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2016年05月22日

[ヴァルター・ベンヤミンの暴力批判論2:神話的暴力と神的暴力による革命論(絶対平和論)]

ヴァルター・ベンヤミンの暴力批判論2:神話的暴力と神的暴力による革命論(絶対平和論)

ベンヤミンは法措定的暴力と法維持的暴力を『法暴力』と定義したが、この法暴力は更に『神話的暴力』とも呼び変えられる。法的・神話的な暴力の根底にある根源的暴力のことを『神的暴力(純粋暴力)』と呼んで、神的暴力(純粋暴力)は人間世界の範囲に縛られないもので、人間の領域を超越したイメージ的な暴力の源泉でもある。ベンヤミンの神話的な暴力起源論の理解は難しい。

ヴァルター・ベンヤミンの暴力批判論1:法措定的暴力と法維持的暴力

初めに神の荒ぶる声で『神的宣言』が発せられて、神と人間との間に境界線が引かれ、人間存在が偶有的に生起する『原エクリチュール』の現象が起こることによって、純粋暴力としての神的暴力も生み出されるのである。人間の領域で神的暴力(純粋暴力)が繰り返し発動されると、人間社会でも法措定的暴力による法秩序形成の動きが出てきて、『神と人の区別・法的なものと非法的なものとの区別・聖と俗の区別』などが順次行われていくことになる。

すべての経験可能な人間の暴力の背後や根源に、『神的暴力(純粋暴力)』のような人類を暴力が存在する世界に引きずり込んでいくような圧倒的な根源的な力が存在することをベンヤミンは神話的に語っているのである。人間の世界における『神話的暴力』と神の世界における『神的暴力』の違いは、以下のような概念で語られている。

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[ヴァルター・ベンヤミンの暴力批判論1:法措定的暴力と法維持的暴力]

ヴァルター・ベンヤミンの暴力批判論1:法措定的暴力と法維持的暴力

ドイツの文芸批評家・哲学者のヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin,1892-1940)は、近代の複製技術によってオリジナル(原型)の作品のアウラが失われていくという芸術論の『複製技術時代の芸術(1936〜1939年)』や断片的な随想集である『パサージュ論(1935年,1939年)』で知られている。

ヴァルター・ベンヤミンは前期には近代国家の権力に内在する暴力性を批判した『暴力批判論(1921年)』を書いているが、これは制限のない国家権力は『軍隊・警察などの暴力装置』の恣意的な運用によって、市民生活の自由・安全を逆に脅かしてしまうリスクがあることを指摘した当時としては画期的な著作であった。啓蒙主義の近代の時代に入ってもなお、日常生活のさまざまな分野に暴力現象が溢れかえっていることをベンヤミンは批判し、近代的な法体系を暴力と暴力批判の視座(無政府主義・立憲主義のどちらにもつながる視座)から理念的に捉え直しているのである。

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2016年03月28日

[ヘーゲルの弁証法とマルクス主義の史的唯物論:ジル・ドゥルーズの『差異と反復』によるアンチ弁証法]

ヘーゲルの弁証法とマルクス主義の史的唯物論:ジル・ドゥルーズの『差異と反復』によるアンチ弁証法

ドイツの近代哲学の完成者ともされるG.W.F.ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel,1770-1831)の構想した『弁証法』は、『テーゼ‐アンチテーゼ‐ジンテーゼ(正‐反‐合)』というある仮説(立論)を批判する反論との統合のプロセスによって、理論や社会が啓蒙主義的に進歩していくという考え方である。

ある仮説理論に反対する反論(批判的意見)との統合プロセスのことを、ヘーゲルは『止揚・揚棄・アウフヘーベン』と呼んだりもしたが、世界精神の発展過程と弁証法の思考過程に支えられたヘーゲル哲学は『近代社会の進歩・前進の歴史的必然性』を示唆していた。

この文明社会は、歴史的必然性を伴って進歩発展していき弁証法のアウフヘーベンによって完成態へと近づくというヘーゲル哲学を踏まえた近代的啓蒙主義の構想は、『共産主義社会・社会主義社会』を革命運動や歴史法則の必然的帰結とするカール・マルクス『史的唯物論・科学的社会主義』にも応用されていったのである。

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2014年08月27日

レオポルド・べラック(Leopold Bellak)の『ヤマアラシのジレンマ』

レオポルド・べラック(Leopold Bellak)の『ヤマアラシのジレンマ』

オーストリアのウィーンに生まれた精神科医・精神分析家のレオポルド・べラック(Leopold Bellak,1916-2002)は、精神分析の創始者であるジークムント・フロイトやその家族と親密な交流を持っていた。

しかし、1933年にアドルフ・ヒトラーが率いるナチスドイツが政権を掌握してユダヤ人を弾圧し始めたため、レオポルド・べラックはアメリカに亡命してそこで精神科医(精神分析家)として働くことになった。

L.べラックの代表作は『山アラシのジレンマ−人間的過疎をどう生きるか−(The Porcupine Dilemma, Reflections on the Human Condition,1970)』であるが、日本では1974年1月に、精神分析学やフロイトの理論の紹介者として知られる小此木啓吾(おこのぎけいご,1930-2003)が翻訳して『ダイヤモンド現代選書』で出版している。

山アラシ(ヤマアラシ)のジレンマ(Porcupine Dilemma)は、日本では『ハリネズミのジレンマ(Hedgehog's Dilemma)』と呼ばれることも多い。べラックの著書に『人間的過疎をどう生きるか』とあるように、ヤマアラシのジレンマは『人間関係の適度な距離感に関するジレンマ(板挟みの葛藤)』のことである。

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2013年01月06日

[弁別訓練(discrimination training)と広汎性発達障害の診断・療育:2]

弁別訓練(discrimination training)と広汎性発達障害の診断・療育:2

精神分析療法を含む広義のカウンセリングでは、『弁別学習(discrimination learning)』と共に『弁別訓練(discrimination training)』がカウンセリングの大きな課題になってくる。カウンセラーや心理臨床家(精神分析家)の実施する情報提供・心理教育において取り上げられる『弁別訓練』というのは、『クライエントが自分ひとりの努力や休養で問題解決できる状況』『誰かの支援を受けなければ問題解決ができないシビアな状況』とを見極めて区別するためのトレーニングであり情報提供(心理教育)のことである。

現在の日本の精神医療や心理臨床、カウンセリングの現状では、『精神医学的な治療と生活指導・心理学的な援助(心理療法及びカウンセリング)・心理アセスメント(心理テスト)』が必要と思われる人たちでも、その治療や援助、アドバイスの機会を得られないまま、放置されてしまっているという問題がある。弁別訓練とは精神医療や心理臨床、学校教育、社会福祉(精神保健福祉)などの領域において、それぞれの個人が『自分ひとりで対応できる問題』と『専門家や制度の援助を受けなければ解決できない問題』とを正しく識別できるように情報公開や心理教育、定期検診などを通して導いていく事である。

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[弁別学習(discrimination learning)と弁別訓練(discrimination training):1]

弁別学習(discrimination learning)と弁別訓練(discrimination training):1

弁別学習(discrimination learning)とは、“刺激A”と“刺激B”との間にある意味的・効果的な違いを識別するための学習である。刺激Aと刺激Bのように複数の類似した刺激がある場合に、それぞれの違いを見極めて識別することを弁別学習というが、この学習はあらゆる状況・場面で半ば自動的に行われているものでもある。

子どもが『平仮名・カタカナ』のそれぞれの文字を異なる意味・音を持つ個別の文字として学習していくのも弁別学習である。そして、ある刺激とそれ以外の刺激を区別して理解していく弁別学習は、『人間の知能』の基本的機能として働いている。

パソコンのキーボードを叩いて文字や記号を入力する作業も、それぞれのキーに割り当てられている文字や記号を識別していくという弁別学習を必要とするものである。スマートフォンのタッチパネルでのフリック入力でも、画面をタッチして上下左右に指を滑らして文字を入力するために、『上下左右に割り当てられているそれぞれの文字(タッチがあ、左はい、上はう、右はえ、下はお)』を識別して弁別学習を進めていく必要がある。人間の知能の多くは言語能力に依拠しているが、人間の使用する言語の最大の特徴は『事物の分節作用(カテゴリーに分類して整理する作用)』であり、事物や現象の分節というのは弁別学習に支えられているのである。

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[ベンダー・ゲシュタルト・テスト(Bender Gestalt Test)]

ベンダー・ゲシュタルト・テスト(Bender Gestalt Test)

ベンダー・ゲシュタルト・テスト(Bender Gestalt Test)は、児童神経精神科医のロレッタ・ベンダー(L.Bender)が開発した視覚機能・運動機能を調べるための心理テストである。幾何学的な図形を見せて模写させる『投影法・作業法のパーソナリティ・テスト(性格検査)』の一種であり、5〜10歳の児童用のテストと11歳以上を対象とする成人用のテストがある。ベンダー・ゲシュタルト・テストは省略形で『BGT』と呼ばれる事もある。

ゲシュタルト(全体性・形態)という名前が付けられているように、『図形の全体性(形態)を知覚・統合する心理機能』を確認することで、精神障害や脳疾患、知的障害、発達障害の可能性を大まかに判別することができるとされている。実際のベンダー・ゲシュタルト・テストの施行では、マックス・ヴェルトハイマー(Max Wertheimer, 1880−1943)が作成した“9枚の幾何学図形”が被検者に提示されて、被検者はその図形をできるだけ正確に真似して模写するようにという教示が為される。

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2012年12月26日

[椎間板ヘルニア(herniated disc)の症状・原因・治療:4]

椎間板ヘルニア(herniated disc)の症状・原因・治療:4

椎間板ヘルニアは時間の経過と共に、人間が生来持っている『自然治癒力(自然回復力)』によって改善していくと推測されているが、重症事例や自覚作用が極めて強い場合には『外科的手術』が選択されることもある。自然治癒した椎間板ヘルニアでも、姿勢の悪さや背骨に負担のかかる作業などの『根本原因・生活習慣上の問題』を見直さないと、再び再発するリスクが高い疾患でもある。『痛み・麻痺』が極めて強くて耐え難い場合、あるいは膀胱直腸障害によって排尿・排便が困難になっている場合には、レーザー治療(PLDD)などの手術療法が選ばれることも多い。

椎間板ヘルニアの医学的治療の中心は特別な手術をしない『保存療法』であり、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、温熱療法などの保存療法によって、患者の約80〜90%は苦痛な症状を改善することができる。椎間板ヘルニアの急性期で痛みが激しい時には、まず『消炎鎮痛剤・筋弛緩剤』を用いて痛みを和らげた上で、コルセットで患部を固定してから安静にする。それでも痛みが十分に緩和できない場合は、『ブロック注射』を打って更に鎮痛を試みる。

急性期を脱して我慢できる程度の痛みになってくれば、保存療法の方法を『温熱療法・低周波治療・ストレッチや運動』に切り替えていく。椎間板ヘルニアの大半は自然治癒プロセスを辿るが、保存療法だけでは効果が十分でなかったり患者本人の苦痛の訴えが強い時には、『牽引療法・手術療法(外科的治療)』を検討することになる。医学的な治療以外には、『カイロプラクティック・整体・鍼灸(はりときゅう)・整骨院(接骨院)』などの治療もあるので、医学的治療だけでは満足のいく治療を受けられない患者は、これらのオルタナティブな治療法も合わせて考えてみると良い。

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[椎間板ヘルニア(herniated disc)の症状・原因・治療:3]

椎間板ヘルニア(herniated disc)の症状・原因・治療:3

前述した自覚症状を踏まえて、椎間板ヘルニアの『代表的な症状』には以下のようなものがある。

1.腰痛

2.腰から下の下肢の部分の麻痺・しびれ・痛み

3.坐骨神経痛……坐骨神経の経路と分布領域に掛けて痛み・麻痺・しびれの症状が出る神経痛である。

4.感覚障害や冷え性

5.筋力低下

6.片側だけの下肢痛で、臀部から足にかけての激痛。咳・くしゃみだけでも耐え難い痛みが走る。

7.排尿障害・インポテンツ(性機能不全)・O脚など。

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[ヘルニア(hernia)・椎間板ヘルニア(herniated disc):2]

ヘルニア(hernia)・椎間板ヘルニア(herniated disc):2

『脱出型椎間板ヘルニア』は脊椎の繊維輪に亀裂(裂け目)が入って、その裂け目から髄核が完全に飛び出してしまうヘルニアである。

『膨隆型ヘルニア』は繊維輪に亀裂が入っていないタイプなのだが、髄核と繊維輪が共に膨れ上がることで痛みや麻痺などの症状が出てくる。椎間板ヘルニアでは飛び出してきた(膨れ上がってきた)髄核によって、神経根が圧迫されることで『痛み・麻痺・体の傾き』などの症状が出てくるのである。

ヘルニアが神経根のどの部分を圧迫するのかによって『体が傾く方向』が変わってくるが、その種類には以下のようなものがある。

1.外側性ヘルニア

ヘルニアが神経根の外側を圧迫するため、体はその痛みを緩和しようとして、痛みを感じている方向とは反対の方向に傾いていく。

2.内側性ヘルニア

ヘルニアが神経根の内側を圧迫するため、体はその痛みを緩和しようとして、痛みを感じている方向へと傾いていく。

3.中心性ヘルニア

椎間板が背中の方向(中心)に向かって脱出したり膨らんだりするため、背髄神経そのものを圧迫して痛むことになり、背中を丸めたような状態になってしまう。

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2012年12月24日

[ヘルニア(hernia)・椎間板ヘルニア(herniated disc):1]

ヘルニア(hernia)・椎間板ヘルニア(herniated disc):1

鼠径ヘルニアでは脱出した腸(内臓)は、『陰嚢(いんのう)』に飛び出てきて大きく膨らんでしまうケースが多いのだが、指で押し込んでも元に戻らなくなり痛み(激痛)が出てくる『嵌頓ヘルニア(かんとんヘルニア)』になった時には手術が必要である。嵌頓ヘルニアというのは、脱出した小腸の一部などが『脱出穴』に詰まってしまい締め付けられている状態であり、このまま締め付けられ続けると小腸が血流循環障害を起こして壊死(壊疽)してしまうリスクが高くなってしまう。

乳幼児期の鼠径ヘルニアは、袋状の組織である『腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)』の形態的・機能的な異常という『遺伝的・先天的な要因』によるものである。

鼠径ヘルニアは成人にも発症することがあるが、『加齢による腹膜・筋肉の脆弱化』が大きな原因であり、加齢によって腹膜や筋肉が弱ってきているところに、作業やくしゃみ、便秘などで強い腹圧を掛けると脱腸としての鼠径ヘルニアが起こりやすくなってしまう。鼠径ヘルニアは、基本的に男性(特に40代以上の男性)に多い疾患であるが、女性では妊娠・分娩時に非常に強い腹圧が掛かってしまうことで鼠径ヘルニアを起こしてしまう事もある。

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[ヘルニア(hernia)・鼠径ヘルニア]

ヘルニア(hernia)・鼠径ヘルニア

ヘルニア(hernia)は、体内の臓器(器官)・組織が本来あるべき場所から脱出してしまった病的状態の事であり、腸の一部が腹壁の裂け目から太ももの付け根の鼠径(そけい)部分に出てしまった状態を『脱腸(鼠径ヘルニア)』と呼んでいる。体腔内にある裂け目・隙間に腸の一部が入り込んでしまったものを『内ヘルニア』、体腔外へと逸脱して飛び出てしまったものを『外ヘルニア』と呼ぶが、外ヘルニアは腸の位置がおかしいという違和感によって自覚症状が出てくる事が多い。

腹壁にある裂け目から腹部の内臓(腸)が、腹膜に包まれたままで腹腔外に脱出したヘルニアは『腹壁ヘルニア』といい、乳幼児から小学生くらいまでの子どもに多い鼠径ヘルニアもその一種である。ヘルニアには、頚椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニア、鼠径ヘルニア・臍(さい)ヘルニア、横隔膜ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、脳ヘルニアなど様々な種類があり、その発生する発症部位や脱出の程度によって重症度も異なる。

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[ヘルス・カウンセリング(health counseling)]

ヘルス・カウンセリング(health counseling)

ヘルス・カウンセリング(health counseling)という概念は、カウンセリングの中でも“身体的な健康管理・愁訴相談”を意味するものであり、従来は『医学的な診察型』『心理的なカウンセリング型(ムンテラ型)』に分けて考えられていた。カウンセラーが実施する心理的な問題や苦悩を直接的に取り扱うカウンセリングというよりは、精神科医やその他の診療科の医師が実施する『健康相談・症状についての説明と納得』という意味合いが強くなっている。

精神科医が専門的な理論や技法に基づいて実践する『精神療法(精神分析・認知行動療法など)』ではなくて、患者の日常的な健康上の不安や一般的な心身にまつわる悩みにフォーカスした健康相談がヘルス・カウンセリングである。

現在では『健康心理学(health counseling)』という心理学分野の分類が為されることは殆ど無くなっているが、元々は、健康心理学の知見や目標に依拠して行われる臨床的・相談的な実践を指して『ヘルス・カウンセリング』と呼んでいた。医師が疾患名の診断を行うことを一義的な目的として行うヘルス・カウンセリングでは、『共感的・助言的な診療行為の技術と姿勢の全体』を指していることもある。

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2012年11月30日

[ヘモグロビン(hemoglobin)と貧血:2]

ヘモグロビン(hemoglobin)と貧血:2

貧血を医学的により正確に判定する場合には、『ヘモグロビン量・赤血球数・ヘマトクリットの検査値』を、一定の公式に代入してから算出する『赤血球恒数(赤血球指数)』が参考にされている。赤血球恒数は『貧血の原因・種類・性質・治療』などを判断するのに役立つものであり、以下のような『MCV・MCH・MCHC』という指標がある。

平均赤血球容積(MCV)……一つ一つの赤血球が血液に対して占めている容積の平均値。平均となる基準値は83〜99μm3である。

平均赤血球色素量(MCH)……赤血球中に含まれるヘモグロビン量の平均値。平均となる基準値は27〜31pgである。

平均赤血球色素濃度(MCHC)…一定量の血液中にある赤血球の容積に対するヘモグロビン量の割合。平均となる基準値は32〜36%である。

MCV、MCHCが基準値の下限を下回っている場合には、『小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血など)』が疑われる。MCVが増加し過ぎていれば、『大球性色素性貧血(悪性貧血など)』の可能性がある。MCVとMCHCが正常であるのに貧血の症状が見られる場合には、『正球性正色素性貧血(再生不良性貧血・溶血性貧血など)』が疑われることになる。

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ラベル:医学 生理学 疾患
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[ヘモグロビン(hemoglobin)と貧血:1]

ヘモグロビン(hemoglobin)と貧血:1

ヘモグロビン(Hb:hemoglobin)とは、赤血球中に含まれている赤色を示す色素タンパク質(血色素)のことである。人間や脊椎動物の血液が赤色に見えるのは、このヘモグロビンに『ヘム』という鉄を含んだ赤い色素があるからである。ヘモグロビンは、『ヘムの色素』『グロビンのタンパク質』が結合して出来たものであり、ヘモグロビン1個には4個のヘム(鉄分子)が含まれている。

ヘモグロビンは酸素分子と結合する性質を持っており、肺から取り込んだ『酸素(O2)』を全身の組織へと運搬し、全身の組織から集めた『二酸化炭素(CO2)』を肺に送るという『呼吸の役割』を直接に担っている。酸素と結合したヘモグロビンは『オキシヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン,oxyhemoglobin)』と呼ばれ、酸素と結合していないヘモグロビンは『デオキシヘモグロビン(還元ヘモグロビン,deoxyhemoglobin)』と呼ばれている。

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ラベル:医学 生理学 疾患
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2012年11月12日

[ヘドニズム(hedonism)とエピクロスのアタラクシア(ataraxia)]

ヘドニズム(hedonism)とエピクロスのアタラクシア(ataraxia)

古代ギリシア哲学の思想にまで起源(由来)を遡ることができる『ヘドニズム(hedonism)』は、『快楽主義・享楽主義』と翻訳されている。現代では快楽主義者というと、物理的な欲望や身体的(肉欲的)な快楽に惑溺してのめり込む人、刹那主義的な欲望を満たして楽しみ遊ぶことを最優先する人という意味で理解されやすい。しかし、古代ギリシア哲学では、エピクロス(B.C.341頃-B.C.270頃)が説いた欲望に支配されずに平穏な精神状態を保つという『精神的快楽主義』のほうに重点が置かれた。

『物理的(肉体的)快楽主義』は美味しいものを食べたい、美しい異性を手に入れたい、お金や商品が欲しいといった本能・虚栄・承認などに基づく欲望を満たすことであり、それらの世俗的な欲望が自分の思い通りに満たされなければ欲求不満となり、苦痛や不安を感じてしまう。それに対して、エピクロスが説いた『精神的(禁欲的)快楽主義』は、自分の際限のない欲望を制御して抑制することによって『アタラクシア(ataraxia)』という魂(こころ)の普遍的・永続的な平穏(安静)を手に入れようとするものである。

エピクロス学派の哲学者たちは、『本能・物欲・性欲・優越欲求(承認欲求)』などに振り回されている状態(それらを満たしたいと思って興奮したり葛藤したりしている状態)を不幸であり苦痛と考え、そういった欲望を抑制してほとんど意識しないまでになった『アタラクシア』という魂(こころ)の平穏・安静を人間の理想的な状態だと考えた。そのため、欲望・競争心・承認欲求などを刺激する恐れがある外界(俗物の他者)との接触をできるだけ避けて、『エピクロスの花園』という学園に閉じこもった。

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2012年11月02日

[碧巌録(へきがんろく)]

碧巌録(へきがんろく)

『碧巌録(へきがんろく)』は11世紀の中国・北宋時代に、禅僧の圜悟克勤(えんごこくごん,1063-1135)によって編集された禅宗の仏教書であるが、その原案となったのは宋の禅僧・雪竇重顕(せっちょうじゅうけん,980-1052)が書いたとされる『雪竇頌古(せっちょうじゅこ)』である。碧巌録はその別名を『仏果圜悟禅師碧巌録・碧巌集』とも言うが、日本では特に栄西が起こした臨済宗において尊重されている代表的な公案集である。全10巻の大著である。

詩才や学問、故事に優れていた雪竇重顕は、『景徳伝燈録(けいとくでんとうろく)』という先師の事績や思想を書き残した記録1700話の中から100話(古則百則)を選出して、それに頌古という韻文の漢詩を付け加えて『雪竇頌古(せっちょうじゅこ)』を作成した。『頌古(じゅこ)』というのは、古則(禅の公案)に禅の宗旨を込めた頌(漢詩の韻文)を付け加えたものの事である。

北宋後期に禅僧の圜悟克勤(えんごこくごん)が登場して、雪竇重顕が選出した公案百則に、『垂示(序論的批評)』『著語(部分的短評)』『評唱(全体的評釈)』を加えたものが、『碧巌録・全10巻』の禅宗の教典なのである。達磨大師を始祖とする禅宗で、悟りに至る方法としての『公案』を初めに提唱し始めたのは、圜悟克勤の師でもある五祖・法演(ほうえん,生年未詳‐1104)であった。圜悟克勤は達磨大師の時代から智門の時代まで遡って、公案百則の『雪竇頌古』を縦横無尽に評価・鑑賞することで、大著である『碧巌録』を編纂したのである。

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ラベル:仏教 哲学 禅宗 思想
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[併存的妥当性(concurrent validity)]

併存的妥当性(concurrent validity)

心理臨床活動のプロセスで実施される事のある心理アセスメントは、クライエントの心理状態や生活状況、無意識的な力動、価値観などをできるだけ正確に推測して分析するために行われる。心理アセスメントのための心理検査(心理テスト)は、『信頼性(reliability)』『妥当性(validity)』が担保されていなければならない。

心理テストの信頼性(reliability)とは、同じ心理テストを同じ被検者に対して実施した場合に、前回と同じような結果がきちんと再現されるという事である。信頼性の高い心理テストでは、繰り返し同じ被検者に対して心理テストを実施しても、極端に今までの心理テストと異なる結果が出るという事がなく、その結果が安定的に再現されやすいのである。反対に、信頼性の低い心理テストでは、心理テストをする度に毎回異なる結果が出たりするので、その結果に信頼が置けないという問題が生じてくるのである。

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[平均偏差(mean deviation)]

平均偏差(mean deviation)

『平均偏差(mean deviation)』とは測定値と平均値の間にあるズレの程度(ばらつき)を表す概念であり、基本的には『標準偏差(SD:Standard Deviation)』と同じ性質を持っている。『測定値と算術平均値との差(絶対値)の和』の平均を出したものが平均偏差(MD:Mean Deviation)であるが、現在では統計学的な位置づけが曖昧であるため、標準偏差のほうがより多く用いられるようになっている。

平均偏差を求める公式は以下のようなものになる。

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[ペアレンティング・スキル・トレーニング(parenting skill training),親業]

ペアレンティング・スキル・トレーニング(parenting skill training),親業

親が自分の子どもを教育して保護する技術・方法というのは、従来は祖父母から親へとその方法論が自然に伝達されていて、特別な『親になる教育・知識』などは余り必要とされなかった。だが、近代社会では子どもの祖父母と両親が別居して生活する『核家族化』が進行したり、『子育てに対する価値観・常識』が時代と共に変化したりした事で、“世代間の子育ての技術・方法・知恵の伝達”がスムーズに進まなくなってきている。

自分の子どもなのにどのように育てれば良いのか分からない、どんな風に愛情や優しさを赤ちゃんに伝えれば良いのか分からないという親も増えている。その結果、『子育てや人生全般に関するストレス(不安・不満・イライラ)』を上手くセルフコントロールできずに、無力な小さい子どもに八つ当たりして『児童虐待』の悲しい事件が起こってしまう事さえある。そういった育児(子育て)の時代背景を踏まえて誕生したのが、親としての技術や知識、方法論、心構え(覚悟)を教育して訓練していくという『ペアレンティング・スキル・トレーニング(parenting skill training)』である。

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