。どちらか一方だけの役割・態度を発揮するだけでは、クライアントの苦悩や不安の内容に十分に寄り添うことができなかったり、クライアントの社会適応や人間関係を困難にしている問題状況を改善できなかったりするからである。

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[タビストック・クリニック(Tavistock Clinic)と力動精神医学・ユダヤ陰謀説]

タビストック・クリニック(Tavistock Clinic)と力動精神医学・ユダヤ陰謀説

タビストック・クリニック(Tavistock Clinic)は1920年頃にロンドンに設立された精神科クリニックであり、主に力動精神医学(精神分析)の理論や精神分析的療法の技法によって患者の治療に当たった。タビストック・クリニックの精神科医(研究者)が治療・研究の対象としたのは、S.フロイトが精神分析の主要な適応とした『神経症患者』であったが、次第に境界例(境界性人格障害)などの『パーソナリティ障害を持つ人』も取り扱うようになっていった。

タビストック・クリニックでは力動精神医学(精神分析)の理論と技法を用いて、患者(クライアント)の無意識的欲求や内的葛藤(自我防衛機制)を分析したが、心理力動的な臨床では患者(クライアント)を『親子関係・性格特性・生活環境・成育史のエピソード・性的欲動(リビドー)』など多面的な観点から理解しようとした。先進的な理念を応用したタビストック・クリニックでは、早い段階から『リエゾン精神医学』の方法論が取り入れられていた。

リエゾン精神医学というのは、各分野の専門家が円滑に必要な情報交換をしながら、それぞれの能力(専門技能)と知識を生かして協働していく『実践的・分担的な精神医療体制』のことである。タビストック・クリニックでは、『精神科医・看護師・心理療法家(セラピスト)・クリニカルサイコロジスト・ソーシャルワーカー(社会福祉士,精神保健福祉士)』が連携して役割分担しながら、精神的問題(パーソナリティ障害)を抱えた患者の治療(臨床支援)に当たっていた。

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2009年08月13日

[統計学の多変量解析(multivariate analysis)]

統計学の多変量解析(multivariate analysis)

『多変量解析(multivariate analysis)』とは、複数の変数に関するデータに基づき、複数のデータ間の相関関係を分析したり変数の重みづけを調整したりする統計的な方法論のことである。一般的に複数の変数がどのような相関関係を持つかは、重相関や偏相関によって測定されるが、複数の変数をさまざまな方法・操作によって分析することを多変量解析と呼んでいる。

多変量解析よりもシンプルな解析として、『1変量解析』『2変量解析』があるが、1つの変数を取り扱う1変量解析では『平均値・中央値・最頻値・分散・標準偏差』などの指標が用いられる。2変量解析というのは、『国語の成績』と『数学の成績』などの2つの変数を用いる分析のことで、一般的には2つの変数の値を平面上にプロットした散布図などが用いられる。

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[MRIの家族療法における択一法(alternative technique)]

MRIの家族療法における択一法(alternative technique)

アメリカ西海岸に拠点を置くMRI(Mental Research Institute)では、システム論に基づく家族療法(family therapy)の研究・実践が行われていた。MRIの家族療法アプローチでは、家族を家族成員が相互に影響を与え合う一つの『家族システム』と見なして、その非適応的な『相互作用のあり方(コミュニケーションの内容・影響)』に介入して変化させようとするところに特徴がある。

家族の中に何か問題がある時に、ひとりの家族成員だけを『悪者(問題児)』にするのではなく、その家族成員の問題行動を引き起こしている『家族間の相互的コミュニケーション』に注目して改善するように働きかける。

家族間の相互的コミュニケーションにダブル・バインド(二重拘束)や否定的な言動の問題がある時には、家族成員に緊張・葛藤を与えるようなコミュニケーションの内容(行動・発言の内容)を良い方向に変容させていかなければならない。しかし、実際には今までの家庭生活でパターン化してきた『自分の家族に対する発言・行動の内容』を急速に変化させるのは難しいので、MRIの家族療法アプローチでは『自分の言動を変化させざるを得ない状況』を意図的に指示して作り上げることがある。

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[達成動機(achievement motive)・目標達成のモチベーションの分類]

達成動機(achievement motive)・目標達成のモチベーションの分類

人間が何かをやりたいという動機づけ(モチベーション)には、外部にある利益や報酬に依拠した『外発的動機づけ(extrinsic motivation)』と内面にある信念や価値選好に基づいた『内発的動機づけ(internal motivation)』とがある。達成動機(achievement motive)というのは、帰属する社会集団・人間関係において価値があるとされている目標を達成しようとする動機づけのことである。

『達成動機』には、他者からの賞賛や評価を求めるような『外発的な達成動機』もあれば、自分自身の自尊心や目的意識(自己実現)と関係した『内発的な達成動機』もある。一般に、達成動機には『平均以上のパフォーマンス(成果)』を上げたいという優越欲求(自尊感情)が強く関係していて、『競争原理・承認欲求』によって達成動機は更に強まっていく傾向が見られる。

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2009年08月08日

[タスクグループ(task-oriented group)と課題達成・問題解決]

タスクグループ(task-oriented group)と課題達成・問題解決

タスク(task)とは『仕事・課題』のことであり、タスクグループ(task-oriented group)は特定の仕事の遂行や課題の達成を目的として構成される機能的集団のことである。問題解決や課題達成を目的としたタスクグループのことをTグループと呼ぶこともあるが、Tグループの概念には、各種学校のクラスや企業・会社、官庁・役所などの社会的集団も含まれることになる。カウンセリングや心理療法の『事例研究・教育活動・技法の向上』などを目的として開催されるワークショップ(研究会)やセミナーなどもタスクグループとして理解することができる。

ゲシュタルト心理学のクルト・レヴィンは、集団に所属する個人間の関係性や全体的な結果に作用する『集団力学(グループ・ダイナミクス)』の研究をしていたが、集団力学が影響する社会集団にはタスクグループの他にもグロースグループ(growth group)などがある。『特定の問題解決・課題達成』を目的とするタスクグループは、客観的・具体的に成果を検証することができる集団活動を行うが、『心理的成長・人格の成熟』を目的とするグロースグループは、抽象的・心理的な内容のオープンな話し合いや告白などの活動を行うことが多い。

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[K.キーティングの抱っこ療法(hug therapy)]

K.キーティングの抱っこ療法(hug therapy)

看護師資格を有する心理療法家のキャサリン・キーティング(K.Keating)が提起した『抱っこ療法(hug therapy)』は、肌と肌を触れ合わせて安らぎや癒しを得る『スキンシップ・セラピー』の一種である。母親と赤ちゃんのスキンシップが健全な『愛着(attachment)』の形成に関係していることは良く知られている。

精神分析家のジョン・ボウルビィは不安感・孤独感を軽減する『愛着(アタッチメント)』が、良好な母子関係を形成することや乳幼児の健全な心身の発達に役立つことを指摘している。健全な愛着の形成によって『基本的信頼感・基本的安心感の獲得』が促進され、乳幼児期の子どもが母親を分離不安を緩和するための『心理的な安全基地』として活用することができるようになるのである。

スキンシップは『肌と肌の接触を伴うふれあい』のことであり、母親と子ども(乳幼児)の間の親密なふれあいの必要性と有効性は、H.F.ハーロウ(H.F.Harlow)のアカゲザルを用いた『はりがねマザーの実験』でも確認されている。

H.F.ハーロウの実験では、はりがねで出来ていてミルクの哺乳瓶を付けた『はりがねマザー』と毛布で出来ていてミルクの哺乳瓶が付いていない『布製マザー』の代理母親を準備した。アカゲザルの赤ちゃんは、ミルクを貰える『はりがねマザー』よりも、スキンシップの温かさ・肌触りの良さを得られる『布製マザー』のほうを好んだのである。

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2009年07月03日

[ダニエル・ベルの『脱工業化社会』とJ.K.ガルブレイスの『新しい産業国家』]

ダニエル・ベルの『脱工業化社会』とJ.K.ガルブレイスの『新しい産業国家』

産業経済が発達して大規模化したテクノクラシー(技術官僚支配)では、従来の『資本・生産手段などのハード部門』よりも『科学技術・専門知識などソフト部門』の重要性が高まるが、国民全体に影響を与える政治的意志決定においても、ソフト部門の専門家(技術者)の見識や主張が尊重されやすくなる。

テクノクラシーの進展は、市場経済の発達や産業構造の転換とも関係しているが、テクノクラシーを歴史的・経済学的文脈で更に的確に理解するためには、ダニエル・ベル(Daniel Bell, 1919-)『脱工業社会の到来』ジョン・ケネス・ガルブレイス(John Kenneth Galbraith, 1908-2006)『新しい産業国家』が参考になる。

ダニエル・ベルは科学技術の進歩や急速な経済成長によって、社会の階層分化が進み物的な生産物に対する需要が減少すると予測して、モノ(物理的な財)を生産する『工業社会・産業社会』の後に、知識・情報・サービスを組み合わせて知的な価値(ノウハウ)を生み出す『知識社会・情報社会』が到来すると主張した。

ダニエル・ベルの言う『脱工業化社会』とは、物理的な生産物(物的な財)に対する需要が減少して、知識的な生産物(知的な財)に対する需要が増加している知識社会(情報社会)のことである。現代のIT革命やグローバリゼーションを経験した『情報化社会・ネット社会』も、ベルの想像力の射程に収められていて、物的な財の氾濫とステイタス性の低下によって『モノの需要』が減少するという予測も当たっている部分がある。

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2009年06月25日

[A.A.ラザラスの多次元様式行動療法(multi-modal behavior therapy)][行動療法の目的行動]

A.A.ラザラスの多次元様式行動療法(multi-modal behavior therapy)

心理療法家のA.A.ラザラス(A.A.Lazarus)が開発した系統的なブリーフ・セラピー(短期療法)が『多次元様式行動療法』であり、クライアントのパーソナリティと認知行動パターンを多面的・総合的に理解しようとする技法である。

多次元様式行動療法の治療目標は『適応的な認知』『機能的な行動』の獲得であり、現在の認知行動療法の原型となるような心理療法である。クライアントの包括的・総合的なパーソナリティの把握と合わせて、非適応的な認知を変容させて非効果的な行動を改善させていくのだが、効果測定をしながらできるだけ短期に効果を発揮しようとするところに特徴がある。

多次元様式行動療法では、人間のパーソナリティ(特徴的な性格行動パターン)を以下の7つのレベル(次元)で把握するので、それらの頭文字を取って『Basic ID』と呼ばれることもある。

行動(Behavior)

感情(Affect)

感覚(Sensation)

イメージ(Imagery)

認知(Cognition)

対人関係(Interpersonal relationships)

薬物・薬理(Drugs)

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[ダウン症・ダウン症候群(Down's syndrome)]

ダウン症・ダウン症候群(Down's syndrome)

ダウン症・ダウン症候群(Down syndrome)は、1866年にイギリスの眼科医J.L.H.ダウンによって報告された先天性の症候群で、常染色体の異常によって発症する疾患である。J.L.H.ダウンは当初この症候群のことをつり上がった眼などの顔貌の特徴から『蒙古症(mongolism)』と呼んでいたが、蒙古症という名前はアジア系人種(モンゴル人)に対する人種差別的な意図が込められているとして、現在では『ダウン症候群(ダウン症)』という名称に統一されている。

L.ダウンが発表した論文『白痴の民族学的分類に関する考察』で、蒙古症(モンゴリズム)の身体的特徴として『目尻が上がっていてまぶたの肉が厚い、鼻が低い、頬がまるい、あごが未発達、体は小柄、髪の毛はウェーブではなくて直毛で薄い』などが挙げられている。ダウン症の身体的特徴・顔貌の特徴・各種の症状としては以下のようなものがある。

頭の縦の長さが標準に比べて短い。顔立ちにあまり起伏が見られない。鼻が極端に低い。眼が切れ上がっている。まぶたが深い二重になっている。首周りがふっくらとしている。皮膚がふにゃっとしていて伸展しやすい。耳の上の方が内側に折れ曲がっている。指が短い。親指と人差し指の間が大きく開いている。小指の間接が1つ足りないことがある。掌に猿線があり、指の文様が弓状である。筋肉の緊張が低く、運動機能の発達が悪い。知的障害(精神遅滞)が見られることが多い。免疫力が低く感染症に罹りやすい。心臓奇形や心疾患、消化管の奇形のリスクがある。眼の屈折異常(近視・遠視・乱視)が起こりやすく視力が低下しやすい。浸出性中耳炎に罹りやすい。

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[モデリング(観察学習)による代理強化(vicarious reinforcement)]

モデリング(観察学習)による代理強化(vicarious reinforcement)

A.バンデューラ(Albert Bandura, 1925-)による社会的学習理論では、『社会的行動の学習』は社会的場面において行われると定義している。社会的場面(社会環境)で『他者の行動・態度・発言』を観察することによって、新たな適応的行動を学習することを『モデリング(観察学習)』と呼ぶ。他者の行動を観察して新たな行動様式を学習する『モデリング』が成立するためには、『模範的な行動の観察』と『代理強化』が必要となる。

行動主義心理学(行動科学)では、学習行動は『個人の実際の経験(行動)』『連合的過程(刺激に対する反応の学習)』とによって成立すると考えられており、その行動原理として『レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)』『オペラント条件づけ(道具的条件づけ)』とがある。

レスポンデント条件づけでは『無条件刺激に対する無条件反射』の生理学的なS-R結合を利用して、『無条件刺激と条件刺激の対呈示』を行うことによって、『条件刺激に対する条件反応(条件反射)』を学習させるのである。

レスポンデント条件づけの最も代表的な事例が『パブロフの犬』であり、『食物という無条件刺激』のすぐ後に『ベルの音という条件刺激』を呈示することによって、ベルの音を聴くだけで犬が『唾液(条件反射)』を出すような学習が成立したのである。無条件刺激(食料)と無条件反射(唾液分泌)のS‐R結合が、条件刺激(ベルの音)と条件反射(唾液分泌)という新たなS‐R結合へと置き換えられる学習がレスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)である。

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[代理感情・交流分析のラケット]

代理感情・交流分析のラケット

エリック・バーンが開発した交流分析(TA:Transactional Analysis)では、相手の存在を認知する情緒的刺激(反応・態度)のことを『ストローク(stroke)』と呼ぶ。ストロークには、受け取ると心地良くなる『正のストローク』と受け取ると不快になる『負のストローク』とがあるが、正のストロークは自分の存在や言動を肯定するような作用を持つストロークである。正のストロークとして作用する言動・態度には、『共感・肯定・賞賛・慰め・同情・支持・愛情・好意』などさまざまなものがある。

負のストロークとして作用する言動・態度には『否定・非難・批判・罵倒・反対・攻撃・悪意・無視』などさまざまなものがあるが、負のストロークのことを『ラケット(racket)』という交流分析の専門用語で呼ぶことがある。ラケットは自分が感じている本当の感情ではない『代理感情』と関係していることがあり、自分が表現したり伝達したい本当の感情を抑圧して代替的な感情を表出する時に『ラケット(不快なストローク)』が発生しやすくなるのである。

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2009年06月16日

[ゲシュタルト療法の『対話ゲーム・ホットシート』]

ゲシュタルト療法の『対話ゲーム・ホットシート』

パールズ夫妻が開発したゲシュタルト療法については過去の記事でも解説してきたが、ゲシュタルト療法には役割演技(ロールプレイング)をする『対話ゲーム(games of dialogue)』という技法がある。対話ゲームでは『自分のパーソナリティの両極端な要素』を見つけ出し、その二つの対照的(両極)な要素や特徴の間で対話をさせることになる。ゲシュタルト療法のカウンセラーは、クライアントが自分の人格や内面にある『スプリット(両極端な分裂)』を発見できるように促進していくのだが、スプリットの内容は人間に限定されない。

ゲシュタルト療法では精神分析と同じように『夢の仕事(夢分析)』が行われることもあるが、その時には夢に登場する『動物・風景・事物・機械』など人間ではない対象(象徴)もスプリットの要素になってくる。夢の中で自分に襲い掛かってきた『クマ』と対話してみたり、今にも暗い海底に沈没しそうになっている『船』の立場に立って言葉を喋ってみたりすることで、『自分の内的世界に抑圧されている感情・記憶・欲求』などが次第に明らかになってきて自己の統合性(本来の自分)に気づきやすくなるのである。

スプリット(対照的な両極の分裂)に基づく対話ゲームでは、主要なテーマとして『強い自分対弱い自分』『勇敢な自分対臆病な自分』『社交的な自分対ひきこもりの自分』『優秀で適応的な自分対劣等で非適応的な自分』などの対話の図式(二つの両極端な要素)が浮かび上がってくることがある。もちろん、上記の『夢の仕事』の例に挙げたように、これらの主要テーマでは『人間以外の動物・モノ』との間で自己洞察につながる有意義な対話が行われることも少なくない。

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[ローゼンマンとフリードマンの『タイプA性格』]

ローゼンマンとフリードマンの『タイプA性格』

アメリカの精神科医であるR.ローゼンマン(R.Rosenman)N.フリードマン(N.Friedman)が、多くの臨床経験を元に発見した心臓疾患(冠動脈疾患)を発症しやすい性格類型が『タイプA性格』である。ローゼンマンとフリードマンは心筋梗塞・冠動脈疾患・心臓発作など『虚血性心疾患』を起こした患者に対して、性格行動パターンを明らかにするための構造化面接を実施した。その結果、心疾患を発症しやすい性格類型として浮かび上がってきたのが、以下のような特徴を持つタイプA性格である。

成功願望や競争心が平均以上に強く、非常に野心的で負けず嫌いである。

時間的な切迫感や心理的なイライラが強く、いつも時間と仕事に追われていて余裕がない。

他人に対する攻撃性や敵対心が強く、相手が反対したり抵抗するとすぐに怒る。

『自分は何があっても頑張らなければならない・絶対に競争に打ち勝って成功しなければならない』という強迫性が強い。

タイプA性格の人は『競争心が強すぎて心理的・時間的な余裕がなく、他人と敵対して怒りやすい』という性格行動パターンの特徴のために、慢性的なストレスに晒されやすくなっている。ちょっとした不満や失敗などがあると、すぐに激怒して興奮するために、一気に血圧が上昇して心臓・脳の血管にも過剰な負担がかかりやすくなるのである。負けず嫌いで体調不良を認めることもないため、自分でも気づかない内に精神的ストレスを溜め込んで心身共に疲労することがある。そういった毎日の心理社会的要因の積み重ねによって、タイプA性格の人は『心身症としての虚血性心疾患』を発症するリスクが高まってしまうのである。

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2009年06月11日

[対人欲求の分類図式(diagram of interpersonal needs)・支配と服従の欲求]

対人欲求の分類図式(diagram of interpersonal needs)

人間の欲求には多種多様なものがあるが、『食欲・性欲・睡眠欲・安全の欲求』といった基本的欲求を除けば、多くの欲求は『他者の反応・他者との関係性』によって満たされる対人欲求に分類される。心理学の第三勢力であるヒューマニスティック心理学(人間性心理学)では、アブラハム・マズローの『欲求階層説』がよく知られているが、この欲求階層説でも『親和欲求(所属の欲求)・承認欲求(自尊欲求)』が対人欲求として定義されている。

最高次の欲求である自我の枠組みを超えた『自己実現の欲求』も、『社会・他者との係わり合い』の中で、自己の潜在的な能力や本来的な意志を実現するという意味合いがあり、自己実現欲求の一部には『対人欲求(interpersonal needs,wants)』も含まれているのである。

人間の対人欲求には『他者と関わりたいという外向的な親和欲求』『他者と余り関わりたくないという内向的な拒否欲求』との分類があるが、精神疾患や人格障害、対人恐怖症などの要因が無ければ、誰もが多かれ少なかれ『好きな相手(興味を持てる相手)と人間関係を築きたい・自分の価値や魅力を認められたい』という対人欲求(親和欲求・承認欲求)を持っていると推測される。

人間の対人欲求には『親和欲求‐拒否欲求』の対立軸と『支配欲求‐従属欲求(服従欲求)』の対立軸があると仮定されるが、日本の心理学者・齋藤勇はこの仮説に従って人間の対人欲求を分類して図式化している。

『支配欲求』というのは、相手よりも優位な立場に立って、相手に指示・命令を出してコントロールしたいという欲求のことであり、『従属欲求(服従欲求)』というのは相手よりも劣位な立場に立って、相手や集団の指示に従うことで安定した居場所や役割を手に入れたいという欲求である。

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[アドラー心理学の代替案(alternatives)・代償行動(substitution)と補償]

アドラー心理学の代替案(alternatives)

オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラー(Alfred Adler, 1870-1937)は、S.フロイトの精神分析と理論的に対立して独自のアドラー心理学(個人心理学)を創始した。アドラー心理学は人間の精神活動の基本原理を『劣等性の補償=優越への意志』に置いているが、アドラー心理学に基づくカウンセリングは『人間関係の分析・現実的な目的の達成』を重視するかなり実践的(実用的)なものである。

A.アドラーは人間は自分の弱点・欠点が集中する器官(部分・能力)に対して『器官劣等性』を抱き、それが複雑な『劣等性コンプレックス』の原因になると考えた。しかし、この発達早期〜思春期・青年期にかけて形成される『劣等性コンプレックス』は、劣等感を抱かなくても済む『異なる分野(自分の得意な分野)』の活動で実績を挙げることによって補償されることになる。

A.アドラーは人間の基本的な行動原則や精神活動は、優越への意志に基づくこの『劣等性の補償』によって説明可能であると考えたが、後期のアドラー心理学では、『劣等性の補償』よりも『社会適応的な共同体感覚=他者との共感的・協力的な連帯感』のほうを精神の健康性や発展性の条件として重視するようになった。A.アドラーの個人心理学では、『部分的な要素・機能』に分割できない全体性を持つ『個人・人格(individual)』を対象としており、『共同体感覚』を持って『劣等性の補償』を行いながら積極的に社会参加する個人を目標にしている。個人心理学(アドラー心理学)では、劣等感を補償して他者と連帯しながら社会参加できる個人こそが、最も適応的で充実した人生を送れると仮定している。

アドラー心理学のカウンセリング技法として知られる『代替案(alternatives)』というのは、コミュニケーションや社会生活・対人関係の改善に用いられる技法で、『今とは違う方法・やり方の実践』をアドバイスするものである。アドラーの代替案というのは、認知行動療法的な『行動実験』に近いものである。

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[対抗脅威(counter threat)・対抗パラドックス(counter paradox)]

対抗脅威(counter threat)

軍拡競争や過剰防衛(過剰報復)を説明することができる概念が、A.W.コームズ(A.W.Combs)が提唱した『対抗脅威(counter threat)』である。対抗脅威というのは、BがAを攻撃しようとした場合に、AがBに対して反撃・報復しようとすることを予測することであり、対抗脅威によって相互的に『相手に対する攻撃の強さ』が強くなりやすい。相手からの反撃・復讐の脅威を意識することによって、相手が反撃できないくらいに徹底的にダメージを与えなければならないという動機づけが高まるということであるが、これは国家間の戦争・先制攻撃の原理などにも関係している。

個人間の喧嘩や対立においても『やられる前にやってしまえ』という対抗脅威が働くことがあり、お互いに対抗脅威を高めることによって相手に大怪我をさせたり死亡させたりする危険が出てくる。対抗脅威を和らげて平和的に問題を解決するためには、『相手への攻撃・非難をやめる』か『相手への反撃・復讐を抑制する』かしなければならず、『自分には相手に危害を加えるつもりはない』という明確なメッセージを伝えることが必要である。

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[対抗同一性(counter identity)と自己アイデンティティ]

対抗同一性(counter identity)と自己アイデンティティ

『他者・社会との対立性(反対性)』によって、自己アイデンティティを確認する形態を『対抗同一性(counter identity)』と呼ぶ。対抗同一性によって自己アイデンティティを確立している典型的な事例としては『天の邪鬼・へそ曲がり・偏屈な人(変わり者)・反社会的パーソナリティ・暴走族やヤンキー・暴力団』などがあるが、そこに共通するのは社会で共有されている常識や価値観に迎合せずに反発する精神性である。

良く言えば『反骨精神・初志貫徹・一貫性・意志が強い・自分を持っている』という評価が為されることがあるが、悪く言えば『協調性がない・非常識・分からず屋・自己中心的』といった批判を受けることもある。対抗同一性のアイデンティティには一長一短があるが、『表面的なポーズとしての反抗』と『無意識的な抵抗としての反抗』は区別する必要があるし、『思想的・政治的・社会貢献的な信念やビジョンに基づく反抗』の中には歴史的な意義(社会変革・技術革新をもたらす意義)を持つようになったものもある。

エリク・エリクソンは社会的精神発達理論(ライフサイクル論)の中で、青年期の発達課題を『自我アイデンティティの確立』としたが、通常の社会的役割や社会集団への帰属に上手く適応できない時に、対抗同一性による自己アイデンティティが形成されることにある。

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[代謝異常(dysbolism):新生児のマス・スクリーニングと先天性代謝異常]

代謝異常(dysbolism):新生児のマス・スクリーニングと先天性代謝異常

『代謝(たいしゃ)』とは、身体・精神の状態を安定的に保つために、生体内で発生している化学反応のことであり、大きく分けて『物質代謝』『エネルギー代謝』の二つがある。代謝はホメオスタシス(生体恒常性)の維持にも関係している化学反応であり、『栄養(食物)の分解・吸収・排泄』のプロセスを実現して、生命活動に必要なエネルギーを取り出している。代謝経路としては、解糖系、β酸化、TCA回路、電子伝達系などが知られているが、代謝における化学反応(分解・合成)は酵素あるいはタンパク質によって行われる。

細胞内で物質を変換する『物質代謝』には、外部の物質を分解してATP(生体エネルギー)を取り出す『異化』と、ATPなどのエネルギーを活用して生体高分子(タンパク質)を合成する『同化』がある。エネルギー産生の観点から見た『エネルギー代謝』では、物質代謝に必要な還元力と合わせて『熱・電気・光』といった物質のエネルギーへの変換プロセスが重視されている。生命体の健康と安定が維持されるためには、『異化』と『同化』の代謝系の反応のバランスが取れていなければならないが、そのバランスや正常な機能が崩れた時に『代謝異常(dysbolism)』が発生してしまう。

インシュリン分泌量が不足して血糖値が上がってしまう『糖尿病』、脳下垂体が関係する成長ホルモンの内分泌系に問題があって起こる『発育障害』、甲状腺ホルモンの分泌障害である『甲状腺ホルモン亢進症(バセドー病)・甲状腺ホルモン低下症』などをはじめとして、代謝障害には生体ホルモンの分泌障害が関係していることが多い。

遺伝的(先天的)な酵素の欠損を原因とする疾患を総称して『先天性代謝障害』と呼ぶが、先天性代謝障害の医学的対処では『早期発見・早期治療』が極めて重要である。そのため昭和52年以降は、新生児に対して異常発見のための『集団検査(マス・スクリーニング)』が実施されるようになっている。

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posted by ESDV Words Labo at 16:58 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする