2017年07月10日

[内的作業モデルと愛着理論から考える人間関係1:幼少期の好ましい愛着形成が安全感をつくる]

内的作業モデルと愛着理論から考える人間関係1:幼少期の好ましい愛着形成が安全感をつくる

アブラハム・マズローの欲求階層説では、『生理的欲求(食欲・睡眠欲)』の次の段階として『安全・安心の欲求』が置かれている。安全感を得たいという欲求は人間の最も基本的な欲求の一つであり、よく知らない未知の対象(他者)との間で相互作用を行うためには、『一定の安全感の保証』がなければならないが、この安全感は遺伝要因や幼少期の愛着形成の経験による『個人差』が大きい。

よく知らない他者とコミュニケーションしても、この『安全感』が低下せずに比較的安定している人もいれば、すぐに安全感が障害されて不安・混乱・逃避を来たしてしまうような人もいる。この安心感・安全感にまつわる個人差は、その人が自分と他者との関係性をどのような意味や影響を持つものとして捉えているかによって規定されてくるところがある。

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[対人態度と一般的信頼感2:自分と他人への信頼と不信は両立する可能性がある]

対人態度と一般的信頼感2:自分と他人への信頼と不信は両立する可能性がある

天貝由美子は発達心理学研究で他者に対する一般的信頼感を、『自分への信頼・他人への信頼・不信』で多元的(三次元的)に捉えた上で、『信頼感尺度(1997)』を作成しています。

[対人態度と一般的信頼感1:人一般をどれくらい信じるかを測定する『信頼感尺度』]

この心理測定尺度(心理テスト)では、他者を信じやすい人ほど騙されやすいという世間一般にある思い込みの先入観が否定されており、『自分や他者を信じること』『人一般を疑う適度な不信感(注意深く用心深く判断する必要を感じること)』は両立し得ることが示されました。自分や他者への一般的信頼感が強いから、騙されやすい単純な性格行動パターンを持っているというわけではないのです。

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[対人態度と一般的信頼感1:人一般をどれくらい信じるかを測定する『信頼感尺度』]

対人態度と一般的信頼感1:人一般をどれくらい信じるかを測定する『信頼感尺度』

心理学における『態度(attitude)』とは、社会的対象に対する特定の個人の行動を規定する『持続的な考え方・感じ方・反応様式・行動の準備状態』のことです。他者に対する個人の行動を規定する態度のことを『対人態度』といいますが、良好な人間関係形成に寄与する典型的な対人態度として『信頼感・共感性』があります。

信頼感には、具体的な特定の相手の人間性や言動をどれくらい信じるかという『特定的信頼感』だけではなく、一般的な他者の人間性や言動をどれくらい信じるかという『一般的信頼感』があります。他者一般に対する『基本的信頼感(一般的信頼感)』は、エリク・エリクソンの社会的精神発達理論では、乳児期の発達課題(=親から愛情や保護を与えてもらえるかによって基本的信頼感の獲得の成否が変わってくる)としてよく知られています。

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[独自性欲求(ユニークネス欲求)と日本語版の独自性欲求尺度]

独自性欲求(ユニークネス欲求)と日本語版の独自性欲求尺度

自分を他者とは異なる独自の存在としてアピールしたい欲求のことを『独自性欲求・ユニークネス欲求』という。独自性欲求が強い人ほど、自分自身を特別な特徴や能力があるユニークな存在であるべきと考えており、『自分が他人と同じであること』『他者と比べて目立つところのない普通・標準であること』を嫌う傾向がある。

日本人は欧米人と比較すると『同調圧力・みんな(普通)から外れる不安』の影響を受けやすく、『他者と同じであること・他者に合わせること』を重視するので、独自性欲求(ユニークネス欲求)は低くなりやすいと言われている。欧米社会でも『帰属集団の標準(普通)からの逸脱』に対するネガティブ(否定的)な評価はあるが、心理学者のC.R.スナイダー(C.R.Snyder)H.L.フロムキン(H.L.Fromkin)はこの標準からの逸脱にポジティブな意味合いを与えた。

C.R.スナイダーとH.L.フロムキンは、ポジティブ(肯定的)な独自性と関係する5つの因子として『独立心・反同調性・改革性・達成・自尊心』を上げて、1980年に独自性欲求の心理測定尺度を作成している。スナイダーとフロムキンの『独自性欲求尺度』は岡本浩一によって1985年に日本語版が作成されている。

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2017年06月21日

[『成功恐怖(FS)測定尺度』におけるFS1・FS2・FS3の代表的な質問項目]

『成功恐怖(FS)測定尺度』におけるFS1・FS2・FS3の代表的な質問項目

日本で作成された成功恐怖を測定するための心理測定尺度としては、堀野(1991)による『成功恐怖(FS)測定尺度』がある。この成功恐怖(FS)測定尺度は、18個の質問項目(7段階の選択肢)からなる『FS1』、4つの場面を想定させて主人公の気持ちとして推測できる感情を評価する12項目の『FS2』、4つの同じ場面で周囲にいる人の気持ちを推測させる14項目の『FS3』の3つの尺度から構成されている。

『成功恐怖(Fear of Success:FS)』と精神分析・ジェンダー論による説明

成功恐怖の『FS1〜FS3』の尺度ではそれぞれ以下のような因子が因子分析によって抽出されている。

FS1……『対人的配慮』『成功の否定的感情』『優越欲求の少なさ』

FS2……『自己の成功の肯定的感情』『自己の成功の否定的感情』

FS3……『他者の成功への肯定的感情』『他者の成功への否定的感情』

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[『成功恐怖(Fear of Success:FS)』と精神分析・ジェンダー論による説明]

『成功恐怖(Fear of Success:FS)』と精神分析・ジェンダー論による説明

ジークムント・フロイトが創始した精神分析では、『超自我(道徳的な自己規制)』が強すぎたり『自我(自分の欲求充足)』が弱すぎたりすることによって、『自分には成功・幸福が見合わない(失敗・不幸が似合っている)という心理状態』になることが知られている。

成功するだけの能力、幸福になれるだけの状況がありながら、なぜか失敗して不幸になってしまう人がいるが、そういった人にはこの『成功恐怖(Fear of Success:FS)・成功回避』の動機づけが無意識に働いていることが多いとされる。

自分自身を成功や幸福から遠ざけてしまう『成功恐怖(FS)・成功回避』の背景にあるのは、幼少期のトラウマや過度の厳しい躾(ダメだし)によって形成された『自己評価と自信の低さ・消極的な行動力の低さ』である。成功した後に更なる高度な要求・期待を押し付けられることへの恐怖、幸福を感じた後に今ある幸せを失ってしまうのではないかという不安、期待させた人たちを失望させてがっかりさせるのではないかという緊張なども影響している。

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2017年06月19日

[K.S.ラーセンとH.J.マーチンの『承認欲求尺度(MLAM:Martin-Larsen Approval Motivation Scale)』、『日本版MLAM承認欲求尺度』]

K.S.ラーセンとH.J.マーチンの『承認欲求尺度(MLAM:Martin-Larsen Approval Motivation Scale)』、『日本版MLAM承認欲求尺度』

『承認欲求(Approval Motivation)』を測定する代表的な心理測定尺度(心理テスト)に、K.S.ラーセンら(1976)が開発してH.J.マーチン(1984)によって修正が行われた『承認欲求尺度(MLAM:Martin-Larsen Approval Motivation Scale)』がある。

K.S.ラーセンとH.J.マーチン以前の時代にも、クラウンとマーロウ(1960)が作成した『社会的望ましさ尺度(MCSD:Marlowe-Crowne Social Desirability Scale)』というものがあり、社会的な価値・規範・常識に沿って人がどれくらい自分の言動を変えるかということが測定されていた。『承認欲求』と『社会的望ましさ』は厳密には異なる概念であるが、『他者から良く思われたい・他者から悪く思われたくないという欲求』自体は共通している。

承認欲求というのは『人から肯定的に評価されたい欲求+人から否定的に評価されたくない欲求』であり、他者(仲間)から自分の存在や居場所、価値などを認められたい『社会的な動物』である人間にとって、承認欲求は一般的かつ自己実現的な欲求でもある。他者と関わって仕事をしたり家庭を築いたり学業をしたりする上で『承認欲求の充足』は動機づけ(モチベーション)と達成感に対して重要な役割を果たしている。

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2017年06月02日

[C.R.スナイダー(C.R.Snyder)とH.L.フロムキン(H.L.Fromkin)の『独自性欲求・ユニークネス欲求』:宮下の『ユニークさ尺度(1991)』における独自性欲求の4分類]

C.R.スナイダー(C.R.Snyder)とH.L.フロムキン(H.L.Fromkin)の『独自性欲求・ユニークネス欲求』:宮下の『ユニークさ尺度(1991)』における独自性欲求の4分類

自分が他者とは異なるユニークな存在でありたいという二次的欲求として『独自性欲求・ユニークネス欲求』があるが、自分が他者とは異なる独自の存在であるという認識は自己アイデンティティーの基礎を構成しており、自分にとって肯定的に解釈できる他者との差異は『自尊心・自己評価』を高めてくれる作用がある。

心理学者のC.R.スナイダー(C.R.Snyder)H.L.フロムキン(H.L.Fromkin)は、それまでネガティブに評価されてきた『集団内の標準的特徴からの逸脱(ズレ)』をユニークな独自性としてポジティブに評価し、5つの因子から構成される『独自性欲求・ユニークネス欲求の心理測定尺度』を開発した。

『競争的達成動機』と『自己充実的達成動機』の達成欲求の心理テスト:社会・関係と個人内部の動機づけの欲求

C.R.スナイダーとH.L.フロムキンが肯定的な独自性と関係するとした5つの因子は『独立心・反同調性・改革性・達成・自尊心』である。

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[『競争的達成動機』と『自己充実的達成動機』の達成欲求の心理テスト:社会・関係と個人内部の動機づけの欲求]

『競争的達成動機』と『自己充実的達成動機』の達成欲求の心理テスト:社会・関係と個人内部の動機づけの欲求

困難な仕事や課題に立ち向かって成功させたいという二次的欲求として『達成動機・達成欲求』があるが、日本では堀野・森らによって『達成動機測定尺度(1987、1991)』が作成されている。達成欲求は大きく、社会的・文化的に価値のあることを達成したいという『社会的達成欲求』と人から肯定的に評価されなくても自分自身にとって価値のあることを達成したいという『個人的達成欲求』に分けることができる。

堀野らは社会的達成欲求を『競争的達成動機』へ、個人的達成欲求を『自己充実的達成動機』へと概念的に整理発展させる功績を残しているが、こういった達成欲求・達成動機の分類は分析心理学のカール・グスタフ・ユングの『外向性性格・内向性性格の動機づけの違い』とも一致する要素がある。

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[人間の欲求と動機づけ(モチベーション)の心理学:M.ツッカーマンの『刺激作用の最適水準』]

人間の欲求と動機づけ(モチベーション)の心理学:M.ツッカーマンの『刺激作用の最適水準』

人間が何か行動を起こす時の大きな原因は『欲求(need)』であり、何かを求めようとする欲求が状況・他者の要因と結びつくことによって『行動(behavior)』が生起することになる。欲求と環境・他者の反応などが絡む行動の生起過程や行動形成メカニズムのことを『動機づけ(モチベーション)』と呼んでいる。

欲求のすべてが行動に直接的に結びつくわけではないが、欲求を前提とする必要性・希求性が強いほど行動が起こりやすくなる。食欲・性欲・睡眠欲などの生存維持・生殖に不可欠な本能的欲求を『一次的欲求』、それ以外の後天的・学習的な欲求を『二次的欲求』として分類しているが、一次的欲求は『生きるための欲求』であり二次的欲求は『より良く(より楽しく)生きるための欲求』である。

心理学で研究される欲求(need)の多くは、後天的な経験や学習、環境、人間関係によって生み出される『二次的欲求』でありその種類は非常に多い。退屈さや単調さを嫌って、新しい体験やスリルを求める二次的欲求として『刺激欲求』があり、W.ヘロンの感覚遮断実験などで明らかにされたように人はあまりに刺激が少なすぎる状況に置かれると、どうにかして刺激を求めるようになる(あるいは自分自身で声を出したり体に触れたりして自己刺激を作り出すようになる)。

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