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2012年04月14日

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:4

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:4

この記事は、[前回の項目]の続きになっています。 『福祉六法(生活保護法・児童福祉法・母子及び寡婦福祉法・老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法)』に基づいて設置される福祉事務所は、設置が義務づけられている都道府県には“211ヶ所”、同じく設置が義務づけられている市(特別区)には“997ヶ所”、任意で設置できる町村には“41ヶ所”あり、合計で日本には“1249ヶ所の福祉事務所”が存在している。

1993年(平成5年)4月に、老人及び身体障害者福祉の分野で施設入所措置事務等が都道府県から町村へ移譲されることになり、2003年(平成15年)4月には知的障害者福祉分野の入所措置事務等も移譲された。そのため、都道府県の福祉事務所では、従来の『福祉六法』から『福祉三法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法)』を所管することになり、管轄事務領域が縮小されている。

福祉事務所には『社会福祉法第15条』に基づいて、次の職員が配置されなければならないとされている。それ以外にも利用者・家族のニーズに合わせて、『社会福祉主事・身体障害者福祉司・知的障害者福祉司』などが配置されている福祉事務所がある。

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福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:3

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:3

この記事は、[前回の項目]の続きになっています。 社会福祉に関連する専門的・業務的な資格とその区分についての説明をする。“国家資格”は医師免許や法曹資格など取得の難易度が高いものがあるように、国が事前に定めた教育機関(大学・大学院・専門学校など)でのカリキュラムとトレーニングを積んだ後に国家試験受験資格が付与され、その国家試験に合格した者に与えられる資格であり、一般に公的資格(民間資格)や任用資格よりも取得までの難易度が高いとされている。

“公的資格”というのは、一般に『学歴・教育カリキュラム・実務経験などを問わずに勉強してすぐに受験できる試験に合格して得られる資格』のことを指すことが多いが、実務経験が受験条件になっている介護支援専門員(ケアマネージャー)のような資格もある。“任用資格”というのは、試験を受けてから取得する資格ではなくて(基本的に無試験であり)、教育機関で特定の科目を履修したり一定の実務経験を重ねることで自然に発生する資格・役職(組織外部で通用する公的資格ではない)である。

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福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:2

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:2

この記事は、[前回の項目]の続きになっています。 日本の社会福祉の起源は、聖徳太子や光明皇后、鑑真などが建設したと伝承される『悲田院』とされており、貧者や被差別者、病者、孤児を救済する社会福祉的な国家・宗教の慈善事業が行われていたと推測されている。

社会保障・社会福祉を国家が実施しなければならないという根拠は、日本国憲法第25条にある『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。』という社会権(生存権)の規定にあるとされるが、現状では実質的に何もしなくても生存権が保障されるわけではなく、最低限度の健康で文化的な生活を営むためには国民自身の不断の努力も必要になるという『プログラム規定』に留まると解釈されている。

日本の社会保障制度は、社会保障制度審議会(現:経済財政諮問会議・社会保障審議会)の分類では、『社会保険・公的扶助(生活保護)・社会福祉・公衆衛生及び医療・老人保健』の5本の柱から構成されると定義されており、これらに(戦争従軍者)の恩給と戦争犠牲者の援護を加えることもある。社会福祉分野(社会保障政策部門)には、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士などの『国家資格』があるが、福祉施設・保育施設の仕事を遂行する上で業務独占の排他的資格にはなっていないため、職業上の肩書きが資格名にならないケースも多い。

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福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:1

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:1

福祉(welfare)とは『幸せ・豊かさ』を意味する言葉であり、社会福祉(social welfare)とは社会政策や社会制度を通して『社会全体・国民全般の幸せや豊かさの向上』を目指そうとする活動であり、特に貧困や病気、障害、高齢、未成年、寡婦などのハンディキャップ(不利な要因)を抱えた社会的弱者を支援・介助しようとする人や制度、施設を指すことが多い。国家の政策・制度では、社会保障(social security)の一分野として社会福祉が位置づけられていることもある。

未成年者や高齢者、障害者、病者、生活困窮者(ホームレス)、一人親世帯(母子・父子家庭)など、生活の上で何らかの支援・介助(補助)・矯正を必要としている人に対して、『生活の質』を維持向上させたり自立(矯正)を支援したりするサービスを社会的に提供する制度・活動・施設の総体が社会福祉と呼ばれており、社会福祉を実践する行政機関・人員配置の拠点として『福祉事務所(social welfare office)』と呼ばれる一線の現業機関(要支援者と現場で直接に接していく機関)が存在する。

福祉事務所は社会福祉法第14条で規定されている『福祉に関する事務所』であり、戦後の福祉事務所は昭和26年に制定された社会福祉事業法第13条に基づいて、人口10万人に対して1ヶ所を目安にして設置された。福祉事務所は『福祉六法(生活保護法・児童福祉法・母子及び寡婦福祉法・老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法)』に定められている援護や育成又は更生の措置に関する事務を司っている第一線の社会福祉行政機関となっている。都道府県及び市(特別区含む)は福祉事務所の設置が義務付けられており、町村は任意で設置することができるようになっている。

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2012年03月29日

[フォークロジャー(foreclosure)と自己アイデンティティ]

フォークロジャー(foreclosure)と自己アイデンティティ

フォークロジャー(foreclosure)とは、J.E.マースィア(J.E.Marcia)が定義した“アイデンティティ・ステイタス(自己アイデンティティの状態)”の一つの類型である。フォークロジャーは特定の固定観念や思い込みとも深く関係しており、その原義は『担保権の請戻し権の喪失(抵当流れ)』という法律用語であり、自分の主体性(意志決定)を欠いている受動的な状態を指す。

J.E.マースィアのいうアイデンティティ・ステイタス(identity status)とは、青年期の発達課題である『自己アイデンティティの確立』のために、どのように対応して選択していくのかの行動類型である。アイデンティティ・ステイタスには、自分が何になりたいのか何をやりたいのかに迷って悩む『クライシス(crisis)』の危機的状態と、自分が何をやりたいのかを選んで決めて社会的役割の獲得や人生の目的遂行のために行動する『コミットメント(commitment)』の実践的状態とがある。コミットメントは自分が選んだ物事や目的に向かって積極的に行動することなので、『自己投入・自己参加』などと訳される。

アイデンティティ・ステイタスでは、“フォークロジャー(早期完了・権威受容)”によって思春期から青年期の早い段階で社会的な役割・仕事を決めてしまう人もいれば、“モラトリアム(社会的決断の猶予期間)”によって自分が何になりたいのか何をすべきなのかを試行錯誤したり迷ってしまう人もいる。モラトリアムには何かをしたいという主体性と参加意欲、社会適応力のある『積極的モラトリアム』と何をしたいのかが全く分からなくなり人生の方向感覚を喪失してしまう『消極的モラトリアム』に分けられるが、消極的モラトリアムのことは特に『アイデンティティ拡散』と呼ぶこともある。

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[IPRトレーニングのフォローアップ・トレーニング(follow-up training)]

IPRトレーニングのフォローアップ・トレーニング(follow-up training)

日本の心理学者・早坂泰次郎が考案した対人関係やコミュニケーションを改善するための実践的ロールプレイ(集団療法的訓練)が、『IPRトレーニング(InterPersonal Relationship training)』である。IPRトレーニングは1970年から合宿形式で実施されていたが、IPRトレーニングで構成されることになる集団トレーニングのための10人前後のグループを『Tグループ』と呼ぶ。

IPRトレーニングは元々は『ST(感受性訓練)』の一つとして開発されたものであり、実際の人間関係のやり取りや感情交流の体験を通して、コミュニケーションに効果的で実際の役に立つ“適応的な感受性”を培うことが目標にされていた。10人前後のメンバーで構成されるTグループでは、『個人対個人の人間関係の軋轢・葛藤』の原因を探って解決を図り、更に『個人対集団で発生する問題・ストレス』にも対処することが目指されていた。基本的には、ロールプレイを通した疑似体験的な対人関係状況を繰り返しながら、『問題の本質』と『問題の解決』を実践的に吟味して行動(発言)に移していくというものである。

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2012年03月15日

[フェミニスト・セラピー(feminist therapy)]

フェミニスト・セラピー(feminist therapy)

フェミニズム(女性主義)の思想・活動を前提として、女性の権利保護に積極的な女性カウンセラーが実施する『女性のためのカウンセリング・女性特有の問題や心理に重点を置いた心理療法』のことをフェミニスト・セラピー(feminist therapy)と呼んでいる。

フェミニスト・セラピーとは『女性の権利・自由を最大限に尊重する、女性カウンセラーによる、女性クライエントのための心理療法(カウンセリング)』であり、フェミニズムの思想の影響の度合い(レベル)には個人差があるものの、基本的に男女差別(女性蔑視)を生み出す社会構造というものを前提にして話し合いを進めていくことに特徴がある。

フェミニスト・セラピーは、『第三波のフェミニズムの思想・運動』が芽生え始めた1970年代に開発されるようになり、女性の社会的な立場・権力的な位置づけ(男性優位社会における負の影響)を考慮することを前提にして、『女性の心理的健康・身体的安全を確保するための心理臨床技法』として普及していった歴史的経緯がある。フェミニスト・セラピーには、女性の権利や立場を守りその主体性・自尊心を向上させていくことを目的とした以下の3つの基本原則がある。

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[リベラル・フェミニズム(liberal feminism)とラディカル・フェミニズム(radical feminism)の思想:5]

リベラル・フェミニズム(liberal feminism)とラディカル・フェミニズム(radical feminism)の思想:5

この記事は、[前回の記事]の続きになります。 分かりやすいリベラル・フェミニズムラディカル・フェミニズムの違いとしては、リベラル・フェミニズムは『婚姻制度・家族制度・慣習上の性別役割・ポルノグラフィ』などを個人の自由な選択(両性の同意の下での役割分担)が認められていれば強く否定する必要はないと考え、社会制度やジェンダーに由来する『不平等・不公正な問題』があれば合理的な訴えによる法改正(制度改革)によってそれを是正しようとする。

それに対してラディカル・フェミニズムでは、『婚姻制度・家族制度・性別役割・ジェンダー・ポルノグラフィ』などを女性の劣位性や従属性を構造的に生み出す有害なものとして社会から排除しようとしており、男女間の構造主義的な対立構造(女性は戦って男性の抑圧・支配をはねのけなければならない)を所与のものとしている。ラディカル・フェミニズムは、生物学的性差であるセックスや性的指向としてのセクシャリティさえも、『男女差別(男女不平等)や女性蔑視を生み出す根源的要因』と考えており、変更不可能なものも何とか変革しようとする『反自然的・理性主義的な思想(理屈・正論によって自然的事実を変えようとする主知主義)』としての特徴も強く持っている。

1970年代からリベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズムの分化が始まったが、リベラル・フェミニズムは主に『公的領域(政治領域)における男女差別・男女不平等』を取り扱い、ラディカル・フェミニズムは公的領域における問題だけに留まらず、『私的領域(家族・男女関係・ポルノグラフィ)』にまで深く踏み込んで差別是正を要求するところにも違いがある。資本主義経済が男女差別や性別役割分担(女性の家事労働のシャドウワーク化)を必然的に生み出すというマルクス主義(共産主義思想)の立場からフェミニズム(女性解放論)を論じている『マルクス主義フェミニズム・社会主義フェミニズム』という思想なども登場した。

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[リベラル・フェミニズム(liberal feminism)とラディカル・フェミニズム(radical feminism)の思想:4]

リベラル・フェミニズム(liberal feminism)とラディカル・フェミニズム(radical feminism)の思想:4

この記事は、[前回の記事]の続きになります。フェミニズムの思想や価値観は、各分野において多岐にわたって複雑化しているが、フェミニズムの『歴史的な変化』は大きく以下の“3つの期間”に分類することができるとされている。最近のフェミニズムは、『リベラル・フェミニズム』『ラディカル・フェミニズム』との対立図式が強調されやすくなっている。

リベラル・フェミニズムは個人主義的・リバタリアン的な価値観に根ざして『男性の敵視・結婚や家族の否定』をしないようになっているが、ラディカル・フェミニズムは男性の支配性と女性の従属性という権力論を前提にして、『男女間の階級闘争的な改革・結婚や家族による女性抑圧』を説くかなり過激な一般には受け容れられにくい思想になっている。

第一波(18世紀〜20世紀初頭)……近代国家における法律的・制度的な男女の権利の平等を目指した時期であり、当時のフェミニストは『女性の投票権・参政権・被選挙権・就労の権利・財産権』など法的な権利を獲得するために闘争を行い、制度面での分かりやすい男女差別(男尊女卑)を無くそうとしていた。

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[フェミニズム(feminism)とウーマンリブの思想・歴史:3]

フェミニズム(feminism)とウーマンリブの思想・歴史:3

この記事は、[前回の記事]の続きになります。 このジェンダーフリーの思想や理念は、『学校教育・社会制度・労働政策』にも一定の影響を及ぼすようになっていて、男らしさと女らしさの行為規範を無くすべきか否かを巡ってはさまざまな立場から意見(考え方)の厳しい対立がある。

ジェンダーフリーは、既存の政治体制や経済制度、教育内容(しつけ)、家族制度、婚姻規範、社会生活、文化様式、価値規範のすべてに『今までの男性中心社会の弊害』が残っているという前提で、伝統的・慣習的に認められてきた“男らしさ・女らしさ”を指弾して批判しがちなので、一般的にラディカルで融通の効かないジェンダーフリーは受け容れられにくい。一方で、『男らしさと女らしさの強制性を排除する,同性愛や同性婚、セクシャリティの自由度を高めて差別せず受け容れる』といったややマイルドなジェンダーフリー(男性性・女性性の全ての廃止までは主張せずそれぞれの個性と選択を尊重するといった主張)には賛同者も少なからずいる。

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[フェミニズム(feminism)とジェンダーフリーの思想・歴史:2]

フェミニズム(feminism)とジェンダーフリーの思想・歴史:2

この記事は、[前回の記事]の続きになります。 フェミニズムの歴史的起源は、1789年のフランス革命の『人権宣言』(初めは男性の人権のみを想定した記述であった)に対する女性にも男性と同等の基本的人権を認めよという抗議にあり、その後、1791年にフランスの女性作家オランプ・ド・グージュ『女性及び女性市民の権利宣言』を書いている。1792年にイギリスのメアリ・ウルストンクラフトも、女性の抑圧された社会的権利を拡張するフェミニズム運動を刺激する『女性の権利の擁護』を発表した。

19世紀には、フェミニズムの思想を基盤として、女性の権利と男女平等を求める運動が組織化され、19〜21世紀におけるその運動の成果として『普通選挙の女性参政権(婦人参政権)・売春禁止法・男女雇用機会均等法(女性の社会進出促進)・セクハラ規制法』などの法律が制定されたり女性の権利が拡張されたりした。女性参政権は20世紀初頭の第一次世界大戦後に多くの西欧諸国で認められていったが、米国で認められたのは1920年、日本で認められたのは(占領下でGHQの指導を受けた)戦後の1945年で比較的遅かった。

農業・漁業の第一次産業が中心だった18〜19世紀初頭までは、女性も男性とほぼ同等の労働に従事せざるを得なかったが、20世紀に入って重化学工業の工場労働や建設土木業の重労働、学歴エリートの管理業務(企業運営)が産業の中心になってくると、女性は次第に労働の現場から遠ざかり『(学歴・職業キャリアを持たずに家庭で家事育児に専念する)専業主婦としてのライフコース』を歩むことが理想とされ規範化されていった。

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[フェミニズム(feminism)とジェンダーフリーの思想・歴史:1]

フェミニズム(feminism)とジェンダーフリーの思想・歴史:1

フェミニズム(feminism)『女性主義・女権拡張論』と訳される思想であり、既存の社会体制を男尊女卑の『男性優位主義(男性中心主義)』に基づく男性社会と仮定して、女性の権利の拡大や男女同権社会の実現を目指すものである。フェミニズムの歴史は19世紀の女性参政権(婦人参政権)要求の時代から続いているが、近年の先進国では『顕著な男尊女卑の制度・文化・価値観』が減ってきたことや『男性の経済的・社会的な優位性(支配性)』がかつてよりも衰えていることから、フェミニズムの思想としての目的性も変化を余儀なくされている。

フェミニズムの原理的な意義・目的は、『女性の権利・地位・選択』を男性と同等の水準にまで引き上げて“女性であるがゆえの不利益”を無くすことにあるが、その後の過激化したフェミニズムには、男性を仮想敵として攻撃し、『男性性(支配性)の否定・女性の優位性・女性中心社会(女性優位社会)の構築』を主張するものも出始めた。

フェミニズムを研究しながら女性の権利拡張(男女同権)を主張したり信奉したりしている人を『フェミニスト(feminist)』というが、フェミニズムの思想を掲げるフェミニストが目的としたり理想としたりしている社会状態は以下の4つに分類することができる。

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2012年02月28日

[オペラント条件づけのフェイディング(fading)とプロンプティング(pronpting)]

オペラント条件づけのフェイディング(fading)とプロンプティング(pronpting)

行動主義心理学(行動科学)の『オペラント条件づけ(operant conditioning)』は、E. L.ソーンダイクの試行錯誤学習の実験から始まり、C.L.ハルやB.F.スキナーによって法則化(定式化)された条件づけである。レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)は、I.P.パブロフの『パブロフの犬の実験(ベルの音の条件刺激で唾液分泌の条件反応が起こるようにした実験)』で知られるように、『条件刺激に対する条件反応(条件反射)』を形成する条件づけのことであるが、オペラント条件づけは『強化子』を用いた条件づけである。

オペラント(operant)とは『自発的』という意味であり、オペラント条件づけは特定の行動の後に『正の強化子(報酬となる刺激)』『負の強化子(罰則となる刺激)』を与えることで、その行動の生起頻度を変化させる条件づけのことである。通常、正の強化子を与えられるとその行動の生起頻度は増加し(これを強化という)、負の強化子を与えられるとその行動の生起頻度は減少する(これを弱化という)。正の強化子は『好子(強化刺激)』、負の強化子は『嫌子(嫌悪刺激)』という風に呼ばれることもある。

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[フィンガー・ペインティング(finger painting)]

フィンガー・ペインティング(finger painting)

『遊戯療法(プレイセラピー)・芸術療法(アートセラピー)』の一種として、クライエントに好きな絵を描かせるという絵画療法がある。フィンガー・ペインティング(finger painting)というのはその絵画療法における一つの投影的な技法であり、具体的には指を使って自由な描画をするという方法である。指に直接べっとりと絵の具をつけて、画用紙に思いのままに『好きな色・形』でなすりつけるように絵を描かせるというのがダイナミックなフィンガー・ペインティングのやり方である。

フィンガー・ペインティングの創始者とされるのは、幼児教育学者のR.F.ショー(Ruth F. Shaw, 1934)である。R.F.ショー自身は、心理アセスメント(心理検査)や心理療法(カウンセリング)としてフィンガー・ペインティングを構想したことはなく、当初は『幼児教育法・情操教育の一環』として捉えられており、ショーは自由な気持ちでのびのびと絵の具で色をつけて好きな形(図像・絵柄)を作っていけばそれで良い(一定の教育効果がある)と考えていたようである。

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[フィールドワーク(field work)]

フィールドワーク(field work)

事前に環境条件を整えた『実験室』ではなくて、研究対象が実際に存在する『現場(フィールド)』に出向いていってデータ(必要な情報・証言)を収集する調査研究法を、フィールドワーク(field work)フィールドスタディ(field study)という。

フィールドスタディのもっとも有名な研究として、労働条件(賃金・照明環境・拘束時間・人間関係)と労働者の生産性(作業効率)との相関を調べた『ホーソン実験(ホーソン工場の実験)』を取り上げたが、フィールドスタディとフィールドワークの最大の違いは『関与的観察(participant observation)』をするか否かである。

『関与的観察(participant observation)』『参加しながらの観察』と訳されることもあるように、簡単に言えば研究対象となっている異文化の人々と一緒に生活をしながら、研究調査に必要な観察をするということである。研究者が必要とする情報や文化様式を持っている“インフォーマント(情報提供者)”に接触して、一般的な会話をしたり準備してきたインタビューをしたりする社会調査活動のことも含めてフィールドワークという。更に、人類学・進化生物学のように研究対象が人間(ヒト)ではない『類人猿』のチンパンジーやゴリラ、ボノボ(ピグミーチンパンジー)の場合でも、類人猿と一緒に共同生活しながらその行動や文化、関係を観察することがあり、これもフィールドワークの一種である。

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2012年02月05日

[不安テスト(anxiety test)と特性不安・状態不安]

不安テスト(anxiety test)と特性不安・状態不安

心理テストを受けるクライアント(被検者)の『不安状態(不安感情)の強さ・種類』について調べる場合に用いるのが『不安テスト(anxiety test)』である。不安テストの形式は、一般的には与えられた質問(多肢選択式)に応えていくという『質問紙法』であるが、チェックリストをただチェックしていくだけで不安状態を調べられる『チェックリスト形式』のものもある。

古典的な精神分析理論においては、不安状態(不安感情)は『特性不安』『状態不安』の大きく二つに分けられているが、精神分析の病理学で説明される性格構造と不安の関係については[不安性格(anxious personality)]の項目を参照してみてください。不安を絶えず感じていて、ストレスに対して脆弱性を持つ性格傾向のことを『不安性格(anxious personality)』というが、不安性格は不安神経症の病前性格ともされており、こういった性格特性(パーソナリティ特性)として不可避な不安状態(不安感情)のことを『特性不安』と呼んでいる。

遺伝・気質の要因に幼少期からの経験や記憶が加わることで、変化しにくい性格傾向としての『特性不安』が生まれるが、特性不安に対して精神的ストレスや対人関係の葛藤によって一時的に発生している不安感情のことを『状態不安』と呼んで区別している。

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[VPI職業興味検査(Vocational Preference Inventory)]

VPI職業興味検査(Vocational Preference Inventory)

VPI職業興味検査(Vocational Preference Inventory)とは、アメリカの心理学者のJ.L.ホランド(J.L.Holland)が開発した心理テストを、日本人の職業観や就職環境、労働意欲などに最適化して編集したものである。当時の労働省(現・厚生労働省)の外郭団体だった『雇用職業総合研究所』が、J.L.ホランドの心理テストとその背景になる職業理論・心理分析を改良して、『日本人の各種の職業に対する興味関心』を調べられる心理テストを作成したのである。

VPI職業興味検査は、職業上・就職上の進路選択を考えている大学生の『キャリアガイダンス目的(大学生の進路指導用途)の検査』として用いられる事が多く、実施時間が“約15分〜20分”と短く、自己採点の時間も約5分で終わるというのが特長になっている。一般的な学力テストのように『点数の高低』を競い合うようなものではないので、自己採点で簡単にどの仕事に興味があるのかを知ることができるという利便性もある。

VPI職業興味検査では、営業マンや教師、弁護士、税理士、事務員、薬剤師、研究者、エンジニア、建設業、ガードマン、工員など『160もの具体的な職業』についての興味関心をスピーディーにチェックできるが、この心理テストの結果を十分に『実際の就職活動・職業選択』に生かすためには、テストをした後に『カウンセラーの援助・助言』を受けることが望ましいとされる。

VPI職業興味検査は『適職の判定』をするような心理テストではなく、『自分の各種の職業に対する興味関心の度合い・多くの職業に関する情報』を知るためのテストである点に注意が必要である。そのため、このテストで興味があるとされた仕事・職業に必ずしもその被検者が向いているというわけではないが、VPI職業興味検査を受けることによって『職業への興味・進路選択に関連する自己理解』を深められるというメリットがある。

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2012年02月01日

[フィールドスタディ(field study)とホーソン工場の研究(ホーソン実験):2]

フィールドスタディ(field study)とホーソン工場の研究(ホーソン実験):2

この項目は、[前回の記事]の続きになります。ホーソン実験がスタートした当初は、『物理的な作業条件』『従業員の作業能率』の関係を調べるために『照明実験・リレー組み立て実験・面接実験・バンク配線作業実験』という四つの実験が実施されたが、この実験結果は『物理的で客観的な作業条件(雇用待遇)』を変化させても従業員の作業効率には殆ど違いが見られないという不思議なものであった。

その実験結果と従業員たちのアンケート調査から、従業員の生産性や労働意欲は『物理的で客観的な作業条件(雇用待遇)』よりもむしろ、『精神的で主観的な職場の人間関係(あるいは個人の仕事観・目的意識)』に左右されるという人間関係論の仮説が導き出された。

『ホーソン実験』のそれぞれの実験結果は以下のようなものになった。

1.照明実験……工場の照明と作業能率の相関関係を調査する実験。工場内の照明を明るくした場合には、それまでよりも作業効率が高くなったのだが、逆に照明を暗くしても従来よりも作業効率が高くなることが分かり、照明を明るくしても必ずしも作業効率が高くなることは確認されなかった。

2.リレー組み立て実験……『賃金・休憩時間(食事時間)・工場内の温度・湿度』などの環境条件を変えながら、6人の女性従業員が製品を組み立てる作業効率がどのように変化するかを調べた実験。この実験ではそれらの労働条件をどのように変更しても、実験が進むにつれて作業効率は高くなった。逆に、途中で元の労働条件に戻す変更をしても、作業効率は時間と共に上昇したため、客観的な労働条件と作業効率の有意な相関は見られなかった。

3.面接実験……延べ21126人にも及ぶ従業員に対して、『仕事に対する意見・感想・要求』などを聞いた面接法の実験。労働者の作業は『その作業に対する満足・不満』という感情と明確に切り離すことはできず、労働者の労働意欲はその個人の『職場での人間関係・仕事に対する適性(納得)』の満足度に大きく左右されていることが分かった。『客観的な労働条件』以上に『主観的な職場の人間関係』のほうが重要なのではないかという仮説が考えられた。

4.バンク配線作業実験……従業員を職種ごとにグループ分けして、バンク(電話交換機の端子)の配線作業を行わせ、その共同作業(協力行動)の成果を調べようとした実験。その結果、それぞれの労働者は自分の持てる力をすべて出し切るのではなく、状況や場面に応じて自発的に自ら労働量を制限(節約)していることが分かり、労働者の『時間当たりの生産量の違い』は労働者の能力上の差異によるものではないという結論になった。更に、『品質検査』では、上司の検査官と労働者との間に『良好な人間関係(信頼感)』があるほうが、より欠陥やミスの少ない製品を製造できることが分かった。

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[フィールドスタディ(field study)とホーソン工場の研究(ホーソン実験):1]

フィールドスタディ(field study)とホーソン工場の研究(ホーソン実験):1

人工的に環境条件が整えられた“実験室”で行われる研究ではなく、研究しようとしている対象が存在して活動している“実際の現場(フィールド)”に出向いて行う研究のことを『フィールドスタディ(field study)』という。心理学分野におけるフィールドスタディは、厳密には文化人類学・社会人類学などにおけるフィールドワークとは異なり、必ずしも『関与しながらの観察・参加的観察(participant observation)』を伴うわけではない。

フィールドスタディは研究方法として、『現場の被検者との共同作業(発達心理学では子どもと一緒に遊ぶような行為も含む)』『現地の人たちとの共同生活』といった参加的観察を用いるのではなくて、基本的には『現場・現地の人たちの感想や考え、状況』を調べるためのツールとして質問紙法の心理テストを用いるのが普通である。

つまり、自分自身が研究対象(調査しようとする人たち)の中に溶け込んで『感覚的で主観的な体験』をするのではなく、研究対象だけでの活動状況やその感想について『客観的なデータ』を収集して解釈しようとするのがフィールドスタディと呼ばれる研究手法である。

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2012年01月31日

[フィードバック(feedback)2:カウンセリング・心理療法にも応用されているフィードバックの技法]

フィードバック(feedback)2:カウンセリング・心理療法にも応用されているフィードバックの技法

この項目は、[前回の記事]の続きになります。臨床心理学やカウンセリング(心理療法)の分野では、クライエントの行動・症状やその変化をクライエントに分かりやすく示して、『気づき・自己洞察・自己理解』を促すことがフィードバックと呼ばれている。具体的には、クライエントの行動・症状が分かる資料やデータをクライエントに与えることだったり、周囲の人がクライエントをどのように見ているか(評価しているか)が伝わる情報を与えることだったりするが、このフィードバックによって心的変容(人格変容)を促す技法はA.アイビィのマイクロカウンセリングでも重視されている。

カウンセリング(心理療法)において、もっとも客観的あるいは効果的で適切なフィードバックを与えるためには、『カウンセリング過程のやり取りの記録』が必要であり、そのためにボイスレコーダーやデジタルビデオが用いられることもある。

昔はクライエント中心療法(来談者中心療法)のカール・ロジャーズが、テープレコーダーを用いてカウンセリングのセッションの内容を記録していたが、C.ロジャーズは必ずしもクライエントに聞かせるためにカウンセリングを録音したわけではない。カール・ロジャーズのテープレコーダーによるカウンセリング内容の録音は、『カウンセラー間のスーパービジョン(相互学習のワークショップ・研究会)』のためのものであり、ここで説明しているフィードバックの目的とは異なっていた。

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