2017年06月02日

[M.ツッカーマン(M.Zuckerman)の『刺激作用の最適水準(Optimal Level of Stimulation)』に関する心理テスト:W.ヘロンの感覚遮断実験とちょうどいいストレス]

M.ツッカーマン(M.Zuckerman)の『刺激作用の最適水準(Optimal Level of Stimulation)』に関する心理テスト:W.ヘロンの感覚遮断実験とちょうどいいストレス

『感覚遮断実験』では、人間は外界からの刺激が全くない状態には耐えることができず、正常な精神状態や身体感覚、判断能力を維持することができないことが分かっている。W.ヘロンが1957年に行った『感覚遮断実験』がよく知られているが、人間は外界から適度な刺激を受けたり、外的な刺激に対応して自発的な行動・発言をすることによって正常な精神状態を維持している。

W.ヘロンの感覚遮断実験の被験者は、目隠しをされ耳栓をつけられ、手に大きな筒をはめられて物に触ることができない状態にされた。五感の感覚を遮断された被験者は、食事とトイレ以外は柔らかいベッドの上で寝ていなければならないという指示を受けた。初めはただ寝ていればいい楽な課題に思われたが、被験者は次第に落ち着かない精神状態に追いやられていき、五感で何かを見たり聞いたり触ったりしたいという欲求を非常に強く感じるようになっていった。

何もしない感覚遮断の状態が2〜3日も続くと思考に乱れが生じてまとまらなくなり、身体的に落ち着かない違和感や異常な感覚が起こってくる。外的な刺激を全く感じられない状態に退屈を越えた苦痛を感じるようになる。そして自分で自分に刺激を与える行為として、独り言を言ったり口笛を吹く頻度が多くなり、インターフォンを通した実験者とのコミュニケーションを強く求めるようになる。

それ以上の長期間にわたって感覚遮断を続けると、精神病(統合失調症)の陽性症状に近い『幻覚・妄想』が発現しやすくなって、正常な精神状態を維持できなくなるのである。W.ヘロンの感覚遮断実験から分かったことは、強い刺激は人間にとって不快なストレスになるが、逆に全く刺激やストレスがない状態にも人間は耐えられないということである。そして、人が健全な心身の機能・状態を維持するためには『適度な刺激・ストレス』と『適度な刺激に対する自発的な行動・反応』が必要になるということである。

短時間の感覚遮断には心身の疲労やストレスを癒してくれるリラクセーション効果があるので、人工的に感覚遮断状態を作り出せる治療装置(あるいは感覚心理学的な実験装置)として『アイソレーション・タンク』と呼ばれるものもある。

ストレスを生み出す外的な刺激のちょうどいいレベルのことを『刺激作用の最適水準(Optimal Level of Stimulation)』というが、この刺激作用の最適水準は非常に個人差が大きく、『スリリングなドキドキする強い刺激』をちょうど良くて楽しいと感じる人もいれば、緊張感や不安感で気分・体調が悪くなってしまうような人もいるわけである。

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2017年05月17日

[異性不安と異性交際不安:異性から拒絶・否定・軽蔑などをされないかという不安]

異性不安と異性交際不安:異性から拒絶・否定・軽蔑などをされないかという不安

異性と一緒にいる時、異性に話しかけたり共に仕事・作業をしたりする時に、『不安感・緊張感・気後れ(劣等感)』といったネガティブな感情を感じる人は少なくない。思春期・青年期の人は特に、好きな異性ができてその異性に近づきたいと思ったり恋愛(交際)をしたいと思ったりした時に、『不安感・緊張感・気後れ(劣等感)』が強まりやすい。

異性とのコミュニケーションや異性との恋愛・交際は、思春期・青年期の発達段階にある人にとって主要な関心事や悩み事になりやすいものである。結婚に結びつくほどの恋愛まではしないとしても、異性との出会い・関係性やコミュニケーション(異性にモテるかモテないか・好きな異性と付き合えるか)がどのようなものであるかは『自己アイデンティティーの確立・拡散』『自己評価・自信の高低』とも深く関わっている。

特定の異性に限定されない一般的な異性との相互作用にまつわる不安を『異性不安』といい、特定の異性と親密になっていく過程や恋愛・交際を始めてから後の関係性の展開・変化にまつわる不安を『異性交際不安』と呼んで区別している。

思春期・青年期は特に自意識過剰や異性に嫌われたくない・馬鹿にされたくないというプライドから、一般的な異性との相互作用に対する『異性不安』を抱く人は多い。思春期・青年期に限らず、個人的に親しい付き合いにまで進展していない異性とのふれあいやコミュニケーションで不安感を感じたり緊張したり気後れしてしまうという人は意外に多いものである。異性不安は『対人不安・対人緊張』とも似たところがあるが、不安や緊張、気後れを感じる対象が異性に限定されている。

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[R.J.スタンバーグ(R.J.Sternberg)の『愛のトライアングル理論』:親密さ・情熱・コミットメント+決心]

R.J.スタンバーグ(R.J.Sternberg)の『愛のトライアングル理論』:親密さ・情熱・コミットメント+決心

R.J.スタンバーグ(R.J.Sternberg)『愛のトライアングル理論』を提示して、人間の恋愛経験は三角形の頂点(角)のように『3つの要素』から構成されているとした。R.J.スタンバーグのいう恋愛経験の3要素とは、『親密さ(intimacy)』『情熱(passion)』『コミットメント・決心(commitment, decision)』の3つである。

親密さ(intimacy)……二人の間の緊密さ、密着性、居心地の良さ、結合度の強さであり、二人がそれらを相手に対して実感として感じているということである。親密さのあるカップルは、相互的な自己開示を行っていて、相手への好意・評価・賞賛の思いを抱いており、親密なコミュニケーションを繰り返す傾向が見られる。

情熱(passion)……恋愛関係のプロセスで生じる強い感情・情動であり、『相手と一緒にいたい・相手を自分のものだけにしたい・相手と素敵な時間を共有したい・相手と性的なスキンシップをしたい・相手とロマンティックな雰囲気を楽しみたい』などの欲求と合わさって感じられるものである。情熱を感じているカップルは、相手とのロマンティックな関係を求めて楽しみ、相手に対して性的魅力・身体的魅力を感じている傾向がある。自尊心や擁護、安心、親和、支配と服従などの感情・関係も関わってくる。

コミットメント・決心(commitment, decision)……短期的にはその相手のことを愛して大切にしようとする決意であり、長期的には愛のある相手との素晴らしい関係を頑張って維持していこうとするコミットメント(自己関与)のことである。

『親密さ(intimacy)』『情熱(passion)』『コミットメント・決心(commitment, decision)』の3つの要素のバランスが取れているほど理想的な恋愛関係と言えるが、どれか1つの要素だけが突出していて他の2つの要素がない関係は恋愛とは異なる別の関係性に移行しやすくなるとされる。2つの要素が結びつくと、それぞれ特徴的な恋愛関係が成り立つようにもなる。

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2017年04月27日

[J.A.リー『恋愛の6類型論』とそれぞれの恋愛タイプの特徴]

J.A.リー『恋愛の6類型論』とそれぞれの恋愛タイプの特徴

J.A.リー(1973)やヘンドリック&ヘンドリック(1986)などに依拠する『恋愛の6類型論』では、恋愛の類型(タイプ)を『エロス(情熱的な愛)・ルーダス(遊びの愛)・ストロゲー(兄弟愛・友愛)・プラグマ(実利的な愛)・マニア(熱狂的な愛)・アガペー(無償・献身の愛)』の6つに分類している。

エロス(情熱的な愛)……恋愛を人生のすべてととらえるようなロマンティックな恋愛、相手の外見に一目惚れしたり性的魅力に惹き込まれる恋愛。

ルーダス(遊びの愛)……恋愛を楽しいゲームのようにとらえるような遊びの恋愛、相手に執着せず深い付き合いをしない、軽い複数の相手との恋愛。

ストロゲー(兄弟愛・友愛)……激しい感情ではなく穏やかな友情に近い恋愛、相手との信頼・友好を深めていき気づいたら恋愛になっているような関係。

プラグマ(実利的な愛)……恋愛を目的ではなくメリットを求める手段として考える、社会的経済的な実利の要因によって恋愛相手を選択する。

マニア(熱狂的な愛)……嫉妬・執着・悲哀の激しい感情を持ち、独占欲の強い熱狂的な恋愛。

アガペー(無償・献身の愛)……見返りを求めず自己犠牲も厭わない無償の献身的な恋愛、普遍的な愛情。

6つの恋愛類型の測定尺度を用いた大学生を対象にした統計的研究では、女性に実利・結婚のプラグマの傾向が強い結果が出ている。楽しみ・遊びのルーダスについては日本では女性のほうが強いが、米国では男性のほうが強くなっていて文化差が想定される部分もある。

1990年代には現代の若者の恋愛では、独占欲や嫉妬・執着といった要素が前面に出やすいマニアが強い傾向があるとされていたが、2000年代以降には恋人がいない若者の比率が増えて『若者の恋愛離れ・恋愛格差』が指摘されることも増えている。

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[恋愛心理の“Love(愛情)”と“Like(好意)”の違い:他者に対する好悪感情の質]

恋愛心理の“Love(愛情)”と“Like(好意)”の違い:他者に対する好悪感情の質

一般的な恋愛関係・恋愛心理でも『ラブ(love)とライク(like)は違う』と言われることはあるが、その場合には『ラブ(love)のほうがライク(like)よりも愛情が深くて、相手のために生きる重みがある』といった意味合いが込められている。

恋愛心理学では、ライク(like)は『ただ好きなだけの好意』とされ、ラブ(love)は『異性に対するロマンティックな愛情』とされることが多い。こういったラブとライクを区別する定義を行って心理測定尺度の『love-liking尺度』を作成したのは、心理学者のZ.ルビン(Z.Rubin)である。

『love尺度』は付き合っている恋人のほうが友人よりも高い点数となるように調整され、『liking尺度』は付き合っている恋人と友人との間であまり点数の差がない(あるいは友人のほうが少し高くなりやすい)ように調整されている。

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[恋愛に対する態度(一般的な認識)の心理テスト:恋愛至上主義・結婚・理想]

恋愛に対する態度(一般的な認識)の心理テスト:恋愛至上主義・結婚・理想

恋愛・愛情をどのようなものと捉えて評価するかは、特定の他者に対する好悪感情(好きか嫌いか)とは異なるものである。恋愛・愛情をどのようなものと捉えて評価するかは、『恋愛の一般的な認識・意味づけ』と相関している。恋愛に対する態度は、恋愛をロマンティックな陶酔・熱中するものと見なすか、結婚・経済生活につながる実際的・実利的なものと見なすかによって大きく変わってくる。

B.ムンロとG.R.アダムス(B.Munro&G.R.Adamas,1978)にはロマンティックラブに関連する心理測定尺度の研究があり、『ロマンティックな理想』『ロマンティックなパワー』『結婚ー合理的な愛』の3因子の尺度を上げている。シュプレッカーとメッツ(S.Sprecher&S.Metts,1989)はロマンティックラブと恋愛のパワーに焦点を当てて、『恋愛の障害を越える力強さ』『真の恋愛は一つで一度きり』『理想の恋愛の相手や関係』『恋愛の一目惚れ』の4因子の尺度を上げている。

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2017年04月20日

[対人魅力(interpersonal attraction)の心理学:『好意・愛情』の心理測定尺度の研究の歴史]

対人魅力(interpersonal attraction)の心理学:『好意・愛情』の心理測定尺度の研究の歴史

『対人魅力(interpersonal attraction)』とは、個人が他者に対して抱く肯定的あるいは否定的な評価(認知・感情)のことである。他者に対して抱く肯定的な感情の代表として『好意・愛情・安心・友好・美感』などがあり、否定的な感情の代表として『嫌悪・侮蔑・不安・不快・憎悪』などがある。

他者を見る時や他者と接したり対話する時には、対人魅力とも関係した好悪の感情を感じやすい。近年の研究では『対人魅力の認知的側面』よりも『対人魅力の感情的側面』に焦点を当てたものが多く、『親密な人間関係(close relationships)』にまつわるシンプルな意識調査形式の研究が増えている傾向がある。

個人が他者に対して抱く肯定的な感情の代表である『好意・愛情』については、『人が好意・愛情をどのように捉えているかの態度』『個人が特定の他者に向けて抱いている実際的な態度』を区別して考えることになり、『好意と愛情の質的差異』に着目した心理測定尺度の研究も多い。

グロス(1944)は恋愛における『ロマンティックな態度』『現実的な態度』を区別した古典的な『ロマンティシズム尺度』の80項目を作成したが、ホバートはこれを12項目の尺度に短縮し、ノックスとスポラコフスキー(1968)は85項目からなるロマンティシズム尺度を新たに作って、恋愛には『ロマンティックな態度』と『現実的な態度』の区別があることを再び確認している。

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[ウェブ・コミュニケーションにおける印象評価尺度(心理テスト)]

ウェブ・コミュニケーションにおける印象評価尺度(心理テスト)

対人コミュニケーションには、相手と直接会って顔を見ながらやり取りする『対面コミュニケーション』と相手と会わずにインターネット(ウェブ)・電話・手紙などでやり取りする『非対面コミュニケーション』がある。現代では特に、インターネット(ウェブ)でSNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)を介した非対面コミュニケーションをする頻度が急速に増えている。

インターネットのコミュニケーション(ウェブ・コミュニケーション)

代表的なSNSには、facebookやtwitter、Line、mixiなどがあるが、同じSNSを使ったウェブ・コミュニケーションでも、既に知り合いである友人知人とのコミュニケーションと実際には会ったことがないウェブ上だけの知り合いとのコミュニケーション(あるいはその場だけの匿名者同士のやり取り)ではまた意味合いが異なってはくる。

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[パーソナリティー特性(人格特徴の特性形容詞)の心理測定尺度(心理テスト)]

パーソナリティー特性(人格特徴の特性形容詞)の心理測定尺度(心理テスト)

他者のパーソナリティー(人格特性)を認知する時に用いる判断のフレームワークのことを『対人認知構造』という。対人認知構造の基本次元には『親しみやすさ』『社会的望ましさ』『活動性』の3つがあるが、人間のパーソナリティーの特性・特徴の多くは『形容詞(二項対立的な形容詞)』で表されることが多い。

パーソナリティー特性を形容詞で表現する心理測定尺度は、『相手がどの次元のパーソナリティー特性を強く表出しているか』や『自分が相手のどの次元のパーソナリティー特性に重みづけをして見ているか』などを知ることができる。

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2017年04月09日

[アスペルガー障害のADHD的な不注意(注意散漫)と感情のセルフコントロールの弱さ]

アスペルガー障害のADHD的な不注意(注意散漫)と感情のセルフコントロールの弱さ

アスペルガー障害にはADHD(注意欠如・多動性障害)にも似た『不注意(注意散漫)・集中力の低さの特徴』が見られることがあり、一つの物事や対象に注意力を集中できないことが『実行・遂行機能の低さ』にもつながっている。遂行能力(実行能力)というのは、特定の課題に注意を集中して段取りをつけながら確実にやり遂げていく能力であるが、アスペルガー障害ではこの遂行能力が低くなりがちで、一つの仕事や課題を期日までにきちんとやり遂げることが一般にかなり苦手である。

アスペルガー障害の動作のぎこちなさ・非言語性学習障害と外見的な容姿(風貌)の特徴

ADHDの人との類似したアスペルガー障害の特徴として、『一つの物事に注意を集中できない・計画的に課題の遂行をすることができない・レポートや宿題などを忘れずに期日までに遂行できない・整理整頓や片付けをすることが非常に苦手である(部屋・机の上が乱雑に散らかりやすい)』といったことも上げることができるだろう。アスペルガー障害の人には、幼児期から児童期にかけてADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けたことのある人も含まれている。

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