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2017年12月30日

[孫‐祖父母関係評価尺度・祖父母版3:祖父母から見た孫の機能の評価尺度]

孫‐祖父母関係評価尺度・祖父母版3:祖父母から見た孫の機能の評価尺度

『孫‐祖父母関係評価尺度・祖父母版』は、祖父母から見た孫の機能を評価する尺度になっています。『時間的展望促進機能,道具的・情緒的援助機能,存在受容機能,世代継承性促進機能,日常的・情緒的援助機能』の5つの機能に分類して、祖父母から見た孫の機能を分類・評価しています。

孫‐祖父母関係評価尺度・孫版2:孫から見た祖父母の機能の評価尺度

質問項目に対する選択肢は、『はい(○:2点)・いいえ(×:0点)・どちらでもない(△:1点)』のシンプルな三件法になっています。

【T 時間的展望促進機能】

1.孫がいるだけで、何となく安心できる気がする。

2.孫の姿から、自分の余生の大切さをしみじみ感じる。

3.孫のことを思うと、私も気持ちが若々しくなる。

4.私から孫へ、孫から子供へというつながりを嬉しく思う。

5.孫が成功すると、私が若い頃にできなかったことをしてくれているようで嬉しく思う。

【U 道具的・情緒的援助機能】

1.孫は私が子供とぎくしゃくした時など、間を取り持ってくれる。

2.孫は私が外出する時など、必要な時に付き添ってくれる。

3.孫は今の世の中の「はやり」について教えてくれる。

4.孫は私の代わりに電話をかけたり、用事に行ったりしてくれる。

5.孫は、これからの生活で金銭的に援助してくれるだろうと思う。

6.孫は私が病気やケガをした時、世話をしてくれる。

【V 存在受容機能】

1.自分ではどうにもならなくなった時、最後に頼りになるのは孫だと思う。

2.子供には言えないことでも、孫には話せることがある。

3.つらいことがある時、孫のことを思うと気持ちが慰められる。

4.孫は何があっても、私のことを見捨てないと思う。

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[孫‐祖父母関係評価尺度・孫版2:孫から見た祖父母の機能の評価尺度]

孫‐祖父母関係評価尺度・孫版2:孫から見た祖父母の機能の評価尺度

『孫‐祖父母関係評価尺度』では、孫と祖父母の日常的・情緒的な双方向のやり取りに加えて、『世代間継承(価値や伝統の伝達)・存在そのものであるBeingの価値・ライフサイクルを踏まえた人生全体の展望』なども測定できるように工夫が為されています。

孫‐祖父母関係評価尺度1:老年期の発達課題である『人生の統合・叡智の獲得・死の受容』

『孫‐祖父母関係評価尺度』は、『孫から見た祖父母の機能』と『祖父母から見た孫の機能』を測定することができます。

質問項目に対する選択肢は、『はい(○:2点)・いいえ(×:0点)・どちらでもない(△:1点)』のシンプルな三件法になっています。ここでは、「孫・祖父母の機能」に関係する代表的な質問項目を取り上げています。

孫‐祖父母関係評価尺度の孫版

【T 存在受容機能】

1.つらいことがある時、祖父(祖母)を思うと、気持ちが慰められることがある。

2.自分ではどうにもならなくなった時、最後に頼りになるのは祖父(祖母)だなあと思う。

3.親には言えないことでも祖父(祖母)には話せることがある。

4.祖父(祖母)がいるだけで何となく安心できる気がする。

5.祖父(祖母)は何があっても、私のことを見捨てないと思う。

【U 日常的・情緒的な援助機能】

1.祖父(祖母)は、私に興味や関心を持っていてくれる。

2.祖父(祖母)は、私のからだの具合を気遣ってくれる。

3.祖父(祖母)は、私の気持ちを理解しようとしてくれる。

4.祖父(祖母)は、私が何万円もかかるような大きな買い物をする時、お金を出してくれる。

5.祖父(祖母)は、両親が忙しい時など両親の代わりに、私のことを色々してくれる。

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[孫‐祖父母関係評価尺度1:老年期の発達課題である『人生の統合・叡智の獲得・死の受容』]

孫‐祖父母関係評価尺度1:老年期の発達課題である『人生の統合・叡智の獲得・死の受容』

現代では祖父母の孫に対する『経済・育児の支援の度合い』『祖父母の孫との接し方』によって、『親の負担・子育て環境・子供の精神発達への影響・子供が受ける利益』が大きく変わると言われています。

孫と祖父母(おじいちゃん・おばあちゃん)の関係性を評価する心理テスト(心理評価尺度)も色々と開発されていますが、大きく分けると「孫が回答する孫版の心理テスト」「祖父母が回答する祖父母版の心理テスト」があります。心理テストでは、祖父母と孫の間で相互作用を発揮する『日常的・行動的・情緒的な関わり合い』を評価・分析していくことになります。

社会的精神発達理論で知られる精神分析家エリク・エリクソン(E.H.Erikson, 1902-1994)は、30〜50代に当たる中年期(壮年期)の発達課題として『生殖性・教育』を上げています。中年期(壮年期)では、結婚して自分の子供をもうけたり子供世代の教育支援をしたりする事が重視されました。

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2016年03月28日

[共産圏のマルクス主義者が落ち込んだ『抑圧の弁証法』とアントニオ・ネグリの政治哲学的なスピノザ研究]

共産圏のマルクス主義者が落ち込んだ『抑圧の弁証法』とアントニオ・ネグリの政治哲学的なスピノザ研究

本来のヘーゲル哲学の弁証法におけるアウフヘーベン(止揚)は、啓蒙主義的な進歩・前進の変化をもたらすべきものなのだが、ロシア・マルクス主義や一部の教条的なマルクス主義の思想家にあっては、進歩のための弁証法が『抑圧のための弁証法』へと悪い方向に変質してしまったのである。

ジル・ドゥルーズはマルクス主義が堕落・腐敗した教条主義に変質してしまうような事態を否定して、統合されない差異の要素の多様性(リゾームの概念に示されるポストモダンの相対主義的な視点)を肯定することによって『抑圧の弁証法』を厳しく批判するスタンスを取ったと言えるのだろう。

ヘーゲルの弁証法とマルクス主義の史的唯物論:ジル・ドゥルーズの『差異と反復』によるアンチ弁証法

カール・マルクスのマルクス主義は『共産主義革命(プロレタリア独裁)の実践』を推奨していたこともあり、一般に過激な政治哲学・政治思想として受け取られがちであるが、それはマルクス主義が権力・暴力・階級闘争といった『力』を分析する思想、倫理的かつ効果的にその『力』を利用しようとする高度に政治的・経済的な思想だったからである。

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2015年09月26日

[M.マーラーの正常な共生期とD.W.ウィニコットの母親の原初的没頭]

M.マーラーの正常な共生期とD.W.ウィニコットの母親の原初的没頭

乳幼児期の子供は、『生活・保護(愛情)をほぼ全面的に親に依存しなければならない』という発達上・能力上の前提条件があるため、『親(養育者)と子供との相互作用+親(養育者)と子供との情緒的な関わり合い』の相対的な影響度(インパクト)がかなり大きくなりやすい。

A.ポルトマンの『生理的早産』の生物学的概念では、人間の新生児は他の哺乳類と比較して極めて『未熟かつ無力な状態』で生まれてくるとされるが、完成していない可塑性に飛んだ部分が多いというヒトの新生児(赤ちゃん)の特徴が『出産後の知能(能力)の飛躍的な発達』を可能にしている。

人間の新生児・乳幼児は、生理的早産で生まれて未熟かつ無力な状態にあるので、ほぼ全面的に『親(養育者)の保護・愛情・世話』に依存しなければならないが、乳幼児期の発達心理学研究で成果を残したイギリスの精神科医のマーガレット・マーラーD.W.ウィニコット『乳幼児と親を不可分なペアとして認識する考え方』を提示した。

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2015年02月26日

[P.マリー(P.Marie)とH.ヘッド(H.Head)の神経心理学的な非局在説(全体説)]

P.マリー(P.Marie)とH.ヘッド(H.Head)の神経心理学的な非局在説(全体説)

神経心理学における『失語症の機能局在説』を否定した神経学者・心理学者としてはP.マリー(P.Marie)もいるが、P.マリーは『ブローカー失語症(話せない運動性言語障害)』の存在を否定して、特殊な知的障害を基盤に持った『ウェルニッケ失語症(言葉が理解できない知覚性言語障害)』が存在するだけだという独自の主張を行った。

カール・ゴルトシュタイン(Kurl Goldstein)の全体説と『範疇的態度(カテゴリー的態度)の喪失』

H.ヘッド(H.Head)も失語症の基盤にあるのは、『脳の機能局在的な障害』ではなく『脳の象徴形成能力の全体的な障害』であるとして、局在説に批判的な態度を取った。H.ヘッドが象徴形成能力としたのは『象徴(表象)の形成と表現』に関係する能力のことであり、失語症を持っている人は自らの内面世界に象徴(表象)を形成したりそれを表現することができないために、言葉を適切に理解できないし話せないのだろうと考えたのである。

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2015年01月08日

[前田重治の『臨床心理士と精神科医の特徴』の差異と比較]

前田重治の『臨床心理士と精神科医の特徴』の差異と比較

臨床心理士の専門的な知識・技術・素養は、『非関与的観察に基づく心的現象・心的能力・精神障害の多面的な知見』に支えられているが、精神分析や心理療法を実践する段階においては『関与的観察(参加観察)に基づく共感的・受容的な態度とクライエントとの相互作用』のほうがより重要になってくる。

精神科医と臨床心理士(臨床心理学者)の職業領域の区分と相互的な連携

関与的観察においては、心理臨床家の主観とクライエントの主観との間の共通理解や共感感情を探り合う形で、現象学でいうところの『間主観的体験』というものが生じてくる。

臨床心理学者・精神分析家の前田重治(まえだしげはる,1928〜)は、『臨床心理士と精神科医の特徴の比較』ということでその差異を以下のように整理している。前者の特徴の項目が臨床心理士、後者の特徴の項目が精神科医である。

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2014年10月04日

[カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:3]

カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:3

虚偽意識の思想化であるイデオロギーは、個別の人々の利害で規定された虚偽である『部分的イデオロギー』と、社会構造の全体的な仕組みに規定された全体的な虚偽である『全体的イデオロギー』に分類されている。全体的イデオロギーは更に自分自身の認識や価値観を含めた『普遍的イデオロギー』と自分自身の認識や価値観を除いて他者の思想や主張だけを解釈する『特殊的イデオロギー』とに分けられる。

カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:2

自分の知識・思想にもイデオロギー性と存在拘束性を認める『普遍的イデオロギー』は、更にその思想・知識にまつわる価値判断を行うか否かによって『評価的イデオロギー』『没評価的イデオロギー』に分類されている。

全体的イデオロギーを一般的・歴史的な思想として把握して論評するためには、相手の立場・思想だけを分析するのではなく、自分自身の立場や利害も含めて分析していく必要があるのだという。こういった全体的イデオロギーの一般的・歴史的な研究においては、特定の社会階層の利害や立場から自由に浮動する知識人の役割が重要だとしており、自由に浮動する知識人(インテリゲンチャ)の活動によって『全体的イデオロギーの中立性・客観性』がある程度まで担保されることになる。

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[カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:2]

カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:2

マンハイムの知識社会学では、ある特定の知識・思想を人々が信じて受け入れる社会的状況・社会階層の分化の特質を分析すると同時に、ある特定の知識が大勢の人々に受け入れられることによって社会的状況や価値観も必然的に変化を続けていくという『知識・思想と人間社会の相互作用』を意識している。

カール・マンハイム(Karl Manheim)と知識社会学:1

マンハイムはマルクス主義の史的唯物論に必ずしも批判的というわけではないが、組織・階層集団の利害から解放された自由な知識人(インテリゲンチャ)の研究によって、党派性の利害や知識改竄の呪縛からある程度離れた客観的真理に迫るような研究(=特定の階層・集団の利益に拘束されない一般的妥当性のある知識を検証・確立する研究)ができると考えていた。知識社会学とは、党派性や社会階層の利害を離れた一般的妥当性のある社会史・イデオロギー史(思想史)の研究分野だと言える。

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[カール・マンハイム(Karl Manheim)と知識社会学:1]

カール・マンハイム(Karl Manheim)と知識社会学:1

カール・マンハイム(Karl Mannheim, 1893-1947)は、ハンガリーのブダペスト生まれのユダヤ人で、ドイツと(ナチスドイツから逃れた)亡命先のイギリスで社会学者として活躍した。カール・マンハイムは『知識社会学(sociology of knowledge)』という社会学分野の研究法・知識観を提唱して、文学や哲学、社会思想、科学に及ぶ様々な人間の知識やイデオロギーの社会的基盤を分析した。

K.マンハイムは、ブダペストとフライブルクで学んだ後、1914年にドイツのベルリンでゲオルグ・ジンメルに師事して社会学の基礎的な研究法や考え方を修得したという。パリとハイデルベルクで社会学の研究を行って論文を執筆し、1918年に博士号を取得してから、1919年にドイツへと移住した。

ドイツでは1922年から1925年まで社会学者・経済学者のアルフレート・ヴェーバーに師事して、1926年にハイデルベルグ大学の講師となり、1929年にフランクフルト大学で社会学部の教授に就任した。1933年に、ユダヤ人排斥を掲げるアドルフ・ヒトラーが政権を掌握したため、K.マンハイムはイギリスへと亡命することになり、1946年にロンドン大学教育学部の主任教授の地位を得ている。だが翌年の1947年に死去することになった。

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2014年09月07日

[カール・アルフレッド・マイヤー(Carl Alfred Meier)]

カール・アルフレッド・マイヤー(Carl Alfred Meier)

スイスの精神科医・精神分析家のカール・アルフレッド・マイヤー(Carl Alfred Meier,1905-1995)は、『普遍的無意識(集合無意識)』を前提とする分析心理学の創始者であるカール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung, 1875-1961)の側近として知られた人物である。

スイスのチューリヒにある『ユング研究所』で三年間の教育分析(スーパービジョン)を受けた経験のある心理学者(ユング派)の河合隼雄(かわいはやお,1928-2007)は、このカール・アルフレッド・マイヤーに師事して教育分析を受けたという。

分かりやすい内容の新書を書いて、日本にユング心理学を紹介する役割を果たした秋山さと子(1923-1992)もマイヤーに教えを受けていた時期がある。女性精神分析家としてC.A.マイヤー本人から教育分析を受けていた秋山さと子は、『夢の治癒力(1986年)』『ソウル・アンド・ボディ(1989年)』というマイヤーの邦訳書も書き残している。

夢に登場する普遍的無意識のイメージ(元型が形を変えたもの)を治療的に活用しようとする『夢の治癒力』は、C.A.マイヤーの代表著作とされる“Antike Inkubation und Moderne Psychotherapie, 1948”を翻訳したものである。

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[ブロニスワフ・カスペル・マリノフスキー(Bronislaw Kasper Malinowski)]

ブロニスワフ・カスペル・マリノフスキー(Bronislaw Kasper Malinowski)

ブロニスワフ・カスペル・マリノフスキー(Bronislaw Kasper Malinowski,1884-1942)は、ポーランド出身のイギリスのパイオニア的な文化人類学者である。マリノフスキーはクラクフ大公国(オーストリア=ハンガリー二重帝国の領土)の貴族の家系に生まれて、幼い頃に大学教授だった父親を亡くして、子供時代は母親と二人で生活を送っていた。

首都クラクフにあるヤギェウォ大学で数学・物理学といった理系分野を専攻して1908年に学位を取得したが、その後にライプチヒ大学で心理学を学んだ。ライプチヒ大学では、実験心理学の創始者として知られるヴィルヘルム・ヴントの薫陶を受けたが、マリノフスキーはそこで実験心理学よりも『民族心理学・民族誌(エスノグラフィー)』に興味を持つようになっていったという。

イギリスの社会人類学者ジェームズ・フレイザー(Sir James George Frazer, 1854-1941)が、未開社会の神話・呪術(シャーマニズム)・宗教信仰・慣習(タブー)などについて、膨大な資料・口伝を元にして集成したのが『金枝篇』である。この『金枝篇』を読んで感銘を受けたマリノフスキーは、人類学研究の本場であるイギリスに渡ることを決め、1910年からロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で人類学のフィールドワーク(実地調査)を含めた研究に従事するようになる。

1913年、オーストラリアの先住民であるアボリジニについて文献・史料に基づく研究を進め、その成果を『オーストラリア・アボリジニの家族』という論文にまとめて発表した。ポーランドの作家スタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェヴィチと一緒にオーストラリア旅行をしていた1914年、イギリスがドイツに宣戦布告して第一次世界大戦が勃発したため、イギリスの敵としての扱いを受けたマリノフスキーはオーストラリア(英国領)を出国することができなくなった。

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2013年12月20日

[H.A.マレーの欲求-圧力仮説と欲求分類表(list of needs)]

H.A.マレーの欲求-圧力仮説と欲求分類表(list of needs)

TAT(主題統覚検査)を開発したアメリカの心理学者H.A.マレー(H.A.Murray)は、『欲求-圧力仮説』に基づくパーソナリティ理論を展開している。欲求-圧力仮説というのは簡単に説明すると、人間の行動を内面的に突き動かす『欲求(need)』と外部的な環境条件で規定する『圧力(pressure)』とを二元論的に分けて考えようとする仮説である。

欲求-圧力仮説は、精神分析など力動的心理学の理論であり、内面的な『欲求』と環境要因としての『圧力』とのせめぎ合い(葛藤)を前提にしているのだが、圧力には欲求充足を促進しようとする『プラスの圧力』と欲求充足を阻害しようとする『マイナスの圧力』との二つがある。理解・共感のある支持的な上司は『プラスの圧力』になるが、理解・共感がなくて強権的な上司は『マイナスの圧力』になりやすい。

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2013年09月03日

[アブラハム・マズローのメタ要求(meta-need)と自己実現欲求]

アブラハム・マズローのメタ要求(meta-need)と自己実現欲求

ヒューマニスティック心理学(人間性心理学)を提唱したアブラハム・マズロー(Abraham Maslow, 1908-1970)は、人間の欲求が階層的・段階的であると定義した『欲求階層説』で知られている。欲求階層説によると人間の欲求には、『生理的欲求・安全と安心の欲求・所属愛の欲求(親和欲求)・承認欲求(自尊欲求)・自己実現欲求』の段階があって、低次の欲求が満たされると次の段階の高次の欲求を満たそうとする生得的な傾向があるという。

『生理的欲求』というのは、お腹が空いたら食べる食欲、眠たくなったら寝る睡眠欲、好きな異性と関係を持とうとする性欲に代表される生きるため(子孫を残すため)の『本能的・動物的な欲求』であり、誰もが持っている低次元の欲求とされる。生理的欲求が満たされれば、物理的危険から自分の身を守ろうとする安全の欲求、危険から遠ざかっているという安心感を得ようとする欲求が芽生えてくる。この『安全と安心の欲求』も、危険や脅威から自分を守って安心な環境・状態を手に入れたいという本能に近い欲求に位置づけられている。

『所属愛の欲求』というのは、社会的な集団の一員として所属したいという欲求、集団・組織の一員として自分の役割を果たすことで、自分の存在価値・必要性を他者から認められたい(集団に帰属する自己を愛されたい)という欲求である。所属愛の欲求(所属と愛の欲求)は、社会的アイデンティティ及び社会適応の努力とも結びつく欲求であり、生理的欲求や安全・安心の欲求と比較すればかなり高度な欲求であると言えるだろう。

『承認欲求』は、他者から自分の自尊心や有能性を承認されて評価(賞賛)されたいという欲求であり、自分の存在価値を『社会集団・他者との好ましい関係性』によって認められたいという高次の欲求である。この承認欲求には、特定の異性(恋人・配偶者)から『特別に大切な存在』として承認されて愛されたいといった欲求も含まれているが、自我の持つ自尊心(自己評価)の範疇に留まっている欲求でもある。

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2013年08月06日

[マルチプル・カウンセリング(multiple counseling)]

マルチプル・カウンセリング(multiple counseling)

マルチプル・カウンセリング(multiple counseling)は、複数のカウンセラー(心理臨床家)が同時に『同じセッション(心理面接)』に参加する変則的な形態のグループ・カウンセリングである。マルチプル・カウンセリングは『複数のカウンセラー+一人のクライエント』で実施されるケースもあれば、『複数のカウンセラー+複数のクライエント』で実施されるケースもある。クライエントの抱えている問題の性質や内容によって、『参加するカウンセラー』を専門分野やクライエントとの関係性(役割関係)で調整するのが原則である。

マルチプル・カウンセリングは『一人のカウンセラー』だけの専門分野・能力やクライエントとの関係性では対応しづらいケースで実施されることになるが、その多くは『複数のカウンセラーの専門分野による役割分担(能力・知識の相互補完性)』を期待して行われることになる。

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[マンダラ(曼荼羅,mandala)]

マンダラ(曼荼羅,mandala)

マンダラ(mandala)は漢字では『曼荼羅』と表記されるが、マンダラとは密教系の仏教で『世界の真理(全体的な世界観)・悟りの境地・宇宙の摂理』を図形や仏像、文字、諸神などのシンボルを用いて、視覚的・象徴的に表現したものである。寺院の秘仏や秘宝、奥義としてマンダラが保存されていることも多く、国の重要文化財として指定されている貴重なものもある。

マンダラは仏教が誕生して間もない古代インドで作成されたのを初めとして、チベット・中央アジア・中国にマンダラの技法や意味が伝えられた。その後に、朝鮮半島を経由して日本の仏教界(密教系)へも伝わってきたとされる。マンダラは仏教の持つ全体的な世界観を表現した絵画であるが、古代インドやチベット周辺などで作成されたマンダラはヒンドゥー教の世界観なども包摂する『コスモロジー(宇宙観)』を持っており、そのマンダラには壮大で抽象的な観念世界の広がりが見られる。

マンダラには『密教曼荼羅』と呼ばれる真言宗などと関係した絵画が多いが、阿弥陀如来が臨済する西方極楽浄土を再現した『浄土曼荼羅』や神道・神社の清浄な世界観や権現思想(仏が神の姿を取って顕現する本地垂迹)を表現した『垂迹曼荼羅(すいじゃくまんだら)』といったものもある。日蓮宗では『南無妙法蓮華経』の題目を中央部に大きく書いて、その周辺に諸仏・諸菩薩などの名前や仏像を描いた独特な日蓮宗の曼荼羅が用いられたりもする。

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2013年08月05日

[マルクス主義,マルキシズム(Marxism)・共産主義:2]

マルクス主義,マルキシズム(Marxism)・共産主義:2

史上初となるロシア革命(1917年)を主導したウラジーミル・レーニン(1870-1924)も、1913年に『マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分』というマルクス主義の解説書を書いている。レーニンはマルクス主義の三つの源泉を『ドイツ哲学・イギリス経済学・フランス社会主義』にあるとし、マルクス主義の三つの構成部分として『弁証法的唯物論・経済学・社会主義思想』を指摘した。

すなわちマルクスは、ヘーゲルが完成させたドイツ哲学の『弁証法的唯物論』を経済社会の発達段階を規定する『史的唯物論』へと展開させ、アダム・スミスやリカードの労働価値説を資本家による労働者の搾取を説明する『剰余価値説』へと転換させたのである。人民の平等を社会保障によって追求するフランス社会主義を更に発展させたものが、人間の真の自由と平等を解放するとされる『共産主義(プロレタリア革命論)』であり、共産主義社会では国家も階級も権力も不平等も貨幣さえも消滅しているとされる。

フランス社会主義について、マルクスは1871年にフランスで設立された『パリ・コミューン』を高く評価しており、『本質的に労働者階級の政府であり、横領者階級に対する生産者階級の闘争の所産であり、労働の経済的解放をなしとげるための、ついに発見された政治形態であった』と称賛している。エンゲルスもまた、パリ・コミューンを具体化したプロレタリアート独裁の実例であるとして認めている。

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[マルクス主義,マルキシズム(Marxism)・共産主義:1]

マルクス主義,マルキシズム(Marxism)・共産主義:1

マルクス主義(Marxism)は思想家・哲学者のカール・マルクス(1818-1883)フリードリヒ・エンゲルス(1820-1895)が構築した『史的唯物論・プロレタリア革命論』に基づく資本主義否定の社会主義思想体系(共産主義思想体系)である。カール・マルクスは資本主義経済を生み出した産業革命初期のイギリスを見て、資本家階級から搾取・使役されている労働者階級の悲惨な境遇を改善して自由を回復するための共産主義思想(革命思想)を構想した。

マルクスは自然物に働きかける労働によって剰余価値(余剰価値)が生まれるという『労働価値説』を提起した。マルクスはその労働価値説を通して、資本家は工場・機械・土地などの『生産手段』を保有しているというだけで、労働者を使役して余剰価値を搾取しているとして厳しく非難した。資本家階級(ブルジョワ階級)と労働者階級(プロレタリア階級)との『階級対立・階級闘争』は必然だが、マルクスとエンゲルスは『共産主義革命』を起こしたプロレタリアがブルジョワジーから政治権力を奪取することで、階級闘争(資本家の支配・搾取)がない理想的な協同社会(協働社会)を作り上げることができるとした。

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2013年07月25日

[マネジメント(management)と経営管理論(business management):『人・モノ・カネ・情報』の適正配分による目標達成]

マネジメント(management)と経営管理論(business management):『人・モノ・カネ・情報』の適正配分による目標達成

マネジメント(マネージメント,management)とは、目的を明確化して達成するために必要な要素・方法を分析して、『人・モノ・カネ・情報』の経営資源を総合的かつ効果的に配置して活用することである。マネジメントには『経営・管理・管理職』といった複数の意味があるが、日本ではマネージャーという用語があるように『組織内の人材管理・人材育成(人材教育の支援)』といった特定の意味合いでマネジメントという言葉が用いられることもある。

経営学を構成する一分野である『経営管理論(business management)』は、工場経営(製造業)における科学的管理法を提唱して経営学の父とも呼ばれたフレデリック・テイラー (Frederick Winslow Taylor, 1856〜1915)の理論から始まったとされる。経営管理論をアカデミックな学問の一分野として確立したのは、『管理原則(管理過程論)の父』と呼ばれるアンリ・ファヨール(Henri Fayol, 1841〜1925)であり、ファヨールは経営管理を『計画・組織・指揮調整・統制』の5要素から構成されていると定義した。

マネジメントとは、企業・組織の管理運営を通した目的達成(人材成長・利益獲得)のための実践的な資源配分と人材活用であり、企業・組織の各種資源を最も効果的に用いることで目的の達成をしやすくするための学問を『経営管理論』と呼んでいるのである。経営管理を企業内(組織内)で実際に担当しているのは、取締役社長・最高経営責任者(CEO)をトップとする『管理職』であって、社長・CEOの下には常務専務・本部長・部長・課長・係長といった『管理職のヒエラルキー(上位者が下位者に指示を出す代わりに責任を取る階層構造)』が築かれている組織が多くなっている。

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[マネジリアル・グリッド理論(managerial grid theory)]

マネジリアル・グリッド理論(managerial grid theory)

アメリカのテキサス大学で教授を勤めていた経営学者のR.R.ブレイク(R.R.Blake)J.S.ムートン(J.S.Mouton)が、1964年に開発したリーダーシップ行動理論が『マネジリアル・グリッド理論(managerial grid theory)』である。マネジリアル・グリッド理論では、リーダー(経営者)の行動スタイルを『業績に対する関心』『人間(人材)に対する関心』の二つの側面に大きく分けて、その二つの関心の度合いの組み合わせでリーダーシップの行動スタイルを5つに定義した。

マネジメント・グリッドというのは、経営者の行動スタイルをグラフの座標上(格子上)のどこかに位置づけることができる『マトリックス(分類表)』のことである。グリッド(grid)というのは『格子』という意味であり、この理論では縦軸に『人間(人材)に対する関心』を当てはめ、横軸に『業績(数字)に対する関心』を当てはめている。

マトリックス(グラフ)の縦軸と横軸の目盛りの数値は“1〜9”までの9段階であり、『人間(人材)に対する関心』が強いほど縦軸の数値(高さ)が大きくなり、『業績(数字)に対する関心』が強いほど横軸の数値(長さ)が大きくなるようになっている。部下との人間関係やマネジメント、メンタルケアなどを重視する経営者(リーダー)は『縦軸の数値(高さ)』が大きくなり、仕事の実績や利益、チーム全体のパフォーマンス(効率性)などを重視する経営者(リーダー)は『横軸の数値(長さ)』が大きくなるわけである。

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