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2017年10月12日

[R.ノートンの『夫婦関係満足尺度(QMI:Quality Marriage Index)』]

R.ノートンの『夫婦関係満足尺度(QMI:Quality Marriage Index)』

家族関係の中でも特に『夫婦関係の満足度』について、本人に回答してもらうシンプルな心理測定尺度(心理テスト)がある。

R.ノートンが開発した一次元(夫婦関係の全体性)だけを測定する『夫婦関係満足尺度(QMI:Quality Marriage Index)』である。この心理テストは『夫婦関係全体の良さ(goodness of the relationship)』を反映する項目だけに限定して作成されているため、質問項目そのものが少ないという特徴がある。

『夫婦関係満足尺度(QMI:Quality Marriage Index)』の採点方法も、6つの質問項目を単純に合計して『夫婦関係満足得点』としているが、シンプルな質問項目であるため、実際の夫婦関係満足度の実感と一致する部分が多い。

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2015年11月09日

[分離不安障害と母子関係:乳幼児期の不安関連の障害1]

分離不安障害と母子関係:乳幼児期の不安関連の障害1

女性の児童精神科医・精神分析家のマーガレット・マーラー(Margaret Scheonberger Mahler,1897-1985)は、児童精神臨床の経験に基づいて『乳幼児の早期発達論(分離‐個体化理論)』を提唱した。

その早期発達論において、生後4、5ヶ月頃〜36ヶ月頃までの『分離‐個体化期』には、母親や家庭環境から離れることで『分離不安(separation anxiety)』が生じやすくなるとされている。

母親と自分が別の人格を持つ個人だと認識できるようになり、母親から離れて一人で探索的行動ができるようになってくるのが概ね“3歳頃(36ヶ月頃)”であり、母親からある程度物理的にも距離的にも離れていられる能力・意識を獲得することを『個体化(individuation)』と呼んでいる。

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2015年10月30日

[不登校・学校に通わなくなる原因:児童期・思春期の行動面の障害]

不登校・学校に通わなくなる原因:児童期・思春期の行動面の障害

日本の小中学校の生徒の不登校の件数は2007年から2012年にかけて減少傾向にあったが、2013、2014年に再び『不登校(学校不適応)の児童』が増加傾向に転じたと報じられている。文部科学省の不登校の定義では、『病気・経済的理由などの正当な理由なく1年間に30日以上学校を欠席すること』である。

2014(平成26)年度に病気や経済的理由など以外で年間に30日以上欠席した『不登校児』は、国公私立全体で小学校が2万5886人(前年度比7.0%増)、中学校が12万2902人(同2.7%)となり、いずれも2年連続して増加した。児童生徒1000人当たりの不登校児の数は、小学校が3.9人、中学校が12.1人で、小学校では過去最多となっている。

精神医学・臨床心理学分野の不登校の定義では、『学校に通学したいという意志があるのに通学できない・精神症状やストレス反応などを伴う神経症的葛藤がある』という項目も考慮されていたが、近年の不登校では室内でも友達関係・時間感覚を無視して楽しめるインターネットやゲームなどの娯楽環境の増加を背景に、『初めから学校に通学しようという意志・希望がない無気力・怠惰の型』にあてはまる生徒児童も増加傾向にあると言われている。

不登校の原因は大きく分ければ、以下のようになる。

1.学校生活・友人関係の問題……学校生活や集団行動、時間割通りの生活になじめない。友人関係における対立・疎外(仲間外れ)・いじめなどの問題がある。

2.学業・授業(勉強)への適応の問題……授業が理解できずついていけない。勉強や学習の遅れが目立って劣等感に苦しんでいる。学業の苦手意識や面倒くささが強くて怠学の傾向が出る。

3.家庭生活(親子関係)・経済状況の問題……規則正しい家庭生活が送れていない。親子関係が上手くいっていなかったり虐待の問題などがある。家庭の経済状況が困窮していて学校生活に必要な経費が支払えない。

4.本人のパーソナリティーや性格傾向の問題……自己愛が過度に強くて幼稚で未熟なパーソナリティー。他者への興味関心や思いやりに欠けていて人間関係が上手くいきづらい性格(あるいは発達障害的な問題)。刺激や変化に敏感で傷つきやすいパーソナリティー。完全主義的・義務的で挫折や失敗を受け入れられない強迫的な性格。ルールやマナーを守ることができず攻撃的・加害的なパーソナリティーなど。

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2015年09月09日

[セルマ・フライバーグ(Selma Fraiberg,1918〜1981)の乳幼児精神医学と母子間の投影同一視の研究]

セルマ・フライバーグ(Selma Fraiberg,1918〜1981)の乳幼児精神医学と母子間の投影同一視の研究

アメリカの女性精神科医のS.フライバーグ(Selma Fraiberg,1918〜1981)は、『母親の無意識的幻想』『乳幼児の無意識的幻想』が相互作用すること、『内的世界にある重要な意味合いを持つ表象(イメージ)』が世代間伝達される可能性があることに気づいた。

乳幼児精神医学・児童精神医学2:乳幼児に対する非言語的コミュニケーションを用いた診察・心理療法

それらの無意識領域に関する推測・知見を活用することで、メラニー・クラインの対象関係学派(英国独立学派)をまるで先取りするような『無意識の世界の探求と臨床応用の模索』を精力的に行ったのである。

S.フライバーグは、1970年代に精神分析的(力動心理学的)な乳幼児精神衛生の研修教育システムを構築したが、その研修教育システムの中心は、乳幼児を抱える母親の心理教育を前提とした『家庭訪問による母・乳幼児の合同面接』にあった。

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2014年12月09日

[フロイトの『抑圧』の神経症研究と無意識の心理学の功績]

フロイトの『抑圧』の神経症研究と無意識の心理学の功績

S.フロイトは生物学的な科学主義・客観主義を精神分析の理想として掲げていたが、『無意識のメカニズムや心的装置の実在の客観的な検証可能性』が乏しいことを考えれば、精神分析は純粋な意味での自然科学の方法論や真否を検証可能な実証主義からは外れた学問・臨床技法である。S.フロイトが神経症の原因になる心理的な働き(自我防衛機制)として注目した『抑圧(repression)』にしても、目に見えない心の働きであり科学的な検証によってその実在を確認することは困難ではある。

ジークムント・フロイトと精神分析の歴史1:シャルコーの催眠からの離脱

ジークムント・フロイトと精神分析の歴史2:『フリースへの手紙』と性の抑圧理論

フロイトの語る抑圧(repression)とは、自分が受け容れることが難しい『自我を脅かす反道徳的な願望・反社会的な欲求』を、意識領域から無意識領域へと締め出すことで自覚できなくする(自覚できないことで感情的な苦悩を感じなくて済むようにする)自我防衛機制のことである。

フロイトは目に見えない精神内界あるいは無意識の領域を前提とする精神分析を構想することで、自我とエス(本能的欲求)が葛藤することで生じる『抑圧』の問題を取り上げ、『抑圧された願望・欲求の心身症状への転換(変形)』を神経症の症状形成機序として整理したのである。

フロイトの精神分析における精神病理学や精神療法の技法、事例からの洞察は膨大多岐にわたるので、そのすべてを紹介することは困難であるが、精神疾患の心因となる自我防衛機制(心理的力動)としては『ヒステリーや不安神経症と抑圧』『強迫神経症と隔離』『統合失調症と否認や排除』などの関係性を指摘している。

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[ジークムント・フロイトと精神分析の歴史2:『フリースへの手紙』と性の抑圧理論]

ジークムント・フロイトと精神分析の歴史2:『フリースへの手紙』と性の抑圧理論

S.フロイトにとっての1887年(31歳)から1904年(48歳)の17年間は『フリース期』とも言われるが、公私にわたる親友であり自らの教育分析家のような役割を果たしてくれていた耳鼻科医のウィルヘルム・フリースに対して284通ものプライベートな手紙や論考の文章を送っていた。

ジークムント・フロイトと精神分析の歴史1:シャルコーの催眠からの離脱

この『フリースへの手紙』は邦訳書も出版されているが、S.フロイトが30〜40代の壮年期の自分の心理状態や過去の記憶の分析(自叙伝的・情緒的な内容)を赤裸々に書き綴った手紙である。精神分析学の基礎理論の発想に与えた影響も大きいため、フロイトの自己分析書でもある『フリースへの手紙』は精神分析史上の重要書簡集に位置づけられている。

フリース期(1887-1904)における手紙の交換を通した自己分析、更に権威的な性格で家父長的な強制力を感じていた父親の死を乗り越えるための『喪の仕事(mourning work)』を通して、S.フロイトは小児性欲の存在を認識して精神分析の最重要理論とされる『エディプス・コンプレックス』を発見した。

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[ジークムント・フロイトと精神分析の歴史1:シャルコーの催眠からの離脱]

ジークムント・フロイトと精神分析の歴史1:シャルコーの催眠からの離脱

ジークムント・フロイト以前の神経症(ヒステリー)研究で、指導的な役割を果たしていたのは、パリのサルペトリエール病院で神経科医をしていたジャン・マルタン・シャルコー(Jean Martin Charcot 1825-1893)である。ジャン・マルタン・シャルコーは19世紀後半のヨーロッパ医学会の重鎮であり、神経症患者(ヒステリー患者)を催眠療法(言語的暗示)を用いて治療できるとしていた。

だが、その催眠療法の内容は多分に演技的・迎合的なものであり、事前にシャルコーと患者の間で催眠誘導のプロセスについて話し合いが行われていたともいわれる。精神分析の創始者であるジークムント・フロイトも、パリのシャルコーの神経学教室で学ぶために留学していた時期があり、ヒステリー患者に対する催眠療法の実践を行っていた。ヒステリーに対する催眠療法の有効性を信じていた時期のフロイトは、ナンシー学派のベルネームにも催眠暗示の方法を習ったことがあった。

医師としてのS.フロイトのアイデンティティは、1880年代あたりまでは『精神科医・精神分析家』ではなく『神経科医・内科医』のほうにあり、心理的原因による精神疾患の発症の探求(精神分析的な治療法の模索)よりも、むしろ脳神経科学分野の科学的研究に精力を注いでいた。脳内のニューロン(神経細胞)の構造を観察しようとする研究をしたり、高次脳機能障害によって発症する認知障害である『失認(agnosia)』を発見したりした。

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2014年12月08日

[フルールノアとエレーヌ・スミスのヒステリー研究2:ヒステリー(失神・妄想)と幻想的な願望充足]

フルールノアとエレーヌ・スミスのヒステリー研究2:ヒステリー(失神・妄想)と幻想的な願望充足

フルールノアは、時代を超えて様々な人物の霊媒になることができるという心霊術師エレーヌ・スミスの研究を行って、失神して霊に憑依されている状態が『無意識的かつ幻想的な願望の充足』と関係していることを発見した。

フルールノアとエレーヌ・スミスのヒステリー研究1:霊媒師・心霊術師のトランス状態

貧しい雑誌の売り子であったエレーヌ・スミスは、心霊術師として霊媒を行っている時にはフランス(ブルボン王朝)の女王マリー・アントワネットや19世紀インドのシマンディーニ女王になったりした。こういった特別に高貴な身分や裕福な家柄の女性の霊魂が自分に乗り移ったように感じることが、エレーヌ・スミスの現実の貧しくて惨めな人生を忘れさせてくれる幻想的な願望充足として機能しているというのである。

幻想的な願望充足の内容になっている人物やエピソードの起源(材料)について、フルールノアはエレーヌ・スミスの今までの読書体験に基づく知識や本人も忘れている幼児期の記憶・欲求にあるとした。フルールノアのインタビュー形式の心理面接を受けていたエレーヌ・スミスは、フルールノアに対して恋人のような『陽性転移感情』を感じるようになってしまう。

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[フルールノアとエレーヌ・スミスのヒステリー研究1:霊媒師・心霊術師のトランス状態]

フルールノアとエレーヌ・スミスのヒステリー研究1:霊媒師・心霊術師のトランス状態

19〜20世紀のヨーロッパの精神医学では、神経症(neurosis)の一種である『ヒステリー』を主要な研究対象の一つにしていた。

ヒステリーの精神病理学と治療方法の研究・実践で非常に大きな実績を上げたのが、神経医学の権威で催眠療法を行っていたジャン・マルタン・シャルコーや精神分析の創始者で催眠とは異なる自由連想法・夢分析を推奨したジークムント・フロイトであった。

ギリシア語の子宮を語源とするヒステリーは、当時女性だけにしか発症しない精神疾患という誤解・偏見を持たれていたが、実際には男性であっても発症する可能性がある疾患である。19〜20世紀にかけて女性のヒステリーやヒステリー性格の症例の方が男性よりも多かった理由の一つは、社会の支配的価値観(男性社会の常識感覚・家父長制)と結びついたジェンダーや性道徳の抑圧感(自分の本当の気持ちや欲望を押し殺さなければならない比率)が、男性より女性に強かったからである。

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2014年11月24日

[オイゲン・ブロイラーの統合失調症(Schizophrenia)の『4つのA』とドイツ精神医学(記述精神医学)の歴史]

オイゲン・ブロイラーの統合失調症(Schizophrenia)の『4つのA』とドイツ精神医学(記述精神医学)の歴史

クレペリンは『精神医学教科書』において、『疾病単位(Krankheitseinheit)』という概念によって各種の精神疾患を分類していったが、疾病単位は定型的な症状を発症して一定の経過を辿った後に同じような予後(転帰)に至るという前提に立っている。

エミール・クレペリンの早発性痴呆(Dementia Praecox)とそれ以前の破瓜病・緊張病・妄想病

W.グリージンガーの影響を受けて、科学的な生物学主義に立脚した精神医学を構想したE.クレペリンは、精神疾患の根本原因として『脳の病理学的所見』を仮定していた。そのため、精神疾患の決定的な治療法についても、『脳内の器質的・機能的な異常』を改善することにある(=精神疾患の治療は薬物療法と親和的な治療法である)と考えていたと思われる。

スイスのチューリヒ大学の精神医学者オイゲン・ブロイラー(Eugen Bleuler, 1857-1939)は、クレペリンの早発性痴呆に精神分析学的(心理学的)な解釈を加えて、『統合失調症(Schizophrenia)』という新たな疾病単位を提唱した。E.ブロイラーは統合失調症の主要症状として『4つのA』を指摘している。

1.観念連合の障害(loosening Association)……観念・思考を適切にまとめることができなくなり、支離滅裂な発言をしたりコミュニケーションが成り立たなくなってしまう。言語的な認知障害としての特徴を持つが、躁病のように無数の観念(アイデア)が湧き上がってきて思考がまとまらなくなるような症状もある。

2.自閉性(Autism)……自分の内面に引きこもったり、他者への興味関心が失われて反応しなくなってしまうことで、日常生活や人間関係に適応できなくなる。

3.感情の障害(blunted Affection)……喜怒哀楽の感情が鈍麻したり平板化したりすることで、相手や状況に合った適切な感情の表出・伝達が出来なくなってしまう。統合失調症の『陰性症状』としての特徴を持つ。

4.両価性(Anbivalence)……愛情と憎悪など正反対の感情が同時に存在して葛藤することで、感情的な価値判断や合理的な意思決定ができなくなり混乱してしまう(パニックに陥ってしまう)。

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2014年08月17日

[フリードリヒ・フレーベル(Friedrich Willhelm August Frobel):2]

フリードリヒ・フレーベル(Friedrich Willhelm August Frobel):2

ロマン主義者であったフレーベルは、子供の本質を『神的なもの・神性が宿ったもの(神性が開花する可能性を持ったもの)』と定義して、その子供の神的な本質を伸長させて開花させるための『受動的・追随的・保持的な教育』を理想的な幼児教育として提唱した。

フリードリヒ・フレーベル(Friedrich Willhelm August Frobel):1

花を飼育する庭師が、『植物の本性』に従って日照・温度に気をつけながら、水・肥料を与えて剪定するように、子供を教育する園長・教育者も『子供の本性』に従って、その子供の神的な本性・内面が順調に開花・展開していくように援助しなければならないのだとした。こういった教育思想の連想から、『Kindergarten(幼稚園=子供達の庭)』という幼児教育機関の一般名称が生まれたのである。

フレーベルの幼児教育は、不断の創造者である神を前提として『不断に創造・成長を続ける子供』を支持・助成しようとする宗教性を帯びたものだったが、無理矢理に知識・技術・善悪などを詰め込んで教えるような『早期教育・英才教育・スパルタ教育』に対しては反対の姿勢を示していたという。

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[フリードリヒ・フレーベル(Friedrich Willhelm August Frobel):1]

フリードリヒ・フレーベル(Friedrich Willhelm August Frobel):1

フリードリヒ・フレーベル(Friedrich Willhelm August Frobel,1782-1852)は、ドイツのチューリンゲンに生まれた教育学者で『幼児教育の父・幼稚園(Kindergarten)の創設者』と呼ばれている。『アンパンマン』を刊行している出版社『フレーベル館』は、この幼児教育に大きな功績があるフリードリヒ・フレーベルの名前に由来したものである。

スイスの教育実践家であるヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチ(1746-1827)は、フランス革命期にスイスの田舎で孤児・貧民の子のための学校を設立して初等教育の充実と発展に貢献したが、F.W.A.フレーベルはこのペスタロッチの薫陶を受けて教育者を志したと言われている。

ペスタロッチの教育実践は『直観教授・自己教育・労作教育の思想』に基づいたもので、主に小学生くらいの年代の初等教育の充実が目標とされていたが、F.W.A.フレーベルはペスタロッチの教育思想を『幼児教育』の分野へと応用して発展させていったのである。プロテスタントの牧師の子であるF.W.A.フレーベルは、キリスト教の敬虔な信仰者でもあり、幼児教育の基本命題の一つを『幼児の内面心理にある神性の開発・伸長』に置いていた。

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2014年08月05日

[ローレンス・M・ブラマー(Lawrence M. Brammer)]

ローレンス・M・ブラマー(Lawrence M. Brammer)

アメリカのカウンセリング心理学者・心理臨床家のローレンス・M・ブラマー(Lawrence M. Brammer,1922-)は、複数のカウンセリング技法を『クライエントの心理状態・問題の性質・ニーズ(目的と必要)』に合わせて使い分けることを提唱した。カウンセリングを実際的で効果的な『折衷主義』へと移行させることに貢献した人物である。

特定の学派の理論や技法だけにこだわらない『折衷主義のカウンセリング』の構想を進めた心理臨床家(カウンセラー)には、ローレンス・M・ブラマー以外にも、『マイクロ・カウンセリング』を体系化したアレン・アイビィなどがいる。

ブラマーは、ワシントン州立大学の心理学部で長く教授(名誉教授)の地位にあり、体系的なカウンセラー教育や実践的な対人援助技術の指導で大きな功績を残している。スタンフォード大学の教育学部には、優秀かつ歴史的な功績を残した研究者を表彰する『ホール・オブ・フェイム(The Stanford University College of Education Hall of Fame)』があるが、ブラマーはここで不朽の功績を残したことを讃えられ殿堂入りしている。

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[ジェローム・S・ブルーナー(Jerome Seymour Bruner)]

ジェローム・S・ブルーナー(Jerome Seymour Bruner)

アメリカの認知心理学者ジェローム・S・ブルーナー(Jerome Seymour Bruner,1915-)は、1914年にハーバード大学で博士号を取得してから『学習障害児の認知過程の研究』『知覚と欲求(動機づけ)との相関関係の研究』に従事していた。

1961年には、ハーバード大学内に『認知研究所』を創設して児童の認知の発達に関する研究を精力的に行ったが、この研究は認知発達論(思考発達論)で知られるジャン・ピアジェの影響を受けてのものだったと言われる。

J.S.ブルーナーのニュールック心理学に代表される認知理論は、ジャン・ピアジェとレフ・ヴィゴツキーの表象様式の発達理論を統合することを目的にしており、ブルーナーは人間は外部世界の正しい情報を認知するために『3種類の表象化のプロセス』を活用していると考えた。ブルーナーは認知理論の構築において『概念形成の方略・表象機能(イメージ生成機能)の発達・言語の獲得』についての理論的かつ実証的な研究を行っている。

J.S.ブルーナーの児童の認知能力の発達研究は、当時心理学の主流であった“S-R理論(刺激に対する反応)”に基づく行動主義心理学(行動科学)を実証的に批判しようという目的も持っていた。

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2014年08月04日

[ドナルド・H・ブラッカー(Donald H. Blocher)とスクールカウンセリング:2]

ドナルド・H・ブラッカー(Donald H. Blocher)とスクールカウンセリング:2

ドナルド・H・ブラッカーは1959年に教育心理学専攻でミネソタ大学大学院を卒業してPh.D.(学術博士号)を取得し、高校の社会科教師やカウンセラーの仕事に短期間ではあるが従事した。その後に大学に戻って、1960年にミネソタ大学助教授になり、1963年に準教授、1967年からは心理学部の教授を長年務めた。1977年からは、大学の教育相談・学生相談にも積極的に関与するようになり、カウンセリング心理学の教授と学生部長の仕事を担っていた。

ドナルド・H・ブラッカー(Donald H. Blocher)とスクールカウンセリング:1

ドナルド・H・ブラッカーの開発的カウンセリングが、学校の教育相談(現在のスクールカウンセリング)に応用される時には、『開発的・予防的・治療的教育相談』の3つに分類して考えられることがある。

現在の教育相談は『開発(発達の支援)』『治療(疾患の治療・問題の矯正)』かの二元論を回避して、開発(心理教育)と治療(問題解決)を連続的な対人援助方法として考える『学校心理学(school psychology)』をベースにしている。

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[ドナルド・H・ブラッカー(Donald H. Blocher)とスクールカウンセリング:1]

ドナルド・H・ブラッカー(Donald H. Blocher)とスクールカウンセリング:1

アメリカの心理学者・カウンセリング心理学者であるドナルド・H・ブラッカー(Donald H. Blocher,1928-)は、学校の教育相談(スクールカウンセリング)や発達臨床カウンセリングに応用することのできる『開発的カウンセリング(Developmental counseling)』を考案したことで知られる。

日本では1972年(原著は1966年)に、ドナルド・H・ブラッカーの『開発的カウンセリング(国土社)』が中西信男・神保信一の共訳で出版されている。洋書では、“Counseling: A Developmental Approach”や“The Evolution of Counseling Psychology”、“The Professional Counselor”をはじめとして多数のカウンセリング心理学の理論や技法、事例研究(ケースワーク)の書籍を出版している。

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2014年07月22日

[アンリ・フェイヨル(Henri Fayol)2:14項目の管理の一般原則]

アンリ・フェイヨル(Henri Fayol)2:14項目の管理の一般原則

フェイヨルは著書『産業ならびに一般の管理』において、工業社会における企業の経営活動(職能)を以下の6つに分類している。

技術活動(生産、製造、加工)

商業活動(購買、販売、交換)

財務活動(資本の調達・運用とその最適利用)

保全活動(財産および従業員の保護)

会計活動(財産目録、貸借対照表、原価計算、統計など)

管理活動(計画、組織、指令、調整、統制)

アンリ・フェイヨル(Henri Fayol)1:経営管理論の始祖

管理過程(管理プロセス)について『管理とは計画し、組織し、指揮し、調整し、統制するプロセスである』と定義したフェイヨルは、『管理の一般原則』として以下の14の管理の原理を提唱した。

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[アンリ・フェイヨル(Henri Fayol)1:経営管理論の始祖]

アンリ・フェイヨル(Henri Fayol)1:経営管理論の始祖

アンリ・フェイヨル(Henri Fayol,1841-1925)はフランスの経営学者であり、組織・集団をどのようなプロセスで確実に管理していくことができるかを研究する『管理過程学派』を創設した人物である。アンリ・フェイヨルは“アンリ・ファヨール”と表記されることもあるが、経営学者だけではなく鉱山技師・地質学者・経営者としても活躍した。

企業組織だけではなく、どんな組織にも適用できる管理の一般原則を確立しようとしたアンリ・フェイヨルは『管理原則の父』と呼ばれる。アンリ・フェイヨルは、フレデリック・テイラーエルトン・メイヨーと並んで初期の経営管理論の基盤を築いた実践的な学者の一人である。フェイヨルの科学的管理のプロセスやその研究成果のことを『フェイヨリズム』と呼んだりもする。

フレデリック・テイラーは経営学に『科学的思考法』を導入し、エルトン・メイヨーは『人間性(ヒューマニティ)』を持ち込んだが、フェイヨルは『統制的管理法』を採用したことで知られる。

アンリ・フェイヨルは、1841年にフランス人の建築技師だった父の赴任先コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)で誕生した。その後に故郷のフランスへと戻り、1860年にグランゼコールのサン・テチェンヌ鉱山学校を19歳で卒業し、鉱山技師(鉱山エンジニア)の資格を取得したが、このコースは当時のフランスにおける出色のエリート路線でもあった。

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[ハーバート・ブライアン(Herbert Bryan)]

ハーバート・ブライアン(Herbert Bryan)

ハーバート・ブライアン(Herbert Bryan)は、クライエント中心療法のカール・ロジャーズがカウンセリングを行ったクライエントであり、日本を代表するロジャーズ派のカウンセラー・友田不二男(ともだふじお,1917-2005)が研究対象として重視していた事例でもある。

友田不二男の啓蒙的なライフワークの一つとしてカール・ロジャーズの著書の翻訳と紹介がある。友田は、C.ロジャーズの学派・派閥に囚われない『クライエントの利益・幸福』を最優先にするカウンセリングを広める活動において先導的な役割を果たした。

C.ロジャーズの著書『カウンセリングとサイコセラピー――実戦する場合の新しい考え方(1942)』を研究するうちに、友田不二男は『どの理論・学派を採用するかよりも、クライエントのために実際に何をすることができるかのほうが重要である』というサイコセラピーの本質に到達する。

そのサイコセラピー(心理療法)の本質に行き当たるきっかけになったのが、『カウンセリングとサイコセラピー――実戦する場合の新しい考え方(1942)』の『第四部 カウンセリングの実践記録』であった。

日本ではこの『第四部 カウンセリングの実践記録』は、友田不二男が監修した『ロージァズ全集の第9巻 カウンセリングの技術(岩崎学術出版社)』の収載されている。

ここに掲載されているカウンセリングの事例研究(ケーススタディ)が『ハーバート・ブライアンの事例』なのである。ロージァズ全集の第9巻の副題は、『カウンセリングの技術 : ハーバート・ブライアンの例を中心として』であり、編集を友田不二男が行い、翻訳を児玉享子が行っている。

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2014年05月17日

[カール・ロジャーズとマルティン・ブーバーの対談]

カール・ロジャーズとマルティン・ブーバーの対談

オーストリアの宗教哲学者・文学者のマルティン・ブーバー(Martin Buber, 1878-1965)の実存主義的な哲学は、『我−汝(われ−なんじ)の対話の哲学』と呼ばれるが、自己理論に基づくクライエント中心療法を考案したカール・ロジャーズは1957年にこのM.ブーバーと対談したことがある。

M.ブーバーの対話の哲学とは“我(Ich)”“汝(Du)”が語り合うことによって世界が拓けるというものだったが、『ブーバーの我』は『ロジャーズの汝』を受け止めて理解しながらも、ロジャーズの『自己理論の人間観』についてはどちらかというと批判的に捉えたようであった。

M.ブーバーはカール・ロジャーズの実現傾向や有機体的成長を軸とする人間観が、M.ハイデガーなどの実存主義でいうところの『世界内存在としての人間(person)』ではなく、自己と他者の境界を区別して(我と汝の対話を困難にしてしまって)独立的に存在する『個人(individual)』に近いということで批判的な対談の姿勢になったようである。

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posted by ESDV Words Labo at 02:08 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする