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2010年07月25日

[交流分析のドラマ的交流(dramatic transaction)]

交流分析のドラマ的交流(dramatic transaction)

交流分析ではエゴグラムの性格分析を用いて、他者とのコミュニケーション(相互作用)のパターンを分析するが、そこには『本音と本音の交流』ではない形式のコミュニケーションが見られる。『対立・不安・緊張・不快』を避けて、相手との対人関係に無難に適応するために、自分の『本当の感情・思考・価値観』を隠蔽した自己欺瞞的なコミュニケーションパターンが形成されることがあるが、これを『ドラマ的交流(dramatic transaction)』と呼んでいる。

ドラマ的交流という概念の考案者は、九州大学教授で催眠療法の権威であった池見酉次郎(いけみ・ゆうじろう)と交流分析の研究で功績を残している杉田峰康(すぎた・みねやす)であるが、“ドラマ的”という語感には“自分の人格・感情・態度を演じる”といった意味が含意されている。交流分析で自分と他者を意識的・無意識的にある程度偽って、『表層的な適応・平穏な人間関係』を目指すコミュニケーションのことをドラマ的交流と言う。

ドラマ的交流をしているか否かについて本人は自覚がないことが多いのだが、習慣的あるいは強迫的に繰り返されるドラマ的交流は、以下の6つの種類に分類することができる。ドラマ的交流は必ずしも非適応的なコミュニケーション(自他にとっての悪い結果)に結びつくわけではなく、『現実的な社会環境・対人状況』においては、無意識的にドラマ的交流を行ったほうが返って良い結果(円滑な人間関係)につながることも多い。

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[交流分析のドライバー(drivers)とアロウアー(allower):2]

交流分析のドライバー(drivers)とアロウアー(allower):2

この項目は、[前回の記事]の続きとなります。『ミニ脚本』の基本概念となる拮抗禁止令というのは、『この禁止原則さえ守っていれば親の不条理な禁止令には従わなくても良い』という作用を持つ禁止令のことであり、親の『親の自我状態』から子の『親の自我状態』へと与えられるものである。拮抗禁止令とは『理想自我・完全主義・向上心』と関係する禁止令であり、理想的な成果や自己を目指して完全主義的な努力(向上)を続けよという内容の命令になっている。

臨床心理学者のテイビー・ケーラー(Taibi Kahler)ヘッジス・ケーパー(Hedges Caper)が定義したミニ脚本の拮抗禁止令には、『ドライバー(driver)・ストッパー(stopper)・ブレーマー(blamer)・ディスペア(dispair)』の4種類がある。ドライバーというのは『人を駆り立てる命令・指示』のことであり、実力以上の高い目標水準の達成を要求して『完全で理想的な自己』になるように命令するという特徴を持つ。

ドライバーの具体的な命令の内容としては、『完全であれ・急げ・もっと努力せよ・他人を喜ばせろ・もっと強くなれ』の5つがあり、自分を犠牲にして他人を喜ばせる生き方が正しいとする価値観を含んでいる。小さな失敗や短時間の休養も許さない『ドライバー』の完全主義欲求が強まると、人間は絶えず目標を達成しなければならないという強迫観念に駆られて精神的に追い込まれやすくなる。

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[交流分析のドライバー(drivers)とアロウアー(allower):1]

交流分析のドライバー(drivers)とアロウアー(allower):1

エリック・バーンが創始した交流分析(TA:Transactional Analysis)には、人生の大まかな筋書きや自己定義として機能する『脚本(script)』があると考えられており、この脚本を自己肯定的・環境適応的な内容に書き換える『脚本分析(script analysis)』をすることで問題が解決に向かうとされている。脚本分析は人生全体の大まかな展開や粗筋を予測するマクロな脚本であるが、短期的な時間軸で人間の行動パターンを規定するミクロな脚本として『ミニ脚本(mini script)』というものがある。

『ミニ脚本』の定義をしたのは臨床心理学者のテイビー・ケーラー(Taibi Kahler)ヘッジス・ケーパー(Hedges Caper)であるが、ミニ脚本は人生脚本の部分的要素であると同時に、その人の基本的な行動原則・認知傾向を規定するものでもある。『ミニ脚本の内容・禁止令』は幼少期からの親子関係の積み重ねによって形成されてくるが、ミニ脚本では特に『不条理な禁止令』を抑制する『完全主義的な拮抗禁止令』の影響が強くなることが多い。

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[度数分布(Frequency Distribution)と尺度水準]

度数分布(Frequency Distribution)と尺度水準

母集団に対して実験・調査を行って得られたサンプル(標本)を数量化して、一定の数値の範囲を持つ『階級』に分類したものを『度数分布(Frequency Distribution)』という。度数分布が為されていないバラバラのデータ(数値)の集まりは『離散型の変数』と呼ばれるが、度数分布を明らかにすることによってデータの傾向・ばらつきを大まかに把握することができる。

度数分布では各サンプルのデータ(数値)が含まれる『階級(クラス)』を設定するが、その階級に各データが何個含まれているかを表にしたものを『度数分布表』という。度数分布は母集団の全体的な傾向・頻度(ばらつき)を簡単に把握するための最も基本的な統計手法である。一般的には、データの数字の大小の順番に階級を設定して、それぞれの階級に何個のデータが含まれるかをチェックしていく。

クラス40人分の数学のテスト(100点満点)のデータがあると仮定すると、0〜20点、20〜40点……80〜100点といった『階級(クラス)』を設定して、それぞれの階級に何個のデータが含まれるのかを確認していけば度数分布表を作成することができる。度数分布化されたデータは離散型のデータよりも統計的な処理が簡単になるというメリットがあり、度数分布から中央値・平均値・標準偏差を求める単純なアルゴリズムがあるので、Excelなどの表計算ソフトを使えば簡単にそれらの数値を自動で計算することができる。

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[企業組織のトップマネージメント(top management)・トップダウンとボトムアップ]

企業組織のトップマネージメント(top management)・トップダウンとボトムアップ

企業は経営・財務・業務・労務・人事などを管理(マネージメント)するが、その管理手法は『トップダウン』『ボトムアップ』に大きく分類される。トップダウンは経営者(上位者)が部下(下位者)に対して一方的な指示・命令を出す中央集権的な管理手法であり、原則として部下が経営者に対して反対意見(異論・提案)を申し立てることは許されない。

経営者(上位者)が経営目的・数値目標を設定して、その目的を達成するために部下に命令・指示を出して従わせるというのがトップダウンであり、トップダウンの長所は判断・指示にブレがないので『一貫性のある経営計画・商品開発・営業活動』を迅速に推進しやすいということである。

スピーディーな意志決定と一貫性のある経営判断というのがトップダウンの強みであるが、その短所としてはトップの経営判断が間違っている時にでも軌道修正ができず、『現場の生の声』を経営に反映しにくいということである。

ボトムアップは経営者が『現場(従業員)の多様な意見』を聞いて集約し、その有効な部分を実際の経営計画・営業活動にダイレクトに反映していくという管理手法である。ボトムアップの長所は、実際に顧客・取引先と接している営業マンや工場で働いている従業員の『経験に根ざした意見・提案』を聞くことができ、『現場の改善・改革』を進めることで生産性・営業成績を高めやすくなるということである。

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2010年07月22日

[ゲシュタルト療法のトップドッグ(top dog)とアンダードッグ(under dog)]

ゲシュタルト療法のトップドッグ(top dog)とアンダードッグ(under dog)

フリッツ・パールズとローラ・パールズの夫妻が開発したゲシュタルト療法(Gestart therapy)では、『今・ここの原則』を前提として各種のリアリティのある感情体験やロールプレイ(役割演技)を実施していくことになる。自分の心理的問題や悩みと関係している『他者』の役割を演じてみたり、自分自身の内的世界にある『特定の要素・属性』だけを取り出して演じてみたりする。

ゲシュタルト療法で実施するロールプレイは、自分と関係者(家族・友達・恋人・先生など)の間で行われるコミュニケーションを再現するという『対話ゲーム(games of dialogue)』の形式で行われることが多い。対話ゲームの効果を最大限発揮するために重要なポイントは、それぞれの役割・人物に本気で成りきって発言してみること、そのロールプレイの会話によって生じる感情体験・身体感覚の内容をゆっくりと味わってみることである。

対話ゲームでは『自分のパーソナリティの両極端な要素』に気づくことによって、その二つの対照的(両極)な要素や特徴の間で対話をさせることがあるが、その時に用いられるのが『アンダードッグ(under dog)』『トップドッグ(top dog)』という概念である。

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[ドクターショッピング(doctor shopping)]

ドクターショッピング(doctor shopping)

ドクターショッピング(doctor shopping)とは医師の『診察・診断・治療の選択・説明』などを信用することができず、次から次に相談をする病院(医師)を変える行動を意味する。医師の診療・説明を『通常の買い物(ショッピング)』と同じような頻度で次々と利用することから、ドクターショッピングと呼ばれる。

ドクターショッピングを引き起こす心理は、『客観的現実からの逃避・否認』と関係しており、自分が受け容れたくない『医師の診断結果・治療方針』を否定するために、別の医師の異なる見解を求め続けるのである。

実際には身体の異常や病気の兆候が無いにも関わらず、自分が深刻な病気になっているのではないかと疑う『心気症(ヒポコンドリー)』によってドクターショッピングが行われることもあるが、このケースでは『あなたは胃ガン・心疾患(血管障害)・白血病です』というような重い病気の確定診断が出ることを強く恐れている。

ヒポコンドリー患者は致命的疾患を強く恐れてはいるが、自分では『深刻な病気を発症しているはず・死ぬような重い病気になっていそうだ』という妄想的な確信があるので、幾ら医師が検査の結果、何の異常もないことを伝えてもなかなか納得できない。

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ラベル:医学 医師 心気症
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2010年07月10日

[行動療法のトークン・エコノミー]

行動療法のトークン・エコノミー

I.P.パヴロフのレスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)やB.F.スキナーのオペラント条件づけ(道具的条件づけ)の行動原理を応用した行動療法は『非適応的な行動』を改善することを目的とする。行動療法は行動科学(行動主義心理学)や学習心理学をベースにした心理療法であり、『条件反射』『正の強化子・負の強化子』を治療的に利用して、不快な精神症状や不適応(不適切)な問題行動を変容させていく。

客観的に観察可能な“行動(behavior)”を対象とする行動療法の作用機序は、『非適応的な行動の消去』『適応的な行動の改善』というシンプルなものである。日常生活や職業活動、社会環境に上手く適応できない行動を変容させていくことが行動療法の主要な目的であり、『内的心理・人格特性・価値観・対人認知』など一般的なカウンセリング(来談者中心療法)で話し合われるテーマについては積極的に触れることが少ない。

適応的な好ましい行動の生起頻度を増やすために、報酬(インセンティブ)の効果を持つ『正の強化子』を用いるが、代表的な正の強化子には『賞賛・肯定・商品(金銭)・トークン』などがある。非適応的な好ましくない行動の生起頻度を減らすために、罰(パニッシュメント)の効果を持つ『負の強化子』を用いるが、負の強化子には『否定・注意・罰則・痛み』などがある。

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[トキソプラズマ症(toxoplasmosis)]

トキソプラズマ症(toxoplasmosis)

トキソプラズマ症(toxoplasmosis)は、犬・猫・豚などの動物(家畜・ペット)から人へと感染する単細胞の原虫の感染症である。世界中で多く見られる感染症の一つでありその毒性は一般に弱いので、健康な成人であれば感染しても無徴候・無症状のままであることが多い。発熱して身体がだるくなったり頭や腹の痛みを訴えるなど、軽い風邪のような症状が出ることもあるが、トキソプラズマ症が健康な成人で重症化することは殆どない。

しかし、免疫力(免疫応答)が未熟な胎児・幼児や免疫力が低下している臓器移植患者やエイズ患者の場合には、トキソプラズマ症を原因とする日和見感染症(弱毒微生物への感染)が重症化して死亡リスクも出てくる。トキソプラズマ症による日和見感染が重症化すると、脳炎や神経系疾患(神経障害)を発症して、肺・心臓・肝臓・眼球など重要な器官が損傷されやすくなる。特に、問題視されるのは胎児へのトキソプラズマの感染であり、感染経路となる妊婦がトキソプラズマに対する抗体を形成していない時に、胎児の症状・障害が重症化する恐れが出てくる。

妊婦が初感染した場合には、胎盤を経由して胎児にトキソプラズマが感染し、『流産・死産・水頭症による知的障害(中枢神経系の発生障害)』などの深刻な結果を引き起こすことがあるが、現在のところ、トキソプラズマ症を予防するワクチンは開発されていない。感染後には、抗生物質などによる治療が行われることもある。

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[動脈硬化症(arteriosclerosis)]

動脈硬化症(arteriosclerosis)

動脈硬化症(arteriosclerosis)は血管の動脈の内部にLDLコレステロール(脂質)が沈着する疾患で、動脈の内壁が肥厚したり硬くなったりすることで、血流に障害が生じたり血管が破れやすくなる。動脈硬化症は『心疾患・心筋梗塞・脳血管障害(脳梗塞)』のリスクファクターであり、心臓や脳の血管が梗塞して破れれば致命的疾患となる。動脈の血管内部にコレステロールが沈着する病気なので、脂質異常症(高脂血症)とオーバーラップ(重複)して診断されることも多い。

動脈硬化症・高脂血症は『生活習慣病』の一種として位置づけられており、暴飲暴食・喫煙習慣・肥満体型・高カロリー食の摂取・塩分の過剰摂取・運動不足などによって発症しやすくなる。高血圧や糖尿病も動脈硬化症のリスクを高めるが、肥満の中でも特に『内臓脂肪型肥満(メタボリック・シンドローム)』のほうが皮下脂肪型肥満よりも各種の疾患を発症する危険が高いとされている。

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[特性因子理論(trait-factor theory)]

特性因子理論(trait-factor theory)

性格心理学の基本的な性格理論として、『類型論・タイプ論』と『特性因子理論』の二つがある。C.G.ユングのタイプ論やE.クレッチマーの体型性格理論、シェルドンの発生的類型論が類型論(type theory)の代表であり、類型論というのは『典型的な特徴・個性を明確に示すタイプ』を分類することによって人間の複雑な性格を直観的・全体的に理解しようとするものである。科学的根拠が十分にない血液型性格診断や占星術による性格分類なども、類型論的な人間理解に基づいている。

『特性因子論(trait-factor theory)』というのは、人間の性格を観察可能な『特性・属性』の集まりとして理解しようとする立場であり、『直観的・経験的な類型論』よりも正確で詳細な性格理論を構築することができる。特性(trait)は『知性・適性・情緒気分・興味関心・価値観・適応力』などの各分野で安定的に見られる行動・反応の傾向性のことであり、特性は客観的な行動・反応として観察することができる。

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2010年06月24日

[同調行動(conformity)の社会心理]

同調行動(conformity)の社会心理

複数の人間がいる集団的状況では、人は多数者(多数勢力)の行動や意見の影響を受けやすい。多数者(マジョリティ)の行動や主張を模倣して、それらと同じような行動や主張を意識的あるいは無意識的にしてしまうことを『同調行動(conformity)』という。同調行動には『多数者に対する同調』だけではなくて、『親密な他者(家族・恋人・親友)に対する同調』もある。

『多数者に対する同調行動』は、多数者からの攻撃や非難を回避する自己防衛行動として形成されることも多く、自分自身の立場や安全を守るために『本心とは異なる行動・主張』をすることがある。集団状況の中で、大勢の人が賛成している事柄について、自分ひとりだけが反対意見を述べることは一般に難しいが、同調行動の根本的要因には『帰属集団からの排除・懲罰』を恐れる本能的な共同体感情が関係していると推測されている。

『多数意見への同調』や『多数勢力への迎合』というのは、特別な地位や権力、カリスマ性を持たない者にとっては、帰属集団から排除(処罰)されない為の自己防衛的な反応とも解釈できる。多数者への同調行動が形成される時には、必然的に少数意見を抑圧する『集団力学(グループ・ダイナミクス)』が働くことが多い。家族や恋人など親密な他者に対しても同調行動が見られることがあるが、この場合には『大切な相手に好かれたい・嫌われたくない』という承認欲求や親和欲求が深く関係している。

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[東大A-S式知能検査]

東大A-S式知能検査

知能を測定する知能テスト(心理測定尺度)としては、T.シモンズとA.ビネーが開発したビネー式知能検査とD.ウェクスラーが開発したウェクスラー式知能検査が有名である。

知能検査を開発した当初の目的は、普通学級の授業に適応することが難しい知的障害児(精神遅滞)をスクリーニングすることであったが、現在では知的障害の発達・学習を円滑に進める『特別支援教育の実施・提供』のために知能検査が実施されることが多い。

ビネー式知能検査(1905年)を改良した『スタンフォード・ビネー知能検査(1916年)』がL.M.ターマンによって開発されたが、日本では田中寛一が『田中ビネー知能検査(1947年)』を開発している。

1956年には、鈴木治太郎(すずきはるたろう)『鈴木ビネー知能検査』を開発しており、2007年3月に『改訂版・鈴木ビネー知能検査』が発行されている。田中ビネー知能検査の最新版は2003年に発行された『田中ビネー知能検査V(第5版)』であり、IQ(知能指数)だけではなくDIQ(偏差知能指数)も測定できるように改良されている。

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2010年06月20日

[洞察療法(insight therapy)と精神分析の無意識]

洞察療法(insight therapy)と精神分析の無意識

心理療法(カウンセリング)の作用機序に着目した古典的な分類法では、心理療法を『洞察療法・支持療法・行動療法』に分類することがあったが、現在ではこれに『認知療法』を加えることが妥当である。この分類はどんな作用や働きかけによって、クライアントの心理的問題や精神症状、不適応常態が解決するのかに着目したもので、『洞察療法(insight therapy)』というのはそのまま洞察によって問題が解決に向かうとするものである。

支持療法というのは、C.ロジャーズの共感的な理解と無条件の肯定的受容を中心とする『来談者中心療法(クライエント中心療法)』のことであり、クライアントの傷ついた心理や落ち込んだ気分を共感的に支持して上げるところに特徴がある。行動療法は『不適応な行動の改善』や『適応的な行動の形成』によって、自分の抱えている問題を具体的な行動変容によって解決していこうとするものである。認知療法は『物事・他者に対する受け止め方(解釈)』を現実的でポジティブなものに変容させることで、ネガティブな感情や陰鬱な気分が起こりにくくするものである。

洞察療法でいう『洞察(insight)』とは何であるかという問いが浮かぶが、洞察は一般的には気づき(awareness)と類似した意味で用いられることが多い。『気づき(awareness)』というのも心理療法のプロセスではかなり重視される要素であるが、今までに自分だけでは気づかなかった『新たな感覚・感情・考え方』に気づくことによって、問題の解決や自我の強化が促進されやすくなるのである。

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[動作療法と脳性麻痺(Cerebral Palsy:CP)]

動作療法と脳性麻痺(Cerebral Palsy:CP)

脳性麻痺(Cerebral Palsy:CP)というのは、受精から生後4週目までに受けた脳の器質的な損傷によって発症する持続的な運動機能障害のことである。脳性麻痺の運動機能障害に対しては、通常、リハビリテーションや特別支援学級の療育などによって対処されるが、カウンセリングや心理療法の要素を持った対処法として『動作療法(motor action therapy)』というものがある。

『動作療法』は脳性麻痺児童の運動障害や肢体不自由を改善するために、成瀬悟策・大野清志・星野公夫らが、催眠療法や自律訓練法の方法論を応用して開発したシンプルな技法である。身体動作を意図してから身体の各部を動かすために努力するというプロセスに注目して、『意図→努力・集中→実際の身体運動のプロセス』を催眠暗示(暗示誘導)などの技術も用いながら促進しようとするものである。

動作療法では実際に効果がでない脳性麻痺のケースも多いのだが、動作療法は『身体動作のテクニカルな改善』に留まらず、身体と精神の調和の取れた全体的発達を進めようとするビジョンに特徴があった。

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2010年06月10日

[ゲシュタルト療法の投影ゲーム(playing the projection)]

ゲシュタルト療法の投影ゲーム(playing the projection)

ゲシュタルト療法には、『思い込み・偏見・誤解』などによるディスコミュニケーションを是正するための技法として『投影ゲーム』というものがある。ゲシュタルト療法はフリッツ・パールズとローラ・パールズの夫妻によって開発された心理療法であるが、ゲシュタルト療法では『外界や他者の知覚』『自己の内面の投影』と見なす考え方がある。

自分が他者や状況について、良いとか悪いとかある価値判断をする時には、必ずその前段階に『外界・他者の知覚』がある。外界・他者を知覚する時に大切なのは『客観的事実』『投影による偏見・歪み』の区別を的確につけるということであり、自分の投影による偏りによって間違った判断を下さないようにするということである。

偏見や誤解を含む投影によって作られた知覚のことを『空想的知覚』と呼ぶが、人は空想的知覚によって被害妄想に陥りやすくなったり相手に対する不信感(嫌悪感)を持ってしまったりする。

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[同一化(identification)と投影性同一視(projective identification)]

同一化(identification)と投影性同一視(projective identification)

『同一化(identification)』は精神分析の自我防衛機制の一種であり、対象の持つ特徴や属性、思考・感情などを自分の内面に取り入れることで、自己と対象とを同一化してしまうというものである。乳幼児期の発達早期には『取り入れ』と『同一化』の防衛機制が同時に発動しやすく、特に両親(同性の親)の行動や発言・考え方を模倣して同一化するような状態が現れやすい。

子どもは生まれて初めて出会う権威者である『親』に対して、『取り入れ』や『同一化』の防衛機制を働かせて、両親の特徴や属性の目だった部分を自己の一部として取り入れようとするのである。3〜4歳の時期には『第一次反抗期』、小学校高学年〜中学生頃の思春期には『第二次反抗期』を迎えることが多いので、精神発達の過程では何度か『同一化』は断絶する。だが、概ね子どもは、親と似通った思考・感情・価値観を身に付けやすい傾向がある。

児童期〜思春期の発達段階では、学校の先生や憧れの先輩、芸能人、アーティスト、スポーツ選手など様々な他者(対象)に対して『取り入れ・同一化』を起こすことがある。これらの防衛機制は『自分の好きな相手・尊敬できる相手』だけに働くわけではなくて、『自分が嫌いな相手・恐れている相手』などに対しても同一化することがあり、同一化によって恐怖や不安から自我を防衛することがある。

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2009年12月30日

[TPI(Todai Personality Inventory:東大版総合性格検査)]

TPI(Todai Personality Inventory:東大版総合性格検査)

東京大学文Vの教育心理学専攻の教室で、アメリカ・ミネソタ大学のS.R.ハサウェイ(S.R.Hathaway)とJ.C.マッキンレー(J.C.Mckinley)が開発したMMRI(ミネソタ多面人格目録)を参考にして開発された性格検査(パーソナリティ検査)が『TPI(Todai Personality Inventory)』である。TPIは『東大版総合性格検査』と翻訳されるように、MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)と同じく人間の『性格特性・病理傾向・適応水準』などを網羅的かつ臨床的に分析することを目的にして開発されている。

『MMPI』は550問の質問項目から構成された信頼性・妥当性の確認された性格検査であるが、『はい・いいえ・どちらでもない』の三件法で回答する形式になっている。『TPI』も総合的な性格特性と精神病理傾向の分析を目的にしているので、500問というかなり多い質問項目から構成されている。MMPI(ミネソタ多面人格目録)もTPI(東大版総合性格検査)も、網羅的かつ臨床的な人格特性の資料目録を作成することを目的にしており、開発当初は『精神医学的診断の客観化・合理化』を目指していた。

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2009年10月12日

[トランスパーソナル心理学(transpersonal psychology)と超心理学(parapsychology)]

トランスパーソナル心理学(transpersonal psychology)と超心理学(parapsychology)

トランスパーソナル心理学は『孤立した個人の限界』を超えて、個人と世界(宇宙)との統合的調和を目的とする心理学であり、個人を超えた実在(宇宙・地球・人類・生態系・神)と融合するような超越的体験を重視する経験主義の学問である。

トランスパーソナルは、そのまま『自己超越』という意味を持っている。個人を超えた実在とのアプローチや利己主義(エゴイズム)の超越を目的とする意味では、C.G.ユングの『普遍的無意識(集合無意識)』を前提とした分析心理学とも親和性を持っている。トランスパーソナル心理学の代表的な研究者・実践者には、スタニスラフ・グロフケン・ウィルバーがいる。

トランスパーソナル心理学は、西洋科学(科学的心理学)と東洋の宗教思想(仏教・禅宗)との統合を模索している心理学の領域であり、人間の成長の可能性を『自我意識の枠組み』ではなく『普遍的な存在(宇宙意識)の枠組み』で考えていくことで、個人超越的な自己実現を図ろうとする。トランスパーソナル心理学の研究者であるケン・ウィルバーは、『意識のスペクトラム』という精神発達論に基づいて、個人と宇宙意識(普遍的実在)を統合することを目標にする『インテグラル理論』を提唱している。

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[トランスパーソナル心理学(transpersonal psychology)と自己超越・自己実現]

トランスパーソナル心理学(transpersonal psychology)と自己超越・自己実現

心理学の第三勢力と呼ばれた人間性心理学(ヒューマニスティック心理学)の心理学者には、カール・ロジャーズやアブラハム・マズローがいる。ヒューマニスティック心理学の人間観は、『ひとりの人間』が『ひとりの人間』の人格性や価値観をありのままに尊重して受容することによって、人間は潜在的な創造性や成長力を開花させていくことができるというものであり、その目標は『自己実現・自己一致』に置かれている。

アブラハム・マズロー(1908-1970)の欲求階層説には『生理的欲求・安全と安心の欲求・所属愛の欲求(親和欲求)・承認欲求(自尊欲求)・自己実現欲求』の段階があり、最高次の欲求として“自己実現”が定義されている。分析心理学を創始したC.G.ユングは、意識的な生き方と普遍的無意識(集合無意識)のメッセージを統合した『個性化のプロセス』によって自己実現が達成されると考えた。

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