2017年06月21日

[『成功恐怖(Fear of Success:FS)』と精神分析・ジェンダー論による説明]

『成功恐怖(Fear of Success:FS)』と精神分析・ジェンダー論による説明

ジークムント・フロイトが創始した精神分析では、『超自我(道徳的な自己規制)』が強すぎたり『自我(自分の欲求充足)』が弱すぎたりすることによって、『自分には成功・幸福が見合わない(失敗・不幸が似合っている)という心理状態』になることが知られている。

成功するだけの能力、幸福になれるだけの状況がありながら、なぜか失敗して不幸になってしまう人がいるが、そういった人にはこの『成功恐怖(Fear of Success:FS)・成功回避』の動機づけが無意識に働いていることが多いとされる。

自分自身を成功や幸福から遠ざけてしまう『成功恐怖(FS)・成功回避』の背景にあるのは、幼少期のトラウマや過度の厳しい躾(ダメだし)によって形成された『自己評価と自信の低さ・消極的な行動力の低さ』である。成功した後に更なる高度な要求・期待を押し付けられることへの恐怖、幸福を感じた後に今ある幸せを失ってしまうのではないかという不安、期待させた人たちを失望させてがっかりさせるのではないかという緊張なども影響している。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 09:44 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月19日

[K.S.ラーセンとH.J.マーチンの『承認欲求尺度(MLAM:Martin-Larsen Approval Motivation Scale)』、『日本版MLAM承認欲求尺度』]

K.S.ラーセンとH.J.マーチンの『承認欲求尺度(MLAM:Martin-Larsen Approval Motivation Scale)』、『日本版MLAM承認欲求尺度』

『承認欲求(Approval Motivation)』を測定する代表的な心理測定尺度(心理テスト)に、K.S.ラーセンら(1976)が開発してH.J.マーチン(1984)によって修正が行われた『承認欲求尺度(MLAM:Martin-Larsen Approval Motivation Scale)』がある。

K.S.ラーセンとH.J.マーチン以前の時代にも、クラウンとマーロウ(1960)が作成した『社会的望ましさ尺度(MCSD:Marlowe-Crowne Social Desirability Scale)』というものがあり、社会的な価値・規範・常識に沿って人がどれくらい自分の言動を変えるかということが測定されていた。『承認欲求』と『社会的望ましさ』は厳密には異なる概念であるが、『他者から良く思われたい・他者から悪く思われたくないという欲求』自体は共通している。

承認欲求というのは『人から肯定的に評価されたい欲求+人から否定的に評価されたくない欲求』であり、他者(仲間)から自分の存在や居場所、価値などを認められたい『社会的な動物』である人間にとって、承認欲求は一般的かつ自己実現的な欲求でもある。他者と関わって仕事をしたり家庭を築いたり学業をしたりする上で『承認欲求の充足』は動機づけ(モチベーション)と達成感に対して重要な役割を果たしている。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 19:48 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月02日

[C.R.スナイダー(C.R.Snyder)とH.L.フロムキン(H.L.Fromkin)の『独自性欲求・ユニークネス欲求』:宮下の『ユニークさ尺度(1991)』における独自性欲求の4分類]

C.R.スナイダー(C.R.Snyder)とH.L.フロムキン(H.L.Fromkin)の『独自性欲求・ユニークネス欲求』:宮下の『ユニークさ尺度(1991)』における独自性欲求の4分類

自分が他者とは異なるユニークな存在でありたいという二次的欲求として『独自性欲求・ユニークネス欲求』があるが、自分が他者とは異なる独自の存在であるという認識は自己アイデンティティーの基礎を構成しており、自分にとって肯定的に解釈できる他者との差異は『自尊心・自己評価』を高めてくれる作用がある。

心理学者のC.R.スナイダー(C.R.Snyder)H.L.フロムキン(H.L.Fromkin)は、それまでネガティブに評価されてきた『集団内の標準的特徴からの逸脱(ズレ)』をユニークな独自性としてポジティブに評価し、5つの因子から構成される『独自性欲求・ユニークネス欲求の心理測定尺度』を開発した。

『競争的達成動機』と『自己充実的達成動機』の達成欲求の心理テスト:社会・関係と個人内部の動機づけの欲求

C.R.スナイダーとH.L.フロムキンが肯定的な独自性と関係するとした5つの因子は『独立心・反同調性・改革性・達成・自尊心』である。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 15:09 | TrackBack(0) | す:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[『競争的達成動機』と『自己充実的達成動機』の達成欲求の心理テスト:社会・関係と個人内部の動機づけの欲求]

『競争的達成動機』と『自己充実的達成動機』の達成欲求の心理テスト:社会・関係と個人内部の動機づけの欲求

困難な仕事や課題に立ち向かって成功させたいという二次的欲求として『達成動機・達成欲求』があるが、日本では堀野・森らによって『達成動機測定尺度(1987、1991)』が作成されている。達成欲求は大きく、社会的・文化的に価値のあることを達成したいという『社会的達成欲求』と人から肯定的に評価されなくても自分自身にとって価値のあることを達成したいという『個人的達成欲求』に分けることができる。

堀野らは社会的達成欲求を『競争的達成動機』へ、個人的達成欲求を『自己充実的達成動機』へと概念的に整理発展させる功績を残しているが、こういった達成欲求・達成動機の分類は分析心理学のカール・グスタフ・ユングの『外向性性格・内向性性格の動機づけの違い』とも一致する要素がある。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 15:07 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[人間の欲求と動機づけ(モチベーション)の心理学:M.ツッカーマンの『刺激作用の最適水準』]

人間の欲求と動機づけ(モチベーション)の心理学:M.ツッカーマンの『刺激作用の最適水準』

人間が何か行動を起こす時の大きな原因は『欲求(need)』であり、何かを求めようとする欲求が状況・他者の要因と結びつくことによって『行動(behavior)』が生起することになる。欲求と環境・他者の反応などが絡む行動の生起過程や行動形成メカニズムのことを『動機づけ(モチベーション)』と呼んでいる。

欲求のすべてが行動に直接的に結びつくわけではないが、欲求を前提とする必要性・希求性が強いほど行動が起こりやすくなる。食欲・性欲・睡眠欲などの生存維持・生殖に不可欠な本能的欲求を『一次的欲求』、それ以外の後天的・学習的な欲求を『二次的欲求』として分類しているが、一次的欲求は『生きるための欲求』であり二次的欲求は『より良く(より楽しく)生きるための欲求』である。

心理学で研究される欲求(need)の多くは、後天的な経験や学習、環境、人間関係によって生み出される『二次的欲求』でありその種類は非常に多い。退屈さや単調さを嫌って、新しい体験やスリルを求める二次的欲求として『刺激欲求』があり、W.ヘロンの感覚遮断実験などで明らかにされたように人はあまりに刺激が少なすぎる状況に置かれると、どうにかして刺激を求めるようになる(あるいは自分自身で声を出したり体に触れたりして自己刺激を作り出すようになる)。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 15:06 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[M.ツッカーマン(M.Zuckerman)の『刺激作用の最適水準(Optimal Level of Stimulation)』に関する心理テスト:W.ヘロンの感覚遮断実験とちょうどいいストレス]

M.ツッカーマン(M.Zuckerman)の『刺激作用の最適水準(Optimal Level of Stimulation)』に関する心理テスト:W.ヘロンの感覚遮断実験とちょうどいいストレス

『感覚遮断実験』では、人間は外界からの刺激が全くない状態には耐えることができず、正常な精神状態や身体感覚、判断能力を維持することができないことが分かっている。W.ヘロンが1957年に行った『感覚遮断実験』がよく知られているが、人間は外界から適度な刺激を受けたり、外的な刺激に対応して自発的な行動・発言をすることによって正常な精神状態を維持している。

W.ヘロンの感覚遮断実験の被験者は、目隠しをされ耳栓をつけられ、手に大きな筒をはめられて物に触ることができない状態にされた。五感の感覚を遮断された被験者は、食事とトイレ以外は柔らかいベッドの上で寝ていなければならないという指示を受けた。初めはただ寝ていればいい楽な課題に思われたが、被験者は次第に落ち着かない精神状態に追いやられていき、五感で何かを見たり聞いたり触ったりしたいという欲求を非常に強く感じるようになっていった。

何もしない感覚遮断の状態が2〜3日も続くと思考に乱れが生じてまとまらなくなり、身体的に落ち着かない違和感や異常な感覚が起こってくる。外的な刺激を全く感じられない状態に退屈を越えた苦痛を感じるようになる。そして自分で自分に刺激を与える行為として、独り言を言ったり口笛を吹く頻度が多くなり、インターフォンを通した実験者とのコミュニケーションを強く求めるようになる。

それ以上の長期間にわたって感覚遮断を続けると、精神病(統合失調症)の陽性症状に近い『幻覚・妄想』が発現しやすくなって、正常な精神状態を維持できなくなるのである。W.ヘロンの感覚遮断実験から分かったことは、強い刺激は人間にとって不快なストレスになるが、逆に全く刺激やストレスがない状態にも人間は耐えられないということである。そして、人が健全な心身の機能・状態を維持するためには『適度な刺激・ストレス』と『適度な刺激に対する自発的な行動・反応』が必要になるということである。

短時間の感覚遮断には心身の疲労やストレスを癒してくれるリラクセーション効果があるので、人工的に感覚遮断状態を作り出せる治療装置(あるいは感覚心理学的な実験装置)として『アイソレーション・タンク』と呼ばれるものもある。

ストレスを生み出す外的な刺激のちょうどいいレベルのことを『刺激作用の最適水準(Optimal Level of Stimulation)』というが、この刺激作用の最適水準は非常に個人差が大きく、『スリリングなドキドキする強い刺激』をちょうど良くて楽しいと感じる人もいれば、緊張感や不安感で気分・体調が悪くなってしまうような人もいるわけである。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 14:59 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月17日

[異性不安と異性交際不安:異性から拒絶・否定・軽蔑などをされないかという不安]

異性不安と異性交際不安:異性から拒絶・否定・軽蔑などをされないかという不安

異性と一緒にいる時、異性に話しかけたり共に仕事・作業をしたりする時に、『不安感・緊張感・気後れ(劣等感)』といったネガティブな感情を感じる人は少なくない。思春期・青年期の人は特に、好きな異性ができてその異性に近づきたいと思ったり恋愛(交際)をしたいと思ったりした時に、『不安感・緊張感・気後れ(劣等感)』が強まりやすい。

異性とのコミュニケーションや異性との恋愛・交際は、思春期・青年期の発達段階にある人にとって主要な関心事や悩み事になりやすいものである。結婚に結びつくほどの恋愛まではしないとしても、異性との出会い・関係性やコミュニケーション(異性にモテるかモテないか・好きな異性と付き合えるか)がどのようなものであるかは『自己アイデンティティーの確立・拡散』『自己評価・自信の高低』とも深く関わっている。

特定の異性に限定されない一般的な異性との相互作用にまつわる不安を『異性不安』といい、特定の異性と親密になっていく過程や恋愛・交際を始めてから後の関係性の展開・変化にまつわる不安を『異性交際不安』と呼んで区別している。

思春期・青年期は特に自意識過剰や異性に嫌われたくない・馬鹿にされたくないというプライドから、一般的な異性との相互作用に対する『異性不安』を抱く人は多い。思春期・青年期に限らず、個人的に親しい付き合いにまで進展していない異性とのふれあいやコミュニケーションで不安感を感じたり緊張したり気後れしてしまうという人は意外に多いものである。異性不安は『対人不安・対人緊張』とも似たところがあるが、不安や緊張、気後れを感じる対象が異性に限定されている。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 07:54 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[R.J.スタンバーグ(R.J.Sternberg)の『愛のトライアングル理論』:親密さ・情熱・コミットメント+決心]

R.J.スタンバーグ(R.J.Sternberg)の『愛のトライアングル理論』:親密さ・情熱・コミットメント+決心

R.J.スタンバーグ(R.J.Sternberg)『愛のトライアングル理論』を提示して、人間の恋愛経験は三角形の頂点(角)のように『3つの要素』から構成されているとした。R.J.スタンバーグのいう恋愛経験の3要素とは、『親密さ(intimacy)』『情熱(passion)』『コミットメント・決心(commitment, decision)』の3つである。

親密さ(intimacy)……二人の間の緊密さ、密着性、居心地の良さ、結合度の強さであり、二人がそれらを相手に対して実感として感じているということである。親密さのあるカップルは、相互的な自己開示を行っていて、相手への好意・評価・賞賛の思いを抱いており、親密なコミュニケーションを繰り返す傾向が見られる。

情熱(passion)……恋愛関係のプロセスで生じる強い感情・情動であり、『相手と一緒にいたい・相手を自分のものだけにしたい・相手と素敵な時間を共有したい・相手と性的なスキンシップをしたい・相手とロマンティックな雰囲気を楽しみたい』などの欲求と合わさって感じられるものである。情熱を感じているカップルは、相手とのロマンティックな関係を求めて楽しみ、相手に対して性的魅力・身体的魅力を感じている傾向がある。自尊心や擁護、安心、親和、支配と服従などの感情・関係も関わってくる。

コミットメント・決心(commitment, decision)……短期的にはその相手のことを愛して大切にしようとする決意であり、長期的には愛のある相手との素晴らしい関係を頑張って維持していこうとするコミットメント(自己関与)のことである。

『親密さ(intimacy)』『情熱(passion)』『コミットメント・決心(commitment, decision)』の3つの要素のバランスが取れているほど理想的な恋愛関係と言えるが、どれか1つの要素だけが突出していて他の2つの要素がない関係は恋愛とは異なる別の関係性に移行しやすくなるとされる。2つの要素が結びつくと、それぞれ特徴的な恋愛関係が成り立つようにもなる。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 06:34 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月27日

[J.A.リー『恋愛の6類型論』とそれぞれの恋愛タイプの特徴]

J.A.リー『恋愛の6類型論』とそれぞれの恋愛タイプの特徴

J.A.リー(1973)やヘンドリック&ヘンドリック(1986)などに依拠する『恋愛の6類型論』では、恋愛の類型(タイプ)を『エロス(情熱的な愛)・ルーダス(遊びの愛)・ストロゲー(兄弟愛・友愛)・プラグマ(実利的な愛)・マニア(熱狂的な愛)・アガペー(無償・献身の愛)』の6つに分類している。

エロス(情熱的な愛)……恋愛を人生のすべてととらえるようなロマンティックな恋愛、相手の外見に一目惚れしたり性的魅力に惹き込まれる恋愛。

ルーダス(遊びの愛)……恋愛を楽しいゲームのようにとらえるような遊びの恋愛、相手に執着せず深い付き合いをしない、軽い複数の相手との恋愛。

ストロゲー(兄弟愛・友愛)……激しい感情ではなく穏やかな友情に近い恋愛、相手との信頼・友好を深めていき気づいたら恋愛になっているような関係。

プラグマ(実利的な愛)……恋愛を目的ではなくメリットを求める手段として考える、社会的経済的な実利の要因によって恋愛相手を選択する。

マニア(熱狂的な愛)……嫉妬・執着・悲哀の激しい感情を持ち、独占欲の強い熱狂的な恋愛。

アガペー(無償・献身の愛)……見返りを求めず自己犠牲も厭わない無償の献身的な恋愛、普遍的な愛情。

6つの恋愛類型の測定尺度を用いた大学生を対象にした統計的研究では、女性に実利・結婚のプラグマの傾向が強い結果が出ている。楽しみ・遊びのルーダスについては日本では女性のほうが強いが、米国では男性のほうが強くなっていて文化差が想定される部分もある。

1990年代には現代の若者の恋愛では、独占欲や嫉妬・執着といった要素が前面に出やすいマニアが強い傾向があるとされていたが、2000年代以降には恋人がいない若者の比率が増えて『若者の恋愛離れ・恋愛格差』が指摘されることも増えている。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 08:46 | TrackBack(0) | れ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[恋愛心理の“Love(愛情)”と“Like(好意)”の違い:他者に対する好悪感情の質]

恋愛心理の“Love(愛情)”と“Like(好意)”の違い:他者に対する好悪感情の質

一般的な恋愛関係・恋愛心理でも『ラブ(love)とライク(like)は違う』と言われることはあるが、その場合には『ラブ(love)のほうがライク(like)よりも愛情が深くて、相手のために生きる重みがある』といった意味合いが込められている。

恋愛心理学では、ライク(like)は『ただ好きなだけの好意』とされ、ラブ(love)は『異性に対するロマンティックな愛情』とされることが多い。こういったラブとライクを区別する定義を行って心理測定尺度の『love-liking尺度』を作成したのは、心理学者のZ.ルビン(Z.Rubin)である。

『love尺度』は付き合っている恋人のほうが友人よりも高い点数となるように調整され、『liking尺度』は付き合っている恋人と友人との間であまり点数の差がない(あるいは友人のほうが少し高くなりやすい)ように調整されている。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 07:41 | TrackBack(0) | れ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする