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2013年07月17日

[マージナル・マン(marginal man)と相対主義]

マージナル・マン(marginal man)と相対主義

自由化・個人化が進んだ現代社会では、特定の価値観や生き方だけを肯定することを批判する『価値多元主義・文化相対主義』の影響力が強まっており、私たちは『自分たちとは異なる価値観・生き方・文化行動』に対する寛容性や受容性が過去と比べれば格段に高くなっている。

確かに、現代の日本やEU諸国、アメリカといった先進国でも『排外主義・国粋主義・人種や宗教の差別』などの問題は残っている。経済環境や雇用情勢が悪化してくれば、自己アイデンティティを肯定するためのナショナリズムや外国(異民族)への敵対心・嫌悪感が生まれることもあるが、社会全体の空気や価値観は共生・寛容・平等の理念を大切にする『リベラリズム』をベースにしたものになっている。少なくともあからさまに特定の外国を敵視したり外国人を差別したり、自国の利益のためには外国に何をしても良いというような価値観が、先進国の良識的な多数派に支持されることはまずなくなっている。

『自分の立場・利益・価値観』だけではなくて『相手の立場・利益・価値観』にも想像力と共感性を働かせて、できるだけ好意的に解釈し理解しようとするというのが『価値多元主義・文化相対主義』といった相対主義の思考方法である。これらの相対主義は、自分たちとは異なる価値観や利害を持っている他者(集団)との共生の可能性を高めてくれる。その一方で、『自分には言い分があるが、相手の言い分もまた分かる』という中立的・調停的な態度を取ることによって、自分の判断基準や価値観の根拠が曖昧になりやすくなり、自己存在の足場を失って『自己アイデンティティ』が拡散しやすくなってしまう。

相対主義が支配的となってきた現代社会(ポストモダン社会)では、『特定の集団・民族・文化・価値観』への帰属性が弱くなりがちで、絶対的な価値観や存在意義に対して懐疑的な態度を取りやすくなる。

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[マキャベリズムとマキャベリアン:イタリア統一を理想としたニコロ・マキャベリの政治思想]

マキャベリズムとマキャベリアン:イタリア統一を理想としたニコロ・マキャベリの政治思想

ニコロ・マキャヴェリ(Niccolo Machiavelli,1469-1527)は、イタリア半島にある多数の小国が謀略・戦争を繰り返していたルネサンス期に登場した政治思想家であり、『自国の統治と権力の維持・外国との戦争と国益の最大化・仮想敵を抑え込む軍事力の必要性』などをテーマにしたリアリズムの政治哲学を展開した。

キリスト教をベースにした建前の道徳論・正義論が説かれやすかった当時のイタリアにあって、『他者(外国)に自国の意志を受け容れさせるための実力・他者(外国)に国益を侵害されないための抑止力の重要性』を説いた戦略主義思想の持ち主がマキャヴェリ(マキャベリ)であった。ニコロ・マキャベリの主著である『君主論』に由来する戦略主義的・国益至上主義的・軍事優先的な政治思想とその世界観のことを『マキャベリズム』と呼んでいる。

マキャベリの思想や世界観を指す『マキャベリズム』は、一般的に自己(自国)の権力と利益を最大化するためには『戦争・謀略・暗殺』などの非人道的で反道徳的な手段も厭わないという『権謀術数主義・政治戦略主義』のことを意味している。個人的レベルであっても、自分の権力(影響力)の獲得・維持・拡張を目的として、それを実現するためには他人を追い落としたり苦しめたりしても構わないとする行動方略や世界観のことを『マキャベリズム』と呼ぶことがあり、そういった行動方針をクールに徹底して行う人物のことを『マキャベリアン』といっている。

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[マイクロ・ラボラトリー・トレーニング(micro-laboratory training)]

マイクロ・ラボラトリー・トレーニング(micro-laboratory training)

マイクロ・ラボラトリー・トレーニング(micro-laboratory training)とは、日本人の性格特性や人間関係のパターンに配慮して作られた『合宿形式の対人関係トレーニング・カウンセラーのトレーニング』である。上智大学でカウンセリング心理学を教えていた元教授である小林純一によって開発されたトレーニング方法であり、約18名の小集団を分割して訓練するところに特徴がある。

マイクロ・ラボラトリー・トレーニングでは18名の参加メンバーを、『3つのグループ(Aグループ・Bグループ・Cグループ)』にまず分ける作業から始める。3つのグループにそれぞれ以下のような役割を分担させて、『相互的なフィードバック(解釈・感想・助言・改善点のやり取り)』が働くような環境を整え、『自分だけ・自集団だけでは気づけない問題点』に対する気づきを促していくのである。

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2013年06月17日

[マイノリティ・インフルエンス(minority influence)とウェブ社会の世論:サイレント・マジョリティの影響力]

マイノリティ・インフルエンス(minority influence)とウェブ社会の世論:サイレント・マジョリティの影響力

マジョリティ(majority)『多数派』マイノリティ(minority)『少数派』であり、民主主義的な意志決定は絶えずマジョリティの多数派の意見や選択が優先される。常識的にも、多数派であるマジョリティは少数派であるマイノリティよりも強い影響力を発揮して、優位なポジションを占めることができると考えられている。

しかし、『特定の議題・争点』『ウェブ社会(サイバースペース)』においては、少数派であるマイノリティの主張や意見が一定以上の思いがけない影響力を発揮することがあり、このマイノリティが発揮することのある影響力のことを『マイノリティ・インフルエンス(minority influence)』と呼んでいる。

大多数の人がほとんど興味関心を持っておらず、ごく少数の人たち(マイノリティ)だけが当事者として強い関心を持っているような議題においては、『マイノリティ・インフルエンス』が相当に強く発揮されやすくなるが、その典型例として『一部の地域住民の利益に深く関係する公共事業・一部の建築物に住む住民だけに深く関係する不動産や日照権を巡る争い』などがある。また、明確な判断基準が固まっていない新しい問題、既存の常識や慣習が通用しない新規な問題状況に対しては、一部の自説を曲げずに強く主張し続けるマイノリティ集団が『マイノリティ・インフルエンス』を強く発揮することになるだろう。

ウェブ社会(サイバースペース)は、匿名を利用した意見・主張の書き込みが可能であるため、実際には相当な少数派の意見であっても、『HN(名前)を変えた同一人物の繰り返しの書き込み・その意見に対する同意の繰り返し』によって、実際以上にその意見に賛成している人が多いように見せかける効果が出てくる。

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[マイクロカウンセリングの『マイクロ技法発達レベル(microskills developmental level)』:4]

マイクロカウンセリングの『マイクロ技法発達レベル(microskills developmental level)』:4

マイクロカウンセリングの目的の一つは、『クライエントの精神発達による人格(人間性)の成長・成熟』であるが、クライエントの精神発達段階(意図・成熟のレベル)については以下のように4段階に分類して考えている。

ここで示されている『D』は“Development(発達)”の略称であり、この発達段階理論のことを『マイクロ技法発達レベル(microskills developmental level)』と呼んでいる。D-1からD-2、D-3からD-4というように、段階的にクライエントの発達水準を引き上げていくようなカウンセリングが目的になっており、その基本コンセプトは『自分で自分の問題を責任をもって解決できるようになること(主体性・能動性・責任感を伴う行動力の強化)』なのである。

精神発達段階が高くなればなるほど、『自発性・意図性・能動性・責任感』も高まってくるが、マイクロカウンセリングの技法選択においては発達段階が低いと思われるクライエントに対しては、どうすれば良いのかを分かりやすく指示する『積極技法』を多めに用いるようにするのが原則となっている。

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[マイクロカウンセリングの『マイクロ技法階層表(microskills hierarchy)』と面接構造の5段階:3]

マイクロカウンセリングの『マイクロ技法階層表(microskills hierarchy)』と面接構造の5段階:3

前回の記事で説明した基本的な『かかわり技法』を応用することによって、以下の『5段階の心理面接構造』が形成されていく。

1.ラポールと構造化

2.クライエントの問題の種類・性質・深刻さの定義化

3.カウンセリングの目標設定

4.クライエントの選択肢の模索と困難との対決

5.カウンセリング場面の日常生活への般化

上記の5段階の心理面接構造の上位にあるのが、以下のような技法である。究極的にはクライエントの希望や状態に合わせて技法を組み合わせる『技法の統合』によって、『自分独自のカウンセリングスタイルとその根拠となる理論・経験』を構築していくことがマイクロカウンセリングの目標なのである。

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[マイクロカウンセリングの『マイクロ技法階層表(microskills hierarchy)』:2]

マイクロカウンセリングの『マイクロ技法階層表(microskills hierarchy)』:2

オープンな折衷主義のカウンセリングであるマイクロカウンセリングは、ヒューマニスティックで共感的な人間観をベースにしながら、『他のカウンセリングの技法・理論』を学んだ人であっても、更にその実践的能力や共感性を高めるために追加的な技術の習得ができるように工夫されている。アレン・アイビィが階層的なマイクロ技法(microskills)の基本にしていたのは、以下の3種類の技法である。

かかわり技法……言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションを組み合わせて、クライアントとの間にラポールと呼ばれる信頼関係を積み上げていく最も基本的な技法。

積極技法……クライエントが次に何をどのように考えれば良いのか、どういった行動をすれば良いのかを積極的に示して説明したり指示したり解釈したりする技法。

技法統合……クライエントがどのような状況にあってもどんな問題を抱えていても対応できるように、『各種の技法の臨機応変な組み合わせ』を考えていく技法。

A.アイビィはカウンセラーがクライエントに働きかけようとする『意図』には必ず『特定の実際的行動』がリンクしていなければならないと考え、その一つ一つの実際的行動のことを『技法(skill)』と呼んだのである。A.アイビィはカウンセリングの心理面接におけるクライエントのコミュニケーション技法の習得単位を階層的・系統的に整理して『マイクロ技法階層表(microskills hierarchy)』と呼ばれるピラミッド型の一覧表を作成している。

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[アレン・アイビィのマイクロカウンセリングのマイクロ技法(microskills):1]

アレン・アイビィのマイクロカウンセリングのマイクロ技法(microskills):1

アメリカのカウンセリング心理学者のアレン・アイビィ(A.E.Ivey, 1933-)は、クライエント中心療法のカール・ロジャーズと並んで、20世紀のカウンセリングの研究や技法の発展に貢献した人物である。

アレン・アイビィらが1960年代に開発したマイクロカウンセリング(microcounseling)は体系的な理論と手順を持つカウンセリング技法であり、能力のあるカウンセラーの養成に用いられたり、カウンセリングを含む人間関係訓練全般に応用されたりした。

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2012年10月27日

[分離不安(separation anxiety)とマーガレット・マーラーの乳幼児発達論]

分離不安(separation anxiety)とマーガレット・マーラーの乳幼児発達論

分離不安(separation anxiety)とは、子どもが母親から物理的・精神的に離れることを不安に思う感情であるが、発達心理学的に2〜3歳頃まではどの子どもでもある程度強い分離不安を持っているのが普通である。生後36ヶ月(3歳)までにとりあえずの『個体化』が達成されて、一定以上の時間、母親から離れていても大丈夫な心理状態になるが、それでも小学生くらいの年齢までは、数日間〜数週間以上など長期間にわたっての分離に耐えられない子どもは少なくない。

女性の児童精神科医マーガレット・マーラーは、児童精神臨床の経験に基づいて以下のような『乳幼児発達論(分離‐個体化理論)』を構築したが、4、5ヶ月頃〜36ヶ月頃までの分離‐個体化期には母親と離れることによって分離不安が引き起こされやすい状態になっている。

0〜4、5ヶ月頃までは、『正常な自閉期(normal autistic phase:1〜2ヶ月)』『正常な共生期(normal symbiotic phase:3〜4ヶ月)』と呼ばれる段階である。この出産後間もない段階では、赤ちゃんの外界への関心が乏しく、母親も常に子どもとぴったりくっついて世話や授乳をしているので、離れたら泣き叫ぶなどの分離不安は問題にならない。

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2011年12月08日

[慢性疲労症候群(CFS)の疲労(fatigue)を計測するPSと疲労物質:7]

慢性疲労症候群(CFS)の疲労(fatigue)を計測するPSと疲労物質:7

慢性疲労症候群(CFS)の生物学的・神経学的な原因としては、うつ病(単極性気分障害)や躁鬱病(双極性障害)と同じく『脳内のセロトニン系の分泌障害』も想定されている。CFSでは遊離脂肪酸の増加でトリプトファンとアルブミンの結合が外れ、血中や脳内のセロトニンが過剰に産生されることで、疲労感・倦怠感が強まりやすいと考えられている。CFSの患者の脳内の神経伝達活動についてはまだ不明な点が多く、うつ病と同じく脳神経科学的な解明が待たれるが、モノアミンと呼ばれる一群の情報伝達物質の分泌に何らかの偏り・異常が起きている可能性が指摘されている。

CFSの強度の疲労の原因は“身体的生理的な原因”であると推測されているが、その大まかな原因は『遺伝子異常・サイトカイン異常(免疫低下)・生体ホルモンの異常(内分泌系の障害)・中枢神経系(脳機能を司る神経伝達物質)の異常』に分類することができる。人が疲労感を感じている時には、警告シグナルとして機能する情報伝達物質(疲労物質)である『サイトカイン(TGF-β及びインターフェロン)』が産生されているが、CFSではこのサイトカインが過剰産生されることで免疫機能の障害が引き起こされるという仮説が立てられている。

なぜサイトカインの過剰産生が起こるかの原因は、免疫能の正常性の指標となる“NK活性(ナチュラルキラー細胞の活性”の低下が指摘され、免疫力が低下することで体内に潜伏していたウイルス(ヘルペスウイルスのように神経末端で長く潜伏するタイプのウイルス)が再活性化して、サイトカインが大量産生されると推測されていた。 しかし、その後のイギリスやオランダの学術的研究では、CFSの診断基準を満たす患者の誰からも特定のウイルスは発見されることがなく、『CFSのウイルス感染症説』は未だに科学的に実証されていない状況にある。

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[慢性疲労症候群(CFS)の疲労(fatigue)を計測するPSと疲労物質:6]

慢性疲労症候群(CFS)の疲労(fatigue)を計測するPSと疲労物質:6

疲労(fatigue)とは何かの定義は、『労務・労働・運動・勉強・思考』を含む身体運動や精神作業が続いた場合に見られる心理的・感覚的・身体的(生理的)に発生する諸変化の事である。

その諸変化の具体的な内容には、『作業能率の低下・生理学的な変化・自覚的な疲労感・睡眠や休養への欲求の増大・コミュニケーション欲求の低下・筋肉の緊張の増加・運動能力の低下』などを認めることができるが、一般的な疲労感では『もう疲れた・これ以上動けない・少し休みたい・身体が重い』といった疲労に関する主観的自覚が見られることが多い。

疲労(fatigue)は身体・精神活動に対して、『休息・休養』を取るように末梢から中枢の脳(あるいは中枢の脳から末梢)に向けて送られる警告のシグナルであり、人間の生理学的機能では『疲労・痛み・発熱』が休息を促す三大アラームとして機能していると言われる。慢性疲労症候群(CFS)の患者は、心身を休ませるようにという警告シグナルが過剰に働き続けている状態にあり、身体・精神が激しく疲労して『正常なパフォーマンス=普段(発症以前)のやる気や行動力』を発揮できない異常状況が長く続くようになってしまっているのである。

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2011年11月23日

[慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):5]

慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):5

この記事は、『前回のCFSに関連する記事』の続きになります。慢性疲労症候群(CFS)の治療は、専門医による血液検査・問診や除外診断に基づいて行われるが、確立した効果的な標準療法はなく、基本的には『低下した免疫機能を回復させるための治療法(薬物療法)』がセレクトされることが多い。漢方薬を用いた治療法では『補中益気湯・十全大補湯・六君子湯』などの免疫力を高めるとされる生薬が配合された漢方薬をメインに処方するが、漢方治療は『中長期的な体質改善・体質調整・免疫回復』を目的としているため、薬を飲めばすぐに症状が改善するというわけではない。

漢方治療以外では、大量のビタミンCやビタミンB12のサプリメント(栄養補助のビタミン剤)を投与するという『メガビタミン療法』が試されることもあるが、ビタミンC服用では1日に2000〜4000mgの大量摂取で一定の疲労感回復が認められたとする臨床例もある。しかし、メガビタミン療法はビタミン大量摂取による副作用のリスクもあるので、専門医のモニタリング(経過観察)と用法用量の指導を受けながら実施しなければならない。

ウイルス感染説(細菌感染説)の立場から、抗ウイルス薬・抗生物質(抗菌薬)や免疫調整剤が処方されることもあり、これらの数ヶ月単位での処方によって免疫力が回復してCFSの苦痛な疲労症状が改善した事例もある。抑うつ感や不安感、焦燥感、意欲減退、睡眠障害など精神神経系の精神症状が目立っているような症例では、抗うつ薬や抗不安薬(マイナートランキライザー)、睡眠導入剤(睡眠薬)などの向精神薬を処方することで症状を改善することもある。

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[慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):4]

慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):4

この記事は、『前回のCFSに関連する記事』の続きになります。CFSの患者では精密検査をすると神経系、免疫系、内分泌系などにCFS特有の異常が見つかるというケースもあり、一部の患者団体はCFSの名称を免疫機能の異常を強調して『慢性疲労免疫不全症候群(chronic fatigue and immune dysfunction syndrome)』とすべきだと主張している。

慢性疲労症候群(CFS)が免疫疾患であるという一つの根拠としては、25%のCFS患者で『間接蛍光抗体法(核材はHEp-2細胞核)』による抗核抗体反応が陽性になるということが挙げられている。つまり、CFSの患者には健常者に見られない抗原(異物)が血液中に存在する確率が高いということであり、この特異的な抗核抗体反応はCFSの発症以前に何らかのウイルスの感染症に罹っていた可能性を示唆していると考えられている。

CFSに対する決定的な治療法は確立していないが、ビタミン療法(ビタミンCの摂取)や漢方療法(補中益気湯の服用)によって、細胞中の活性酸素の働きが抑制されて低下していた免疫能が回復しやすくなるという臨床的な意見もある。CFSの悪化因子としては、精神的ストレスによる血液中の『NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性低下』があり、NK細胞が減少することによって、CFSの免疫能低下も悪化しやすくなると考えられている。

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[慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):3]

慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):3

前回まで書いてきた『慢性疲労症候群の診断基準・症状・治療』の続きになるが、以下は、厚生労働省の慢性疲労症候群(CFS)の診断基準案である。

厚生労働省の診断基準案

T.大クライテリア(大基準)

1.生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヵ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(6ヶ月以上のうちで50%以上の期間において認められること)。

2.病歴、身体所見、検査所見で別表に挙げられている疾患を除外すること(除外診断を行うこと)。

U.小クライテリア(小基準)

1.症状クライテリア(症状基準,以下の症状が6ヵ月以上にわたり持続または繰り返し生ずること)。

1.徴熱(腋窩温37.2〜38.3℃)ないし悪寒(寒気)

2.喉の痛み・咽頭痛

3.頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張

4.原因不明の筋力低下

5.筋肉痛や不快感

6.軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感

7.頭痛

8.腫脹・発赤を伴わない移動性関節痛

9.精神神経症状(いずれか1つ以上)。 光過敏性、一過性の暗点(視覚障害)、不安症状、健忘症状、易刺激性(感覚過敏)、混乱、思考力や集中力の低下、抑うつ、強迫観念など何らかの精神症状が見られる。

10.睡眠障害(過眠・不眠)

11.発症時に、主な症状が数時間から数日のうちに出現している。

2.身体所見クライテリア(身体所見基準,少なくとも1ヶ月以上の間隔をおいて2回以上医師がその症状を確認できる。)

1.微熱

2.非浸出性咽頭炎

3.リンパ節の腫大(頚部・腋窩リンパ節)あるいはリンパ節の圧痛

CFSの確定診断は、大基準の2項目に加えて、小基準の『症状基準の8項目以上に当てはまる』か、『症状基準の6項目+身体基準の2項目以上に当てはまる』かした場合に、慢性疲労症候群(CFS)の診断が下されることになる。

CFSの疑いについては、 大基準の2項目に当てはまるが、小基準における診断基準を満たさない場合に、『CFSの疑いがある』という判断が下されることになる。感染後CFSの診断については、上記基準で診断されたCFS(疑いではなくCFSの確定診断)のうちで、感染症を発症していることが確認されたりウイルス感染に続いてCFSの症状が発現した場合に、『感染後CFSの診断』が下されることになる。

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[慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):2]

慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):2

この記事は、『前回のCFSに関連する記事』の続きになります。慢性疲労症候群(CFS)は『原因不明の疾患』であることもあり、患者が慢性的な疲労感を訴えた後で、血液検査等をはじめとする全身の検査を行って、何の病気・異常・精神疾患も発見されない時に、初めて慢性疲労症候群の可能性が疑われるという『除外診断』になっている。ただし気分障害(双極性障害及び精神病性うつ病を除くうつ病)、不安障害、身体表現性障害・転換性障害、線維筋痛症は併存疾患として同時に診断されることも少なからずあり、CFSはそれ単独のみで発症する病気とは言えない。

慢性疲労症候群(CFS)の診断基準には複数の種類があるが、現状では血液検査などで明らかになるCFSに特異的な検査異常はないので、臨床的所見からの診断が一般的に行われている。ここでは一般的に普及してきている日本疲労学会診断指針(2007)と厚生労働省の診断基準案、アメリカCDC診断基準(fukuda,1994)を挙げておく。

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[慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):1]

慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):1

慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)は、通勤・通学や家事・育児などの日常生活に支障を来たすほどの原因不明の強度の疲労感が、“6ヶ月以上の長期間”にわたって続く疾患である。

喉の痛みや頭痛、気分の悪さ、だるさなど風邪の初期症状に似た症状が出てから、慢性的な疲労感を訴えるようになるケースが多く、かつては『風邪・自律神経失調症・うつ病・更年期障害・心身症・不安性障害』などとして誤診されてしまうことも多かった。しかし、現在では心因性の病気ではないとされており、精神的ストレスも関係はしているものの、何らかのウイルス感染の後遺症(微熱がでやすい症状含め)とする仮説も有力視されている。

慢性疲労症候群(CFS)の歴史は、1980年代初頭にアメリカで『疲労感・微熱・リンパ節腫大』などの伝染性単核球症様の症状が遷延化する症例群が報告されたことに始まるが、1988年に米国のアメリカ疾病予防センター(the Centers for DiseaseControl and Prevension:CDC)がCFS(Chronic Fatigue Syndrome)という病名を提唱した。

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2010年02月03日

[丸山圭三郎の記号学・精神分析を参照した『人間存在二重分節理論』とカオスの解釈]

丸山圭三郎の記号学・精神分析を参照した『人間存在二重分節理論』とカオスの解釈

この記事は、[前回の項目]の続きになります。 カオスの存在(その認識)は、『言語と自意識』を持つ人間に特有のものであって、人間以外の動物・植物にはカオス(無秩序)とコスモス(秩序)という区別は存在しない。なぜなら、動植物にはノモスによる環境改造能力がほとんど無く、自己を対象化して認識するだけの『自意識(自我)』が無いからであり、ありのままのピュシス(自然)に溶け込んで適応しているからである。

事物が混沌としていて強い不安・無知をもたらす『カオスの認識』は、人間的な欲望と意識によって、コスモスと同時的に生成することになるが、それは人間がむき出しの危険に満ちたピュシス(自然)にそのまま適応することが困難だからである。夜の寒冷な山、荒れた海、不毛の砂漠、屋根のない野宿生活、自然界の動物や昆虫など、あらゆるピュシスは人間の生存にとって脅威であり、人間の感覚にとって不快なものと成り得る。

人類の歴史が『現代の文明社会・都市生活』へと発展したきたプロセスは偶然とは言えず、『ピュシスの荒々しい恐怖・脅威』から自分たちの生活や生命を守りたいという自己防衛反応が『ノモス(文明)によるピュシス(自然)の征服・予測‐制御』へと人類の歴史を突き動かしてきたと見ることができる。

簡単に言えば、人間は『個体・種としての生存適応度』を高めるために、必然的に『ノモス(人為・社会・技術)』を必要とするのであり、人工的なノモスの保護膜がない『ピュシス』に対して、カオスの混沌とした危険・不安を感じ取ってしまう本性を有していると言えるのである。

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