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2015年07月24日

[病跡学(pathography)・表現病理学3:天才の非業の死・芸術家の薬物中毒]

病跡学(pathography)・表現病理学3:天才の非業の死・芸術家の薬物中毒

自己愛性パーソナリティー障害や境界性パーソナリティー障害で情緒が相当に不安定だったとされる女優のマリリン・モンロー(1926-1962)も、フロイトの末娘であるアンナ・フロイトの精神分析の治療を受けていた。

マリリン・モンローは最終的には不運な非業の自殺を遂げてしまうが、精神病的な希死念慮や自殺企図を行ってしまう天才や芸術家は多く、日本でも芥川龍之介・川端康成・太宰治・三島由紀夫(三島は戦後日本の柔弱を嫌う憂国烈士の思想的自殺の面が強い)などの文人が自殺でその人生を終えている。

病跡学(pathography)・表現病理学2:双極性障害・統合失調症と創造性

『ツァラトゥストラはこう言った』『道徳の彼岸』など神が死んだ近代の始まりを予告する独自の哲学を構築したフリードリヒ・ニーチェ(F.W.Nietzsche,1844〜1900)も、後年は脳梅毒による進行麻痺で正常な精神機能を失ったとされるが、梅毒症状が出る前の時期には創作的な活動に集中することができていた。

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[病跡学(pathography)・表現病理学2:双極性障害・統合失調症と創造性]

病跡学(pathography)・表現病理学2:双極性障害・統合失調症と創造性

統合失調症の幻覚・妄想の対象や内容が、天才・芸術家の『創作的なモチーフ・独創的な世界観』として流用されることも多かったと推測されている。エディプス葛藤や神経症的な症状を多く持っていたジークムント・フロイトと理論的に訣別したC.G.ユングにも、統合失調症的な幻覚・妄想の陽性症状が見られることがあり、その妄想的なイメージやアイデアがユングの独創的かつ幻想的な『分析心理学の各理論・各発想』に与えた影響は非常に大きいと言われている。

病跡学(pathography)・表現病理学1:天才の精神病理

邦訳された著書『無意識の発見 力動精神医学発達史 上・下』で知られる分析心理学の精神分析家・理論家であるアンリ・エレンベルガー(H.Ellenberger)は、歴史に名前や仕事を残すような天才・偉人は創造性の源泉ともなる神経症・精神病といった精神病理を抱えているといった意味で『創造の病』という概念を提唱した。

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[病跡学(pathography)・表現病理学1:天才の精神病理]

病跡学(pathography)・表現病理学1:天才の精神病理

古くから“天才・偉人・英雄”には、一般の人には見られない『狂気的な部分(常軌を逸した性格・気質の要素)』があると言われてきた。歴史上で天才や英雄と呼ばれた人たちの多くは、『傑出した圧倒的な創造性・思考力・行動力』を持っていた一方で、憂鬱・無気力・幻覚妄想・焦燥や興奮といった近代精神医学における『精神病理の症状』を持っていたと推測されている。

創造力に溢れていた過去の天才や偉人、芸術家など、『傑出した才能・業績・作品』を示した人物の心的構造や精神病理を精神医学的(特に力動精神医学的)に解明しようとする分野を『病跡学(pathography)』と呼んでいる。病跡学は人間の精神病理の症状や特性が、“才能・創造・作品”となって表現されるということから、『表現病理学』と言われることもある。

福島章(ふくしまあきら,1936-)『創造と表現の心理  病跡学と表現病理学』では、病跡学の研究成果として“西欧の天才・偉人”と“日本の天才・偉人”ではその人たちが持っていた精神病理に違いがあるとされている。西欧には『統合失調症型の天才』が多く、日本には『双極性障害(躁鬱病)型・循環気質型の天才』が多いという傾向性が指摘されている。

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2015年04月08日

[ASD(急性ストレス障害)とPTSD(心的外傷後ストレス障害)]

ASD(急性ストレス障害)とPTSD(心的外傷後ストレス障害)

DSM‐Wになると、トラウマティックな出来事の体験をした後にどれくらい長く各種の心身症状が続くかによって『ASD(Acute Stress Disorder, 急性ストレス障害)』『PTSD(Post Traumatic Stress Disorder, 心的外傷後ストレス障害)』が区別されることになった。

同じトラウマでも、事件・事故・災害時の一回限りの体験に伴う『急性トラウマ』と児童虐待・DV・監禁などの繰り返し被害や恐怖を受けることになる『慢性トラウマ』とが区別されることがある。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の歴史とトラウマの原因になる出来事

『ASD(急性ストレス障害)』はトラウマティックな出来事を体験してから、4週間以内に『下記のような基本症状』が発症して、最低でもその症状が2週間以上は続くが4週間以内(1ヶ月以内)には症状が治まる短期的な精神障害のことを指している。4週間(1ヶ月)を越えてストレス障害の各種の心身症状が続く場合には、『PTSD(心的外傷後ストレス障害)』と診断されることになる。

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[PTSD(心的外傷後ストレス障害)の歴史とトラウマの原因になる出来事]

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の歴史とトラウマの原因になる出来事

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とは、本人のストレス耐性や問題対処能力を越えた強烈なストレス(生死や存在意義に関わるような非常に強いストレス)を受けた後に発症することのある精神疾患である。PTSDは一般的に『心的外傷後ストレス障害』と訳されているが、心的外傷は『トラウマ』と呼ばれることも多い。

生死の危険を感じるようなストレス、自分の存在意義が根底から否定されるようなストレスのことを『トラウマ(trauma)』と呼んでいる。アメリカの精神医学の記録では、トラウマ関連のストレス障害の歴史は、1871年にJacob Da Costaが“On Irritable Heart”の中で書き残した『南北戦争の体験者』にまで遡ることができるのだという。

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2015年02月10日

[ウィルフレッド・ルプレヒト・ビオンのグループ理論:作業グループと基本的憶測に基づくグループ]

ウィルフレッド・ルプレヒト・ビオンのグループ理論:作業グループと基本的憶測に基づくグループ

精神分析家のウィルフレッド・ルプレヒト・ビオン(W.R.Bion, 1897-1979)は、医療チームをはじめとする機能的な特徴を持つグループとして『作業グループ(working group)』『基本的憶測(basic assumption)に基づくグループ』を上げている。

リエゾン精神医療(リエゾン精神医学)におけるスタッフ間の連携・協力

『作業グループ(working group)』というのは、リエゾン精神医療の目的を果たすための専門性の発揮や相互的な協力・連携が上手くいっている現実的かつ機能的な成熟したグループのことであり、精神医療を含めてあらゆる組織的・集団的な職務や使命を達成するためにはこの作業グループの形成と維持が必要になってくる。

『基本的憶測(basic assumption)に基づくグループ』というのは、各メンバーの無意識的あるいは潜在的な意図・目的・意識が作用している複雑な精神力動が認められるグループのことであり、W.R.ビオンは基本的憶測に基づくグループとして以下の3つのタイプを上げている。

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2014年07月22日

[ウィリアム・ヒーリー(William Healy)]

ウィリアム・ヒーリー(William Healy)

アメリカの精神科医であるウィリアム・ヒーリー(William Healy,1869-1963)は、力動的心理学(精神分析)の立場から『少年の非行問題の心理的要因・非行問題への対処法』を専門的かつ実践的に研究した。特に、ウィリアム・ヒーリーは少年の非行問題を『ケーススタディ(事例研究)』によって理解しようとした。

具体的には、少年の各種の非行行為を『事例(ケース)』として取り上げ、その社会的・文化的・家族的要因を詳しく考察しながら、どうしてそのような非行を少年がするのかを『心理力動(心的エネルギーの葛藤)』の観点から分析したのである。

力動的心理学(精神分析)のパラダイムに依拠したウィリアム・ヒーリーの非行理論は『力動的非行理論』と呼ばれる。ヒーリーは少年が非行(反社会的行動)に駆り立てられる要因を『家族関係の歪みによる情動障害』にあると考えていたので、力動的非行理論は『情動障害理論』と呼ばれることもある。

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2013年12月08日

[A.ピンカスとA.ミナハンの4つのシステムモデル]

A.ピンカスとA.ミナハンの4つのシステムモデル

社会的困窮者を“福祉制度・対人援助”で支援するソーシャル・ケースワークでは、『ケースワーカーの態度・方法』『要支援者(支援を受ける人)の問題状況や能力・健康の把握』の双方が重要である。ソーシャル・ケースワークでは、ケースワーカーと要支援者のダイナミックな相互作用を踏まえた支援のあり方を検討していくことが前提になる。

ソーシャルワーカーのA.ピンカス(A.Pincus)A.ミナハン(A.Minahan)は、社会福祉活動を分野横断的な広い視点で捉えて、『ソーシャルワーカー(ケースワーカー)・クライアント(要支援者)・社会福祉機関(児童相談所など)のダイナミックな相互関係』を踏まえた体系的な理論を構築しようとした。

A.ピンカスとA.ミナハンの二人が提唱した『4つのシステムモデル』というのは、以下のような社会福祉的システムの相互作用のことを意味している。

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2012年07月31日

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)というのは、事業活動を効率的かつ実用的に進展させていくための“マネジメント(経営管理・品質管理・生産管理)”の手法であり、持続可能な意志決定と事業活動の流れである。PDCAサイクルは経営行動・品質管理・労務管理の経済的なマネジメントだけではなく、多様な政治判断や問題解決状況などに応用されることがあり、『計画的な行動・検証・再行動』の一連のサイクルを規定している。

PDCAサイクルは、一連のサイクルを構成する以下の4つの段階の頭文字をつなげた名称であるが、それぞれの段階には個別の意味と課題がある。

1.Plan(計画)……今までの実績や将来の予測に基づいてまず目標を設定し、それを具体的に達成するための行動計画を作成する。

2.Do(実行)……行動計画に沿って業務を実践する。具体的には、組織の構造と役割を決めて人員を割当て、モチベーションを高めたりインセンティブを与えたりしながら、目標達成に必要な各人の行動を指揮・命令していく。

3.Check(点検・評価)……業務の実施(目標の達成プロセス)が計画通りに進んでいるかどうかを途中でチェックして評価する。

4.Action……計画通りに上手く進んでいればそのままの方法を継続し、計画の実現ができそうにない状況であれば新しい方法へと転換していく。計画と実施状況を参照しながら、目標が達成しやすくなるような改善(修正)を加えていくのである。

PDCAの一連のサイクルが終わったら、反省すべきポイントや改善すべき問題点を再び検証して、その問題点を改善するための再計画へのプロセスへと移行していく。その反省と再検証、再計画によって、また再び新たなPDCAサイクルが形成されることになり、『PDCA→PDCA→PDCA……』という形で改善と成長を加えたPDCAサイクルが反復的に継続するのである。

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2011年11月02日

[ヒーリング(healing)と代替療法・スピリチュアル:非医学的な癒しの方法]

ヒーリング(healing)と代替療法・スピリチュアル:非医学的な癒しの方法

ヒーリング(healing)とは『治療・治癒』のことであるが、日常的な文脈でヒーリングという時には『癒すこと・癒されること』といったより感覚的な治癒感に重点が置かれている。ヒーリングは英語の意味としては身体医学・精神医療といった医学的な治癒を意味することもあるが、日本では『心身相関の癒し』『代替医療・スピリチュアル(霊的療法)・ボディワーク(ヨーガなど)・ファンタジーの治癒の魔法・宗教療法』などを指してヒーリングと呼んでいることが多い。

カウンセリングや心理療法の目標の一つもヒーリング(癒されること)であるが、ヒーリングの感覚的体験を得る為には、3つのカウンセリングの作用機序を利用することが必要になる。3つのカウンセリングの作用機序というのは、『カタルシス効果(感情浄化)・バディ効果(仲間による共感)・アウェアネス効果(気づきと自己洞察)』である。

それ以外にも、S.フロイトの精神分析療法では『無意識的内容の意識化(言語化)』によってヒーリングを得られると考えられている。カール・ロジャーズのクライエント中心療法(来談者中心療法)では『実現傾向の促進(自己実現)』によってヒーリングの感覚が得られるし、パールズ夫妻のゲシュタルト療法では『今・ここにおける気づきと再決断』がヒーリングの気分・自覚へとつながっていく。ゲシュタルト療法のヒーリングは、『オーセンティック・セルフ(本当の自己)』の潜在能力の開発や自覚とも深い相関を持っており、“偽りの自己”から“本当の自己”への転換を起こすことでヒーリングの効果を得られるのである。

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2011年11月01日

[標本抽出法(sampling method)と治験の二重盲検法(Double blind test):1]

標本抽出法(sampling method)と治験の二重盲検法(Double blind test):1

統計学的な数量調査を行う場合には、母集団に含まれる全てのサンプル(標本)を調査する『全数調査(悉皆調査,しっかいちょうさ)』と母集団に含まれる一部のサンプルを抽出してから調査する『サンプリング調査(標本調査)』がある。全てのサンプルを調査したほうが、より正確な母集団の特徴・傾向を知ることができるが、実際には『経済コスト・時間コスト・必要な人員の大きさ』により全数調査(悉皆調査)を実施することは困難であることが多い。

サンプリング調査(抽出調査)は、部分の典型的なサンプルから全体の傾向を推測するという『推測統計学』の考え方に基づいているが、この調査でサンプル(標本)を取り出す統計学的方法のことを『標本抽出法(sampling method)』という。統計学的調査のサンプリング(標本抽出)として最も望ましいのは『母集団を正確・均等に代表するようなサンプル』であり、こういった母集団を代表するサンプルを抽出するための標本抽出法として『無作為抽出法(random sampling method)』がある。

『無作為抽出法』というのは、母集団からできるだけ無差別かつ非意図的にサンプルを抽出する方法であり、完全な偶然性を想定するくじ引きの原理に似たものであるが、無作為抽出法ではない自分の知り合いや身近な集団だけをサンプリングするような精度の低い方法を『有意抽出法』という。検査者の意図や関心が反映される『有意抽出法』では、母集団の特徴を代表するサンプル(標本)を等しい確率で抽出することが原理的にできないので、どうしても有意抽出法に基づく統計調査では『結果の偏り』が大きくなり、正確な母集団の傾向を推測できないことが多い。

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ラベル:統計学 医学 治験
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[心理テストの評定尺度法(rating scale method)のメリット・デメリット]

心理テストの評定尺度法(rating scale method)のメリット・デメリット

臨床心理学で用いられる心理検査(心理テスト)“心理評価尺度(心理測定尺度)”と呼ばれる事があるが、『評定尺度法(rating scale method)』は心理評価尺度で用いられるもっともスタンダードな選択項目の尺度である。心理テストにはビネー式知能検査やウェクスラー式知能検査(WISC,WAIS)などの『知能検査』もあるが、知能検査は各年齢に合わせて作成された平均的な課題に回答できるかどうかを調べる検査なので、『評定尺度法』は基本的に用いられない。

パーソナリティ検査(性格検査)や精神疾患の可能性を調べる検査の殆どで『評定尺度法』が用いられているが、評定尺度法とは被検者について調べたい項目(選択肢)を提示して、被検者が自分にもっとも当てはまると思う項目を選んでいく方法である。うつ病の質問紙法の心理評価尺度として国際的に良く使われている『BDI(Beck Depression Inventory, ベック抑うつ評価尺度)』でも評定尺度法が使われている。BDIは認知療法を開発したとされるペンシルバニア大学の精神科医アーロン・ベックが作成したものであり、うつ病の症状の種類と重症度を網羅的かつ正確に測定できるような質問項目の工夫がされている。

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2011年10月06日

[表現療法(expressive therapy)]

表現療法(expressive therapy)

表現療法は心理療法の技法・方法論のひとつであり、英語の表記では“expressive therapy”と書いたり“art therapy”と書いたりする。芸術療法という呼び方が為される時には、“アートセラピー(art therapy)”のことを意味しているが、芸術療法も表現療法も同じ『作業技法』に含まれる心理療法である。心理療法・カウンセリングはその治療機序の分類によって、精神分析・ゲシュタルト療法のような“分析技法・洞察技法”、クライエント中心療法のような“支持技法”、表現療法・遊戯療法(プレイセラピー)のような“作業技法”に分けることができる。

アートセラピー(芸術療法)では、絵画や彫刻、刺繍、アクセサリー作り、粘土細工といった芸術活動(造形行為)をしながら『自分の内面・感情』を生き生きと表現していくことになるが、表現療法というのも『自分に適した自己表現活動』を探し出して自分の内的世界を表現することで心身の状態を改善していこうとするものである。そのため、表現療法では、作文や書道、舞踊(ダンス)、器械体操、即興劇、歌、ヨーガなど、ありとあらゆる自己表現活動がカウンセリングの手段や目的として用いられる事になり、『言語化する事が難しい心的内容・感情的葛藤』を作品や行動に投影していく事になる。

表現療法・アートセラピーは、知的障害児や発達障害児の療育指導で用いられる事も多く、『言語的コミュニケーション』を殆ど用いないので、言語能力が未熟な子どもや知的障害者にも実施しやすいという利点がある。実際にも心身障害者のリハビリテーションや社会復帰施設のオリエンテーションで表現療法が活用されることが多い。また健常者にとっても、『自己表現活動』をすることで心身がリラックスしたり、抑圧していたつらい感情を発散できたりといったポジティブな効果が得られる。

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[ヒューマン・エソロジー(human ethology)]

ヒューマン・エソロジー(human ethology)

エソロジー(ethology)とは、自然科学の一分野である『動物行動学・比較行動学』のことである。動物行動学(比較行動学)の研究目的は、『各種動物の生態の解明』であり、フィールドワーク(観察法の実地調査)を通して動物や人間の日常的な行動パターンを明らかにしていく。エソロジー(動物行動学)では、自然界における動物の生態を解明するだけでなく、動物の行動様式や行動選択の持つ『生物学的(戦略的)な意味・動機づけ』を推測したりもする。動物の行動・生態を研究するエソロジー(ethology)については過去の記事でも説明している。

比較行動学と呼ぶ時には複数の種の動物(人間)の行動パターンを比較して、『その種や個体に特有の行動パターン』を探し当てることが目的となるが、目に見える『客観的な行動(behavior)』を研究対象にするという点では行動主義心理学(行動科学)と類似した側面も持っている。動物行動学・比較行動学の中でも特に、人間の行動様式・行動特性を研究対象にしたものを『ヒューマン・エソロジー(human ethology)』と言うことがあるが、人間の年齢ごとの行動パターンなどを観察調査するヒューマン・エソロジーは、発達心理学や行動主義心理学とも深く相関している。

ヒューマン・エソロジーは平易な言い方をすれば『人間観察学・人間行動学』と呼ぶことが出来るが、『行動主義心理学・発達心理学との違い』としては実験的な環境調整を行わずに、自然状態において日常の人間の行動を観察するということがある。人間の赤ちゃんはなぜ可愛らしく感じるのか、人間の大人はどうして子どもを保護する行動の傾向があるのか、思春期ではなぜ先生や親といった社会的権威に反抗しやすくなるのかといった、進化生物学的な問いや社会学的な疑問というものもヒューマン・エソロジーの対象になっている。

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[病識(insight into disease)]

病識(insight into disease)

『病識(insight into disease)』とは、自分が何らかの病気であることに対する自己認識、自分が特定の病気あるいは不特定の病気を発症しているであろうことを自覚的に知っている事である。一般的に、自己認識や自覚症状(痛み・苦しみ)などによって自分が病気であることを知っている状態を『病識がある』と言い、自分が客観的には病気であるにも関わらず、自分自身ではそのことに気づいていない状態を『病識がない』という風に言う。

精神医学や臨床心理学では『病識の有無』によって精神疾患の重症度を判定することもある。客観的に見て異常な行動を取っていたり奇異な発言をしているにも関わらず、自分の心身状態の異常に気づけない場合(=病識がない場合)には『精神病圏の精神疾患』の発症が疑われたりもする。一般的には、幻覚・妄想の陽性症状や自閉・感情鈍麻の陰性症状が出る統合失調症において、『病識がない患者・自分が病気であるという自覚がない患者』が増えると考えられていたが、現在では病識のある統合失調症患者が少なからず存在することも分かっている。

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[病跡学(pathography)]

病跡学(pathography)

病跡学(pathography)を文字通りに解釈すれば、『病気の痕跡・履歴』を追いかけながら研究する学問という事になる。病跡学とは“科学者・文学者・芸術家・政治家・芸能人”など精神的に特異で傑出した人物を取り上げて、その人物がどのような精神疾患を発症していたのか、どういった心理状態にありどんな苦悩・葛藤を体験していたのかを、史料を元に系統的に調査したり合理的に心的過程を推測したりする学問である。病跡学の調査研究に用いられる資料・史料としては『自伝・伝記・日記・手紙・書簡・創作作品』などがあり、それらを系統的かつ網羅的に読み解いていく中で精神疾患の病状や本人の心理状態を再構成していくのである。

カウンセリング研究としての病跡学は、過去の特徴的で典型的な症例を調べることにもつながり、『病跡学のケースワーク』を通して各種疾患の概要を理解したり、同種の症例に出会った場合の対処法を準備したりすることができる。病跡学の対象になる個人には、歴史的に著名な人物や芸術家・作家など特殊な才能に恵まれていた人物が多いので、『天才の個性としての病理・性格構造・創造性』だけを研究するものと思われがちである。学術的には天才や傑物のみの心理状態を対象にしたものではないが、実際には『過去に生きていた天才の精神内容・病理性と才能の研究』といった側面が強くなっている。

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2011年09月25日

[ビューロクラシー(bureaucracy),官僚制2:マックス・ヴェーバーとR.K.マートンの社会学的な官僚研究]

ビューロクラシー(bureaucracy),官僚制2:マックス・ヴェーバーとR.K.マートンの社会学的な官僚研究

この記事は、[ビューロクラシー(bureaucracy),官僚制1:官僚機構の歴史と特徴]の続きの内容になっています。ドイツの社会学者・経済学者のマックス・ヴェーバー(Max Weber,1864-1920)の近代官僚制の研究では、近代官僚制は『合理的・効率的な支配管理のシステム』として定義されており、この時代には官僚制(ビューロクラシー)の肥大化・硬直化・非効率化(高コスト化)による弊害は殆ど注目されていなかった事が分かる。

M.ヴェーバーは、官僚政治の管理主義的な統制が深まることによって『個人の自由・選択』が侵害される危険があることや、官僚機構の巨大化によって『メタレベルの適切な統制』が難しくなることについては指摘している。官僚制の長所・利点としては、指揮命令系統が一元化されていて構成員に形式的(画一的)なルール・手続きの方法が課せられていることにより、『仕事の手順や内容の安定性・公平性』が確保されていること(マニュアル主義の効率性)があり、『組織内の上下関係(序列性)の分かりやすさ』によって集団秩序が乱れにくいこともある。

マックス・ヴェーバーは近代官僚制を“合理的・効率的・専門的な支配管理のシステム”として定義したが、そこには、前近代の家産型官僚制と呼ばれた“血縁的・身分的・情緒的な支配管理のシステム”よりも合理的・規則的な部分で優れているという意味が含まれている。M.ヴェーバーは近代官僚制の特徴的・原則的な要素として『権限の原則・階層の原則・専門性の原則・文書主義(手続き主義)』を上げている。

『権限の原則』というのは職位・部署によって何ができるかが明確に決められていること、『階層の原則』というのは上下関係と命令系統がトップダウンで階層化されていること、『専門性の原則』というのは構成員と各部署がそれぞれの専門性を有していること、『文書主義(手続き主義)』というのは何かを許可・認可したり手続きを先に進めるためには“定型・公式の文書やサイン(捺印)”が必ず必要であるということである。

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[ビューロクラシー(bureaucracy),官僚制1:官僚機構の歴史と特徴]

ビューロクラシー(bureaucracy),官僚制1:官僚機構の歴史と特徴

ビューロクラシー(bureaucracy)とは官僚制や官僚政治を意味する英語であるが、『官僚制度・官僚政治(学歴的選良による政治)』に対する一般的評価は近代初期と現代とでは180度異なるものになっており、現代では官僚制に対する『ネガティブな評価・不正な既得権益の弊害』が多くなっている。

古代日本(飛鳥時代・奈良時代・平安時代)の律令制の王朝政治や古代中国の中華王朝、近代以前の世界各地の政治権力にも『官僚制・官僚政治』は存在したが、この時代のビューロクラシーは『支配的・固定的な特殊な身分階層』を意味することが多く、近現代の官僚制度と同列に語ることはできない。また、同じ官僚であっても専門性・政策立案能力を持つ『テクノクラート(技術官僚)』と一般的な事務手続きを行うだけの『ビューロクラート(事務官僚)』とを区別することもある。

官僚制のビューロクラシーとは、構成員の多い社会的な集団組織における『合理的な管理・支配のシステム』のことであり、元々は『不合理な無駄・確率的なミス・経済的なコスト』を減らせる効率的な制度として設計されていた。しかし、年月が経過し組織が肥大して、慣習・規則が形式化(自己保身化)する中で、逆に『無駄な業務・既得権の弊害・形式主義の煩雑さ』の多い非効率的で高コストのシステムとなってしまい、官僚制の存在意義が『社会的利益』よりも『自己保身(組織保存)』に転換してしまったのである。

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2011年09月23日

[肥満(obesity)と健康4:生活習慣病のリスクファクターとしての肥満とその心理的影響]

肥満(obesity)と健康4:生活習慣病のリスクファクターとしての肥満とその心理的影響

この記事は、[肥満(obesity)と健康3:BMIを用いた肥満度の測定とBMIの特徴]の続きの内容となっています。 肥満は『飽食・過食』になりやすい先進国では、生活習慣病(成人病)をはじめとする多種多様なリスクファクター(危険因子)となっており、禁煙と並んで肥満防止(メタボリックシンドローム防止)が先進国の保健福祉行政(健康増進政策)の重要な課題になっている。肥満がリスクファクターとなる代表的な疾患には以下のようなものがある。

1.各種の癌(がん)

2.脂質異常症・高脂血症(高コレステロール血症・高中性脂肪血症)

3.高血圧(心臓・脳の血管障害のリスク)

4.動脈硬化・冠動脈疾患(心筋梗塞など虚血性心疾患・脳卒中・閉塞性動脈硬化症)

5.U型糖尿病(耐糖能障害・インスリン抵抗性による血糖値上昇)

6.高尿酸血症・痛風

7.肥満による睡眠時無呼吸症候群(Pickwick症候群)

8.変形性関節症・腰椎症など整形外科的問題

9.

10.女性の月経異常・排卵抑制(思春期の肥満によって性ホルモン分泌抑制・第二次性徴期の遅れ・性成熟の障害が起こることがある。)

11.内臓臓器能力の低下による体臭の強まり

12.脂肪肝・肝硬変

肥満は疾患のリスクファクターになったり身体の健康を障害するだけではなく、『自己評価の低下・劣等感の強化・痩せ願望の異常な強まり・ボディイメージの歪み』など心理的な影響を与えることもある。現代社会の平均的な美の基準は『痩身(痩せた体型)』であり、痩せている体型のほうが美しくて洗練されている、カッコよくてスマートであるというイメージは、マスメディアやファッションのモード(流行)、芸能人・モデルによって強化されている。

特に女性の場合には太っていて肥満体型であることで、『流行のお洒落な服が着れない(自分に合うサイズ)がない・女性としての美しさが評価されにくい・痩せているスレンダーな女性に対して引け目を感じる』といった劣等コンプレックスにつながりやすくなり、その結果として『痩せなければ自分の価値・魅力を認めて貰えない』という強迫観念的なダイエット欲求や痩せ願望に取り付かれやすくなる問題が指摘されている。BMIの数値で見ても、他人の目線から客観的に見ても全く太っていないのに、『自分は太りすぎている・もっと痩せなくてはいけない・新たなダイエット法や食事内容を試してみなければならない』といった強い痩せ願望を持っている女性は非常に多い。

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[肥満(obesity)と健康3:BMIを用いた肥満度の測定とBMIの特徴]

肥満(obesity)と健康3:BMIを用いた肥満度の測定とBMIの特徴

この記事は、[肥満(obesity)と健康2:症候性肥満の種類とBMI(Body Mass Index)]の続きの内容となっています。 BMIの測定値による肥満度の判定は以下のようになっている。日本ではBMI25.0以上を肥満がちと判定するが、国際的には日本人よりも太った体型が標準的であるため、BMI30.0以上を医学的指導が必要な肥満と判定することが多い。

25以上〜30未満=肥満1度

30以上〜35未満=肥満2度

35以上〜40未満=肥満3度

40以上=肥満4度(重度肥満・健康リスクが非常に高い)

18.5以上〜25未満=標準体重・普通体重

18.5未満=低体重・痩せ過ぎ

肥満は国際的な問題になっており、世界では男性の24%と女性の27%が肥満と推測されていて、特に『肉食・高カロリーのメニュー・飽食文化・砂糖摂取』の要素が見られる欧米諸国(特にアメリカ)で肥満は深刻な問題になっている。ハンバーガーやピザをはじめとする高カロリーなファストフードや糖分の多い炭酸飲料・清涼飲料水(ジュース)の普及も、先進国における肥満増加と相関していると言われる。

乳幼児に用いるBMIを『カウプ指数(Kaup Index)』と呼ぶが、乳幼児の場合はBMIが“18.0以上”で肥満傾向と判定される。児童に用いるBMIを『ローレル指数』と呼ぶが、ローレル指数を計算するための公式は“10×体重[kg]/(身長[m])^3”であり、ローレル指数が“160以上”の場合に肥満と判定されることになる。

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