ツベルクリン反応・ツベルクリン皮膚検査(tuberculin skin test)とBCG
ツベルクリン反応(tuberculin skin test)とは、結核感染のスクリーニング検査に用いられる免疫反応(免疫応答)のことである。1890年にドイツの科学者・医師であるロベルト・コッホ(Heinrich Hermann Robert Koch、1843-1910)によって、結核菌からグリセリン抽出されたツベルクリン液(結核菌を薄めた抗原)が作成され、クレメンス・フォン・ピルケのアレルギー反応の発見によってツベルクリン皮膚検査が実用化されることになった。
ツベルクリン液とは、『薄めて無毒化した結核菌』から分離精製された複数のタンパク質であり、ツベルクリン液には結核発症の作用はなく安全性が確認されている。ツベルクリン皮膚検査では前腕に皮内注射を行って、48時間後の皮膚反応(発赤の大きさ)を測定することになるが、その判断基準は以下のようになっている。
陰性:注射部位の発赤の長径が10mm未満=結核に感染していないと推測されるが、結核に対する抵抗力(免疫)がないのでBCG(牛型結核無毒化ワクチン)を接種する。
疑陽性:注射部位の発赤の長径が10mm以上であるが硬結・2重発赤がない=結核に感染しているリスクは低い。
中等度陽性:注射部位の発赤の長径が10mm以上で硬結がある=発赤の長径が30mm以上になると、結核感染のリスクを排除できない。
強陽性:発赤の長径が10mm以上で硬結以外にも2重発赤,水疱,壊死などが発症している=結核感染のリスクが高いと推測される。