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2009年06月04日

[精神分析の『退行・固着』と神経症症状,転移と逆転移(対抗感情転移)]

精神分析の『退行・固着』と神経症症状

S.フロイトが創始した精神分析の精神病理学では、『退行(regression)・固着(fixation)』によって神経症の症状の形成・維持・転帰が説明されるが、『退行』は自我を苦痛や不安から守るための自我防衛機制として用いられることもある。『退行(regression)』というのは、発達段階の早期(子ども時代)へと精神状態が逆戻りすることであり、『幼稚な性格行動パターン(=依存的な言動・わがままで利己的な訴え・泣き落としによる懇願・情緒不安定な態度)』によって自分の欲求を操作的に満たそうとする特徴がある。

精神分析のリビドー発達論(性的精神発達論)では、人間の精神の発達段階はリビドーの充足が起こる部位によって『口愛期(口唇期)・肛門期・男根期・潜伏期・性器期』に分類されるが、『退行』が起こる場合には『口愛期(口唇期)・肛門期・男根期』の発達段階へとリビドー(性的欲動)が逆戻りすることになる。どの発達段階にリビドー・精神状態が退行するかは、『過去の情緒的体験で形成された固着点』によって変化してくるが、精神分析ではリビドーの『固着・退行』によって精神病理が発症すると考えられている。

ある発達段階で、リビドーが過剰に満たされる『過保護・過干渉・甘やかし』があったり、リビドーの充足が阻害されて過度の欲求不満が起こる『心的外傷・虐待・ネグレクト』があったりすると『固着』が起こり、その段階にリビドーが逆戻りする『固着点』が確立されることになる。リビドー(精神状態)が退行していく『固着点』とは、“愛情・依存・自立・ストレス耐性”などを巡る未解決の心理的課題が残されている地点である。過去のトラウマや過干渉(甘やかし)などによって『固着』が生まれると、成長してからも大きなストレスや苦悩に晒された時に、『幼児返り(幼児的な言動)』をすることで他人に依存したり自分を守ったりしようとするようになる。

『退行』の防衛機制そのものは必ずしも精神疾患(精神病・神経症)と相関しているわけではなく、メンタルヘルスが健康な人でも『相手・状況・場面・アルコール摂取』などによって、子どもっぽい態度を取ったり甘えた発言をする『正常範囲の退行』が起こることがある。健康な人の退行というのは『一時的・部分的・演技的な子ども返り』であり、恋人・配偶者に一時的に甘えて安心感を得たい時やお酒を飲んで日常のストレスを気持ちよく発散したい時(お酒で陽気になり饒舌な態度を取っている時)、信頼できる人にちょっとふざけて甘えたい時などに退行が起こることがある。

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[E.T.ジェンドリンの体験過程療法(experiential psychotherapy)]

E.T.ジェンドリンの体験過程療法(experiential psychotherapy)

アメリカの心理学者ユージン・ジェンドリン(Eugene T. Gendlin, 1926年-)が開発したフォーカシング(focusing)の技法は、身体感覚の変化や内的体験の知覚に注目してセラピーを進行する画期的な技法であった。E.T.ジェンドリンは、C.R.ロジャーズの来談者中心療法(クライエント中心療法)の流れを汲んでいるセラピスト(リスナー)であるが、ロジャーズの『有機体的経験』の概念を『体験過程』の概念によって臨床的・技法的に拡張することに成功した。

カール・ロジャーズのクライエント中心療法では、『共感的な理解・自己一致・無条件の肯定的受容』といったクライエントを全人的に理解しようとするカウンセラーの態度が重視されるが、E.T.ジェンドリンは『クライアントの発言や態度から、カウンセラーは何を共感的に理解するのか?』に着目して『感覚的な体験過程』という理解の対象となる体験(内的な感じ)を考案したのである。つまり、フォーカシングという心理療法の技法は『クライアントの内的体験・身体感覚・感情経験のプロセス』に焦点を当てて、内面にある『何か気になる感じ(感覚)』を感じ取って言語化する技法なのである。

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[退却神経症(retreat neurosis)とモラトリアム(進路選択の回避)]

退却神経症(retreat neurosis)とモラトリアム(進路選択の回避)

精神科医の笠原嘉(かさはら・よみし)が定義した“意欲減退症状”や“本業への無気力・無関心”を中心とする神経症のことを『退却神経症(retreat neurosis)』と言う。退却神経症の特徴と問題点、対処法については『アパシー・シンドローム(apathy syndrome)と退却神経症』の項目で詳細な説明をしているので参考にしてみて欲しい。ハーバード大学の精神科医R.H.ウォルターズ(R.H.Walters)によって提起されたアパシー・シンドローム(意欲減退症候群)の無気力症状は、青年期における発達課題である『自己アイデンティティの確立・社会的役割の享受』に失敗した時に発症リスクが高まるとされる。

笠原嘉の退却神経症における『退却(retreat)』というのは、『本来やらなければならない本業からの撤退・果たすべき社会的責任の放棄』という意味であり、『本業ではない副業・趣味・活動への意欲』はある程度維持されるところに特徴がある。退却神経症やアパシー・シンドロームは、『ひきこもり・ニート(NEET)』の問題と関連づけて語られることがあるが、あらゆる社会的活動や人間関係からの撤退が起こって社会適応性を完全に失うことが多い『ひきこもり』の問題とは別種のものである。

仕事をしておらず、学校にも通学しておらず、職業訓練も受けていない『ニート(NEET)』の場合には、『仕事以外の人間関係・趣味教養・遊び』には興味関心・意欲を持てることがあり、退却神経症やアパシーの問題が関係していることも少なからずある。本業(仕事・通学)ができないのに、副業・趣味的活動であればできるという心理には、『本気を出して本業で挫折したくない・社会的に低く評価されたくないという自我防衛機制』が深く関与しており、社会的アイデンティティ(職業・地位・役割)を意図的に選択しない『モラトリアム(猶予期間)』によって正式な社会的評価を免れているのである。

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[C.H.クーリーの第一次集団(primary group)と集団の発達過程]

C.H.クーリーの第一次集団(primary group)と集団の発達過程

人間は身体・精神の発達段階に応じて、『付き合う人間関係の範囲』『所属する社会集団の性質』が変化してくるが、特に『母子分離不安の克服』をある程度達成してくる3〜4歳時以降の時期から人間関係の拡大が始まる。人間関係は一般的に、『家族(親子関係)→集団的な友人関係(集団の一員としての参加)→個人的な友人関係(親友)→親密な異性関係(恋人・配偶者)→家族の再生産(自分の家族の形成)』というように発展していく。

発達心理学では、この集団関係の発達段階は『小学生時代のギャング・グループ→中学生世代のチャム・グループ→思春期以降のピア・グループ』という分類を為されることもある。ギャング・グループ、チャム・グループ、ピア・グループのそれぞれの簡単な定義は以下のようなものになるが、これらのグループは年齢によって『固定的な定義』ができるわけではなく、既婚者を含めてどの年齢層であってもギャング・グループやチャム・グループに参加する可能性はある。

ギャング・グループ(gang group)……児童期後期(9〜12歳頃)に形成されるメンバーの人数が多い徒党集団で、仲間と同じ『同一行動』を取ることによって『仲間からの承認(仲間との一体感)・集団の凝集性・秘密の保持』を実現する傾向がある。仲間と同じようなファッションをしたり同一の行動様式・価値観を身に付けたりすることが重視され、集団内のルールを守らなかったり秘密を漏らしたりすると仲間はずれや無視などの制裁を受けることがある。

チャム・グループ(cham group)……思春期前期(13〜15歳頃)に形成される3〜5人程度の複数のメンバーがいる仲良し集団で、一般的に『親友』と呼べるような友達関係が作られていくことになる。仲間と同じ行動や態度を取る外見的な『同一行動』よりも、内面的な『共通性(類似性)』のほうが重要視される傾向があり、集団内での異質性に対する許容度はギャング・グループよりも高い。

ピア・グループ(pear group)……精神的な成長や人格的な成熟に基づいて形成される安定した人間関係で、1対1の関係であることもあれば、集団の一員としての関係であることもある。『自己と他者との差異・対立』を受け容れて認めることができる関係であり、『他者の権利・感情・価値観』を自分と同じように尊重できる態度に最大の特徴がある。『集団への同調圧力』による排除(仲間外し)や『価値観の対立』による攻撃性(いじめ)などが起こりにくい関係性であり、『相手の立場や考え方への想像力・配慮性』の発達によって相互的な信頼関係を深めることができる。

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2009年05月28日

[ダイアナ・コンプレックス(Diana complex)]

ダイアナ・コンプレックス(Diana complex)

ダイアナ・コンプレックス(Diana complex)というのは、周辺環境のストレスや夫との夫婦関係の危機によってメンタルヘルスの不調が伝えられていた英国の故ダイアナ皇太子妃と関係した概念ではなく、『女性の中の男性性』を象徴するローマ神話のダイアナに由来するコンプレックスである。ローマ神話に登場するダイアナ(ディアナ)は、ローマ神話の原型(モチーフ)となったギリシア神話では狩猟と純潔性の神アルテミスのことを指している。

アルテミス(ダイアナ)は高潔な処女神であり、『狩猟・純潔』を司る山野・森林の神でもあるが、太陽神アポロンは雷神ゼウスを同じ父に持つ兄妹とされている。アルテミス(ダイアナ)は『狩猟の神』なので百発百中の弓矢を携えており、動物を従えた勇敢で敏捷な女神の姿として描かれることが多いのだが、『純潔(処女性)の神』なので異性との恋愛や性的交渉は許されていないという宿命を背負っている。

アルテミスはポセイドンの息子で『最高の猟師・戦士』として知られるオリオンと恋に落ちかけるのだが、兄のアポロンの謀略によってアルテミスは愛するオリオンを自らの弓矢で射殺してしまう。このアルテミスの悲劇は、ゼウスがオリオンを星座として天空に引き上げるきっかけとなったエピソードでもある。

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2009年01月15日

[グレゴリー・ベイトソンのダブル・バインド理論(double bind theory)と芸術のユーモア]

グレゴリー・ベイトソンのダブル・バインド理論(double bind theory)と芸術のユーモア

『精神の生態学』を構想した社会学者・文化人類学者のグレゴリー・ベイトソン(Gregory Bateson, 1904-1980)は、不快な緊張感や不安感を生起させるコミュニケーション・パターンについて『ダブル・バインド理論(double bind theory)』を提唱した。ダブル・バインドは『二重拘束』と翻訳されるように、二つの異なる内容のメッセージを受け取ることで精神状態が拘束されて身動きが取れなくなることを意味する。ダブル・バインド状態(二重拘束状態)は、階層(レベル)の異なる二つ以上の矛盾したメッセージを受け取ることで発生するが、ダブル・バインドが発生すると苦痛な混乱や緊張を感じて自由な意志決定が不可能になってしまう。

グレゴリー・ベイトソンは1956年の『精神分裂病の理論化に向けて』という論文の中でダブル・バインド理論を呈示していて、元々は旧・精神分裂病(現在の統合失調症)の発症原因の一つと考えられていた。ダブル・バインド状況とは、簡単に言えば内容が矛盾する二つ以上のメッセージを受け取ってしまい、どうしていいか分からなくなって混乱してしまうことであるが、ベイトソンはその苦痛な葛藤状況の反復(繰り返し)によって精神分裂病の発症リスクが高まると考えていたのである。現在の精神病理学では、幼少期のダブル・バインドが統合失調症の心理的原因として認められているわけではないが、ダブル・バインドによって心理的な苦痛や葛藤が生まれることは確認されている。

ダブル・バインド理論については[家族療法の中心的研究機関としてのMRI(Mental Research Institute), グレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論(二重拘束理論)]の記事でも説明しているが、ダブル・バインドはバートランド・ラッセルの論理階型理論を前提としている。人間が意志・感情・意図を伝達するメッセージには『複数の論理的な階型(レベル)』があるという仮説であり、ある内容を伝える表面的(ベタ)なメッセージには、その上位階型(メタレベル)にあるメタ・メッセージがついてくるのである。現実的メッセージには、必ず何らかのメタ・メッセージを読み取ることができるといっても良いのだが、これはメッセージには『意図・感情・要求』などが暗黙裡に含まれているからである。

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2008年12月30日

[ツァラのダダイズム(Dadaism)・否定と破壊の反芸術思潮]

ツァラのダダイズム(Dadaism)・否定と破壊の反芸術思潮

『ダダイズム(Dadaism)』とは第一次大戦中の1910年代にヨーロッパで起こった芸術運動であり、『ダダ』という言葉自体はスイスのチューリッヒにあったキャバレー・ヴォルテールに集った芸術家・文芸家によって生み出された。ダダイズム(ダダイスム)は伝統的な価値観や芸術手法をラディカルに否定しようとする前衛的(アバンギャルド)な芸術運動であり、人類史上初の『総力戦(大量殺戮を伴う近代兵器の衝突)』となった第一次世界大戦の悲惨極まりない状況を前にした『虚無主義(ニヒリズム)』をベースにしていた。

第一次世界大戦を生み出した既成秩序や社会常識、西洋文明の伝統に抵抗して『破壊・否定・攻撃』を唱導するダダイズムは、その後のシュルレアリスムの流れにも大きな影響を与えることになった。そのため、ダダイズムの発生は第一次大戦に対する『反戦・厭戦の気分』と完全に切り離して考えることはできない。

『ダダ』という名称はキャバレー・ヴォルテール(チューリッヒ)の常連であったルーマニアの詩人トリスタン・ツァラが1916年に命名したとされるが、ダダイズムの運動自体はヨーロッパの主要都市とアメリカのニューヨークなどで同時多発的に拡散していった。チューリッヒのダダイズムに関係した人物には、トリスタン・ツァラ、ヒューゴー・バル(キャバレー・ヴォルテールの主催者)、ハンス・アルプ、リヒャルト・ヒュルゼンベック、マルセル・ヤンコ、ハンス・リヒターなどがいる。ニューヨークのダダイズムに関係した人物には、F.ピカビア、K.シュヴィッタース、M.レイ、M.デュシャンらがいるが、『アサンブラージュ・コラージュ・フォトモンタージュ』などの斬新な芸術技法を取り入れた造形運動はニューヨークにはほとんど広まらずフランスのパリで行われた。

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[ダーウィンの進化論とダーウィニズム,ネオ・ダーウィニズムの思想:2]

ダーウィンの進化論とダーウィニズム,ネオ・ダーウィニズムの思想:2

「前回の記事」の続きになるが、チャールズ・ダーウィンは『種の起源(1859年)』の後に、『人間の由来と性に関連した選択(1871年)』『人及び動物の表情について(1872年)』を発表して、動物と人間の生物学的な連続性や生物の異性選択(性選択)の重要性について説明した。

ダーウィンは、ヒトがどのような特徴を持つ異性に魅力を感じて生殖するのかという『性選択(性淘汰)』によって、『人種間・文化間の多様性および他の動物からの進化可能性』を説明することができると考えたのである。ダーウィニズムは獲得形質が遺伝するという『ラマルキズム(用不用説)』を否定する立場の思想であるが、進化に生物個体の主体的な行動・習慣・意図が反映して、『一世代で習得した形質(特徴)』が子に受け継がれるというラマルキズムは現代の生物学でも否定されている。1900年頃になるとメンデル遺伝学が発展してダーウィニズムの信頼性は低下するが、ダーウィニズムはメンデル以前のA.ワイズマンの生殖質細胞を仮定する学説の影響も受けている。

また、ダーウィンの時代にはダーウィニズムの明確な定義はなく、適者生存を中核理念とするハーバート・スペンサー『社会進化論』フランシス・ゴールトンの劣等な遺伝子を駆逐して優等な遺伝子を残そうとする『優生学』がダーウィニズムと混同されているような状況があった。20世紀中頃にメンデル遺伝学を基盤とする集団遺伝学が、自然選択説と遺伝学を結びつけることに成功するが、その過程ではモーガンのショウジョウバエの実験に基づく『染色体遺伝子説』が大きな貢献をした。

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[老荘思想のタオイズムとカプラのタオ自然学]

老荘思想のタオイズムとカプラのタオ自然学

古代中国の春秋戦国時代(紀元前770年〜紀元前221年)には『諸子百家(百家争鳴)の思想』が隆盛したが、孔子・孟子の確立した『儒家(儒学)』と対照的な教義・理念を持つ学派が老子・荘子の『道家』である。道家の思想は『老荘思想』とも呼ばれるが、身分秩序に基づく徳治政治(王道政治)を説く孔子・孟子の儒教とは異なり、老荘思想は『世俗の政治・名声・利益』からできるだけ遠ざかろうとする『隠遁思想』としての特徴を持っている。

『孔孟の道』とも呼ばれる儒教(儒学)は天命に従う士大夫(為政者)の徳目と実践を説く『世俗の“陽”の思想』であり、老荘思想と呼ばれる道教(道家)は『無為自然(人為的な行動を何もせずに自然に任せること)』を行動原理とする隠遁者としての生き方を説く『脱俗の“陰”の思想』というように捉えることができる。

道家の始祖である老子(B.C.5世紀頃)はその歴史的実在が確認されていない謎の人物であり、姓は李、名は耳、字(あざな)をタンといったとされる。老子は道家の思想を比喩的にまとめた『老子(老子道徳経)』を書いているが、その文章は短くて曖昧であり老子の『道(タオ)』『無為自然』の思想の全貌を詳しく解き明かしているものではない。

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[ダーウィンの進化論とダーウィニズム,ネオ・ダーウィニズムの思想:1]

ダーウィンの進化論とダーウィニズム,ネオ・ダーウィニズムの思想:1

イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin, 1809-1882)が提起した『進化論(進化説)』に由来する一連の思想・概念・世界観を総称して『ダーウィニズム(Darwinism)』と呼んでいる。チャールズ・ダーウィンが『種の起源(1859年)』の著作を通して主張した進化論とは、『自然選択(自然淘汰)』『突然変異』という二つの基本原理に基づいて生物の種が進化(変化)するという仮説である。

ダーウィニズムという用語そのものは、1860年にダーウィン理論の同調者であるトマス・ヘンリー・ハクスリーが作成したものであるが、初期のダーウィニズムはマルサスの人口論ハーバート・スペンサー適者生存の概念(社会進化論的なスキーム)を包摂することもあった。

『自然選択(自然淘汰)』というと強い個体(種)が弱い個体(種)に生存競争で勝利して滅ぼしていくという『弱肉強食』のイメージが思い浮かべられやすいが、進化論でいう自然選択とは『より良く環境に適応した個体』が生き残っていくという説明原理であり、個体同士の物理的な強弱は必ずしも重要なものではない。

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2008年12月23日

[近代哲学の対象化とマルティン・ハイデガーの脱自(エクスターゼ)]

近代哲学の対象化とマルティン・ハイデガーの脱自

古代ギリシアのソクラテスプラトンから始まる形而上学は、『真・善・美』といったイデアを観想して追求する哲学であり、現象世界において知覚できない『真理(イデア)』を対象化した精神的営為であった。ルネ・デカルトの根本原理としての『自我の発見』から始まる近代哲学は、デカルトの『我思う、故に我あり』の言葉に象徴されるように、“私(自我)”という主観(subject)が“モノ・現象”としての客観(object)に働きかける形式の精神的営為である。

“主観(主体)”と“客観(客体)”の関係をどのように認識するのかという哲学史上の問題(トピック)は『主客問題』として有名である。近代哲学の歴史的経緯の中で主客問題に重要な業績を残した思想として、エドムンド・フッサールの現象学セーレン・キルケゴール以降の実存主義などがある。しかし一般的に、人間の精神活動は『現実的な対象物』を対象化(客体化)していくという本質からは逃れられず、人間の精神機能である『感覚・知覚・認知・思考』は対象化の作用を内在している。

自然界のモノ(事物)や人間社会の出来事(事象)などは、それそのものが『人間(主体)にとっての客体(対象)』というわけではなく、人間の意識作用(感覚・知覚・注意・思考)が加わった場合に『客体(対象)』となって立ち上がってくる。即ち、主体(主観)と客体(対象)との相関関係によって『客体(対象)』が生成されるのであり、客体を生成する対象化作用が人間の意識・自我なのである。

人間の意識(自我)とは無関係に客体(対象)が実在するという『唯物論』のような立場もあるが、人間の築き上げてきた文明・科学・道具(機械)と対象化作用を切り離して考えることはできない。対象化作用が人類にもたらした最大の影響は『科学技術の開発(自然界の征服)』『物質文明の豊かさ』であり、その反作用として『石油文明による環境破壊』『欲望の肥大によるエゴイズム・戦争』などがある。

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2008年12月22日

[オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』と近代的な大衆社会観]

オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』と近代的な大衆社会観

近代国家における大衆社会の階層分化について[知識人階級(インテリゲンチャ)と大衆社会]で説明し、自己と他者の社会経済的活動を画一化する『大衆社会』を加速度的に促進したマスメディアについて[大衆文化とマスメディア・マスコミュニケーション]で考えてみた。一般的に、『大衆』と呼ばれる人間集団は『王侯・貴族・資産家・権力者・知識人』などと区別されるが、『大衆社会』とは個人間の価値観(精神活動)やライフスタイルの差異が縮小していく社会のことであり、身分制度が廃絶されており給与所得者であるサラリーマンが人口の大半を占める現代社会は必然的に大衆社会へと行き着く構造を持っている。

個人が意見や知識を発信するインターネットが普及して、社会から中心的な価値観(強制的な規範性)が失われた現代日本のような社会は、『ライフスタイル・価値観の多様性』が担保されているという意味では従来的な大衆社会ではないのではないかという解釈もある。大衆社会を『個人間の属性の差異』が縮小していく社会であると定義すれば、確かに現代の先進国の自由主義的な社会は大衆社会ではないという見方もできるが、マスメディアやインターネットの発達によって『メディア情報+検索情報が消費生活を規定するという側面』が強化されており、現代社会は消費文明社会と大衆社会のアマルガムとして認識することができる。

現代社会は『大衆消費社会』であると同時に『大衆情報化社会』であり、『生産活動(仕事)・消費活動(商品と娯楽)・コミュニケーション(言語)』によって自己アイデンティティが規定されるという仕組みを持っており、その大衆的な自己アイデンティティの記号性の枠組みから誰も抜け出すことができないようになっている。

哲学史・現代思想の文脈でも大衆社会(大衆文化)を考察した理論仮説は数多くあるが、ナチズムを経験したハンナ・アーレント(1906-1975)は第一次世界大戦による伝統的な既成秩序や共同体原理の破壊が『大衆の無力感・絶望感』を強化したといい、ナチズムのような全体主義(ファシズム)と感情的・無目的的な大衆社会との必然的な結合を憂慮した。

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[タイ王国の社会構造の変化(近代化)とサクディナ(封建思想)]

タイ王国の社会構造の変化(近代化)とサクディナ(封建思想)

2008年には、コネと賄賂が横行した旧タクシン政権の腐敗政治(利権構造)に対するタイ国民の激しい反発が起こり、『タイの政局』は軍部+反タクシン派の守旧派勢力とタクシン派の政治勢力(改革派勢力)が対立する混乱に陥った。バンコクの首相府や空港を占拠するなどした『反タクシン派の市民運動』を軍部が支援したこともあり、タクシン派のサマック・スントラウェート首相とソムチャイ首相は政権の座を追われることになったが、この擬似的なクーデターによってタイ王国の階級社会(旧来的な利権の癒着構造)を突き崩そうとしたタクシン元首相の改革は頓挫した。

タクシン元首相の政治改革は、不正蓄財などの『負の側面』がクローズアップされやすいのだが、全体的にその改革の内容を見ると経済活動の自由化(規制緩和)や官僚政治の変革を推進するものであり、必ずしもタイの将来にとってマイナスになるものばかりではなかった。タクシン氏の支持勢力の大半が、地方のバラマキ政治の恩恵に預かっていた低所得層や農民層であり、タクシン氏の改革は封建主義的な利権構造のパイを地方や低所得層に拡散させていくという目的も持っていた。

反タクシン派の市民団体の構成員のほとんどは都市部のエリート層・労働者層で比較的裕福な市民であるが、タクシン政権が崩壊させられた最大の要因は旧貴族階層・官僚階層の利権構造に厳しくメスを入れようとしたからだとも言われている。旧貴族層・官僚層が主体となった硬直的な経済支配を突き崩そうとしたタクシン元首相だったが、支配階層だけではなく従来の『利権構造の変化』を嫌う都市部の有権者層の強い反発を受けて政権を転覆させられたのである。現在もタクシン派の支持層(改革派)と反対層(守旧派)の間の不安定要因は多く残っていて、アピシット首相が12月20日にプミポン国王の承認を得て発足させた新政権の前途は多難と見られている。

タイはラーマ9世(プーミポンアドゥンラヤデート王)を国家元首とする立憲君主制の王国であり、タイ国王は国民からの強い敬愛と支持を受けていることで知られる。2006年に軍事クーデターが発生したが、プミポン国王が仲介に乗り出して政治対立を鎮静させその後は暫定的な軍事政権が敷かれていた。2007年にタイ王国憲法が公布されると選挙が行われて民政(文民政権)への復帰がスタートしたが、タクシン元首相の収賄容疑や不正蓄財事件が持ち上がってタクシン政権が崩壊し、現在に至るもタクシン派と反タクシン派(軍部含む)の対立が続いている。

ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要国であるタイ王国の社会構造は、『経済活動の発展(工業国としての成長)』や『教育水準の向上』によって大きく変動しているが、地方部では特に『西欧民主主義の近代思想』と『タイ土着の封建主義・宗教感情』が今でも混在している。タイの地方部の村落共同体の階層序列的なアイデンティティを支えているのは『サクディナ』と呼ばれる封建主義思想であり、タイの大衆の多くには『家の霊・村落の共通祖先の霊』が子々孫々の幸福と安全を守ってくれるという『祖霊崇拝信仰』が残っている。その為、タイの近代化が進んでいる現在でも、『家族関係・血縁関係・地縁のつながり』における信頼関係は一般に強い傾向が見られる。

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2008年08月26日

[大衆文化とマスメディア・マスコミュニケーション]

大衆文化とマスメディア・マスコミュニケーション

近代市民社会とマス・コミュニケーション(マスメディア)が発達する以前は、『文化・芸術・学問』の領域は貴族階級・富裕階級・知識人階級によって創造され占有されていた。20世紀アメリカの消費文明社会・資本主義経済と結びつく形で発生した『大衆文化』は、旧来的な『貴族文化』や『知識人文化』のアンチテーゼとしての特徴を持ち、特別な教養・学問・知識が無くても誰でも気軽に楽しめる文化と娯楽を生み出した。アメリカのテレビや映画、モードのファッション、小説などに代表される大衆文化の登場は、画一的な情報コンテンツを広範囲に伝達する『マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞の媒体)』の機能と切り離して考えることは難しく、マスコミュニケーション(大量情報伝達)による大衆の流行・情報の共有によって大衆文化はより一層の発展普及をすることになる。

大衆文化の基底にあるのは、国民の大多数が同じ情報を共有しているということであり、その流行・娯楽・価値観の共有を強力に推し進めたのがテレビ・ラジオ・新聞といったマスメディアなのである。マスメディアの情報によって大衆文化や社会的価値観の基盤が形成されるという現象は、1990年代末のインターネットの登場による情報革命まで続き、2008年現時点においてもマスメディアの持つ画一的な情報の伝達力や世論・流行の形成力は、利用者層の範囲に限界があるインターネットよりも遥かに強いものがある。

しかし、段階的に国民各層のメディアの視聴時間が、マスメディア(テレビ・新聞・ラジオ)からインターネットへと移ってきており、宣伝広告費の成長率もインターネットのほうが高いことから、今後はインターネットを介在した国民各層の情報共有や検索行動がより一般的なものになる可能性が高い。

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[大恐慌(世界恐慌)と景気循環]

大恐慌(世界恐慌)と景気循環

企業活動に順調に資金が供給され、商品・サービスの売れ行きが好調で労働者の消費意欲が高い経済状況を『好景気(好況)』という。反対に、商品・サービスの売れ行きが悪くなり企業活動への資金供給が滞って、事業活動のための設備投資も減る経済状況を『不景気(好況)』という。経済活動が活発になる好景気と経済活動が減速する不景気とは交互に繰り返すとされており、景気の上昇と下降の繰り返しの変動のことを『景気循環』と呼ぶ。景気の上がり下がりの変動は『景気拡大局面・景気後退局面(リセッション)』の二つの位相によって理解され、景気は『回復・好況・後退・不況』のリズムで大まかに変化していく傾向がある。

資本主義経済に見られる好況−不況の景気循環には、歴史的に確認された以下の4つの波(サイクル)があると考えられている。

キチンの波……アメリカの経済学者ジョセフ・A・キチンが1923年に提唱した、企業の在庫変動・在庫調整に関連する数年単位の短期的な景気循環(短期波動)である。“消費減少→在庫増大→在庫整理のための生産調整・安売り→在庫減少による生産体制の正常化”というサイクルを見せるが、新商品や技術革新によって在庫増大と生産減少による不況を乗り越えられないこともある。

ジュグラーの波……フランスの経済学者J・クレメンス・ジュグラーが1860年代に提唱した、企業の設備投資の拡大と縮小に関連する10年単位の中期的な景気循環(中期波動)である。技術革新やデザインの変化、消費者の好むモード(流行現象)などによって、企業の設備投資が利益増大に貢献するか否か在庫増大を回避できるかどうかが規定され、中期的なサイクルをもった景気循環が形成されることになる。

クズネッツの波……アメリカの経済学者サイモン・クズネッツが1930年に提唱した、建物需要・インフラ需要・施設への設備投資などに関連する20年単位の中期的な景気循環(中期波動)である。年齢別人口階層の変化とクズネッツの波が相関しているという仮説的な演繹をする学者もいるが、基本的には耐久消費財として減価償却される建物・施設の需要の増減と関係している波動である。

コンドラチェフの波……ロシアの経済学者ニコライ・ドミートリエヴィチ・コンドラチェフが1925年に提唱し、ヨセフ・シュンペーターが命名した長期波動である。大規模で決定的な技術革新に関連する50年単位の長期的な景気循環(長期波動)とされ、第1波の1780〜1840年代は紡績機・蒸気機関などの発明による産業革命、第2波の1840〜1890年代は鉄道建設・公共交通手段の整備、1890年代以降の第3波は電気・化学・自動車の発達によって大きな景気転換が起こったとしている。1990年代後半からはIT(情報技術)・コンピュータ・インターネットによる情報革命が起こっており、この技術革新がコンドラチェフの波を作るのか否かには諸説がある。

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[消費文明社会と耐久消費財]

消費文明社会と耐久消費財

イギリスの産業革命(工業革命)の進展と資本主義市場の拡大によって、近代国家の経済生産力は飛躍的に増大し国民の物質的な生活は格段に豊かになった。科学技術と機械技術の進歩によって実現した産業革命とは重化学工業・機械工業の発達のプロセスであるが、急速な産業構造の工業化によって『規格型製品の大量生産−大量消費』が可能になった。労働集約型の工場(プラント)で生産される規格型商品は、大量に生産すればするほど『生産コスト(材料費・輸送費・人件費など)』を削減することができ、工場を休まずに稼動させればさせるほど効率性と利益率が高くなっていく。

そのため、最近はエコロジー(環境保護)やリサイクル(資源再利用)、多品種少量生産、資源節約に付加価値が生まれてきているものの、近代国家の経済活動は基本的に『大量生産・大量消費・大量廃棄』に支えられている。現代社会の経済活動の多くは、消費者の選択や行動・需要によって支えられており、消費によって生活の豊かさと経済の好不況が判定されるという意味でも消費文明社会である。19世紀〜20世紀初頭までは、社会・市場にモノの総量が不足していたこともあり、企業・生産者が大量に生産すればするほど商品は順調に売れていたが、現在の先進国では消費者の商品・サービスを選択する基準が非常に厳しくなっていて単純に生産すれば売れるというわけでは全くない。現代の市場経済では、モノ不足の時代に認められていた『供給が需要を決定する』という新古典派のセーの法則が通用しなくなり、『需要が供給を決定する』というJ.M.ケインズが提起した有効需要の法則によって商品・サービスの消費量が規定されることがほとんどである。

生活必需品が極端に不足している市場経済では、北朝鮮やアフリカ諸国のようにとにかくモノがあれば売れるというセーの法則が通用するが、モノが溢れた先進国の市場経済では、消費者が欲しいと欲求する付加価値のある商品を生産しなければ売れないという有効需要の法則が成り立つ。19世紀のイギリス経済、1920年代のアメリカ経済、1970年代の日本経済は急速な勢いで高度経済成長を実現したが、消費文明社会で経済成長の強力な原動力となり労働者(サラリーマン)の労働意欲を支えてきたのは付加価値の高い『耐久消費財』である。耐久消費財とは、消費者のライフスタイルの豊かさを象徴的に示唆するものであり、売却価値のある『消費者資産』を形成するものだったので、高度経済成長期の労働者は『住宅・自動車・電化製品・家具』といった耐久消費財を購入して生活空間を豊かにするために懸命に働いたという側面がある。

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2008年05月15日

[タルコット・パーソンズの社会学と自己志向(self-orientation)の私事化]

タルコット・パーソンズの社会学と自己志向(self-orientation)

社会学分野は実証主義のオーギュスト・コント(1798-1857)によって確立されたが、アメリカの社会学者タルコット・パーソンズ(Talcott Parsons,1902-1979)は、社会構成員の行為理論と相互作用を社会システム理論の枠組みに統合した人物である。パーソンズは社会規範の内面化や機能的な社会システムを研究して、社会構成原理(社会作動原理)を一元的に説明する『統一理論(グランド・セオリー)』の確立を目指したが、その完全な体系化への理想が余りに壮大で複雑であったため遂に理論的な完成の日を見ることはなかった。タルコット・パーソンズはロバート・キング・マートン(Robert King Merton, 1910-2003)と並ぶ機能主義の社会学者に分類されており、20世紀の社会学に最も大きな貢献をした人物という評価の声も高いが、遠大な理想を掲げたパーソンズの社会学の全貌を見渡すのは困難である。

パーソンズの理論に対しては、実証的ではなく観念的で科学的根拠が乏しいという批判や既存の社会体制を変革する『作為の契機(非合理的な個人の行動の可能性)』が考慮されていないという反論もある。しかし、パーソンズの考察したミクロな『行為システム論』や社会システムを“構造”と“機能”に分割するアイデアは、現代の社会学研究の基本的研究手法に非常に大きな影響を与えている。パーソンズは社会システム論の分野において、構造機能分析やAGIL図式(AGIL理論)といった代表的な分析方法を提起しており、社会システムの構造と機能を数学的な変数操作によって理解できると考えていた。

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2008年04月13日

[時間制限心理療法(time limited psychotherapy)と短期療法(brief therapy)]

時間制限心理療法(time limited psychotherapy)と短期療法(brief therapy)

心理療法・カウンセリングには、クライエントの各種の心理的問題(症状・ストレス・不適応)を短期間で解決することを目指す『短期療法(brief therapy)』があるが、現代の短期療法には『認知行動療法(CBT)・認知療法・論理療法・解決志向アプローチ・解決構築アプローチ(SFA)・神経言語プログラミング(NLP)』など様々な技法が応用されている。短期療法(ブリーフ・セラピー)は、エビデンス・ベースドな心理療法(科学的統計学的根拠に基づく心理療法)としての特徴を持つが、必ずしも短期間でセッションを終結するわけではなく『相対的に期間が短い心理療法』という意味である。

短期療法のセッションでは『即効性・効率性・信頼性』が重要視されるが、それは仕事・学業や対人関係で忙しい現代社会の中で『心理療法期間の短縮化・確実な臨床的効果・経済的コストの節約』が要請され始めたからである。単純に治療期間・カウンセリング期間が短ければ短いほど良いというわけではないが、クライエントや公的健康保険(市町村)が比較的高額の料金を支払っていることを考えると、出来るだけ短期間・低コストで高い臨床的効果を生み出すことが心理臨床家(カウンセラー)に期待されていると言える。短期療法の開発・進歩に大きな影響を与えたのが、O.ランクJ.マン『人間の人生の有限性』を前提にして考案した時間制限心理療法(time limited psychotherapy)である。

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