人間の労働による自己形成と労働からの解放2:AI(人工知能)によるシンギュラリティーへの到達
消費主義文明が主流となった近代社会では、人々の自意識も『生産者・労働者』より『消費者・享受者』に傾きやすくなり、労働そのものも経済合理的にリストラされたり、自尊心や動機づけ(モチベーション)を保ちにくいような『労働の商品化・道具化(企業利益を最優先する非正規化・細分化)』が行われやすくなっている。
20世紀以前の『労働(職業)』は、個人と人類の『役割分担・自己形成・自己実現=労働道徳の実践』という重要な役割を半ば必然的な義務として担ってきたわけだが、『労働の商品化・道具化・非正規化』と『非労働者階層の増加(資産家・経営者・投資家・ノマドワーカー・ニートなど)』は旧来的な人間にとっての労働の位置づけを大きく変える動きを見せている。
アメリカの発明家・フューチャリスト(未来思想家)のレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil, 1948-)は、人工知能が人間の知能・能力を超える時点を『シンギュラリティー(技術的特異点)』と呼んでいて、カーツワイルはシンギュラリティーが2045年に起こると予測している。シンギュラリティーに到達して『AI(人工知能)・ロボット』が自己組織化的な進化を継続するようになると、人間の労働機会が大きく損なわれる可能性も指摘されている。
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